アメリカのサービスのレベルが始まったのは今に始まったことではないが、
これは単に店員の態度が悪いということに留まらず、
そもそも能力がない人がやっていることが多い。
夏に、米国大使館でビザスタンプをもらうために申請書を準備しているのだが、
たった1枚の証明写真の要件が異様に細かくA4で5ページにも及ぶ。
ちなみに、デジタルのファイルとプリントアウトしたものの両方が必要。
主な点をあげると、
ー 写真は2インチ×2インチ
ー 目の高さは写真の下辺から測って写真の高さの56-69%
ー 顔の長さは写真の高さの50-69%
ー 顔は全体の中央
ー 背景は白
ー 顔や背景を影で遮っていない
ー 不鮮明でない
ー 色彩は自然な肌色を写している
ー デジタル画像はJPEGまたはJFIF形式
ー サイズはアスペクト比1:1で各辺600-1200画素
ー ファイルサイズは240KB以下
ー 色はsRGB色空間
ー 圧縮比20:1以下
というような感じだ。
ちなみに、カラー写真が必須で色も自然でないと通らないが、
ビザの写真は白黒である。
規定にある「不適切な例」の一つはビザと同様の白黒で印刷すると
「適切な例」と見分けがつかない。
また以前は、顔の面積が全体の50%という条件がついていたので
上記の条件と合わせると論理的には顔が横長の人でないとビザを取れない、
ということになっていたがこの条件は流石に削除されたらしい。
ともかく、いろいろと面倒なのでプロにとってもらおうと思ってでかけた。
影が映り込まないというのは以外と難しいが、
日本の写真屋だったらこんな簡単な条件を満たせないとは思えない。
1件目:ドラッグストアの写真サービス
僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあるから。
米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
店員「(適当に読み流して)OK。問題ないよ!」
写真ができてから、定規を持って細かく検証。
僕「この写真、目の位置が規定を満たしてないけど。
あと耳の後ろ、影が映ってるよね。」
店員「これ影じゃなくて髪じゃない?」
僕「いや、そんなに髪長くないし。」
店員「じゃあ、返金します。」
2件目:プロの写真屋がやってる写真館
僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあるから。
米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
インチキ写真家「余裕余裕。パスポートと同じだから(←全然違う)。
まかせとけ。今、あそこで商談中だから20分待ってて。」
僕「顔は中央って書いてあるけど、上下方向に中央だと目の高さの要件を
満たさない事が多いから気をつけて。この例を参考にして。」
インチキ写真家「分かった分かった(←聞いていない)。」
その後、無断で別の打ち合わせに入った写真屋、40分後に撮影開始。
インチキ写真家「できたけど。」
僕「サイズ違うし。2インチ×2インチっていったでしょ
(しかも書面でマーカーで強調したものも2回見せている!)。
これ、45mm x 35mm だよ。」
インチキ写真家「(プリントしなおして)はい、できた。2人分で20ドル。
(←もうめんどくさくなってきている)。」
僕「(写真が不鮮明で、娘が撮った手ブレ写真のよう)
うーん、一応サイズは合ってるけど…。はい、20ドル。」
インチキ写真家「俺、証明写真20年も撮ってるから、安心だぜ!」
僕「なんとかして、もっと影が無い写真撮れないものなの?」
インチキ写真家「無理無理。影ってのは必ず入るものなんだよ。」
→ 大使館のページで写真をチェックしたところ2枚ともピントズレで通らず。
そもそも、あんな暗い事務室で証明写真撮るの初めて見た。
奴「あの写真屋、態度でかいし、なってなかった。
Willyはもっと文句言うかと思ったのに、意外と言わなかった。
私が文句言おうかと思ってた。」
(電子メールにて)
僕「今日、撮った写真、ピントズレでpre-screeningすら通らなかったけど。
通す方法知ってたら教えろ。」
→ 返信無し
(インターネットのレビューサイトにて)
僕
「この写真館は結婚、出産、卒業記念写真なんかを撮っていますが、
もしあなたがそういう目的でここを使うなら、証明写真の規定すら満たすことが
できない写真家が芸術的な写真を撮れることを期待しなければなりません。
幸運を祈ります。」
3件目:スーパー内の写真撮影場所
僕「USビザ用の写真を撮って欲しいんだけど。要件はここに書いてあって
米国大使館は極端に規定にうるさいからくれぐれも気をつけて。」
おやじ「うーん、分かる分かる。そうだよね〜。」
使っていたのはやっすいコンパクトデジカメ!
15分後、写真ができる。
僕「これ、サイズ違うけど(しかも縁がぼろぼろになっている)。
それに、この目の高さ低すぎ。肩の下数ミリまで入れないと
規定を満たさないから。」
このスーパー、顔の大きさや目の高さも自動でチェックできる
システムがあるのに何故間違えるのか?!
サイズも枠があるのにいい加減に切っているから5mmも短くなっている。
しかもカッターがぼろぼろなせいか、まっすぐ切れてない。
おやじ「あ、いますぐ急いで取り直すよ。」
なぜか今度は5分後に写真ができた。
写真の左上2割ほどが暗くなっていて絶望的な写真。
あの設備でとったらそんなものだろう。
僕「あ、写真切らないで。自分で切るから。あれ、CD-ROMは?」
おやじ「同じ袋に入れといたよ!」
僕「早いね。どうもありがとう。」
→ CD-ROMの写真は取り直し前の写真!
4件目:スーパーの建物に入居している写真館
僕「ビザ用の証明写真撮りたいんだけど。」
おばちゃん「あー、もう4時だから店じまいだよ。」
僕「いま3時57分だけど、残り3分の勤務時間は何するの?」
おばちゃん「…じゃあ撮ってみるよ。」
僕「この規定に合わせてプリントし、、、」
おばちゃん「あー、無理無理。そのサイズにはできないよ。」
→ 4時になったらしい。
埒があかないので、写真好きの日本人の友人に相談。
友人「アメリカで証明写真って難しいんですよねぇ。とりあえず、
ー 日中、屋内で全体が明るい部屋、時間に
ー 目に影が落ちなければ部屋の明かりも全開に
ー カメラは三脚あるいは他のもので固定
ー フラッシュは発光禁止に
ー シャッタースピードを下げて明るく写るように
ー 顔が暗めに写る場合、照明を持って来て被写体を照らす
ー 被写体と背景との間に少し距離を空ける
ー いざとなれば映らないところにアルミホイルを置いてみる
ー フラッシュが必要な場合は、ティッシュや反透過性の紙をフラッシュに被せる
でやってみて下さい。」
→ 4件の写真屋、見事にどれも守っていなかった。
アメリカで言うプロとはお金をもらうために仕方なく仕事をやっている人、
と考えるのが妥当なようだ。
注)ちなみに僕はお金をけちったのではない。
「必要ならスタジオを使ってちゃんとした写真を撮って規定に合わせて欲しい」
と頼んだ。そうではなくて、
彼らは
「ビザ用 → 証明写真 → USパスポートと一緒 → 楽勝」
と脳内で勝手に決めつけているのだろう。
20までしか知らない5歳児に
「80って知ってる?」
と聞いて
「知ってる知ってる!18のことでしょ。楽勝だよ!」
と返される状況、と考えれば分かりやすいかも知れない。
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