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アメリカ生活の残念な点 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカは経済システムとしては良くできた国だと思うが、
日常生活を送る上で便利とは言えない点も多い。
このあたりでアメリカ生活の残念な点をまとめて、
アメリカ生活を夢見る人たちのやる気をくじいておこうと思う。

なお、言葉の問題や、人間関係の問題、ビザの問題、
一時帰国費用の問題は自明なので捨象
する。

1.サービスのレベルが低い

店員やウェイターの応対、各種事務手続き、各種修理
などあらゆるもののサービスレベルが非常に低い。

一つの理由は、アメリカがそれほど評判社会でないということだ。
これは国が広い上に人々の流動性が高いためだろう。
こんにちではインタネットを通じていくらでも悪評は広めることが
可能だが人々の意識はそこまで変化していない。

人材の流動性が高いことは、習熟度のレベルが低いことも意味する。
例えば、Comcast というケーブルTV会社があるが、
作業する担当者に配線の仕方を伝えたにもかかわらず
わざわざ間違った配線をして帰ってしまい、当然機能しないので
自分で繋ぎなおしたことがある。他の人からも聞いたがこの会社は
どうやらズブの素人を雇ってインストールさせているようなのだ。

事務手続きに関して好ましくないことは、
手続きが不正確であるにも拘わらず確認をしないことである。
明示的に確認を求めて断られたこともある。
同様に電子メールでも、自分に利益がない限り返事をしない
というのが基本のようだ。

低いサービスレベルは、やはり倫理的な問題も大きいだろう。
ブルーカラーの人たちに職人魂などというものはかけらも感じられない。
これは人々がこうした職業を尊敬していないこととも関係しているのだろう。
また、多数派であるキリスト教の宗教的な倫理観は
あくまで個人的な付き合いがある時だけに発揮され、
職業倫理と結びついていないように感じられる。

2.食べ物がおいしくない

外食は、一般的においしくない上に非常に高い。
特に中西部はそうだ。ニューヨークや西海岸の一部では、
高い料金を払えばそれなりに美味しいものは食べられるが、
品質を調整すれば値段は日本の倍くらいするのではないかと思う。

それでは食材はどうかというと、確かに安いが品質は高くない。
まず肉だが、牛は日本のように柔らかいものは手に入らない。
鶏はも生産工程が熾烈すぎて本来の味がしない。豚は日本よりも臭みがある。
魚は鮮度が落ちるし品揃えは限定的だ。
野菜は全般的に硬い。例えば、日本のようにキャベツを
さっと炒めて食べる、というようなことは快適でない。
果物は量あたりの価格を下げることに特化しすぎているため、
あまりジューシーではない。
タマゴも生では食べない、という人が多い。
パンも安いものは「これはパンではない」というレベルだし、
高いものを買っても「これはパンなの?」というレベルだ。
デトロイト圏で私がおいしいと思えるのは、
今のところ Polish Market と Zingerman's だけだ。

3.健康的でない

車社会なので歩く機会が限られ、健康的でない。
ミシガンでは信号があっても
大きい交差点を徒歩で渡るのはあまり安全ではない。
また散歩するにしても街がただっ広いのであまり楽しくない。
結果、アメリカに住む人々はフィットネス・クラブに入ったり
自宅の地下室で黙々とトレーニングマシーンを使ったりするのだ。

ちなみに、これは逆に健康に良いのかも知れないが、
車社会だと飲み会をやりにくいということも難点と言える。
日本は酒税は高いが、都内の金曜や土曜の夜の電車に乗ると
日本の都会はアルコール天国だと思う。

4.医療制度が充実してない

私の場合は、家族がみな健康なので良いが
アメリカの保険は非常に複雑だし、
医療は官僚的で待ち時間が長く、値段は非常に高い。

旅先で妻がインフルエンザにかかったときも、
別の旅先で私が指を切ったときも、
最初にしたことは保険会社に電話をかけて
カバレッジを確認することだった。

保険料も非常に高い。
雇用主が大半を負担しているとはいえ、
今私が入っている健康保険料は家族で年間14,000ドルだ。


上記の4点は、国境を越えてカナダにわたったけでも大きく変わることだ。
私が日本人だから感じるというよりも、アメリカ自身が抱える問題である。

上記の4点のほかに、コンビニに買いたいものが売っていない、
日本の本屋がない、冬が寒い、といった、割と個人の嗜好や環境次第と
思われるような問題もある。

もちろん、アメリカ以外の国へ行けばこれとは別の問題があるだろう。
海外で働く場合は、その国の不便な点をよく見極めつつ、
自分に合った国を探す必要がある。


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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[IT業界][雇用流動性]日本でも見る「アメリカ生活の残念な点」

http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-418.html 1.サービスのレベルが低い 店員やウェイターの応対、各種事務手続き、各種修理などあらゆるもののサービスレベルが非常に低い。 ふむふむ 人材の流動性が高いことは、習熟度のレベルが低いことも意味する。(中略)他の人

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非公開コメント

くじかれました(笑)

なるほどなぁ・・・・。海外でくらすのって楽じゃないですね。
日本はサービスを受け取ることだけを考えると世界最高レベルですよね。食べ物美味しいし。

willyさんにとってこの不便を補えるアメリカのいいところってなんですか?

No title

nastyさん:

何度でもチャンスがあるところ、そして、専門職を優遇するところ、ですかね。
正直、仕事がなかったら僕はアメリカには住まないです。
日本に帰る時に円安になっていることを祈っています(笑)。

just complain ,man

いやならアメリカにすまなきゃいいんじゃない?
そんななにからなにまでいい国なんてないぞ、お客様は神様じゃねーよ

1.サービスのレベルが低い→従業員が日本のように奴隷根性もたなくて済むから、働く側からしたら
                   いいと思うよ。
2.食べ物がおいしくない→どこの国行ってもそうだろ

3.健康的でない→いくらでも自分で工夫できる

4.医療制度が充実してない→医療にコストが掛かることを理解してないんじゃないかな、日本の医療は
                   医療スタッフの奴隷労働で成立しているだけ。

No title

さすけさん:

そんな意見もあるでしょう。

>2.食べ物がおいしくない→どこの国行ってもそうだろ

これは納得いきませんが。

No title

地域に関係なくどこでもそうなんでしょうか?

No title

匿名さん:

地域により程度の差はありますが、全国的にこの4つは当てはまると思います。車社会の度合い、レストランのレベルなんかはそれなりに違う感じがしますし、サービスのレベルもある程度異なる気はしますが。

(引っ越しました。)

個人的感触によるイギリス編です:

1と2は同様かと思います。4は周知の通りです。奴隷労働はありませんが。3は微妙です。3の食事が健康を害しているように思いますが(例:圧倒的な量のチップス)…郊外等ではいわゆる車社会と想像します。

2は韓国・ソウルは大丈夫な気がしますね。Hooters一号店が1と2を持ち込むか気になるところです。

No title

どんな国でもいい面・悪い面があるということでしょうね。
日本にいると、海外はどれだけいいところなんだ、と思うような報道が多いですね。
「ヨーロッパでは…」とか「欧米は環境面で…」なんて言う主張はよく聞きます。

ただ、やっぱりこれは日本で生活したことがあるWillyさんだからこそ感じることなんでしょうね。
メキシコ人なんかからすると、「アメリカ最高!」って感じになるのかなぁとも思いますし。

No title

こ@元ロンドンさん:

Hooter's の料理、あれでも米国ではファーストフードの平均くらいなんですよね。

松本さん:
>メキシコ人なんかからすると、「アメリカ最高!」

いえいえ、メキシコ人の友達は
「アメリカのKFCのフライドチキンは不味すぎて異常!
メキシコのはもっと旨い!(日本のもそうですが)」
「アメリカのタコスはまずいが、そもそも原料が間違ってる!」
なんてことを言っていました。

先日、妻がインド人の友人を招いて手作りのクッキーを出したら、
「あら、おいしい。インドのクッキーみたい。」
と言われたそうです。クッキーはアメリカのが不味いだけで
他の国はあんなにまずいの作ってないです。

No title

1.サービスのレベルが低い
これは日本人の奴隷根性が特殊なだけじゃないでしょうか
奴隷を使う側からすればアメリカけしからんとなるんでしょうが
接客業という名の奴隷として日々奉仕してる人間の1人としてはうらやましい限り

No title

奴隷一号さん:

それは確かにあるでしょうが、上で理由を述べている通り、それだけではないですよ。

同感です

いつも楽しく読ませてもらっています。ロサンジェルスで細々とフェローをしているものです。
残念ながら4つともロサンジェルスでも当てはまります。2の食べ物に関してはややアメリカ国内でもいい方でしょうか。ただ、品質調整して日本の倍、というのは私の実感とも一致しています。
挙げられた欠点4つに加えて、公教育の荒廃をアメリカ生活の5番目の欠点として挙げたいと思います。
カリフォルニア州の財政難の影響もあると思うのですが、財政面はひどいですよ~。教材を揃えるため、しょっちゅう寄付金集めのイベントを行っています。教育レベルも低いところは絶望的に低いです。

No title

nkさん:

これは統計関係の人の間ではずいぶん話題になりました。
基本的にネット上のテキストや音声や動画がものすごい速度で蓄積され
それを分析する需要がある以上、自然言語の統計処理のような分野が
今後ホットであることは間違いありません。
GoogleやIBMのラボなどは人気があってなかなか競争が厳しいですよ。

分野としては統計学専攻のほか、コンピューターサイエンス専攻でも良いと思います。
大学でやるよりも先進企業に入ること、
そして、日本ではなくてアメリカでやるのがいいと思います。

No title

初コメです。
コメント欄を含めて興味深く読めました。
アメリカのいい点については、コメ欄ではなく本エントリであらためて書いてほしいです。
たぶん過去のエントリにあるとは思いますが。

No title

つーてんかくさん:

そうですね。書きましょう。

No title

この残念な点は私らのようなオッサンや家族持ちが目につくことのような気がしなくもないですね。若いころは毎日カップラーメンとか平気でしてましたし病院なんかにも行きませんでしたしサービスのレベルにイラっとすることも無かったような気がします。

No title

axeさん:

確かにそれは言えてます。日本人の知り合いが
"日本で一回社会人をやっておいしいものに
慣れちゃうとアメリカの食事はつらい"
ってなことを言ってました。

nkさん:

日本:修士なら専門が何でも就職はOK。ただしスペシャリストと
考えてくれるかどうかはケースバイケース。博士はやめとけ。
米国:博士でも就職はOK。
っていう感じじゃないでしょうか。

潰しが効くっていう意味では、バイオ関係ですね。
製薬会社は待遇が良いようです。
大学のbiostatistics関係のスタッフポジションは
待遇は微妙ですが、どうみても人材需要超過なので
条件を付けなければ見つかりやすいと思います。

No title

nkさん:

バイオ関係の話はアメリカ限定です。

No title

なんか上の方でくじかれちゃってる人がいますけど、量を効用としてとらえられる人(=若い男性)ならアメリカの外食最高ですよ。5-6ドルも出せば中華でもピザでもハンバーガーでもお腹一杯食える。規範がないから何やっても自由だし、いい国でっせ。

No title

貧乏留学生さん:

確かに大人数で行くと、結構安上がりだったりします。
それでも日本より割安という感じはあまりしないのですが。
マクドナルドだって、まともなハンバーガー頼むと一つ4ドルくらいしますよね。

アルコールが安いので飲みに行くと結構安いですね。

No title

私も、アメリカのサービス業は酷いと思います。

ところで、「日本のサービス業は労働生産性が低い。問題である。」
というのが日本の新聞の鉄板記事ですが、これを読むと複雑な気分になります。

賃金(の原資となる粗利益)が低いのに、職業人として誇りを失わず、
おいしい料理や質の高いを提供している方々を
間接的に侮辱しているように感じるからです。

労働生産性=付加価値額÷従業員数 ・・・で計算しますが、
分子に消費者余剰を加味した評価が必要だと考えます。
現在の計算式だと、ぼったくりバーの労働生産性が高くなりますので、
国際競争に晒されにくいサービス業の評価指標には適さないと思います。

サービス業を労働生産性で評価することに関して、
Willyさんはどのように考えますか。

No title

こんにちは。 私はロサンゼルスですが、状況は同じです。 食事は特につらいですね。 
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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