米国大学院留学にかかる費用 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

留学を考える際に、お金の問題は、
言葉の壁や卒業後のキャリアパスと並んで、
最も大きな問題の一つだと思います。
しかし、米国の大学院留学に関して言うと、
「2年間で2000万円かかる」と言う人がいるかと思えば、
「授業料は免除の上、生活費ももらえて私は黒字でした」
という人もいて、経験のない方はとても混乱する状況
ではないでしょうか。

言うことが人によって違うのは、
一人一人が自分の経験だけに基づいて話をしていて、
米国の大学の全体像を把握していないから
ではないかと思います。

言うまでもなく、
米国は資本主義が非常に浸透した国であり、
教育に関しても、授業料と在学期間を投資として
見た場合に将来の賃金で投資を回収できるか、
という観点で考えられています。
そこで、米国の大学にある学部や学科を
資本主義の観点から荒っぽく分類すると
次の3つに分けられます。

1.教育投資が卒業後の高い賃金によって
  十二分に回収できる学科
  (医学、ビジネス、法律など)
2.教育投資は必ずしも全額回収できないが
  経済全体にとって必要な専門知識を教える学科
  (理学、工学、農学など)
3.教育投資はあまり回収できず
  経済的な要請の少ない学科
  (文学、哲学など)

1の学科については
黙っていてもたくさんの入学希望者がいますから、
授業料も高く金銭的な援助はあまり期待できないと
考えた方が良いでしょう。

2の学科については、
入学するインセンティブを与えて
優秀な学生をたくさん集めることが
大学や政府にとってのメリットに繋がります。
ですから、大学は授業料や健康保険料を免除したり、
TA(補助教員)やRA(研究助手)の形で給与を支払ったりして
学生を集めています。
また、政府も間接的に大学に補助金を出すなどして
援助をしています。
1.の分野に比べて優秀な米国人が集まりにくいので、
外国人をたくさん採るのも一つの特徴でしょう。

3の学科については、
もともと趣味性が高く、
高い授業料を払う動機が弱いですから
授業料は1の学科ほど高くはありませんが、
一方で大学や政府にもあまり学生を
援助するインセンティブがありません。
たいていは一般学生向けの入門講座などを
提供することで細々と経営を保っており、
特に優秀な学生や幸運に恵まれた学生だけが
そうした講座のTAなどとして
財政援助を受けることができます。


例にとって見てみましょう。

●1のケース:MBA , Harvard Unviersity

なんと、独身の方でもアカデミックイヤー(9ヶ月)で73,300ドルの費用が
かかります。ほとんどの方は夏休みの間も滞在することになりますから、
年間の費用は8万ドルを超えることになります。
奨学金もないことはありませんが、数は非常に限られています。
2年間でおよそ2000万円というのは
あながち間違っていない話になりますね。
http://www.hbs.edu/mba/admissions/costsummary.html

●2のケース:PhD in Physics, Harvard Unviersity

ここでは、全員が授業料・保険料を免除され、
年1000ドルの出張費もでるそうです。
さらに、生活費が年20,000ドルほどもらえます。
夏にもちょっとした仕事を貰えれば更に収入は増えることになります。
ボストンは物価がたかくて貯金は無理かも知れませんが、
例えば、もう少し田舎だったら・・・。
授業料は免除の上、生活費ももらえて私は黒字でした、
というのも、十分ありうる話です。
http://www.physics.harvard.edu/academics/grad/admissions.html

●3のケース:PhD in English, University of Maryland

流石に運用資産が300億ドルに迫るハーバード大が、
ホームページにはっきりと「この学科にはお金を出せません」
と書くのはプライドが許さないと思われます。
そこで、一番お金にならなそうな英文学科をググって
一番最初に出た大学を調べました。以下引用です。

"All applicants to both the MA and PhD programs are
automatically considered for financial aid,
which is awarded solely on the basis of academic merit."

学生に出すお金が限られてることの苦悩がこの一文に
滲み出ているように私には思えます。
http://www.english.umd.edu/programs/Graduate/faq.html


もしあなたが米国の大学院に留学したいと考えるなら、
希望する学科は1,2,3のどれに当てはまるのか?
金銭的にはそれが重要です。


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テーマ : 留学・留学生
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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