案外寂しがりな米国人大学生のアパート選び -- このエントリーを含むはてなブックマーク

多くの学生が下宿生活をする米国の大学街では、夏は引っ越しのシーズンである。私が住んでいるのはアメリカの典型的な大学街だが、アパートの相場はよくある2LDKでおおよそ700~1000ドルくらいである。しかし、今日、ネットサーフィンをしていたところ4LDKで4200ドルという破格に高い新築アパートを見つけてしまった。しかも、場所はキャンパスのすぐ近くでリッチなビジネスマンが住むのに便利な場所ではない。一階には学生向けの飲食店が入居する予定で、夜は周辺で酔っ払った学生で賑うことが必定であり、お世辞にも住環境は良くない。

誰が借りるのだろうか?とホームページを良く見たら、どうやら学部生のルームシェアを呼び込もうとしているようだ。しかも、驚くべきことに「物件によっては一つのベッドルームを2人でシェアすれば一人当たり480ドル」と書いてある。ベットルームの広さはせいぜい7畳程度である。それを二人でシェア、バス兼トイレを最大4人でシェア、キッチンとリビングを最大8人でシェアすることになる。しかも、480ドルといえば古めの1Kの物件がそこそこ便利な場所に借りられてしまう値段だ。

日本人でそんな条件でルームシェアをする人はよほど変わっているだろう。しかし、米国人の学部生は、見た目が豪華で、夜中まで飲み歩いてもすぐに帰れるアパートに、たくさんの友達と一緒に生活するのを好むらしい。友人から、「米国人は過保護に育てられるので、大学に入って親元を離れるのがうれしい反面、一人で生きて行くのは不安なのだ」とも聞いた。よく考えると、彼らは料理もほとんどしないので、キッチンではピザをチンできれば十分だし、冷蔵庫にはビールとコーラが入れば問題ない。

私が子供の頃、米国は子供を個人主義に育てると教えられた。しかし、現在の日米の若者気質を比べるとそれはむしろ逆のように思えるし、もしかすると元から作られた幻想だったのかも知れない。


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

今年後半にも第2次アジア危機到来か? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

原油高の影響が世界中に広がっている。現在の物価に換算しても第二次石油ショックの最高値は105ドル程度だと聞くから、現在の状況は、まさに第三次オイルショックと言ってよいだろう。そんなわけで、今回のオイルショックが過去の2回と異なる点について、自分なりに考えてみる。

第一に気付くのは、各国に与える相対的なインパクトが異なるという点である。特に第一次石油ショックにおいて、最も影響を受けたのは石油の輸入依存度が高い先進国(日本や欧州)であった。米国は石油を自給できていたし、発展途上国は、工業化が進展しておらず農業中心の経済であったことから、影響が相対的に軽微であった。石油高騰のあおりを受けて先進国では経済成長が鈍化した一方、発展途上国はショック後に高成長を維持した。また、農産物価格の高騰は現在ほど見られなかったため、この点でも発展途上国には好材料であった。現在、この状況は正反対になっている。先進国では、サービス産業の比重が大きくなって原油価格による影響が小さくなる半面、多くの途上国(中国、インド、ベトナム等)の工業化が進み、原油価格の経済へのインパクトは非常に大きくなっている。農産物価格も急騰しており、途上国にはダブルパンチになっている。その結果、インドのインフレは年率11%超、ベトナムは25%超となっている。第三次石油ショックの後に起こるものは、途上国の経済成長の鈍化であり、所得の収束のスピード鈍化であろうと想像できる。

第二に気付くのは、金融市場の影響力が格段に増している点である。過去のオイルショックが産油国主導なのに対し、特に昨年以降起こっていることは、商品先物市場に流入する投機資金の影響が非常に大きい。そして、途上国の発展に関しても、流動性の高い投機資金の流入が大きなファクタとなっている。

こうして見ていくと、今回のオイルショックはまず、発展途上国に危機をもたらす可能性が非常に高い。まず、インフレ高進から金利引き上げが起こり、そこから一気に資本流出による危機が起こるという経路をたどる可能性が高いように思う。現在の一次産品の価格高騰を見ると、早ければ今年後半、遅くとも来年中には、途上国のいずれかでこうした危機が起こり、他国へ伝播していく可能性はかなり高い。一旦そうなれば、先進国の金融システムも大きな影響を受けるだろうが、米国はIMFなどを通じて途上国への影響力を強めることができ、相対的なプレゼンスの大きさを維持することができるだろう。

楽観的なシナリオとして、(1)各国が一次産品の価格抑制のための市場規制を強化してインフレの抑制に成功するシナリオ、(2)化石燃料の高騰が途上国の経済成長を抑え燃料価格がソフトランディングするというシナリオ、の2つが上げられるが、近年の金融市場を取り巻く状況を見ると、その可能性はあまり高くないように思えてしまう。

私は、米国やEUがわざわざアジア危機をもう一度起こそうとしているとは思わないが、少なくとも昨今の化石燃料の高騰は米国やEUの相対的な経済力の維持にプラスであるという面は否定できない。アジア危機の際もヘッジファンドの存在感が非常に大きかったが、今回、米国は金融関連の規制や産油国へのプレッシャーの大きさを巧みに操りながら、途上国の経済成長に大きなプレッシャーをかけているのではないか。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

飛行機の燃料費の謎 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

近年、飛行機の燃油サーチャージが高いのが話題になっている。例えば、日系航空会社の成田-北米路線だと、7月以降はサーチャージだけで往復56,000円もかかるようだ。つい4~5年前なら閑散期の航空券が買えてしまった値段である。日本国内では旅行会社のパンフレットなどでサーチャージの額がはっきりと書かれていないこともあって、客と旅行会社の間でトラブルが絶えないらしい。突き詰めれば、不明朗な料金体系を強いられている原因は事前に運賃を確定させない航空会社側にあるわけだが、消費者側の立場としては、当然料金の総額を表示してもらう権利があるだろう。実際、ようやく10月からは総額表示になるらしい。

しかし、私が持った疑問は「本当に、燃料費がそんなにかかってるの?便乗値上げじゃないの?」という点である。大雑把に言って総額の約半分がサーチャージになるということは、(ベースの料金も一部は燃料費なので)燃料費が運賃の半分を優に超えていることだ。人件費や空港使用料、機体のリース料だって馬鹿にならないはずなのに、本当に燃料費だけでそんなにかかっているのだろうか。

早速、米国の代表路線の一つである成田-シカゴ間で計算してみた。機体はボーイング747とすると、1時間当たりの燃費は約4,000ガロンらしい(出所:JAL)。この路線の飛行時間は往復で24時間10分だから、燃料は約97,000ガロン。燃料の値段はよく分からないが、ジェット燃料は灯油とほぼ同じ性質なので、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のHeating Oil の価格を参照すると、直近の価格は1ガロン当たり約3.77ドル。したがって、燃費は総額で360,000ドル。B747の定員を467名、搭乗率を80%とすると、客一人当たりの燃費はなんと975ドル!もかかっていることになる。便乗値上げどころか、現状の運賃を続ければ、航空会社はおそらく赤字になってしまうだろう。航空会社はどうやって費用を捻出しているのか謎だが、おそらく燃料の先渡取引などのために費用の増加が若干のタイムラグをもって効いてくる、というのが理由ではないかと私は勝手に想像している。いずれにしても、原油価格が現状で推移すれば、近い将来、閑散期でも航空運賃は1,500ドルに迫り、繁忙期は2,000ドルを超えるだろう。

お金がかかるのでここ2年ほど日本に帰っていないが、ますます、日本に里帰りす気がしなくなる今日この頃である。


クレジットカードの利用が増加傾向(米国) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

米国と言えば、クレジットカード社会である。昔は米国内で買い物をすると、"cash or check?" と聞かれたそうであるが、今は"credit or debit?"である。

昨今は、食料品やガソリンが値上がりする一方、米国人が頼みの綱にしている不動産の含み益が地価の下落で吹き飛んでしまったので、人々は生活水準を維持するためにどんどんクレジットカードを使うようになっているらしい。延滞率も上がっていて5%近くになっている。これは日本の消費者金融に近い水準だ、と言えば少しイメージが掴みやすいだろうか。実際のところ、米国人は消費者金融会社ではなく主にクレジットカードで借金をしている。現にカードを発行する会社自体がconsumer finance company と呼ばれていて、日本にあるようなカード会社と消費者金融の区別がない。クレジットカードで買えないものは少ないし、カード会社からは、借金をするための小切手帳が、これでもかというくらい頻繁に届く。カードの明細書も引き落としは、今や全部オンラインでできるのに、この「借金用小切手帳」だけは何故か郵便で届く(笑)。

聞いた話では、一部のアメリカ人は限度額1000ドルのカードの審査に通ると、1000ドルの現金をもらったのと同じくらい喜ぶという。彼らにストックという概念はないらしい。

そんな中、ビザやマスターカード等の株が株式市場で人気らしい。貸し倒れが増えても損をするのはカードを発行している銀行やカード会社等で、ブランドを提供するビザやマスターは、カードの決済が増える分だけ収益が増えるという。

サブプライムが問題になるなか、クレジットカードの貸し倒れ問題は表面化していないが、実際は表裏一体の問題である。米国の金融機関にとって新たなる火種となる可能性も大きい。



テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

仕事の作業時間は作業人数に比例する -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私がやっている統計学は学問的には数学に近いので割と一人で進めるという側面が強いのだが、学問を離れて実際のデータを扱うときは共同で研究をすることも多いし、私はコンサルティングでお医者さんが論文を書くときの分析を手伝っているのでこれも共同作業になる。

実際にやったことのない人に分かりにくいと思うのだが、他の人の意見を取り入れながら分析を進める場合、目的が同じでも一人でやるよりもずっと時間がかかる。アイデアがたくさん出るから色々と分析しなければならないという面もあるが、いろいろと試してみた結果を全て明示的にフィードバックしながら進めなければならないことが大きな負担になる。再計算などの機会も増えるので、プログラミングのコードもきちんと作りこんで作業を自動化しておく必要が出てくる。これは共同で作業する人が、自分より博識でアドバイスをくれるような場合も、ズブの素人で説明や意思疎通に時間がかかる場合も、実はあまり変わらない。

最近、経験則として気付いたのだが、分析の作業時間は、共同作業をする人数にほぼ比例する。例えば、クライアントと1対1で分析すると、自分一人で全てやる場合の約2倍の時間がかかる。自分かクライアントにアドバイザー等が付いて3人になると、約3倍になる。両方についていれば合計4人で4倍になる。もちろん、立場の近い人がたくさんいる場合は人数に比例して増えるわけではないが、逆に意見が対立するような場合はそれ以上にもなりうる。

もちろん、みんなで相談することで分析の質はある程度向上するので、必ずしも悪いことではないのだが、管理職の立場からは、この経験則にはよく注意すべきである。古典的には、作業の量は作業人数に反比例するし、作業人数が変わらなければ作業時間は一定のはず。それが、実際、どんどん増えてしまうのだから。

研究者のAさんと共同研究する新人のB君は分析の経験が足りないから、アドバイザーとしてC係長をつけて、最後にD課長にチェックしてもらうとしよう、とE部長が考えるとしたら要注意である。


テーマ : 仕事日記
ジャンル : 就職・お仕事

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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