神経衰弱(トランプ) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

最近、娘はトランプが好きで、
毎日、二人でババ抜きと神経衰弱をやっている。

覚えてから2週間弱になるが、
いままではババ抜きの方が好きだった。
しかし昨日、初めて娘が勝ってから
俄然神経衰弱の方が好きになったらしい。

神経衰弱で使うのは、
使用するカードはハートとダイヤ全部に
ジョーカー1枚を加えた27枚。
各手番で開けられるのは2枚だけで
同じ数字の札を揃えたとしても
続けてはプレーできないルールだ。
ジョーカーは最後に残るが、
これは最後の手番をトリビアルにしない工夫だ。

「ゲームは本気」が私の信条なので
3歳児相手だからといって手加減はしない(笑)。
そもそも本気でないなら、やらない方がいい。

本日の成績は…
娘___私
○7-6●
●6-7○
○8-5●
●5-8○
●5-8○
●4-9○
●4-9○
●5-8○
○8-5●
―――――
3勝-―-6勝

1勝2敗となり真剣さを増した私が
大人気なく5連勝して面目を保ったが
実力はかなり伯仲してきた。

収穫は、6戦目の出だしで
私が4連続でカードを取ったところ、
娘が泣き出したことだ。
これまで娘は余り負けず嫌いだと
思わなかったのだが本気になったらしい。
ゲームが強くなる子というのは
負けると悔し泣きするものだ。

娘を抱きしめながら、
「泣いてたらカードの場所を忘れて勝てなくなっちゃうよ。」
と、これまた大人気ないアドバイスをした。
泣き止んだ直後に娘はジャックを2枚揃えた。

来月は満を持してオセロを投入する。
娘の成長が楽しみな今日この頃だ。



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テーマ : 育児日記
ジャンル : 育児

購買力平価(PPP) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

最近、ちょっとわけあって為替レート関連のことを調べている。

購買力平価というといつもOECDのデータを見ていたのだけど
国連も購買力平価の時系列を出しているようだ(ココを参照)。
データは2年遅れみたいなのだが一覧性が高いのでちょっと見るには良い。

国連の米ドルを基準とした日本円の購買力平価をみると、
2007年時点で134.34円となっている。

一方OECDの方は、
GDPベース、民間消費ベース、個人消費ベース
と3種類の購買力平価を出している。
購買力平価は、どんな財・サービスのバスケットを使用するかで
値が大きく変わりうるからだろう。それぞれのPPPは、
GDPベースで、120.14円
民間消費ベースで、134.34円
個人消費ベースで、121.03円
となっている。
どうやら国連の推計とOECDの民間消費ベースは同じらしい。

こうした総生産やそれに近いものをベースとしたものは
市場実勢と比べてかなり円安の状態にあることが多い。
円高、円高と常に叫ばれるなかで、日本の貿易収支は
季節要因を除くと一貫して黒字だ。

日本の、財団法人・国際通貨研究所が算出している
輸出物価ベースの購買力平価によると、
PPPの水準は直近で75.32円らしい。
もっともこの相場は、特定の時点(1990年)を起点として
インフレ率で接続したものなので絶対的な水準にはあまり
大きな意味がないとも言える。

歴史的には、輸出物価ベースのPPPは
市場の為替レートの下値支持線として機能しており、
市場のレートがこのPPPを大きく下回って円高になると
反転して円安に戻ることが多い。
現在の状況では、1ドル=70円を割り込むと
円高が過熱気味ということになりそうだ。

時系列解析の視点からは、
市場取引レートとPPPの誤差が一定以下、
少なくとも誤差の分布のモーメントが一定以下
にならないと定常時系列の枠組みで処理する事は難しくなる。


市場取引レートと輸出物価ベースPPPの乖離は
一定以下なのだろうか?
ずいぶん強い仮説のように思えてならない。



日本の失業率はなぜ下がるのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本の失業率が下がりはじめているようだ。
昨年1-3月から直近までで
GDPは6.7%も下がっているわけで
失業率の上昇がこの程度で頭うちになるのは
アメリカ等の常識から考えると異常である。

いや、日本人の常識を持ってしても、
つい2ヶ月前の雑誌には失業率の6%超えは必至だ、
とあちこちに書いてある。

失業率というのは求職を諦める人が増えると下がって
しまったりする非常に解りにくい指標なので、
アメリカの代表的な指標(非農業部門雇用者数)に近い
季節調整済み雇用者数の増減を見てみよう。
すると、やはり今年の7月以降、雇用の回復が鮮明だ
(ただし、直近の10月は減っている)。
雇用者数増減

これは政府が、
雇用調整助成金とかをばらまく代わりに、
「解雇するなよ」と企業に雇用を押し付けて
いるのが理由だろう。
そんなことをやっているからいつまでも
経済の構造転換が進まなくてダメだめなんだ、
というのが最近のまともな人の論調なのだが
見方によっては政府のやっていることも分からなくもない。

2000年以降、家計部門の貯蓄率は大幅に低下したのに
企業部門の貯蓄率は大幅に上昇した
(推移は、このあたりのブログを参照)。
これにはいろんな理由があるが、
企業が低成長下の雇用のリスクに敏感になって
貯蓄率を上げたのも一因だろう。
そして案の定、今回も不況時には企業の負担で
雇用を維持しているのである。

2002年以降の景気回復から
今回の景気後退で見える事は、
雇用制度に関して企業の期待も政府の期待も
昔ながらの日本と全然変わっていないということだ。

日本の雇用の流動化は
想像以上に長い年月を必要とするかも知れない。





テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

大学提供のウェブのシステムは外注すべき -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ここ数年、
大学が提供するメールシステムやウェブのシステムなどに
ちょっといらいらしている。

例えば、WS大では各授業のシラバスや配布資料を載せるために
Blackboard という汎用のソフトウェアを導入して、
ウェブ自体は大学が管理しているのだけど、
学期のはじめなど混んでいる時期だと正常に機能しない。
また、通常時も無線LANを経由だと一部の機能だけが正しく動作しない。
メールシステムも時折、停止する。
数時間とかではなく、ひどい時は4~5日間にわたって
断続的に調子が悪かったりする。
これはW大M校にいたときもそうだった。

経費をきちんと見た事はないが、
こういうシステムの管理にはかなりの設備投資や人件費が
かかっているはずだ。
大学は財政難だし、巷ではクラウドとか言われてる
時代なのに何故、外注にできないのだろうか。

日本の大学ではどうなっているのか知らないけど、
これでも大学職員のブログなどを見ると
結構な大学でGmailやYahoo Mail などが
導入されているらしい。

反対の人達は、自腹で自前のメールシステムを維持して
欲しいものだ。




テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

数学科のGrant Proposal って... -- このエントリーを含むはてなブックマーク

恥ずかしながら私は自分でグラントに応募したことがまだない。

グラントを持っていないWS大の新しい専任教員は、
手始めに学内のグラントに応募することで練習を積む仕組みに
なっている。ただ、このグラントも取るのはそんなに簡単では
なくて倍率はおそらく5~6倍くらいである。
当たると審査に通ると$10,000もらえるらしい。
宝くじみたいなので
金額が高いと余計に当たらない通らない気がしてしまう(笑)。
先輩のassistant professor は4年目くらいだけど
まだ取れていないと言っていた。

もっともWS大数学科全体で見ると
政府系のグラントをガンガン取ってきてる人なんかも結構いて
WS大も捨てたもんじゃないなと妙に誇らしかったりする。

それで先週からそれを一生懸命書いているのだけど、
どうも満足感がない。数学の研究は別に設備が必要な
わけでもないから大してお金がかからない。
もちろん出張したりすれば
ある程度のお金はかかるかも知れないが、
たかが知れている。
理論分野は良い論文に賞金を
出す制度に変えればいいのに

などと思ってしまう。

まあ、そんなわけでブツブツいいながら
ドラフトを書いている。




テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

日本のアドバンテージは低賃金であるという説 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

最近、中国やインドが伸びているのは、
所得格差がグローバリゼーションに
よって埋まっている最中だから、
という説明に特に疑念はない。

だから、日本は高付加価値の商品開発とか、
知識集約型の産業に集中しなきゃいけない
という意見もよく分かる。

それでは、なぜ知識集約型の産業は日本に
アドバンテージがあるのだろうか。
確かに、日本企業が持っている組織のリサーチ力とか
カイゼンのノウハウというのは素晴らしいと思う。
しかし、もし海外の技術者の賃金が日本よりも安いのであれば、
それこそ中国やインドに大きな研究所を作って
そそこで研究者をたくさん雇ってそのノウハウを使えばいい。

そういう流れがそれほど大きくならないのは
単に日本人技術者の給料が安いからだと思う。

少し詳しく説明しよう。
中国やインドのほとんどの職種の賃金は日本より安い。
その結果、一番生産性の高い優秀な層は、
アメリカの大学院に留学して学位を取る。
そのうちの多くはアメリカに就職し
一部は母国に帰って仕事に就く。
いずれにしても、最優秀層は米国と母国の待遇を
比較して仕事を選べるので賃金に裁定が働く。
(アメリカのエンジニアの賃金についてはLilacさんの記事を参照)
もちろん物価水準は違うので賃金も多少異なるが
人やお金の移動が自由である以上、
名目為替レートでも十分な裁定が働く。
少なくとも、新卒PhDで5~10万ドル程度の年俸を
提示しなければ研究・開発部門で使える
まともな人材を取る事は難しいだろう。

その結果、研究・開発などの仕事につけるレベルの人材は、
インド人や中国人よりも日本人の方が賃金が安い
のではないかと思う。

日本は、そうした人材を日本で安価で大量に採用し
文字通り昼夜を問わず研究・開発を進める。
どうりで日本企業の研究開発力は素晴らしいわけだ。

「日本は知識集約型の産業に転換を」
なんて言うと格好よく聞こえるが、
一歩間違えれば、
「頭脳労働者でも低賃金な日本」
になりかねない点には注意が必要だ。




テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

大きい数字は小さい -- このエントリーを含むはてなブックマーク

貧乏な私の家では、
まだ3歳半の娘がスーパーのちらしを見て
妻に、「これ、安いから買おうよ。」
とか言っている。

よく考えたら、
まだ価格の概念をきちんと理解していないので
安いかどうかなんて判断できないはずなのだが、
妻によると、
大きい字で書いてあるのは安売りだ、
ということだけ知っていて、
それを根拠に安いと言っているらしい。

そういえば高い宝石の値札とかって
異様に小さいよな。。。





テーマ : 算数・数学の学習
ジャンル : 学校・教育

海外流出ってえらいの? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

城さんのブログの「海外脱出する覚悟」で知ったのだが
若者の海外流出が話題になっているらしい。

え?そうなの?と思ってリンク先を見たら
「若者の海外流出が話題に」なんて話が地味に記事になっている。

確かに自分は実際に海外で働いているので
どういう経緯でそうなったのかを
誰かの参考になればと願いながら、
書いておきたいと思う。

まず、私には別に海外で働きたいという意思は全くない。

アメリカで働きたい、と言ってアメリカに来る日本人が
たくさんいるのは知っているが、私は共感できない。
(もちろん、日本とアメリカでは社会の仕組みが違うので、
アメリカの方がやりやすいという性格の人がいるのは解る。)

では何故海外で働くことになったのか。
そのイメージは、一言で言い表すと裁定取引だ。
自分は小さな投資家で、生活のために
東京で買ったベンチャー企業を売らなければいけない。
東京市場はリスク回避的で良い買い手が現れないので、
仕方なく、アメリカ、イギリス、香港、シンガポール、カナダ
でセールストークをしてみたら、たまたまアメリカで
買い手が付いたのですぐに売った。

一人の人間なんて世界の中では小さな粒子にすぎず
粒子自体にある程度の特徴はあっても、
結局自然の摂理に従って運動するだけだ。


私は、仕事で経済予測みたいなことをやったことがあったので
日本やアメリカの将来のことを考える事もよくあるが、
それでも自分の将来を決める上で勤務地は大した要素ではない。
そもそもマクロの経済と自分の置かれる状況は一致しないので
あまり参考にもならないと思う。
私の場合には、純粋にどの仕事をやってみたいかが
意思決定のほとんどの部分を占めている。

そんなわけで、
海外脱出する覚悟やビジョンなんて全然必要ないし、
意味があるわけでもないし、
誰もそんなものを持っていなくても
国が相対的に貧しくなれば
自然と流出する人は増えるだろう。

個人的には日本からの流出はこれから増えると思うが
数十年で国が傾くほどにはならないと思う。
優秀な学生がゴールドマン・サックスに流れても
三菱UFJ銀行も巨額の業務純益を維持している
のと似たような構図と言ってよい。

少し抽象的で分かりにくいだろうか。
就職面接の時の応答を二つほど再現してみる。


質問1:
「あなたはアメリカで働きたいのか?それとも日本の方がいいか?」
(米企業の日本人面接官)
回答1:
「仕事内容で選ぶ。労働条件が全く同じなら日本の方がいいが
同じになる事はないので勤務地はあまり関係ない。」

質問2:「日本人のあなたが何故、香港で働こうと思ったのか?」
(香港の大学の香港人面接官)
回答2:
「香港は金融の中心であり地理的には研究上のメリットは大きい。
確かに英語より日本語で仕事が出来た方がいいが、語学のデメリット
は時間と共に減少するので主要な問題とは考えていない。」

面接官が額面通り受け取ってくれたかどうか定かではないが
私は額面通り答えただけだ。




テーマ : 就活
ジャンル : 就職・お仕事

全米犯罪率ランキング - デト口イトはNo.1ではない -- このエントリーを含むはてなブックマーク

CQ Press という出版社が、FBIのデータを元に
全米の人口75,000人以上の都市の犯罪率をランキングしている。

masayang氏のブログで知ったのだが今年のランキングが出たらしい。
デトロイト市は、393都市中で4位、昨年の3位から一つ改善した。
Oakland, CA および、St. Louis, MO と逆転したらしい。
デトロイトより危険ってどんだけ~、と思ってしまう。
ちなみにアパートを借りているト口イ市は356位でかなり安全だ。
他にもデトロイト郊外には結構、安全な街が多い。
危ない人たちをダウンタウンに残してきたのだから
当然と言えば当然といえる。

それにしても、
官庁統計を元にデータを加工しただけで
高い値段で売ってる
ってどんだけ商売しやすい国なんだ、
アメリカは。


統計のフェア・ユースの考え方が広まっているアメリカでは
利用可能な統計の範囲が日本に比べて格段に広い。
もうちょっと言うと、日本が異様に厳しいだけで、
アジアなどはアメリカよりユルユルな方が普通らしい。
自分も、その辺に落ちているデータで一儲けしてみたいものだ。





テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

オンラインバンク・冬の時代 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

店舗を持たないオンラインの銀行は
一般銀行に比べ高いオペレーションコストを
抑えられるので預金者に高金利を払うことができる。
金利が正常な水準な時には、銀行間の翌日物金利
(アメリカならFF rate より若干低い金利)
を払うことが多かった。
銀行は、翌日までの資金であれば市場からほぼ
FF金利で調達することができるので、
これよりやや低い金利で預金を調達するのは
理にかなっているように見える。

しかし、金利が極端に下がった昨今では
オンラインバンクは市場金利より高い金利を
預金者に払っている。

現在、FF金利は0.13%前後だが、
Bankrate.com によるとオンラインバンクの
普通預金(Savings Account)の金利を見てみると、

Bank of Internet USA: 1.70 APY (*1)
Capital One Direct: 1.70 APY
WTDirect: 1.50 APY
HSBC Direct: 1.35 APY
ING Direct: 1.30 APY
等となっている。

これらは比較的大きな銀行だし
破綻リスクが高いわけではない。
しかも、銀行預金には現在25万ドルまで預金保険がつく。
信用リスクで金利が上がっているわけではない。
信用度の低い銀行が、より高い金利を提示している
という傾向もあまり見られない。

似た現象は日本でも見られる。
特にオンラインバンクの創業期の2000年代初頭
にはこうした現象が顕著で、それが重荷となって
オンラインバンクは長らく赤字であった。

これに対する一つの説明は、
金利が上がった時に備えているようというものだ。

銀行の預金残高は普通預金であっても
全体としてみればそれほど大きく
変動するわけではないので
金利が高くなった時に得られる利鞘を見越して
超低金利下でも高めの金利を設定する。

普通預金は契約上は短期資金だが、
統計的には長期資金とみなすことができる。
そして金利は通常の長期資金より低い。


もちろん、銀行が調達難に直面している
という面もないわけではない。
銀行は住宅ローンや企業貸付など長期で
資金を調達しているが、満期の遠い調達資金には
銀行と言えども大きなプレミアムがつく。
貸出は急には減らせないので、
預金の方もある程度のコストを払ってでも
維持する必要が出てくる。

現在のアメリカの銀行の利鞘
(FFレートとプライム貸出レートのスプレッド)
は約3%あるので、
預金者に1%台半ばの金利を払っても、
直ちに逆ザヤになるわけではない。

オンラインバンキングの預金というのは
クリック一つで簡単に動かせるので
銀行が長期的な戦略で金利を上げている
というのはいまひとつしっくりこない面も
あるのだが、日米の異なる経済環境で
同様の現象が観察されていることを見れば
それなりに合理的な理由があるのだろう。

ちなみに、オンラインバンキングはSSNを
持っていないと開設できないことが多い。
オンラインだけでの手続きになるので
資金洗浄関係のリスクに敏感なのだろう。
また、先日、日本の銀行からアメリカの
某オンラインバンクの自分の口座に送金をかけたら、
受け取り拒否で戻ってきてしまった。
オンラインバンクは、
あくまでも貯蓄用の2番目の口座として使うのが
賢明なようだ。




テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

ミシガンの失業率が15.1%に低下 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今日は、アメリカの州毎の失業率のデータが公表された。

全米の10月の失業率は10.2%(前月比+0.4%ポイント)
となって16年ぶりに10%を超えたが、ミシガン州の失業率
15.1%と、どうやらこのところ横ばいからやや低下になって
来た模様。デトロイト圏の失業率は、前月のデータだが17.3%で
ミシガン平均よりも2%ポイントほど悪い。

自動車販売が落ち着いてきたことが理由だろう。アメリカの
自動車販売は金融危機後の信用収縮で年間1600-1700万台ペース
だったのが年間900-1000万台ペースまでものすごい勢いで縮小した。
しかし、自動車の耐用年数はせいぜい10数年だし、車を使う人数
は大して減っていない。年間1200万台半ばくらいまでは
結構簡単に回復するんじゃないかと勝手に思っている。

ところで、
日本は金融危機で景気は悪くなったけど
信用収縮は大してなかったはず。
なのに自動車販売があんなに減少した理由がよく分からない。
日本に住んでいたら感覚で分かったのだろうか?
説明できる方がいたら、教えていただきたい。
(個人的には、日本人には元々車が必要ない人が多くて
景気が悪くなったので、そういう無駄なところを削る人が
一気に増えました、というストーリーだと思っている。)

話はそれるが、通勤用のスバルを整備に出さなければ。
今回は、最初からディーラーに行こうと思う(笑)。

怪しい自動車修理工場に行くと →1日目2日目3日目




テーマ : アメリカ生活
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人間は確率を感覚で理解できるか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

よくある素朴な確率に関する疑問として、
「なんで、期待値が小さくてリスクが大きい
宝くじをみんな買うのだろうか?」

というのがある。

経済学をやっている人などは、
これに対して色々な説明を考え出す。
「横軸に利得、縦軸に効用をとると
効用関数は逆S次カーブをしており、
非常に大きな利得の効用が大きくなっている」

とか、
「いや、大きな利得によって可能になる
意思決定(会社を辞める等)の効用が
非常に大きいので効用関数が不連続なのだ」
とか説明する。

なんとなく尤もらしく聞こえるのだが、
どうも納得がいかない。一番大きな理由は、
人々はそんなに小さな確率をきちんと
評価できるわけがない、という直感だ。

脳が多層パーセプロトロンでできているとして
百万分の一単位の確率を2~3倍の誤差(*1)で
正確に判定できるように学習させられる
とはとても思えない。

(*1) 3倍の誤差があれば、宝くじを
買うかどうかは正しく判断できない。

脳を確率的に学習させる有力な手段は
ポーカーやマージャンだろうが、
子供の頃トランプが好きだった自分でも
フラッシュ(1/509)がストレート(1/255)より
難しいのが、なんとか分かる程度だ。
それも、強いハンドの方が確率が低い
ということを知らされていたので
先入観のせいかも知れない。

もっと、極端な例を出そう。
私は子供の頃、4人家族だった。
お風呂に入ると毎日シャンプーや石鹸が
減っていくが、他の人がたくさん使っている
のだろうくらいに思って気に留めていなかった。
それが、一人で暮らしてみると、
それが思いのほか早く減っていくのに少し驚いた。
数学をやっていた学生が、高々4分の1程度
の確率も正確に認識できていなかったということになる。
確率を直感で比較する事は比較的易しいが、
確率の水準自体を直感で認識するのは極めて難しい。

公平なサイコロを振った時
1の目が出る確率はもちろん6分の1だが、
よく考えてみると私は
これを直感で認識できていないと思う。

数と論理を使って確率を計算したから
6分の1だと分かるだけだ。

結局、正しい確率的な判断をするには
きちんと数学を使って理解することが必要で
数学を使わない確率的な判断の信頼性などというのは
サルと変わらないレベルなのだろう。




テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

アメリカの大学生は試験前にインフルになる -- このエントリーを含むはてなブックマーク

統計の入門クラスの2回目の中間試験が終了。

うちの大学には、
インフルエンザに罹った場合は診断書なしに
授業や試験を休む権利があるというおバカなルール

が存在するので季節に関わらずインフルエンザが大流行である。

試験をやっている部屋まで来て、
「昨日までインフルエンザに罹っていたので追試を受けさせてくれ」

と言ってきた学生には流石に苦笑した。
講師が一番気を使うのは公平性なのに、
試験会場で堂々とそんなことを言う奴は試験以前に
社会で成功する見込みがない。

試験内容だが、統計の入門コースの試験というのは
問題の作り方に悩む。「95%信頼区間を求めよ」なんて問題は
公式に値を代入すれば、中学生でも計算可能なので意味が無い。
そこを何とか意味を理解していないと解けない問題を作る。

一つは、○×問題だ。これはちゃんと理解していないと解けない。
100点満点のうち44点を○×にした。分からない問題は
スキップすれば点数が半分もらえるようにしてある。
それでも配点が大きいのでみんな必死に解く。

もう一つは、穴埋めだ。中心極限定理を理解していないと
流れが把握しにくい穴埋めを出題した。
ただ、穴埋め問題というのは作題者と回答者の意思疎通が難しいので、
思うように実力を試せないことが多いように思う。

計算問題は、信頼区間をわざと96%とかにして
自分で一から計算せざるを得ないようにしておく。
ついでに、「独立な3つの標本を使って96%信頼区間を
3つ求めた時、3つの信頼区間全部が真のパラメータを
含む確率は?」みたいに、信頼区間の定義を理解して
いないと解けない問題も用意する。

基礎的な問題が解けない学生も結構いるので、
結果はボロボロで平均点は50点だった。
(注:全部白紙で出しても○×の分があるので22点になる。)
しかし、前にも書いたがWS大はほとんどの学生が
交通の便を理由に入ってくるので、できる学生はちゃんといる。
偏差値で輪切りの大学もつまらないが、
このバラツキの大きさはなんとかならないものか。

ちなみに試験問題のTeX ソースファイルは、
こちら
(自前のマクロは除いたので普通にお手元のパソコンでコンパイルできるはず)




テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

取引コストと最適な取引戦略(応用数学セミナー) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今日の応用数学セミナーのスピーカーは
ミシガン大の Qingshuo Song 氏で、タイトルは
"Existence of Optimal Impulse Control
on Portfolio Optimization with Transaction Cost."

連続時間のモデルなので、詳細は分からないのだが、
要は金融市場のの transaction cost の話で、
z を金融資産の取引量(任意の実数)としたとき、
取引コスト c(z) が少なくともz=0の近傍で
subadditivity: c(z_1) + c(z_2) >= c(z_1+z_2)
を満たさないと有限時間内の最適なstrategyが、
無限回の取引になっちゃうよ、というお話だった
(直感的には、そりゃそうだろ、という感じがする)。

feeのような限定された意味での取引コストの場合は
zが大きくなるにつれ取引単価あたりのコスト c(z)/z が
減少していくが、大きな取引の場合には、
より高い asking price を受け入れなければいけないので
c(z)/z はむしろ増加していく。
こうした現象を、liquidity cost と呼ぶ。
c(z) を exp(z) で表すことがよく行われるようだ。

金融市場では、価格、取引量、取引間隔といった
あらゆるものが離散であるにも関わらず
モデルのほうは連続であることが多いから
連続と離散のギャップを埋めるのは重要な作業だと思う。

ちなみに、Song氏は、WS大のPhDを取って、
U of South Carifornia、ミシガン大と移って
来年から、City University of Hong Kong に移るそうだ。

私も今年初めに香港の大学(HKUST)にフライアウトに行った
(残念ながらオファーはもらえなかった)が、
香港の大学というのは分野よりも大学によって
かなり待遇が違ってくるらしい。
香港には確か8つの大学があり、
HKU, Chinese U of HK, HKUST の3つがトップレベルで
City U of HK はその次くらいだと思う。

香港は食事もおいしく、地下鉄も便利で良いところだった。
中国本土と違って日本を尊敬している人が多いので
日本人にとっては住みやすい所だと思う。
日本人の英語のアクセントも問題にならない。
弱点は、実は大卒でない一般庶民には英語が通じないということだ。
郊外の商店街やタクシーなどでは英語はほとんど通じない。
つい10数年前まで、学校の中学の授業が英語で行われていた
というのに、驚くべきことだ。



テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

アメリカの無線LAN環境 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

化石人間の自分が
インターネットに関して書くのは気が引けるのだが
約4年前に日本に一時帰国した際、戸惑ったのが
wifi を使える場所が少ないということだった。
そして朝日新聞によると、
とうとうネットカフェで本人確認義務化されるらしい。

アメリカだったら、
スタバ(Starbucks)、パネラ(Panera Bread)、
マリブ(Maribou) など多くの大手cafeチェーンで
本人確認無しに無料で簡単にwifiを使える。
学生も働いている人も大学/会社に行かない日は、
よくそういうところに行って
勉強をしたりネットサーフィンをしたりしている。
大学のwifiはIDを使ったログインが必要なことが多いが、
W大M校の図書館内ではついに本人確認をやめた。

ネットカフェは犯罪の温床と言われるが、
犯罪大国のアメリカで何故問題がなく
日本ではなぜ問題なのだろう。

事情を知っている方、教えて下さい(笑)。



テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカのインフルエンザ予防接種-H1N1 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

いま家族3人で、H1N1型インフルエンザの予防接種を受けてきた。
今回は注射ではなくて、鼻にスプレーをするというものだった。

日本は良く知らないが、アメリカでは
通常のseasonal flu も H1N1 もワクチンが不足しているので
乳児とその母親、若年層、高齢者、病気持ちの人など
優先順位が決まっている。
しかし管理がずさんなせいか
簡単に全員分予約して接種を受けられた。
もっとも、運が良かった面もある。
大学の薬局で受けたのだが、
ワクチンが入荷後して職員全員にメールでお知らせが来る前に
偶然にも絶妙なタイミングで薬局に電話をしたらしい。

理由は詳しく分からないが、
子供は4週間空けて2回受けなければならないらしい。

seasonal flu のワクチンは、私と妻は受けたが子供だけ
受けていない。子供用は分量が少ない別の規格なのだが、
そちらの方が品不足になっているという。
これまた管理がずさんなせいで面倒なことになっているようだ。




テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

「野茂になれ」から「高橋でもいい」へ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

高橋尚成がFA宣言してメジャーを目指すらしい。
それほどメジャーから注目されていたわけではないので、
多少意外感を持って受け止めた向きもあるようだ。

しかし、
彼の実力が世界トップクラスではないとしても
夢を持って大リーグに挑戦するという姿勢は
素晴らしいと思う。

私は、
日本人がアメリカで働こうと思ったとき
まずお手本にするべきなのは野茂だ、
と前々から思っている。

日本人がアメリカに来るというと、
語学、文化の違い、住環境、コネ、成功例とか
そういう問題に気をとられがちだが
そうした問題は枝葉末節であって
要は自分自身が
明確な目的とセールスポイント
を持っているということが重要だ。

学界に目を向けてみれば、
日本が貧しかった戦後間もない頃は
日本からアメリカに優秀な頭脳がたくさん流出した。
数学者で言えば、
志村五郎、佐竹一郎、小平邦彦などがそうだろう。
もちろん近年でもアメリカに来る人は多くいる。

そうした世界で活躍できる日本人がいるのは誇らしいが
若干気になるのはアメリカに来る日本人の
裾野があまり広くない点だ。

海外には超一流の人以外にも日本人の居場所はあるし、
日本で労働条件が悪い業種では
外に出るメリットは結構ある。
それは、アカデミックであったり、
エンジニアリング関係だったり、
レストラン・ビジネスであったりする。
もしかしたら金融も間もなくそうなるかも知れない。

昔は国境の壁というのは厚かったが、
今では語学学習もどんどん手段が多様化して便利になっているし、
生活環境だって日本人にとって便利になっている。

朝永振一郎がプリンストン大にいたとき、
「米の飯を食わないと力が出ない」
と言っていたそうだが、
今やアメリカのかなり小さな都市でさえ
カリフォルニア産コシヒカリが簡単に手に入る。
日本の調味料はほとんど現地のスーパーで揃うし、
東アジア系の食材店に行けば、
たこ焼き、肉まん、カップラーメン、薄切り肉
といったものも簡単に手に入る。

住宅もそうだ。
私が学んだW大M校に日本人が来るようになったのは
1950年代のことで、初めは製薬会社の社員が
研究のために来たらしい。当時、
アジア人はお金があっても良いアパートには入れてもらえず、
移民や貧困層ばかりが住むカオスなアパートに住まざる
を得なかったそうだが、今では当然そんなことはない。

敷居は明らかに低くなった。

コストが小さくなる一方、
日本経済が停滞する中で
海外に出るメリットは大きくなっている。
これからは普通の日本人が
海外で働く時代ではないかと思う。

日本球界において高橋選手が
一流であることを断った上で
敢えて標語的に表現するなら、
これからは
「野茂になれ」、「高橋でもいい」
ということになると思う。








テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

試験の採点 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今学期2回目の中間試験終了。
出来が悪くて採点が楽だった。
2時間の試験だが、採点時間は37人分で
実質3~4時間くらいだろうか。
私は答案を画像として認識するので
採点はかなり早いほうだ。
少なくとも予備校で教えていた時はそうだった。

大体、採点というのは基準の擦りあわせが
必要なので多くの人数でやると
時間がかかることが多い。
一人でやるのが一番確実で効率が良い。
この手の基準の擦りあわせが必要な仕事は
会社でも時々あるので業務の配分には注意が必要だと思う。

ついでに
普段全く役に立たないスキルなのだが、
私は2~3桁の足し算が
他の人から見ると異常に早いらしい。
このスキルは試験の採点時のみに役に立つ。
昔、予備校で採点に借り出された時に
私が得点を計算しているのを見た人が
「えっ?!」とよく驚いていた。

若い時にそろばんなどで特殊な訓練を
受けた人は別なのかも知れないが、
一般人にとって
暗算には呼吸のタイミングが重要だ
暗算は一呼吸のうちに完結するようにする。
完結できない分量の場合は、
計算を小さなブロックわけて
各ブロックを一呼吸のうちに行う。
ブロックが小さい場合は、
一呼吸のうちに複数のブロックを終了しても良い。

うーん、この方法は数学を勉強する時にも
応用できないのだろうか?


まあ、そんなくだらないことを書いている間に
真面目に勉強した方がいいかも知れない。





テーマ : 算数・数学の学習
ジャンル : 学校・教育

米国企業は何故、博士を採用できるのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本企業は米国企業等に比べて博士の採用に非常に消極的である。
Rionさんがやっている「経済学101」にその話題が出ていたので、
日米の違いを考えてみる。

よく挙げられるのは、以下の2点だ。

- シグナリング効果の違い
- 終身雇用制と企業内教育

シグナリング効果の違いとは、簡単に言えば、アメリカでは学部に
入学するのは優しいが、大学院を卒業する事は相対的に難しいので、
博士号がポジティブ・シグナルになるということだ。

終身雇用と企業内教育とは、日本の大企業は終身雇用制に基づいて
企業内で人材を育成して研究・開発を行っているため、博士をあまり
積極的に採用する必要がないということである。逆に言えば、
大学は企業に人材を供給するという責務がなかったので、理論偏重の
人材育成に偏りがちであるという面もあるだろう。

しかし、日米の違いはこうした制度的な違いだけではない。
米国企業には圧倒的な人材の厚みがあり、
博士の応募者の能力を測るだけの体制が整っているのだ。

私が、アメリカの商業銀行の面接を受けた時には、責任者と思われる
面接官のほかに統計のPhDを持った職員が2人いて、私が書いたペーパー
の理論的なバックグラウンドとか、今までに推定したことのあるモデル
の種類とかいった、非常に細かいこと部分まで質問してきて、
責任者もその会話を観察していた。

別のIT企業の面接に言ったときには、博論の極めて理論的な
研究内容のプレゼンテーションをしたが、統計のPhD持ちが何人もいて
きちんとその話についてきて、ちゃんとした質問までしてくる。
アカデミックな内容に関する彼らの理解力は、
ランク下位の研究大学の研究者よりも上を行っていると感じた。


日本でも、大手電機や自動車メーカーでの電気・機械系の採用や
大手製薬メーカーでの化学系の採用などでは
これに近いことが可能なのかも知れないが、
社会全体としてはアメリカ企業の
人材の厚みには到底適わないだろう。

私は元々日本大好き人間だし、
日本にいた頃はアメリカなんて大したことないと思っていた。
日本で生活している限り、凄いアメリカ人に出会う事はとても少ないからだ。
しかし、実際に米国に来てみると
知識階層の厚みというのはもの凄い。
私の大雑把な感覚では、日本の10倍程度の厚みがある。

これは、世界の研究大学トップ100に
日本の大学が5校程度しか入らないのに対し
米国の大学が約50校も入っていることとも整合的だし、
アメリカがアジアと南米全域から優秀な人材を集めている
ことから考えても不思議ではない。





テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

政策目標にできるインフレ指標とは -- このエントリーを含むはてなブックマーク

最近いろんなブログを見て思ったのだが
デフレ対策論争がずいぶん人気らしい。

門外漢の私がいくらデフレについて論じても
ロゴフとかに勝てるわけもないので
あまり首を突っ込んでも意味が無いと思うのだが、
統計屋さんの視点から言えることがないか、考えてみたい。

日本のように中央銀行の政策の透明性も信頼性も不十分な国では
「インフレ・ターゲティングの政策を採るべき」
という議論がよく出る。

例えば、先日のエコノミストの飯田さんの記事
インフレ・ターゲティングの可能性について詳しく触れている。

それに対する根本的な反論の一つは、
「消費者物価だけみていても適切な政策が行えない」
というもの。極端な話、
「消費税を上げれば、消費者物価は上がるじゃん。」
ということになる。実際、日本の物価変動債市場は
ほとんど将来の消費税を予想するマーケットになっている模様だ。
政策運営のベンチマークとして使うには、
消費者物価のような指標を
それに適したものに作り変える必要がある(*1)


それでは具体的にはどうすれば良いだろうか。
税以外にも、生鮮食品は変動が多いから除くべき、
エネルギー価格は供給ショックで大きく動くから除くべき、
海外パック旅行も大半が燃料費だから除くべき、
公共料金もほとんど燃料費だろう、
銭湯だって燃料費じゃないのか、
といろいろやりだすときりがない。

結局のところ、金融政策に使うなら
物価を供給要因と需要要因に分けて
主に需要要因に注目する必要がある
のではないかと思う。

パンの値段が上昇したにしても、
悪天候のせいで原料価格上昇に起因する場合と
機械受注が好調なためにパン製造機の価格上昇した場合では
今後のインフレ期待に及ぼす影響には違いがある。

もちろん、全ての財・サービスは需給両面のバランスに
よって決まるわけで、これを分解するのは容易ではない。
しかし、試行錯誤して信頼性の高い指標を作っていく
ことには意味がある。

実際、サブプライム危機があそこまで深刻な問題を
引き起こしたのは、資源価格の上昇で各国中央銀行が
躊躇して利下げのタイミングが遅れたことが一つの原因だろう。
インフレ率に対する理解をもう少し深めておけば
需要要因のインフレが起こっていないという認識を共有でき
こうした問題を軽減できた可能性がある。

経済統計というのは地味だが、
政府や企業の意思決定を左右するという意味で
社会にとって重要なものである。
華々しい経済論争は面白いが、
こうした論争は政治的なレトリックの中に埋もれがちになる。
長い歴史の中で人間社会を豊かにしてきたのは
政治ではなく科学やテクノロジーだ。
統計の改良のような取り組みは
経済政策に使われるテクノロジーの進歩として
ゆっくりとだが確実に経済の発展に寄与するだろう。



(*1)
テイラー・ルールのように
需給ギャップや失業率などの他の指標を使うこともできるが、
パラメーターの設定はある程度主観的にならざるを得ず
インフレ・ターゲティングのメリットの一つである透明性は損なわれる。
例えば、政治家が政策運営に失敗した中央銀行総裁を糾弾するとして
テイラー・ルールのパラメーター設定の妥当性について
国会で建設的な議論ができるとは思えない。
物価指標そのものをターゲットすることには
透明性の観点からそれなりに意味がある。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

「体育会系優遇」は優遇ではない -- このエントリーを含むはてなブックマーク

前々から思っていたことなのだが、
城さんのブログで取り上げられていたのでこれを気に一つ。

「日本の企業では採用に関して体育会系が優遇される」
ということは大学生の頃から聞いていたし
日本企業って変だなぁとも思っていた。
ここで体育会系というのは、
必ずしも正式に体育会に入っていた人だけではなく、
それなりに本格的にスポーツをやっていて、
チームワークが得意だとか、
少々の理不尽なことでは文句を言わないとか、
体力があるとか、好青年であるとか、
そういう要素を十分に持った人達のことである。

実際に、同じ大学出身、同じ能力や意欲を持ち合わせた
体育会系の学生と一般学生が同じ有名企業に応募したら、
少なくとも少し前までは
前者の方が内定を獲得できる可能性は高かったと思う。

しかし実際に企業に入って働いてみると
これは必ずしも体育会系を「優遇」しているのではない

ということに気づくようになった。

私は金融機関のことしか知らないが、
例えば、巨大なリテール部門やルーチンに近い法人部門を抱える
メガバンクや大手証券にとって
企業の頭脳になる人材というのは
そんなにたくさん必要なわけではない。
事業内容にもよるが1~2割もいれば十分だろう。
「体育会系の学生」が金融機関に入っても
経営部門や、投資銀行部門、リサーチ部門に
配属させてもらえるわけではなく
「適性を活かした職種」として
不条理で根性主義の営業等をやらされるだけだ。
ビジネスの方向が正しいのかどうかは別として
そしてそういった部門では確かに
体育会系の人材はそれなりのアドバンテージを発揮する。

企業としては、
優秀な人間の中でも選りすぐりの人材(*1)だけに内定を出し、
残りは体育会系のイエスマンを揃えるのが合理的なのだろう。
従って体育会系の社員は
まともな企業では中枢のポジションにつけないが
それでも、
職種より勤務先が賃金の決定要因になる日本企業
では金銭的には優遇されてきた。

今後、人材が流動化すれば職種による賃金格差が拡大し
体育会系の社員が賃金面で優遇されることはなくなっていくだろう。
れでも、体育会系の人が有名企業に入りやすい、
という状況は今後も続くのではないかと思う。


(*1)
最近十数年のメガバンクはこういう人材は殆ど採れていないようだ。
ただし、昔は採れていたのかどうかは定かではない。


追記:「ニートの海外就職日記」の海外ニートさんが体育会系優遇
に関する記事:「声のデカい体育会系はクソ会社の番犬w。 」を書いたようだ。
この手のことが行われているのはやはり日本だけなのだろうか?
きっと韓国辺りでも、そんなことが行われていそうなので機会があれば聞いてみたい。




テーマ : 就活
ジャンル : 就職・お仕事

ハワイで給料貰いながら悠々自適の生活! -- このエントリーを含むはてなブックマーク

…に興味のあるバイオ統計屋さんにはこんな求人があります。
場所は、ハワイの中心、ホノルル!変な要件が一つあって、

Able to lift thirty (30) pounds.

でも、30ポンドってたったの13.5kg。女性でも大して問題に
なるとは思えません。

P.S. こういう求人は意味もなく高倍率になる可能性大。






テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカの年金 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

留学でアメリカに来るだけならあまり気にならないが、
もしも長い期間働くということになると
年金制度も大きな関心事だろう。

原則として、日本の年金を受給するには
最低25年間は保険料を納めなくてはならず、
アメリカは10年間納めなければならない。
ただし、日米間には日米社会保障協定というものがあり
基本的に日米通算の加入期間で上記の年数を
満たしていれば、それぞれの年金が納付期間や
納付額に応じて支払われる。

日本の年金は民間企業の社員の場合、
基礎年金+厚生年金+企業年金の3階建てだが
アメリカでも、
「基礎年金+厚生年金」に当たるsocial security と、
「企業年金」に近い積み立て型の401(k)/403(b)
という構成になっている。

1.Social Security

基礎年金+厚生年金に当たるのが、
Sosial Security Benefit で
基本的に、高齢者用の健康保険料を含めて
所得の7.65%が天引きされ、雇用側も同額を
支払わなければならない。
ただし、年収から一定額の控除があり、
また、年収のうち106,800ドルを越える部分(*1)に
ついてはこの保険料はかからない。

いくらもらえるかについては、Social Security Online
のページにいろんな計算ツールが用意されている。

ちなみに日本で年金が破綻すると騒がれているが
アメリカも状況は極めて深刻らしい。
高齢化の早さでは日本の方が早いが、
多額の年金を保障してしまっているアメリカは
必ずしも日本よりも状況が良いとは言えないようだ。

(*1)この額は毎年変更される

2.401(k)/403(b)


見方にもよるが企業年金に当たるのが、401(k)/403(b)である。
401(k)は民間企業のための制度で、
403(b)は公的機関や大学などのための制度だ。
これは基本的には、自分の給与の一部を積み立てると
いうものなのだが、多くの雇用主は従業員の積立額に加えて、
match-upと呼ばれる補助を出している。例えば、うちの大学では
勤続2年を超えた従業員に対し、従業員が年収5%以上積み立てる
ことを条件に雇用主も10%拠出する。つまり典型的なケースでは
毎年、年収の15%を引退後のために貯蓄するということになる。

401(k)/403(b)の積み立ては、所得税(income tax)額を計算する際に
所得から控除されるという特典がある。今年の場合、控除の上限額
は年16,500ドルだ。50歳以上の人については限度額があがったする
など、いくつかの例外がある。

この制度の特徴は、投資先を従業員自らが選べることにある。
最も一般的なのは、従来型の受取額が保証された年金と
株式のインデックスファンドであろう。
この点に関して面白いデータがある。

75%以上を株式に投資している人:35%
25-75%を株式に投資している人:21%
25%以下を株式に投資している人:13%
全く株式に投資していない人:31%
(Source: CNN Money)

アメリカ人は投資の知識に長けているように言われることが多いが
実際には極端なリスク愛好者とリスク回避者に分かれており、
ポートフォリオ理論のような定量的な手法でリスクを分散
しようとしている人は非常に少ない
ことが見て取れる。


このように個別の点については様々な違いがあるものの、
全体としてみると、実質的な積み立て額に関しては
日米で大して変わらないのではないかと思っている。
企業と個人の負担のバランスについても
それほど大きな違いはないのではないか。

それでも、制度や年収分布には無視できない差もあるので
後日、そうした点を考察していきたい。





テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

吉田耕作教授の統計学的思考術(日経ビジネスオンライン) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日経ビジネスオンラインが
統計学者・吉田耕作教授の「統計学的思考術」
というコラムを始めたようだ。

既に2回分のコラムが出ているので今読んだが、
最も控えめに表現しても釣りとしか思えない。
連載一回目の要旨は、

「全体のうち半分の人々の成績は、平均以下」

ということらしい。申し訳ないが高卒以上の人に
説明は必要ないと思うので、省かせて頂きたい。

連載二回目の要旨は、要約すると、

時系列の情報 X(t)は tによって値が変動するので
X(t)の分布を見なければいけない

ということらしい。時系列データがわざわざ横軸に
時間を取っている理由は何なのか?
申し訳ないが2次元以上の世界に住む人にとって
説明は必要ないと思うので、省かせて頂きたい。

わざわざ学者まで雇って
なんでこんな連載コラムになってしまったのか。
マスコミは数学や科学に関して
難しいことを分かり易く説明しようとして
単に誤った情報を垂れ流していることが多いように思う。
編集者が内容をきちんと理解しないで
口を出すことが一因だろう。

正しいことが分かりやすいとは限らないし、
全ての概念が一つの図で説明できるわけでもない。

それにしても、もう少し納得のいく書き方はなかったのか。
例えば「統計でウソをつく方法」
というベストセラーがあるが
数学的知識を仮定することなしに、
面白くかつきちんと統計的な概念を説明している。
この本は50年以上も前にアメリカで出たものなので
例や構成を現代の日本人受けするように変える
だけでも、それなりに面白い本は書けるだろう。

いずれにせよ、
インターネットでは一番大事なのはattention だから、
統計学者にとっては
統計学に関心が集まるのは良いことだ。

このまま釣り路線でいくのか、
徐々に本格的になるのか、先は読めないが
3回目以降に期待したい。






テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

米国政府の住宅購入補助金が延長 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

引き続き不動産関連の話。

アメリカの不動産市場は今夏以降回復してきているが、
これが、初めての住宅購入者に対する補助金
(first time home buyer tax credit)によって
政策的に支えられているというのは周知の事実だ。

この補助金は初回購入者に限り政府が
(a) 購入額の10% と (b) 8000ドル
の小さい方の額を援助するというもの。
なお、購入者の年収や、購入後に3年以上住むこと、
米国居住者であること、といった緩やかな条件がある。

この結果、比較的低価格帯の住宅市況は回復しているが、
高価格帯の住宅市況はあまり改善していない。

この補助金は、今年の11月末で打ち切りになる可能性が
あったので、夏場以降ちょっとした駆け込み需要もあったが
このたび、新たな法案が通り、2010年4月末までに
契約が済めば良い、と延長された(参考記事)。

主な変更点は:

1) 初回購入者でなくても、今の家に5年以上住んでれば
  夫婦合算で6,500ドルまで受給可能(初回購入者は8,000ドルのまま)。

 →隣りの人と家を交換する人続出か?(笑)

2) 年収制限は、夫婦合算で225,000-245,000ドルまで緩和。

3) 被扶養者の申請は認めない。

 →4歳児が申請するなどの不正があったため。

4) 不動産の決済書が必要に。

→今まで必要なかったのが驚き。

と言ったところである。

8,000ドルの補助金は
一見、購入者にとってメリットが大きいように見えるが
実際のところは財政規模の割りに大したメリットではない。


もしこの補助金がなかったら、
住宅価格はもっと暴落して買いやすくなっただろう。
しかも、今回の補助金を使って買った家を売るときには
この補助金はなくなっている可能性が高い。

売り手にとっては確かに若干売りやすくはなるが、
普通の人は売ったと同時に別の家を買わなければいけないので
メリットはほとんど中立だ。
高価格帯の市況は改善していないので
10万ドルの家を売って40万ドルの家を買えば得はするが
そんな人がこのご時世でどれだけいるだろうか?

結局、不良在庫の処理に困っている銀行や不動産屋が、
今まで頭金も払えなかった貧乏人に8,000ドルを頭金にして
家を買わせるという構図だ。

今年7~8月に実施した新車購入インセンティブ
``Cash for Clunkers'' も同様に
業界の在庫処分のために貧困層に車を売りつけ
政府がその一部を補助金で払うというものだった。

まあ流動性制約に陥っている人の救済策にはなっているが
財政政策としては効率が悪い。

もっと自然に、住宅ローン金利の減免を拡大するとか、
政府が返済順位の高い貸付に
一定額の保証をつけるとか、
効率の良い方法があるだろう。


こんなご時世でも、アメリカってまだまだ
無駄遣いが一杯なんだなぁ、
とつくづく思うこの頃である。






テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

住宅購入とシグナリング効果 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

昨日のチリ・コンテストのホストの准教授は、
学科の人事委員もしている人で
若手の中ではダントツに存在感のある人なのだが、
二人で話している途中で、
「君はそのままアパートに住むの?
それとも家とか買うの?」

と聞いてきた。

家を買うかどうかというのは、
その人がずっと大学に留まる気があるのかを
確かめるための一番良い方法のようだ。
まさか「辞めるつもりはあるの?」
と同僚に聞ける人はいないだろう。

アメリカでは住宅購入というのは
ちょっと大規模な投資みたいな雰囲気で
一生の買い物という感じではないが、
売却する時に住宅価格の6%程度の
不動産仲介手数料が発生するので
5年以下しか住まない場合には
賃貸の方が得

になる可能性が割と高いように思う。

「5年以上いるつもり」というのは
流動性の高い大学の職では
結構なシグナルになると思う。
今春、就職がなかなか決まらず
アメリカの最果ての地(笑)にある大学が
最後の頼みの綱か、と思っていたとき、
指導教官が、
「3年くらい働いたらもう一度
ジョブマーケットに出ればいいから」

と言われたことがある。
いくら転職が一般的なアメリカと言っても
tenure-track のポストというのは
ずっと勤めるのが前提なので
1年や2年で他の仕事を探すのは
特段の理由がない限りよろしくないらしいが
3年くらい経てば気兼ねなく移れるということらしい。

W大M校にいた頃、
「サバティカルに入ったL准教授が
そのまま辞めてウォールストリートに行くらしい。」
という噂が立ち、指導教官に真偽を確かめたところ、
「彼は辞めるとは言っていないが、最近家を売った。」
と言われたことがあった。
L准教授は結局そのまま辞めた。

結論としては、自分は家を買いたいと思っているが、
どっちみちアパートの契約が来年の夏まであるし
ゆっくり考えようと思っている。
でも、7月下旬頃から住宅価格が上昇傾向なのが
ちょっと気になっている。。。





テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

チリ・コンテスト -- このエントリーを含むはてなブックマーク

知り合いの数学科の准教授宅の
チリ・コンテスト (Chili Contest)
に招待されたので家族で行ってきた。

Chili とはどんな食べ物であるかは、
グーグルのイメージ検索結果でもご覧頂きたい。

主に数学科のファカルティーが招かれているのか
と思ったら、親戚の集まりに知り合いも若干呼びました
という感じの会だった。准教授の妻が8人兄弟で
全員がデトロイト周辺に住んでいるため、すごい
人数の親戚がいるようだ。

アメリカでは各自が料理を持ち寄る potluck
というパーティーはよくあるが、この Chili Contest
は参加者全員に投票用紙が配られ、
1位に書かれた料理に3点、2位に1点が与えられて
合計点で優勝を競うという極めてシリアスなもの。
私は公平を期すため(笑)10種類のチリを
2回ずつ味見して投票した。

妻は料理が趣味なので
今までチリを作ったことはなかったものの
「まあ、アメリカ人相手なら優勝狙わないとねー」
とそれなりの自信を持っていた。
素材を贅沢に使った一風変わったシーフード・チリで臨んだが、
年季の入った料理には勝てず優勝できなかった。

私の日本人的な感覚ではおいしいと思うのだが、
続けて食べ比べるとよく煮込んで濃厚な
チリにインパクトで負けてしまうのも確かだ。

保温用の電気鍋も買ってしまったので、また来年だ。



キッチン
(↑キッチンにはチリの鍋がいっぱい)
シーフードチリ
(↑Willy家のシーフード・チリ)
優勝チリ

(↑優勝したJamba チリ、写真映りは悪いがおいしかった。)


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

時系列の定常性の判定は難しい -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私は時系列解析の中で、
ボラティリティが変動するモデルというのをやっているのだが
このモデルでは「変動の大きさ」自体が変動していくので、
どんどん変動が大きくなって時系列の分散が無限大に発散して
しまうということが起こりうる。
実際、一分毎、一時間毎、といった高頻度の金融時系列データで
当てはまりが良いとされる fractional モデル(ショックの影響が長く続く
モデル)では、特にこの問題が難しく、定常解の存在が示されて
いないだけでなく、一部の研究者は定常でないということを
信じているほどだ。

このモデルに限らず、
現実の時系列定常性を持っているか
どうかというのは重要な点だ。


池田氏のブログに少し気になる主張があった。それは、

「金融政策によって自然産出水準は変わらない」

というものだ。経済の自然算出水準は deterministic な部分
(予め推定された労働者数、技術進歩、資本蓄積の増加率)
を除いて、定常なのだろうか?確かに、もし定常であれば金融政策は
短期的な算出水準にしか影響を与えないことになる。
だが、個人的には、金本位制下で極めてデフレ的な政策を長期間
採った国は、自然算出水準を下げた可能性が高いと思っている。

無論、彼の言うように自然生産水準を引き上げるために、
労働生産性を引き上げるとか、生産要素の効率的な再配分をする
といった努力が必要なのは確かだろう。

しかし上記のように「金融政策によって自然産出水準は変わらない」
とまで仮定してしまうのは、現在の日本の経済政策を考える上では
リスクが大きいと思う。確かに多くのマクロ経済学者がそう仮定して
しまっているが、少なくとも data-oritented に考えるべき問題だろう。
大きな供給過剰の経済で、労働者の生産性や生産要素の
効率的な再配分が果たしてどれほど進むだろうか?
私は、自然算出水準の構成要素自体が需給ギャップに大きく
影響されている可能性の方が高いと思う。

もちろん、デフレさえ解決すれば全部解決、という訳ではないけれど、
デフレが経済にとってかなり大きな問題であることは強調しておきたい。

じゃあ、現実問題、経済政策運営はどうすれば良いの?と思った方はこちら。
「インフレで財政赤字を解消する過程」




テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

アメリカでは資格を取れ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日の「日本で資格は取るな」
「資格取得は効率の悪い差別化である」と書いた。
しかし、もちろんケースによっては
資格を取るのが望ましい場合もある。
アメリカで暮らそうとする日本人が
置かれる状況は往々にしてそうだ。

そもそも資格を取るメリットは何であろうか?

Rionさんのブログで触れられている通り、
主なものは「シグナリング」「独占利潤」だろう。

このうち、
アメリカでは「シグナリング」が果たす役割が
日本と比べて非常に大きい
という印象を私は持っている。

一つの理由は、アメリカが移民国家であるということだ。
いきなり外国から来たどこの馬の骨か
分からない人では評価してもらえない。
そんな時に、例えば有名大のMBAとかPhDというのは非常に役に立つ。
アメリカの技術系の職種でPhDが
運転免許に例えられるのはそういった事情だ。
これは必しも経歴だけの話だけではなく、
在学中に培うコネクションという形でも大きく影響する。

以前こんなことがあった。
Citibank の投資銀行部門のインターンに応募しようとして
ウェブサイトで情報を入力していたら、
在学校をプルダウンで選ぶ項目があって
ほとんど有名大学のMBAプログラムしか載っていない。
そして、その項目を回答しないと次の項目に進めない。
注意書きを見ると、
「このリストはcomprehensiveなものなので
あなたの大学は必ず載っているはずです。」

と書いてある。
日本でこんなことをやる企業があったら
すぐに2ちゃんねるで祭りになるだろう。


アメリカで資格が重要なもう一つの理由は、
アメリカの大きな企業では
従業員の役割が明確に決められており、
従業員は既に持っている知識を活かして、
迅速に仕事をを進めることが求められるからだ。
特定のスキルは、もちろん資格に限らないが、
最低限の知識を持っているかどうかを探るのに
資格というのは都合が良い。

アメリカでは、
頭のいい人だったら1ヶ月で簡単に身に
つけられるようなスキルであっても
就職時の選考に関して決定的な差となってしまうことがよくある。
日本的に考えるとなんとも馬鹿らしく思えてしまうが
流動性の高い労働市場を持ち
一般労働者の意欲が高くないアメリカでは
企業はポテンシャルよりも
即戦力の高い人材を求めざるを得ないのだ。


それでは、資格を取るためのコスト面はどうだろうか?

日本人のような勤勉な外国人にとっては
資格を取ることに関するコスト・パフォーマンスが良い。

一つは単純に、日本では初等・中等教育の水準が比較的高い
と同時に、日本人は試験に慣れているので対策を打ちやすい
という絶対水準で見た優位があるからだ。

もう一つは、日本人のような英語ダメダメな民族が
他の方法で差別化することが難しいという比較優位である。
例えば、アメリカでも高い賃金を得るためには
やはり管理職に就くことが一つの有力な手段だが
管理能力は専門知識に比べると言語能力に依存する面が
大きいので、日本人は比較劣位の状態にある。

私は、アメリカで英語力が十分でない外国人が
年収20万ドル以上稼ぐのは結構難しいと思っている。
アメリカのfresh PhD に企業が払う年俸は
大雑把に言って平均10万ドルくらいだと思うが、
アメリカでは管理職への昇進などがない限り、
就職後に給料がどんどん上がるという職種は稀だからだ。
しかし、資格で明確に給料が上がるような職種に
つけば不可能ではない。


例えば、DW Simpson 社が
アメリカのアクチュアリー(保険・年金数理人)の給料
を出しているが
全ての資格を取得した15-20年程度の経験のある
アクチュアリーだと中央8割の年収レンジは、
例えば損保のケースで 144,000-324,000ドル
(約1,300-3,000万円)とかなりの額になる。

この資格を取ることに成功するかどうかは
能力や適性次第だが、外国人が他の方法で同じくらい良い仕事に
就く事は恐らくかなり難しいのではないかと思う。

つまり、状況によっては資格を取ることは
そんなに効率が悪いことではない。

業務独占資格を比較優位を活かして簡単に
取得できるような状況では特にそうだろう。

しかし大事なのは、
あくまで社会の仕組みや自分の能力を冷静に分析した上で
勝てる見込みがあり、しかも、勝った場合のメリットが大きい
ものにのみ挑戦することだ。


資格はあくまで目的ではないのだから。





テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

トランプを投げる娘 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私は研究もそこそこに
もうすぐ4歳になる娘とよく遊んでいる。

子供というのは思考が単純でゆっくりなので
一緒に遊んでいるとやたらと疲れたり眠くなったりするのだが、
最近、トランプで遊ぶことができるようになったので
だいぶ楽になった。

難しいゲームはできないので、
ババ抜きを教えようかと思ったが
たくさんのカードを手で持つことは難しいので
少し改良してカードを隠す必要のないゲームにして
それを二人でやっている。
純粋に確率的なゲームなので
負けてもあんまり悔しくないのだが
勝った時に大げさに喜ぶようにしたら、
娘も2日くらいで勝ちと負けの違いを
理解して、勝つと喜ぶようになった。

今日から神経衰弱を教えようとしているのだが
同じカードを何回もめくったり、
たくさんのカードを開けてみようとしたり
まだ上手くいかない。
同じカードを見つければ良い
ということは理解できていて、
何組かは覚えていてきちんと見つけた。

ゲームが難しかったり飽きてきたりすると、
娘はトランプを投げて遊びだす。
数学で言うと、
問題が解ける前に自分が溶けるタイプ
かも知れない。
前途多難だ。

自称・教育パパの最初の目標は
妻にオセロで勝てるようにすること(*1)だが
道のりは長そうだ。

(*1)
奴は、あまりやったことがない割には強い。
日本の免許合宿で知り合った「自称オセロが得意な人」と
2回やったら、2回とも勝ってしまい
相手が相当悔しがってたらしい。



テーマ : 育児
ジャンル : 育児

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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