アメリカのプリスクールについて -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカ生活でお金がかかることはいくつかあるが、
就学前のプリスクール(幼稚園)の費用はその一つだ。


まず、小学校入学までの仕組みを簡単に説明しておこう。
アメリカでも日本と同じように6歳から小学校(Elementary School)が始まる(*1)が、
Elementary にはほとんどの地区で、Kindergarten といういわゆる幼稚園の年長に
当たるプログラムがあり子供はそこに通う。
Kindergaten に通わせることが義務化どうかは州によって異なるが、ほとんどの
家庭が通わせているようだ。

この Kindergarten に通わせる前に、教育にある程度関心のある家庭は
子供をプリスクール(Pre-school)に通わせる。
Pre-schoolは通常は私立であり学費は高い。

現在、娘は二つのプリスクールに通っているが、
そのうちの一つは週2回×3時間で、月の学費が240ドルくらいする。
週5回×7時間(午前9時から午後4時まで)だと学費は月に1400ドル弱である。
これは決して高い方ではなく普通のプリスクールだ。
モンテッソーリだとか、知名度の高い教授法を導入しているところだと
もっと高いところもあるだろう。

私立の中でも、教会系のプリスクールは比較的料金が安い。
単に教会の場所を借りているだけのところだと差はあまり大きく
ないことが多いが、布教を全面的に行なっているところだと
半額以下のところもあるようだ。
魂の値段は案外安いとも高いとも言える。

娘が通っているもう一つのプリスクールは公立のプリスクールだ。
デトロイト圏郊外のOakland郡の多くの市には、公立のプリスクールがあり
学費はおおよそ私立の4割程度だ。
こちらにも週2回×2.5時間ほど
通っているのだが、娘は実はこちらのプリスクールの方が好きだ。
また、歌や単語の練習などの訓練もきちんとやっていて教育内容も良いし、
お金のある時に建てた立派な市民館の中にあるので設備も良い。
放課後も市民館の中に遊ぶスペースが少しあり、
友達と遊びながら母親同士は井戸端会議をしているそうだ。
まさに官業の民業圧迫といった感じである。

もっとも、プリスクールに関しては、
公・私立の別や教育方針よりもクラスが固定しているかどうか
というファクターが大きいのかも知れない。
曜日や時間帯を比較的自由に選べるようなスクールは利便性が高いが、
一方で集団で何かを訓練することはできないので
どうしても託児所・保育園のような感じになってしまう。
娘が通っているプログラムも、公立の方はクラスが固定している。

娘はKindergarten に入るまでもう一年あるのだが、
Troy市には Kindergarten に入る前の年から
小学校の先生が子供に基本的なことを教えてくれる全日制の
プログラムがあるのでそこに通わせる予定だ。
なお、Kindergartenに入る前の年のプログラムを一般的にPre-Kなどという。
先日、Open Houseに行って教室を見に行ってきたが
インド・韓国・中国などのアジア系が約半数、
白人が約半数という感じのようだ。
やはり教育に関心の高いアジア人の比率は高いようだ。
学費はやはり私立の4割程度と激安なので
念のため申し込み初日に予約しておいた。

ところで先日妻が私立のプリスクールの責任者に話しかけられ
「来年もぜひどうか?」
と聞かたので
「全日制のところに入れたいので安い公立にしようと思っている」
と話したところ
「学費は相談に応じるよ!公立はいくらなの?」
と言われたらしい。とりあえず、
「いくらだったか忘れちゃったなぁ」
と答えたらしいのだが
どのくらい値引きがきくものなのか興味があるので
今度話を聞いてくる、と妻は言っていた。
デトロイト周辺は極端に景気が悪いし
学費なんてものは交渉次第なのかも知れない。
流石に6割引にはならないだろうけれど。

(*1) 何月何日生まれで学年を区切るかは州によって異なる。
  ウィスコン●ンは9月1日でミシガンは12月1日である。

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双方向イマージョン教育とは
娘の算数教育
娘の算数教育2


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

外国語を学ぶインセンティブ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

昔から言われていることだが、日本人のTOEFLの平均得点は
諸外国に比べてかなり低い(Rionさんのブログ記事を参照)。
これには、受験者層のセレクションバイアスなどいろいろな問題があるが、
もちろんそうした技術的な問題や統計上の問題だけで説明がつくほどでも
ないように思われる。

ちょうど、Lilacさんのブログでも英語の話題が出ていたところでもあるので、
これを機会に、母国語別に考えた時の
外国語を学ぶインセンティブの決定要因を整理しておきたい。


1.機会

当然ながらその言語を使っている人が身近に多ければ、学ぶ
インセンティブは大きくなる。もちろんそれは新大久保とか
広尾に住んでいるだけではダメで、好きな異性が英語しか
しゃべれないとか、職場の上司や学校の同級生あるいはパブの
ホステスに外国人がたくさんいるというように
意味のある人間関係である必要がある。
特に転勤の予定もない夫が、中国語、韓国語、フィリピン語
等を急に勉強し始めた時は要注意であると言える。


2. 母国語と学ぶ外国語の相性の良さ

(2.1) 文法構造

当然ながら、言語習得の敷居が低ければ学ぶインセンティブは大きくなる。
よく言われるのは文法構造だろう。英語と日本語では語順が違うので
単純に考えても相性は良くないが、文法的なミスを犯した際に
ネイティブに通じない文章となる可能性が高くなることも大きい。
例え文法的に完全でなくても、日本語と韓国語、欧州言語同士
などでは、意思疎通に大きな障害が生じない。
基本的には、文法構造は二言語間の近さの問題だが、
多くのヨーロッパ言語の文法が英語より複雑なので、
そうした母国語の人が英語を学ぶのはより容易いという事情もあると思う。

(2.2) 音
音が多い母言語を話す人が音が少ない国の言語を話すことは易しいが、
逆は非常に難しい。したがって、文法構造と違って音声は二言語間で非対称な
関係を持つことが多い。例えば、日本語の音は英語よりも少ないので、
日本語圏の人が英語の音を完全に理解しないまま英語を聞くと
知っている単語しか聞き取れない。
したがって、何百回同じセンテンスを聞いたところで分からないままだ。
少なくとも私は初対面の人の名前を聞いただけで文字にすることはできない。
これは、英語にはfとphなど同音の表記が複数あるという問題だけではない。
この点は、リスニング能力を高める上では決定的な点だ。

(2.3) 文字
基本的には、文字数の少ない言語の方が学ぶ際の敷居は低い。
これは相性というよりも、学びたい外国語にどれだけの文字があるか
という問題である。


3. 経済水準

グローバル化した世界の価値観では、
経済水準はインセンティブを決める最も大きな要因であろう。
あなたが日本で働いていて年収が500万円だとして、
アメリカに行って同じ仕事をしただけで年収が3000万円になるとしても
あなたは英語を勉強しないだろうか?


4. 研究・技術水準

通常、大学生くらいになると専門的なことを学ぶが、ほとんどの言語では
他言語で蓄積された専門知識が翻訳されていない。
学部レベルの知識をきちんと習得するのに使用可能な言語は、
日本語、中国語、一部のヨーロッパ言語くらいだろう。
また現在のところ、本当の専門レベルの知識を習得するには英語が唯一の言語だ。
従って、少なくとも書き言葉に関しては英語を学ばざるをえない環境にある。
一番極端なのはインドなどで、あまりに多くの言語が存在し、
それぞれに対応することができないために
小学校でさえ教科書が全部英語になっている。
地方によっては、英語の苦手な先生も多く、教科書は英語でも授業は
現地語で行われるケースもあるそうだ。


5. 人口学的要因


ある程度の人口規模のある言語でないと、専門的なことを学ぶ言語として
成り立たない。書き手の数が限られ知識の蓄積が間に合わないからだ。
例えば、韓国から出る国際特許の件数は中国よりも多いが
研究・技術水準それなりには高いが、大学レベルの専門知識を韓国語で
勉強している人は中国語に比べても圧倒的に少ないように思われる。

母国語と外国語を使う人数の比率も重要だ。例えば、日本と韓国が同じ
経済水準になったとして、日本人の韓国語習得熱は高まるだろうか?
私はそうは思わない。
なぜなら、韓国語圏の人口規模は日本よりはるかに小さく、例えば
日本メーカーが韓国にビジネスを広げるメリットは比較的小さいからだ。
逆に小規模な経済圏から大規模な経済圏への進出は
非常に魅力的なビジネスになる。

また、韓国語と日本語のバイリンガルが多いという特殊事情から、
韓国語を習得しても大きな差別化要因にならないことも大きい。
繰り返すが、転勤の予定もないのに夫が韓国語を勉強しはじめたら要注意だ。
당신을 좋아합니다

6. その他の要因

国が政治的・軍事的に不安定だとか、差別があるとかいった諸要因は
場合によっては経済水準と並んで大きなインセンティブになる。
もしかすると、北朝鮮のエリートは仕事が終わってから
家で必死に英語を勉強しているかも知れない。


こうして様々な角度から、外国語を学ぶインセンティブを眺めると
日本人が英語を学ぶインセンティブは
他の言語圏よりかなり低いだろうことが推測出来る。

日本の英語教育が優れているか、またそうでないなら今後どうするか、
ということを考えるにあたって、こうしたことを共通認識として
広めておく事には意味があるだろう。

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社会人の英語勉強法
英語ダメダメ人間のための英会話講座
語学の壁(Reading編)
語学の壁(口語編)
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テーマ : 英語・英会話学習
ジャンル : 学校・教育

統計学PhDの所要年数 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカの統計学の博士号は、
他分野に比べると比較的早く取れる方ではないかと思う。
社会学のように自分でデータを取るために何年も使うということもないし、
哲学や文学のようになかなか出してもらえないということもない。
いわゆる「筋トレ」はある程度必要だが、純粋数学ほどではない。

レンジで示すと、W大M校の場合、4年~7年で取る人が大半だ。
私は結局6年かかったが、最後の1年は既に働いているので
実質は5年半といったところか。

おそらく今までの最短は、
知り合いのGが2年9ヶ月で取ったケース
だ。
実験やフィールドワークに時間がかかる分野ではないので、
優秀でさえあれば、理論的にはいくらでも早く取れる。
(ただし制度上、2年9ヶ月が最短だ。)

もちろん2年9ヶ月で取った人は飛び切り優秀なのだが
PhD取得までの年数はかならずしも能力だけで決まるわけではない。
私が学科で見てきて重要だと思った要素は5つある。
これは、統計学に限らず、他の理論分野にもある程度当てはまると思う。

1.研究能力

能力は当然ながら重要だ。一つの理由は、主に数学的基礎学力の到達度を測る
Qualifying Exam という試験があり、これをどれだけ早くクリアするかで、
研究を開始できる時期が決まってくることがある。
また、Qualifying Exam終了後は、英語力が比較的大きな要因になってくる。
リサーチテーマを探す上で、読解スピードやコネクションづくりが有利に
なるためであろうか。ネイティブ・イングリッシュ・スピーカーの修了
までの期間は明らかに短い。

2.ピア・プレッシャー (peer pressure)

M校の統計学科の外国人を見ると、中国人とアメリカ4~5年で卒業、
韓国人は6年で卒業する人が割と多い。これは、個々人の能力というよりも、
何年で卒業しなければいけないか、というコンセンサスが
友人関係に左右される
せいだろう。

3.指導教官

指導教官によって何年で卒業させるべきかの方針が異なる。
博士論文にどの程度の水準を求めるかにもよるし、研究分野にもよる。
傾向としては、理論分野の方が所要年数が長くばらつきも大きい。
ある応用分野の教官は、ほとんどの学生を4年~4年半で卒業させている。

4.年齢

意外に思われるかも知れないが、少なくとも私の回りでは
年齢の高い学生の方が修了までの年数が短い傾向にある。
若いうちに、ある程度のところまで行かなければならないという
プレッシャーが大きいせいだと思う。

5.景気

景気が悪くなると就職が決まらないので、博論がほぼ完成しているのに
大学院にとどまる人が増える。
不景気では学科の資金力が低下するので、
学科は早く学生を卒業させたがるが、なかなかうまく行かないようだ。
学科は結局のところ、在学生のファンディングを新入生よりも優先せざる
を得ない
からだ。

ブログ内の関連記事:
― 大学院統計学科の選考基準について
― 修士課程と博士課程、どちらに行くべきか?


テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

小学生の頃の成績 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

自分は超教育パパを目指していて、
住まいを決める時も学区のテストのスコアが気になったりするのだが
今考えると自分が小学生の頃の成績は全然良くなかったと思う。

小学校1~2年生の時の成績が
「できた」「もうすこし」「がんばろう」
の3段階になっていたのを今でも覚えているが、
いつも算数以外は全て「もうすこし」になっていた。
どんな科目でも完璧に理解することは有り得ないので
私はこの「もうすこし」という表現が妙に好きだった。
しかし、母親がPTA役員をやっていたある日、
もう一人の役員から子供の成績を聞いてきたらしく
「A子ちゃんの成績は体育以外全部"できた"なんですって!」
と言ってきた時はただただ驚いた。
自分の成績が悪いなどとは微塵考えず
(だって「もうすこし」でOKなんだし)
A子は目立たないけど天才なんだろうと感心した。
しかし今になって考えると
A子はお行儀の良いごく普通の女の子だった。

3年生になると成績は5段階になり、担任から、
「"できた"は5か4に、"もうすこし"は3か2に
"がんばろう"は1になります」
と説明があった。
結果、算数は4になり、他はほとんど3で、
体育とか図工とかがたまに2になった。
「つまり、もうほんの少し、ってことだな!」
と安心した。

先日、そんな話を妻にしたところ爆笑された。
妻が小学生の頃は5段階評価で8割くらいは「5」だったらしい。
そういえばそんな嫌な奴がクラスに1~2人いたような気がする。

しかしなんかのついでに
「金の比重が一番重い(*1)から他の物質に金メッキしてもばれちゃうんだよね。
だから錬金術が発達したって聞いて、小学生の時なるほどって思わなかった?」
なんて話を奴に振ると、
「へー。そんなことは習ってないし知らない。」
とか言い張るのだ。

…小学校の成績なんて案外どうでもいいのかも知れない。


(*1) 昔、金以下の価格で入手できたであろう固体のなかで。


テーマ : 小学生の子育て♪
ジャンル : 育児

金銭では表せない留学のメリット -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先週は久々に母校のあるウィスコンシン州マディソン市に行ってきたが
良いところだったなあ、としみじみと感じた。
大学街は夜遅くなってもたくさんの学生が行き来していて活気があり
学生以外の人達も概して、親切でリベラルである。
M市は人口わずか20万人余りの寒さが厳しい田舎町だが
私も妻もこの町が大好きだ。

一方で、私がこの町を大好きになったのは土地柄のせいだけではなく
一人の学生として人間関係を築くことができたことが大きいと思う。
いくらエステに通っても、加齢臭防止グッズを使っても
本当に若返ることはできないが、アメリカのようなリベラルな国で
大学院に入学すれば簡単にあの学生時代に戻れてしまうのだ。


もちろん、社会人の大学院留学の機会費用とリスクで述べたように
経済的なインパクトは入念に見積もる必要があるが、
これは効用関数で見ると多くの人にとって
相当に大きなプラスのインパクトがあると思う。


妻は宝くじを買うのが好きなのだが、私は
「宝くじが当たったら、論文書きながら一生学生をやるから(笑)」
と話している。
ちなみに妻は「宝くじが当たったら離婚する!」と言っている。
いずれにせよ、確率はほぼゼロなのでどうでも良い話だ。

ブログ内の関連記事:
社会人の大学院留学の機会費用とリスク1(機会費用)
社会人の大学院留学の機会費用とリスク2(日本での雇用リスク)
社会人の大学院留学の機会費用とリスク3(適応リスク)
社会人の大学院留学の機会費用とリスク4(希望的観測バイアス)
社会人の大学院留学の機会費用とリスク5(セーフティーネット)
社会人の大学院留学の機会費用とリスク6(複線的なキャリアパス)


テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

米国の住宅購入者に対する補助金 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

サブプライム危機後に住宅市場が冷え込んだため、アメリカ政府は2008年4月9日から初めての住宅購入者に対してFirst-time Home Buyer Tax Credit という名目で8,000ドル(但し住宅価格の10%が上限)の補助金を支給している。この法案は2度に渡って延長され、今年4月末までに契約し6月末までにクロージングした人は、この優遇を受けられる。細かい支給要件は、米国歳入庁(IRS)のサイトなどで確認して欲しいが、基本的には米国で連邦所得税制上で居住者になっていれば受け取れる。

この優遇策は、低価格帯の住宅市場を下支えするためには一定の効果があったようだが、景気刺激の費用対効果を考えると、あまり合理的な政策とは言えない。なぜなら、住宅購入というのは単なる資本取引なので、それを活性化したところで生産はほとんど増えないからだ。価格の下支えにしても、長期的には不動産価格はその生産性で決まってしまうので、今回のようなマグニチュードが大きな不況では、総生産を回復させることに主眼を置くべきであるように思う。

カリフォルニア州がこのTax Credit を州として延長したので、Calculated Risk (*1) というブログで「カリフォルニアには財政危機は存在しないようだ」と揶揄されている。

現在のアメリカの状況を踏まえると確かに不動産市場の活性化は必要であるが、そのためには賃貸住宅居住者を含めた住宅市場全体の問題として捉える必要があるだろう。あるいは景気対策としての側面に力点を置くなら、建て替えやエネルギー効率向上のためのリフォームなど波及効果の高いものに集中的に資源を投入するべきだ。

健康保険法案が概ね決着して徐々にこの法案の延長の可否に関心が高まっているが、政府に合理的な政策を考える時間が残されているならば、住宅市場の活性化策は別の形で行われるだろう。

(*1) このブログは基本的に悲観的な記事が多く書かれているように思う。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

博論のディフェンス -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先週のWS大は、春休みだった。
少なくとも中西部の大学には大抵3月に1週間の春休みがあり、
一息ついたり、フロリダなどの暖かい地域に旅行に行ったりする。
実際には、3月は12月~2月に比べると暖かいのだが、
長い冬を過ごしていると、3月頃には体力的、精神的に
辛くなってくるので、休むにはちょうど良い時期なのかも知れない。

私は、延ばし延ばしにしていた博論のディフェンスをやるために
水曜日から土曜日にかけてウィスコンシンに行ってきた。

日本のT大にいた時には博論には締切日があったと思うのだが、
アメリカの大学にはそういったものは特になく、
論文が書けた段階で、審査をする教授の予定を聞いてまわり
口頭試問(defense, final oral)のスケジュールを決め、
口頭試問の2~3週間前に学科や大学院に申請する。

W大M校の場合は、学科内の教授4名と学科外の教授1名の
合計5名の委員からなるcommittee を学生自身が選ぶことになっている。
もちろん、そのうち1名は指導教官である。
WS大もおおよそ似たような仕組みになっているので、
アメリカでは標準的なシステムなのだろう。

分野によっては、学科外の適当な教授を見つけることが
難しいことがあるが、私がやっている分野は統計学と計量経済学の
中間的な分野なので、特に迷うことなく経済学科の教授を招いた。

教授は忙しい人が多いので5人の予定を合わせるのは至難の技だ。
今回のケースも3月中旬から下旬まで候補日を9日ほど挙げて予定を
聞いて回ったところ、全員の予定が合ったのは3月19日の午前中のみであった。
それでも結局、メンバーの一人は重要なミーティングを
リスケして参加してくれたようだ。
人選は重要だが、なるべく時間のある人を選ぶというのも大事だろう。

口頭試問自体は全部で2時間程度で、
事前審査10分+プレゼン35分+質問60分+事後審査15分
という感じである。

事前審査と事後審査は、学生は部屋の外に出され、
5名の教授陣だけで行われる。

事前審査は、指導教官が研究の経緯などを説明した上で、
誰が chair になるかを決める。Chair は、審査の最終判断を
する上で重要な役割を果す。
実際は大抵、指導教官が chair になるが、
二人以上の指導教官がいる場合にはその場で相談して決めることになるのだろう。
また私の学科の場合には、最終の口頭試問の1~2年前に
Preliminary Exam と呼ばれる中間発表があり、
この Prelim と Final Oral は異なる人がChairにならなければならない。
したがって Prelim では通常、指導教官以外がChair になるので
不合格が出る可能性は少し高くなる。
ただし、不合格の場合は時間を置いてやり直すことができる。

35分のプレゼンは、研究内容について話す。
大きな間違いがあれば問題だが、内容を分かりやすく説明しさえすれば
それほど大きな問題はないのが普通である。
私は前日までプレゼンが60分だと思っていたので、
大幅に超過して50分間のプレゼンになってしまい少し文句が出た。
ただ、質問の時間が圧迫された方が受ける方としては楽になるので、
わざと引き伸ばしたと思われた可能性もある。

60分の質問は、最も重要な時間だ。
それぞれのメンバーが詳細な質問をする。
例えば、使用した定理の説明や証明のガイドライン、それぞれの部分に対する
先行研究の結果、論文中で不十分な点に対する突っ込みなどが入る。

統計の中では全く異なる分野をやっていて今回初めてCommitee に加わった教授
からも相当に詳細な質問が飛んできたので、こちらが感心してしまった。
彼女はフランスで教育を受けた人なのだが、欧州人らしい細かくて数学的に
面白い部分を集中的に質問してきた。やはり、受けてきた教育環境は
その後の学問的興味に色濃く反映されるのだろう。

アメリカの教育を受けた二人の教授からは、やはり実証分析が少ないことに
関する不満が表明された。ここは、Prelimでも指摘された点で、今回最も懸念して
いた点なのだが、
1) この分野はかなり細分化が進んでおり、実証研究と理論研究が独立して進んでいること、
2) この分野の理論研究に実証を入れるとreferee から文句が出ることが多いこと、
3) 今後はこの二つを並行して研究していくつもりであること
の3点を説明し、何とか納得してもらえたようだ。

指導教官および経済学科の教授は、研究内容を既にかなり抑えていることもあり、
比較的ゆるい質問に終始した。

その後、20分ほどの事後審査を経て無事に合格。
主なコメントはやはり、
理論だけでpublishするのは難しいChapter もあるので
将来的にそこに実証を入れるように、
という想定していたものだった。

これから論文の校正をして、
大学院事務所に論文を提出することになる。
これが終われば、無事に博士課程修了になる。

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― 米国の大学のポストにつく経路を考える
― 統計学科の大学院博士課程へのアプライ
大学院統計学科の選考基準について


テーマ : 留学生活
ジャンル : 海外情報

経営のできないオタクをどう活かすか -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私は、起業を促進する社会の仕組みという意味では、雇用流動化、金融インフラの整備、規制緩和の3点が肝だと思っている。別の詳細な分析は、Lilacさんの記事「日本や欧州にシリコンバレーが出来ない理由とその対策」などで取り上げられているが、こうした問題はどれも一朝一夕に解決できるようなことではない。特に雇用流動化は政治的なフィージビリティを考慮すると、少なくとも数十年を要する可能性が高いと私は思う。もっと簡単にできて効果的な施策はないだろうか。

私が考えるのは以下の3点だ。

1. 経営のできないオタクと経営の出来る一般人を交流させる

オタクが会社を始めないのは、規制の複雑さ、事業の見極め能力の不足、保守的な価値判断などのせいだろう。そうであれば、経済的な洞察力に優れた血気盛んな企業家と交流させれば良いのではないか。こうした交流に大してお金はかからない。例えばオウム真理教は教団の頭脳をスカウトするために、駒場のアパートに匿名のアジトを作りスナックや飲み物を無料で提供して東大生を勧誘したが、その経費は微々たるものだっただろう(これは実際に入り浸った友人に聞いた話だ)。今後インターネット関連の起業が必要なことはほぼ間違いないから、通産省なりNPOはオウムを見習って、有名大学の電子工学科や情報学科あたりを決め打ちして、毎週金曜日に寿司パーティでもやって企業家と学生を交流させれば良い。主観的で不公平な方法だが、特定産業に補助金を出して産業振興を図るよりはよっぽどマシだろう。また、新しい産業の育成には複数分野の融合が大事なので、同様の方法で、そうした分野間の交流会を積極的に開くことも大事だろう。

2. 自治体が場所と事務員を提供する

起業する際にネックとなるのは、高い家賃と人件費だ。商業用賃貸物件の保証金は非常に高いし、人を雇うのにも相当なコストとノウハウが必要だ。今や日本中で設備も雇用も過剰なのだから、政府が借り上げてスタートアップ企業に対して遊休設備を貸したり、ある程度スケールメリットを活かせる形で複数のスタートアップ企業が共同で使える事務員を提供すれば良いのではないか。制度を悪用する企業は出てくるだろうが、補助金の不正受給のリスクに比べればよっぽどマシに思えるし、摘発も容易なように思われる。

3.コンサルタントを提供する

会社設立が容易になったと言っても、設立にはかなりの手間がかかるし、税理士や公認会計士を雇う必要に迫られることも多い。新しい企業がそうした専門的なアドバイスを安価で受けられるよう、国が資源を投入すべきだ。会計や法律関係のビジネスを官業が圧迫することになるが、もともと会計も法律も他の産業の付加価値に依存して成り立つ商売なので、そんなもののために新規産業が妨げられるのは本末転倒だろう。

コンセプトとして大事なことは、オタクは社会の財産だと認識することであり、蔑むのではなく温かく可能性を見守ることだ。例えばあなたがケータイをこよなく愛す女性だとしたら、パソオタと付き合ってあげれば彼は将来画期的な携帯用恋愛コミュニケーションツールを開発してくれるかも知れない。彼が少しキモかったとしても、Facebook の Zuckerberg並の金持ちになってくれれば、きっとあなたは満足だろう。

ブログ内の関連記事:
― 日本に足りないのは経営のできるオタク


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

日本に足りないのは経営のできるオタク -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日書いた「起業したい若者に対する大人の本音」が意外と受けたところを見ると日本における起業に対する関心は案外、高いのかも知れない。それでは、日本とアメリカで大成功している起業家の傾向に違いはあるのだろうか?

ちょうど先日Forbesから億万長者のランキングが出たので、50歳以下のアメリカ人の億万長者の顔ぶれとバックグラウンドを見てみよう(ただし、遺産相続による億万長者は除く)。

Sergey Brin (36): Stanford U, MS Computer Science (Google)
Larry Page (37): Stanford U, MS Computer Science (Google)
Michael Dell (45): U of Texas Austin, Drop Out (Dell)
Jeffrey Bezos (46): Princeton U, BA/BS Computer Science/Electric Engineering (Amazon)
Pierre Omidyar (42): Tufts U, BA/BS Computer Science (EBay)
John Arnold (36): Vanderbilt U, BA/BS (hedge fund)
Mark Zuckerberg (25): Harvard U, Drop Out (Facebook)
Daniel Och (49): U of Penn Wharton, BA/BS (hedge fund)



トップのBrinとPageは各々175億ドル、8人のうち一番少ないDaniel Ochでさえ資産は33億ドルもある。専攻分野や人物像の紹介などを見ると、金融で財を気づいた Arnold と Och を除く6人はみなコンピューターオタクの若者だったという共通点がある。

一方、日本の億万長者はどうだろうか。同じくForbes の「日本の富豪40人」から50歳以下の億万長者を抜粋すると次の4人の名前がある。資産額はトップの三木谷氏が47億ドル、一番少ない重田氏は6.6億ドルとなっている。

三木谷 浩史(44):一橋大・商 → Harvard, MBA(楽天)
田中 良和(33): 日大・法(グリー)
笠原 健治(34): 東大・経済(ミクシィ)
重田 康光(44): 日大・経済(中退) (光通信)


やはりいずれもIT関係・インターネット関係の起業家ではあるものの、三木谷氏や重田氏などビジネスへの関心が原点となっている傾向が強い。

4人ではサンプルが少ないので50歳以下の起業家として取り上げられたことのある日本人を適当にみてみるとやはり似た傾向が見られる。コンピューターオタクかどうかの線引きは難しいが大学の専攻分野と事業内容との関連で見る限り米国の上の6人と類似していると言えるのは、ソースネクストの松田氏くらいだろう。

村上 世彰 (50) : 東大・法(M&Aコンサルティング)
折口 雅博 (48): 防衛大・理工(グッドウィル)
松本 大(46) : 東大・法(マネックス証券)
宇野 康秀(46) : 明治学院大・法(USEN)
熊谷 正寿 (46): 放送大(GMOインターネット)
夏野 剛 (45?): 早稲田大・政経(NTTドコモ)
堀 主知ロバート(44):関西学院大・法(サイバード)
松田 憲幸(44): 大阪府大・工(ソースネクスト)
西山 知義(43): 日大・法(レックス・ホールディングス)
堀江 貴文(37): 東大・文(ライブドア)
野尻 佳孝(37) : 明治大・政経(テイクアンドギヴ・ニーズ)
藤田 晋(36): 青山学院大・経営(サイバーエージェント)
槇野光昭(36) : 東海大・政経(価格ドットコム)
岩瀬 大輔(34):  東大・法(ライフネット生命)
※西村博之 (33): 中央大・文(2ちゃんねる、ニコ動)


日本の電子系の大学教育のレベルが決して低くないことを考えると、日本では本来起業のポテンシャルを持ったオタクが十分に能力を発揮していないのではないかと想像できる。そもそもオタクとは、専門知識を経済的価値に変換出来ない人の総称であるのかも知れない。次回は、こうした潜在的な問題に対してどのように対応すべきか考えたい。

ブログ内の関連記事:
経営のできないオタクをどう活かすか


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

釣り人に対する読売新聞の本音(駄 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

前回記事「起業したい若者に対する本音」の追記にも記したが、
発言小町の元トピ「大学3年生ですが、就活を辞めようと思います」
が消されたようだ。

以下が、読売新聞の説明だ。

下記の方法をお試しください。
* ブラウザの[更新]ボタンをクリック。
* お探しのページのアドレス(URL)を確認。
上記の理由以外の場合は、ファイルが削除された可能性があります。
その際、削除理由のお問い合わせにはお答えできません。


― 読者の方が元トピを前回記事と合わせて読めなくなってしまったこと
― 小町上で頂いた100件もの貴重なレスが削除されてしまったこと

の2点は非常に残念だが、
一方であくまで「ネタにマジレス」を身上とする発言小町が
その方針を維持するためには削除もやむを得なかったのはよく理解出来る。

次にやるときは念のためIDを取り直そうと思う。


テーマ : ネットビジネス
ジャンル : ビジネス

起業したい若者に対する大人の本音 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日 Chikirin さんへのラブレターの中で指摘した通り、
日本で起業しようという若者は非常に少ない。
終身雇用制、強い規制、様々な参入障壁といった複雑な要因が絡みあっているが
私は、起業をする人に対する世間の目が冷たいことも一つの障害
となっているような気がしてならない。

そこで保守的な日本人の本音を探るため、
インターネット掲示板「発言小町」を使って反応を見てみよう。
なお「発言小町」とは読売新聞が運営している作文投稿サイトで
全国の保守派のボランティアが審査員を務める。
800文字の字数制限と読売新聞社の検閲という
厳しい制約下でいかに人気を集めるかが競われる。

まず、私が投稿したサンプルは次のようなものだ:

「大学3年生ですが、就職活動を辞めようと思っています。」(OES)

都内の私大3年生(男)のOESと申します。世は就職氷河期真っ只中ですが、大学の就職説明会で「新卒は凡人が良い就職をする一生に一度のチャンス」だと聞き、ここまで頑張って就職活動をしてきました。特に志望業界はないですが、不確実な時代なので食品とかがいいかなと思っていました。

しかし建前ばかりの企業説明会やOBの話を聞いているうちに馬鹿らしくなってきました。つい先日も、食品会社のエントリーシートに「あなたのキャッチフレーズを教えてください」という馬鹿な質問があったので、「私は白米に似ていると思います。白米は粘り強いですし、どんなおかず(=他者)とも調和できます。つまり私は人の中の潤滑油として動くことができます。」とネットで拾ったものをそのままコピペしておきました。こんな無意味なことで頑張って就職活動しても内定が貰えるかどうかすら分からないですし、運良く大企業に入れても私の学歴や芸の無さでは一生理不尽にこき使われて終りでしょう。

そこで就職活動を辞めてマイペースに働こうと思っています。といってもこれといったスキルもないので、今考えているのは宅配の弁当屋です。私の住む町はお年寄が多いし、今やお金持ちはお年寄りばかりなので、地域密着でドミナント展開し、短い輸送経路を活かした差別化や、御用聞きを兼ねてビジネスを横に展開すれば大手に対抗できると思っています。実は料理は全くできないのですが、愛犬の散歩をしていると「なかなかパートの仕事が見つからない」というベテラン主婦の方によく会うのでそういう人と一緒にやればいいかなと思います。いまやバイトも人余りなので宅配のバイトも簡単に雇えそうです。初めはお客からは文句も出るでしょうが、ブラック企業に入って客でもない上司から怒鳴られるよりマシですよね?

社会人の皆様からみて私の考えは甘いですか?忌憚のないご意見をお待ちしております。


もちろん、この作文は100%創作だ。
投稿した日のレス数は「働く」のジャンルでは1位になったので
初回作品としてはまあまあの出来なのかも知れない。

もちろん事業プランはいい加減なのでツッコミどころはいくらでもあるが、
今回はそういった点は捨象して一般的な反応のみ取り上げてみよう。

1. 社畜マンセーの人


「フリーターになる人の実情が少し見えました」(背胡瓜亭)
何がどうバカらしいんでしょうか?
社会人になるということは、そういう建前を身につけることなんですけどね。
マイペースで働くことは本音ばかりで、バカらしくはないんでしょうか?


社会人になるのは働いて世間の役に立つことでお金をもらうことだろう。
建前は必要悪にすぎず、それを誇らしげに言うのは病んでいるとしか言いようがない。
本音ばかりでバカらしいというのは、言葉遊びだとしてももう病気だ。

「激甘です」(ここ)
お年寄りのためになるお仕事をというのはとっても立派な事だと思いますが
トピ主さんの文面からはただ「逃げたい」というものしか伝わって来ません。


なぜ進路変更をすると逃げることになるのだろう?
私がブラック企業の経営者で人手が必要だったらこの人をぜひ雇いたい。
彼(彼女)にとってはブラック企業を辞めることも逃げることになるから、
最期まで頑張ってくれるだろう。

「この、軟弱者!」(丸猫)
就職氷河期に就職活動した世代です。
4大生なら就職口は、まだ選ぶことができます。
今、就職を諦めたら、結婚も子孫繁栄も不可能です。


ある意味正しいとも言える。しかし、そんな社会に疑問はないのだろうか?

「もったいないかな」(m)
でも、、正直もったいないかな・・あなたがエントリー前にしょうもないなーーーと感じている企業。
中にもぐりこめたら、どんなに楽しい事がまっているかあなたは知らないだけなんだと思います。


学生を集めるために魅力をアピールしている時ですら馬鹿らしいと感じられる企業なのに、
入ったら楽しいことが待っていると考える根拠がよく分からない。

「いるいる」(万年係長)
バカだけど自信満々の自営業(という名のほぼ無職)の知人がいます。
本当にこらえ性のない、自分に甘い人でした。
会社員を心の底からバカにしてましたね。
「社畜」「貧乏人根性」云々。
(中略)
もちろんあなたの人生だし好きにすればいいんですけど、
30過ぎてから正社員の話もらったときに
尻尾振って飛びつくようなみっともない真似はせず、
その気高い志を貫いて欲しいなと思いました。


結局、この人は正社員が偉いと言いたいようだ。


2.自分だけは正しいと思ってる人


「本当に無能そうな方ですね。」(有名私大卒)
某巨大組織に勤めている女です。そんなコピペじゃ内定はもらえません。
そのコピペが通ったにしても、その後は何度も面接があります。

「企業のねらいどおり」(d)
私は一流企業のエントリーシートを見た事があります。
面接まで残っていた人のシート内容は、感動しました・・・・


内容のない質問に頑張って答えても意味はない。評価基準が主観だけになってしまうからだ。コピペであるかどうかが問題ではない。ちなみにこのコピペは就職対策サイトで大真面目に模範解答として取り上げられたものだ。上の二人が就職活動したとしても平均的には「白米」程度の作文になるだろう。

「うん、弱虫!」(小染)
上場企業に入社することが一番いいとは言いません。ブラック企業でもいいからとにかく入れ!とも言わない。でも、今、一斉にスタートラインに並んだ時に、理由を付けて走り出さないやつは弱虫です。


私は、理由も付けずに走り出す人の方がこの先心配だ。
そういう人は弱虫ではないが、飛んで火に入る夏の虫になる可能性はある。

「学生の就活を支援している者からの意見」(異端審問官)
私がお手伝いしている学生は、エントリー・シート一つにつき平均三、四回は書き直しをしています。一から直してもらうこともあります。直すほうである私でさえも一つにつき計数時間は費やしているでしょう。


大変学生思いなのかも知れないが、そんなことをやっているから
日本の組織の労働生産性はいつまで経っても低いままなのだろう。


3. 起業に変なイメージを持ってる人

「若人よ!めげるな!」(菜月)
社会に出て経営を行うのはゲームではありません。絶対リセット出来ない。


会社法の否定だろうか?共産圏からも書き込みがあるのかも知れない。

「やれやれ」(nagi)
たかだか大手企業ごときにも就職できずに起業して成功するなどありえないことです。


つまり、孫正義もビル・ゲイツも成功していないという帰結になるようだ。

「開店資金の持ち合わせあるのでしょうか?」
まさかそれをまた親に頼まないでくださいね。
私立の大学行かせて、もうアップアップしてて、早く老後資金貯蓄しなきゃいけないので。
あっ!トビ主さんとこは、そんな心配ないほど裕福なお宅なんですね。


思考回路についていけない。既に裕福なら起業する必要もないだろう。
この人にとって起業というのは金持ちの道楽なのだろうか。

「甘いというか…」(唖然)
人生設計してますか?
何のために大学に入ったんですか?
ご両親はなんと?


人生設計の相談のために作文したのだがそう感じなかったのだろうか。
逆に、経営学部に入った学生がみんな一般企業に就職して営業とかやってる現状の方が
何のために大学に入ったのかと思ってしまう。
しかし、3行目で両親のために就職すると聞いて納得ではある。

「それでは、思いつくままに」(チャチャチャ)
 お店を出す資金は? そのために必要な資格はご存知ですか? その資格を取るための資金は? お店の形態は屋台ですか?賃貸ですか? 道具類は何が必要がご存知ですか? 料理は苦手と書いてありますが、そもそもそのための勉強はどうされるおつもりですか? 出店のための知識はありますか? 商売のノウハウはある程度わかっていますか? そのための税金関係の知識は?


どうやって800字でそこまで書くのだろう。この人は「最近太っちゃって。ダイエットしなくっちゃ。」と言う上司に向かって「何kgですか?」「ダイエットの方法は?」「そのために必要な食材はご存知ですか?」「運動はしてますか?」「運動器具類は何が必要かご存じですか?」「そもそも、そのために何ヶ月かけるおつりですか?」と畳み掛けるタイプなのだろうか?

「上司から怒鳴れれるよりマシ」など大甘(オットー)
私は一介のサラリーマンですが、それでもビジネスというものは「上司から怒鳴られる」位ですむようなものではありません。こちらの責任の有無に関わらず、時に下げたくもない頭を下げ、嵐のようなクレームや罵倒に耐えなければならないこともあるのです。(中略)膨大な関係者から怒濤のようなクレーム・非難、取り立てなどの矢面に立たされることになります(まさに今のト○タ社長のように)。暴力団などの「ブラック」勢力に絡まれる恐れだってあります。トピ主さんはどれほどこうした覚悟がありますか?


上司から怒鳴られるのは日本くらいだろう。日本でもまともな職場ではそんなことは少ない。確かに屋台で弁当を売れば暴力団に絡まれそうだが、この人はそういう社会の方に疑問を感じないのだろうか。


最後に皮肉が効いたレスを一つ。

「どっちがマシ」(こたつ)
>客でもない上司から怒鳴られるよりマシですよね?

小町の無職から偉そうにあれこれ説教される方がむかつきませんか?
レス見ても「あなたがそれをいう?」って発言もチラホラ・・。

私はまだ上司から怒鳴られた方がマシだなぁ。



そうやって若者は起業を諦めるんだね。


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仕事を生きがいにせざるを得ない人達
日本で資格は取るな
労働者の権利は義務でもある


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テーマ : 就職活動
ジャンル : 就職・お仕事

労働条件の交渉は有利な時に押そう -- このエントリーを含むはてなブックマーク

少し前に「労働者の権利は義務でもある」という記事を書いたら
思ったよりたくさんの反応を頂いた。
これは日経の記事がきっかけだが、
こうした問題について考えさせられることは度々ある。

例えば、日本で大学生だった頃、友達同士でスキーに行こう
という話になってこんな話になったことがあった。

私  「じゃあ、3月1~4日の3泊4日でどう?」
友人A「バイト先が人手不足で中々まとめて休み取れないんだよなぁ。」
友人B「? 俺、バイトしたことないからよく分かんないんだけど、
    人手が足りないなら休んでもクビにならないんじゃないの?」
友人A「いやー、でも…。」

もちろんAは本当はお金がなくてあまり長い日程に
したくなかっただけかも知れないが、
AもBも本当に親しい友人だったので言葉通りに受け取ることにすると、
時給千円以下のバイトですら日本人は
自分よりも周りを優先していることになる。
こうした体験からしても、日本人の労働に対する意識は
労働市場の流動性のような経済学的な問題だけではなく
根本的に他の国の人と異なるようにも思う。

休んでもクビにならないんじゃないの、
と発言したBはその何年か後、
(日本で)就職活動をして某企業から内定をもらった。
私と同い年なので、かつての超氷河期時代の話である。

採用担当者「内定です。」
友人B  「ありがとうございます。ところで入社後は寮に入りたいのですが。」
採用担当者「確か実家は会社の近くですよね。」
友人B  「はい、そうです。」
採用担当者「その場合、寮には入れないことになっているのですが。」
友人B  「じゃあ、御社には行きません。」
採用担当者「わ、わかりました。入れるようにしましょう。」

もちろん、Bが優秀だったからこそ企業は譲歩したのだと思うが、
大事なのは交渉力が最大の局面で強気に交渉すべきだということだ。
アメリカでは、内定をもらってから契約書にサインをするまでの間に
労働者側のパワーが最大になるというのはすでに常識だ。
内定をもらったら、他の大学や企業に連絡して、
「◯◯から内定が出たんですが」
と言って交渉を始める人すらいるらしい。
Bはそのあたりのことが直感的に分かっているのだと思う。

労働環境改善については、
労働者の意識の問題があるとは言っても精神論だけでは進まない。
交渉を上手く進めるためにどうするか、
ということは考えなくてはならない。

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日本のアドバンテージは低賃金であるという説
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安易に目標を決めるな


テーマ : 就職・転職・仕事・求職・アルバイト・パートのNo1最新情報
ジャンル : 就職・お仕事

Census 2010 -- このエントリーを含むはてなブックマーク


米国では今年は、10年に一度の国勢調査(Census 2010)の年にあたる。

今日はこんなお知らせが届いていた↓
Census2010.jpg

Censusはラジオでも宣伝しているし、アメリカの日本語フリーペーパーにまで
宣伝が載っていて相当に大掛かりな調査だ。調査の時期は、マクロに影響が
出るほど政府の雇用が増える。

社会基盤の計画の根幹となると同時に、
統計学、各種社会科学などの研究者のネタともなる貴重な調査なので、
在米の方は是非協力頂くようお願い致したい。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

大卒の内定率が3割になっても雇用神話は崩壊しない -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本のブログを全部チェックしたことはもちろんないけれど、
Chikirin の日記は日本で一番面白いブログの一つに違いない。
彼女の写真を見たこともないし何歳なのかも知らないけど(アラフォー?)
私が独身だったら結婚してもいいと勝手に思っている。
しかし、最新のネタ記事「就職氷河期 サイコー!」
いまいち楽しめなかったので今回は反論記事を書くことにした。

まず、記事のおおまかな内容は以下のとおりだ:

― 来年(2011年4月入社)の新卒採用市場がいっそう厳しくなりそうだ
― 非正規雇用も競争が激化しており職は見つかりにくくなっている
― 従って若者にとっての選択肢は以下の3つくらいしかない
1.「雇ってもらう」ことをあきらめ、起業する。
2. 若者にしかできないことで食っていく。
3. 仕事のある中国やインドに行って働く。
― どの選択肢を取るにしても日本が変わる大きなチャンスだ。



3点目までは一応納得できる。
しかし問題は、仕事にあぶれる若者の質だろう。
98年の新興国危機の後も今回のサブプライム危機の後もそうだが、
就職状況が厳しくなると言っても優秀な若者は相変わらず大手に就職している。
そもそも椅子の取り合いが激しくなっているだけで、
学生の志望状況そのものが変わったわけではないのだ。

日本の大企業は、学力だけでなく全人格的な判断で新卒を採用している。
そんな椅子取り競争にも勝てないような
カスみたいな若者がいくら起業したところでたかが知れているだろうし、
そんな若者にしかできない仕事があるとすれば、
せいぜいIT土方と体力勝負の飲食店の接客くらいだろう。

そんな若者は、就職先が見つからなくても一縷の望みを託して
就職浪人し続けたり、漢字検定1級みたいな意味のない資格に
手を出して現実逃避するのが関の山だ(*1)。

それでは、就職氷河期を活かして
日本が復活するチャンスはないのだろうか?
私は、
むしろ起業して日本を活性化すべきなのは
豊富な職務経験と人脈を備える一方で
転職市場での価値が下がってしまった
30代後半以降で目の利く人たち
ではないだろうかと考える。
以前なら、大企業が優秀なスタッフ要因を囲い込んでいたが、
今なら就職氷河期のおかげでスタッフとして使えるレベルの
新卒を容易に採用できる。

つまり、Chikirinのような人々は
若者を煽っているような場合ではなく、
むしろ自分から起業して若者を雇用するくらいの心意気で
いなければならないであろう。

・・・Chikirinさん、
私も失業したら就職できそうにないので
そのときは奴隷として雇って下さい。


(*1) どうせなら司法試験とかにした方が長く現実逃避できると思う。

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大学って教養のためにあるの?(その2-若者編)


テーマ : 切ない恋
ジャンル : 恋愛

アメリカの不動産エージェント -- このエントリーを含むはてなブックマーク

最近、家を買おうかと思って不動産を見ているのだが、
アメリカの不可思議な制度に惑わされている。

1990年頃までアメリカで家を買う時は、
売主から事務を任された不動産業者(sellers' agent)に
問い合わせて家を見せてもらって買うというのが普通だったようだ。
しかし「それでは買い手側の利益を代表する者がおらず不公平だ」
とどこかの消費者団体が主張したらしく
買い手側のエージェント(buyers' agent)という制度が導入された。

しかし、不動産エージェントの取る手数料は今も売り手側が払っている。
具体的には、売主が支払う売買代金の6%の手数料を双方の
エージェントが3%づつ取るという決まりになっているようだ。
従って、どちらのエージェントも
売り手側に立ったインセンティブを持っていることになる。
裁判に例えるなら、AとBの間の民事訴訟があり、
双方に弁護人がいるがいずれもAに雇われている状態ということだ。

つまり、買い手の利益を守るのは、
買い手がbuyers' agent と結ぶ誓約書のようなものだけになる。
(そこには、buyers' agent が買い手の利益を最大化する義務が
課されている。)
しかし、売買の判断は総合的なもので主観を含むので、
buyers' agent が買い手の利益を最大化しようと努めていなかった
としても、それを立証することは極めて困難だろう。

なお、買い手は、buyers' agentを必ず使う義務はない。
したがって、sellers' agent のもとには、
buyers' agent を通した顧客Bと
buyers' agent を通していない顧客Cが現れることがあるが、
この時、sellers' agent にとっては
buyers' agent を通していない顧客Cに物件を
買ってもらえば2倍の手数料を受け取ることができる。
したがって、顧客Cに対して法律の許容範囲内で有利な情報を流したり、
キックバックを払うインセンティブが生じることになる。
(こうしたことを禁ずる法律は州によって異なるようだ。)

また、条件の良い物件は、非常に短時間で売買が成立するので、
その際には、buyers' agent を通すことによる時間的なロスが
不利益になることもあり得る。

このように、buyers' agent という制度は
必ずしも buyer にとって利益のあるものとは言えないが、
それでも買い手にとっていくつかのメリットを提供している。

1. 独占的な物件情報を入手可能

アメリカでは、National Association of Realtors (NAR, 全米不動産業協会)
が、Multiple Listing System と呼ばれる不動産のデータベースを
独占しており、会員のみに情報を提供している。
Buyers' agent を通すことで、買い手はこれらのデータにアクセスできる。
逆に言えば、どのbuyers' agent に連絡しても
得られる情報は全く同じということになる。
なお、NAR は、インターネット上で業務を行う業者に対する情報提供を
拒んだために、2005年に米国司法省に反トラスト法で訴えられ、
2008年5月にようやく情報提供を認めた経緯があるようだ (wikipedia より)。
社会的には、こうした情報は全ての人に公開されていた方が
買い手・売り手双方にとって望ましいのは間違いない。

2. 複数物件の見学が容易

買い手が sellers' agent に直接物件の見学を希望する場合
一件一件、個別にアポイントを取る必要があるが、
buyer's agent に頼めばまとめて手配をすることができる。
つまり、buyers' agentは鍵を管理するというロジスティクスを
担当していると言うこともできる。


本来であれば、買い手と売り手がそれぞれ自分のエージェントに
適正な契約に基づいて手数料を払うというのが望ましい姿だが、
エージェントの協会から見れば、売り手の利益を最大化した方が
売買が成立しやすく不動産価格も上がりやすいので
手数料収入も増加しやすいと考えられる。
そうした事情でこうした不可思議な制度が維持されているのだろう。

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デトロイトでアパート探し


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

教養をいつ学ぶべきか -- このエントリーを含むはてなブックマーク

職業の専門化・高度化が進む一方で、
情報の入手が極めて容易になった現代においては
教養を学ぶ意味をもう一度見直すべきなのではないか、
とつくづく思う。

教養について包括的に議論し尽くすことは難しいが、
私がよく考えるのは教養をいつ頃に学ぶのがベストかということだ。
時間が無限にあればいつ学んでも良いが、
実際には他の技能の習得との兼ね合いでスケジュールを決めなければならない。
特に、言語や定量的な思考の訓練は特定の時期に必要なものだと考えられるので、
それとの兼ね合いで制約はかなりタイトなものになるだろう。

そこで教養を学ぶ時期を考えるために
教養以外のことをいつ頃学ぶべきかを考えてみよう。

人が初めに学ぶのが母国語であることに異論は少ないであろう。
恐らく2~10歳頃までに母国語を集中的に学ぶ必要がある。
もちろんボキャブラリーの数といった付加的な部分は、
20歳くらいまでは継続的な努力が必要だろう。

もし、外国語を学ぶ必要があるならば、
習得に関して重要な時期は4~15歳くらいだろう。
音の認識に関しては1歳の段階でもネイティブとは差が
つくという研究結果もあるし、
19歳前後までなら比較的ネイティブに近いレベルまで
達することができると言う研究者もいるが、
母国語より後で比較的早い時期に習得するのが望ましい
というのはコンセンサスになっている。

数学は15~20歳前後の最も思考スピードが速い時期に
学ぶのが大切だと思っている。この時期に数学を真面目にやった
人とやっていない人では決定的な差があると感じる。
語学に例えるなら、ネイティブと
流暢なノンネイティブくらいの違いがある。

もし、体系的な科学を学ぶ必要があるならば、
習得に関して重要な時期は18~25歳くらいだろう。
分野によっても千差万別だが、理論的な体系を学ぶのであれば
数学より後で比較的若い時期に習得するのが望ましいのではないだろうか。

それでは、教養をいつ学ぶのが望ましいだろうか?

教養には、
比較的単純な知識と哲学のような抽象化された思考の二つの側面がある。
順序としては、第一に莫大な単純な知識を蓄積する過程が必須であり、
第二に、知能が十分に発達した時に、そうした知識を
より包括的な枠組みの中で位置づけたり関連付けたりするために
抽象化された思考としての教養を学ぶことができるようになる。
第一段階の知識の蓄積は年齢によらずほぼいつでも行える一方、
第二段階の位置付けや関連付け、抽象的な思考は年齢が高いほど
得意になっていくという面が強い。

第一段階は15歳までに学ぶのが望ましいと思う。
それは、高度な数学や科学を学ぶのに十分に知能が発達していない一方、
単純な知識の蓄積と言語能力の発達に相乗効果が見込まれる
と考えられるからだ。同時に単純な知識の定着に関しては、
10歳前後の子供の方がむしろ優れているというメリットもある。

第二段階は数学や科学について学んだ後で学ぶのが望ましいと思う。
それは、例えば社会に出て働き始めた後でも良いだろう。
一つの理由は、より多くの分野での知識や経験が、
知識を帰納的に判断して一般化する上で大きなアドバンテージになると
考えられるからであり、
もう一つの理由は、数学や科学といった体系的なものを学ぶ期間は
よりリソースを集中させた方が望ましいということである。

私は上記のような理由から、
現在の高校や大学の教養教育は過度であると思っている。
もちろん、学ぶスケジュールは個人のキャパシティや趣向に
大きく依存しているので、全ての人にとって過度とは言えないかも知れない。

ところで、私が、教養のある人を羨ましく思うのは、
あまりある才能と恵まれた環境によって
職業的な専門能力と教養を同時に身につけている人を見た時だ。
その意味で教養とは、全ての人に重要なものというよりは
圧倒的な能力を見せつけるバロメーターとしての役割を
果たしているようにも思える。


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大学って教養のためにあるの?(その1-高齢層編)
大学って教養のためにあるの?(その2-若者編)
双方向イマージョン教育とは


テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

Brio -- Tuscan Grille 【デトロイト】 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、Brio というイタリアン・レストランに行ってきた。
Troy市で最大のSomerset というショッピングモールの中にある。
レストランと言っても全米17州に展開しているチェーン店の一つだ。
W州M市は、地元の人が経営している小さなレストランが多かったが
Detroit州郊外は都会のせいか、一人30ドル以上の価格帯のレストラン
でも、やたらとチェーン店が目立つ。

基本的に安っぽさは否めないが、
店内の内装はチェーン店にしては結構頑張っているし、
料理もまあ、ビストロとは呼んで良いレベルだ。
客層も、近所のおばさま方とか、家族連れ、20代の若者の集まり
みたいのが多いので、子供連れで言っても気を使うことはないだろう。
もっとも、スーツを着た人たちも見られた。

前菜は、エビと茄子の胡椒炒めみたいのを注文。
味付けはやや濃いが、きちんと炒めてあるし無難な出来。
メインは、羊のローストを注文。
アメリカの肉の焼き加減は注文通りにならないことがある、
と以前に書いたことがあるが、注文通りミディアムレアで出てきた。
アバラ2本分のラム・チョップが4切れだったので、
アメリカにしては結構軽めの盛り付けである。
赤ワインのソースも、別に特に良くはないけど無難な出来。
やっぱり、チェーン化されているような店は合理的なので
アメリカ風の「食べきれないくらい出す文化」も
廃れてきているのかも知れない。

飲み物は、グラスでPinot Grigioを一杯頼んだが、
ワインについて語るべきような店ではないだろう。

デザートはなんかイマイチな感じなので注文しなかった。
家に帰って、ハーゲンダッツでも食べた方がお得だろう。

娘は、外食だとあまり食べたがらないので、
パンとジャガイモばかり食べていた。
料金は実質大人2名分でで85ドル(チップ込)。
二人ともアルコールを頼めば、90ドルは超えただろう。

大きな欠点はないが、雰囲気に比して若干割高な感がある。
ちょっと久しぶりの気楽な集まりなんかに使うにはいいが、
気合を入れて行くような店では全然ない。

ブログ内の関連記事:
デトロイト)Big Rock Chop House
アメリカの食材 (とPolish Market ) 【デトロイト】


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

証券営業担当者の神の見えざる口 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、少しグロソブの話を書いたら予想外に大きな反響を頂いた。

この手の投資信託などを売る職業は結構ストレスが多いらしく
顧客に売った商品が値下がりすると気が気でない人も多いようだ。
例えば、昔、合コンで話した青いメガバンクの女性は
「一番気が楽なのは宝くじの営業。損しても誰も文句を言わないから。」
と言っていた。実際、証券営業職の離職率はかなり高いと聞く。
しかし、私は証券営業というのは立派な職業であると思うし
当人たちが引け目を感じる必要は全くないと思っている。

そもそも証券営業を批判するような人たちは、
金融業の存在意義をきちんと理解していないように思える。
金融とは、元来的には「金銭を融通すること」である。
すなわち、お金の余っている人々や企業が、
お金を必要としている人に適切な方法で融通するというのが本来の意味だ。

例えば、アメリカ政府が好き放題やっている大手金融機関をなかなか
止められないのは、本質的にはアメリカにはお金が必要だからである。
すなわち経常収支の不均衡を、相対的に効率の高い対外投資を
行う金融業によって支えているわけである。
その結果一部の投資銀行員が法外に高い給料を受け取ることに
なってしまっているが、これはあくまで富の分配と言う二次的な問題であって、
そうした問題のために富の蓄積自体を諦めるというのは本末転倒なのだ。

一方、日本では富裕層がお金を使わないことが問題になっている。
使わないお金は必然的に投資されるので、金融業はそこに大きな手数料を
課すことによって、お金を世の中に還元することになる。
有名私立大学の経済学の先生が、現金に課税すればデフレも解決、
という面白い話をよくしているが、
現金そのものに課税しなくても、投資にたくさんの手数料を払って
くれる人がたくさんいてそれが証券会社経由で世の中に回れば、
効果としてはそれに近いものが得られる。
手数料をたくさん課している証券会社や銀行も、
立派に世の中に貢献しているのだ。

金融や経済に関して、善悪の判断を直感的に行うのは危険だ。

「質素に暮らす高齢者の女性が虎の子の1億円を
証券会社の担当者を信用して投資したら半額になってしまった」
というような話があるとすぐに
「鬼のような証券営業担当者だ」というような批判的な意見が出るが
批判している人たちは、
その高齢女性が守銭奴のように1億円ためこむのと、
それが手数料や他の投資家の所得となって世の中に還元され
レストランやデパートで使われて景気が良くなるのとどちらが良いか、
本当に熟慮した上で批判してるのだろうか。

もちろん、証券営業担当者が法律を遵守して
商品を売ることはとても大事なことだ。
法治国家においては、経済的にメリットのあることでも、
法を犯してまでそれをすることは禁止されているからである。
その意味で、証券営業は難しく、まさに神の見えざる口
というべき、巧みな話術が必要になるのは想像に難くない。
実際、もうひとつの神の見えざる口を持つ、
イタコと証券営業担当者は驚くほど良く似ている。
(以下のイタコの能力の説明は、
こちらのサイトからそのまま引用したものだ。)


イタコの能力  証券営業の能力
写真を拝見することで事細かに事情をご説明いただかなくとも、適切な指導をする事が出来ます。 資産を拝見することで事細かに事情をご説明いただかなくとも、適切な指導をする事が出来ます。
私たちを見守る守護霊からのメッセージを頂く事が出きます。 私たちを見守るアナリストからのメッセージを頂く事が出きます。
病と心の関係を見抜き、心と体の不調和という視点から拝見し、心の指導をすることが出来ます。 お金と生活の関係を見抜き、お金と生活の不調和という視点から拝見し、お金の指導をすることが出来ます。
あなたの守護霊からのメッセージを照らし合わせ、先の未来を拝見する事が出来ます。 あなたのライフスタイルのご希望を照らし合わせ、先の未来を拝見する事が出来ます。
亡きご家族やご友人からのメッセージを頂く事が出来ます。 亡きご家族やご友人からの遺産を運用頂く事が出来ます。
水子供養、子宝などを拝見する事が出来ます。勿論霊障の有無も拝見いたします。 養育費や教育費も拝見する事が出来ます。勿論、住宅ローンの有無も拝見いたします。
霊障全般、因縁、先祖からの因縁、浮遊霊による悪戯、憑依など、和鎮(浄霊)により解決いたします。 塩漬け株、値下がりした投信も、売却により解決いたします。
人生相談や恋愛相談など、守護霊のメッセージを照らし合わせ、適切な指導をしてゆきます。  人生相談や結婚相談など、ライフプランと照らし合わせ、適切な指導をしてゆきます。 


証券営業担当者が神の見えざる口を持つことは
ここに証明された。


イタコ


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商売としての学校ランキング -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本人は中学、高校、大学などを偏差値や有名大学合格者数、
有名企業就職率などでランク付けするのが好きだが、
アメリカ人も、どの学校が優れているのかというのは
非常に気になるようで、様々なランキングが存在する。
アメリカ人は誰もが自分の学校が優れていると信じたいようので、
ランキングは種類がたくさんあればあるほど良い。

大学院のランキングは、
政府系のNational Research Council (NRC)が発表しているものや
週刊誌の US News が出しているものなどがある。
NRCのものが一番権威があるようだが、
10年おきの調査と頻度が低い。
しかも最新の調査はたしか2004年の予定だったのが
2年間遅れた上、いまだに調査結果が出てこない。
権威があるだけに、いろいろな軋轢が生まれて
公表できなくなっているのだろう。

また、世界中の大学をランキングしているものには、
Times が作成しているもの
Web上の影響度を調査したWebometrics
上海交通大学のランキング

がある。イギリス人の労作を除くと、
大抵上位100校の半分をアメリカの大学が占めるので
アメリカの大学のランキングとしても使える。

こうしたランキングは、雑誌の読者なり、
研究の充実度を知りたい院生や大学関係者が
主なターゲットという点では日本もののと似ている。

しかし、高校以下については日本とアメリカでは事情がかなり異なる。
(個別のサイトについては以前にまとめて紹介した。)

アメリカでは、公立学校も学区によって生徒の平均的な学力はかなり異なる上、
私立学校に行く費用は非常に高いので、子供のいる親はそれに合わせて居住地域を選ぶ。
その判断の元となる個別校の学力水準の情報も
通常は州が公表しているので簡単に手に入る。
その結果、営利団体が情報を加工してウェブ上に載せることで
かなりのトラフィックと広告収入を得ていると思われる(*1)。
ただし、情報は膨大なものとなり、各利用者は自分の居住地域の情報
だけに興味を持っているので、紙媒体で採算に載せるのは難しいことが、
ほぼ完全にウェブ上での商売になっている理由だろう。

一方、日本では個別の公立学校の平均的な学力水準は公表されていない。
日教組のような団体のある日本では難しいだろうが
もしもこうしたデータが公表されたなら、
いち早くウェブを開設し、不動産や地域関係の広告をうまく集めて
広告料をとれば一儲け出来るかも知れない。

(*1) "Great School"など。
ただしS&Pが運営していた"School Matters"は広告を出していない。
現在は政府系のNPOであるCCSSOが運営しているとの記述もあり、
詳しい経緯はよく分からない。


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プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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