学生による授業評価(2010年冬学期) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

WS大では、早くも冬学期が終了した。
日本のGW期間中に期末試験がありその後はもう夏休みになる。

今学期も先学期と同じコースを持ったのだが、
学生による授業評価(Teaching Evaluation)は予想以上に良く
先学期は5段階(5が最高、1が最低)で
平均3.0程度だったのが今学期は4.5程度まで上がった。
基本的に先学期と同一内容の授業をやったのだが
何故ここまで違いが出たのだろうか。
思い当たる理由は以下の通りだ。

(能動的な理由)
― 成績を絶対評価に切り替えた。
― 成績の4%を出席点として、出席率を向上させた。
― 板書をきちんと丁寧にするよう心がけた。
― 授業で自らの経験をなるべく織り交ぜるようにした。

(受動的な理由)
― クラスの人数が少なかった。
― 人数が減った結果、個別の学生と話す時間が増えた。
― 礼儀正しい学生が多かった。
― 先学期と同一内容だったので流れがややスムーズになった。



どうやら、能動的な理由の中でもっともインパクトがあったのは
絶対評価への変更
であったと思う。
アメリカの学生は相対評価に慣れていないため、
例えば「原則的に6分の1の学生にAを与える」
というような説明をすると尊厳を傷つけられたと感じるようだ。
絶対評価と言っても先学期の結果を参考に基準を決めているし
中間試験の得点によって微修正を行っているので
実質的な基準は変わっていないのだが
原則論は重要らしい。
試験の難易度や得点分布はほぼ同じだが、
成績や得点に関する不満は今のところほとんど出ていない。

出席率と評価の相関関係も結構高いのかもしれない。
例えば、teaching evaluation では出席率の高い学生からの
評価は常に高い。これは、授業を気に入った人の出席率が高い
という単なるセレクション・バイアスの問題だと長らく考えていた
のだが、どうやらそれだけでもないようだ。やはり、
理由に拘わらず、授業に出席しない学生から良い評価を
もらうことは難しいということだろう。
ちなみに、私の授業はスライドを配布しているので
出席を取らないと来ない学生が多くなるようだ。

日本の予備校の授業などとは違い、結局のところ、
学生の一番の関心事は成績である。
そうした授業内容以外の点も結構重要であるということは
肝に銘じておく必要がありそうだ。


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テーマ : 教師に求められる能力
ジャンル : 学校・教育

昭和を支えた人々とこれからの日本 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

1989年1月7日、昭和が終わった。
小渕恵三官房長官が発表した新しい元号は「平成」。
「これからの日本は凡な績か、。」
という父のコメントが記憶に残っている。
奇しくも同じ年の12月29日日経平均株価は史上最高値をつけ、
その後の日本は失われた20年を経験することになった。

戦後の高度経済成長を成し遂げた昭和は
日本にとって輝かしい時代で、
戦後のベビーブーマー、いわゆる団塊世代は
その象徴的な存在であった。
彼らは昭和時代の成功を支えたのであろうか?

ナイーブなことに私はつい10年くらい前まで
奇跡の高度経済成長は団塊世代の努力の賜物だと信じていた。
私だけでなく多くの人々がそう信じてきたし、
団塊世代はそれを誇りにもしてきたと思う。
しかし、それは象徴的に創作された逸話だろう。
もちろん、彼らが平均的に優秀な労働者で
一生懸命働いた事は間違いないと思うが
高度成長を実現できたのは
西側諸国が冷戦下で日本を製造業の拠点の
一つにするという戦略をとり、
不当に安く設定された為替レート、
米国による安全保障と物資の大量受注、
といった好条件でお膳立てしたことが大きな要因と
考えるのが妥当に思える。

実際に戦後の高度成長を支えたリーダーは団塊よりも上の世代だった。
日本で伝説に残る企業家の多くは、
1900年頃から1920年代までに生まれている。
松下幸之助はそれより少し前の1894年生まれだが、
キヤノン初代社長のの御手洗毅は1901年、
本田宗一郎は1906年、ソニーの創業者の井深大は1908年、
盛田昭夫は1921年に生まれている。
ゼロからスタートした戦後は、混乱期を通して
優れた人材がいかんなく能力を発揮できた時代だった。
団塊世代を含む昭和生まれの人々は
そうしたリーダーのもと、安定した社会構造の下で
企業戦士としての役割を果たした。


翻って、今後の日本はどうなっていくだろうか?
長期的な経済予測のもっとも大きな手がかりになる
人口ピラミッドを見てみよう。

JapanPopulation.gif
(日本の人口ピラミッドの変遷: 1950年、2000年、2050年)


1950年、戦後の日本の人口ピラミッドは「富士山型」だった。
リーダーが新しい世界を切り開き、眺めの良い場所から
若い世代を引っ張って成長を成し遂げた。
2050年、日本の人口ピラミッドは百年前とは全く反対になる。
私はこの形を「トロフィー型」と呼びたい。
昔の栄光を痩せ細った若い世代が支える図式だ。

world-cup-trophy.jpg
(写真:FIFA ワールドカップ・トロフィー)

若年層のプレゼンスと自由度は低下し、
高齢世代がどのように活動するかが国にとって重要になる。
現在、団塊世代の引退が社会的に注目されているが
そうしたイメージとは逆に
今後10年以上に渡って団塊世代は依然として
社会に大きな影響を与えるだろうし、
2050年になっても依然として昭和生まれ世代が
どのように社会に貢献するかが
国の命運を左右することになるだろう。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

アメリカに留学したらお金を稼ぐべき -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私の友人にS君という人がいる。ちなみに日本人ではない。
彼の実家は祖国ではとても裕福らしくW大M校に私費で留学してきた。
財政援助の約束なしで入学してきたほとんど全ての大学院生が
必死になってアシスタントシップの仕事を探し
見つかった後は仕事と勉強の時間のやりくりに四苦八苦する中、
彼はすべての時間を勉強に使うことができた。
そうした実家の援助によって
彼はストレスの少ない留学生活を送ることができたと思うが
彼の英語力は一向に上達しない。理系の留学生は、
日本人に限らず英語が苦手な人が多いが、
TAをやりアメリカ人の学生に文句を言われながら
少しずつ英語が話せるようになっていく。
そうしてどんなに英語が苦手な留学生も3年目ごろには
とりあえず最低限の英語が使えるようになる。
彼はそんな貴重な機会を逃してしまった。

これはS君に限った話ではないだろう。
裕福な家に育った留学経験のある日本人の政治家が
英語を話せないのを見るたびに
どんな留学生活だったのだろうと私は思いをめぐらす。


私がW大M校にいた頃、TAもRAもInstructorもやったが
どれもかなりの時間をとられ、この時間を全て勉強や研究に
使うことができたらどんなにいいだろう、と何度も思った。

もしかして、家族がいなくて経済的に余裕があれば、
いくつかの仕事を断ったかもしれない。
しかし今となって思うことは、そうしたバイトのような
仕事でも全て経験となって将来に活かされているということだ。
どんな些細なことであっても
お金を稼ぐという事は社会に貢献するということである。
未知の国でお金を稼ぐということはかけがえのない経験になる。

確かに、お金をたくさん払えば良い学校に入れる可能性は
高まるしたくさんの自由時間も手に入れられるが、
本当に貴重な経験はお金を稼いで初めて得られるものだと私は思う。
それはTAだったり、研究室の手伝いだったり、インターンだったりする。
あるいは、家庭教師のバイトのこともあるだろう。

途上国からの留学生は貴重な経験を求めて働いているわけでは決してない。
必死でやっているうちに自然に貴重な経験ができてしまうだけだ(*1)。

もちろん日本からの留学生の大半も同じようにやっている。

しかし、もしあなたが経済的に恵まれているとすれば
時間や環境をお金で買えるというメリットがある反面
お金では買えない貴重なものもあるということに注意すべきだ。


(*1)例えば友人のZはカードローンを返済するためにインターンを3ヶ月やった。


テーマ : アメリカ留学
ジャンル : 海外情報

統計学PhDの取得年齢 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

統計学のPhDの取得年齢は、純粋数学に比べると幅広いのではないかと思う。

あまり人気がある分野ではないので
ある程度数学が出来れば、学部から直接入る人も少なくない。
中国人の最優秀層は、学部卒業までに3年程度飛び級し、
直接博士課程に入って4年程度で修了することが多いので
PhD取得時の年齢は23歳程度になる。私のW大M校の友人に
限っても、こうした人を二人知っているのでそれほど珍しい
例ではないと思われる。

一般的な例は、学部卒業から直接入った場合で20代後半、
一旦就職して2~5年程度で入学する場合だと30~30代半ばになる。

従って大半の学生は20代半ばから30代半ばで博士号を取得することになる。

ちなみに、友人の同期のアメリカ人の一人は50歳前後でPhDを取ったが、
彼の場合は若い頃に純粋数学のPhDを取っている。
また、私の指導教官(中国出身)もPhDを取ったのが40歳前後だと思うが、
やはり若い頃にコンピューターサイエンスの博士号を取っている。
いずれにしても、少し年齢が上がってから入学する場合は
ある程度の数学的なトレーニングを以前に積んだことがあるか
どうかが鍵
となっているようだ。

ブログ内の関連記事:
統計学PhDの所要年数


テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

アメリカの地域と人気 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカでは、州を国のように思っていて州の外に一度も出たことが
ないような人と、他の州にすぐに引っ越してしまう人がいる。

他の州に出て行く人にとって行き先の
物価、治安、経済状態といった点は当然重要だが、
温暖でいつも太陽が出ているというファクターは
極めて大きく効いていると思う。


ウィスコン*シンやミシガン州では、
住みやすいランキングで上位になる都市が結構多いが
これは住環境が良いのに寒くてつらいので人が集まらず
地価が安い、ということに過ぎない、と私は思っている。

私は6年前、十数校のPhDプログラムに応募したのだが
テキサスにある中堅の大学に落とされた時はびっくりした。
実際のところ、応募者数はW大M校より多いそうだ。
以前に触れたことがあるが、大学院の出願先のリスクを
分散する上では地域も考慮したほうが良い。

昨年末には、カリフォルニア大が32%の授業料値上げを発表した。
州立大として昔ライバルだった競合関係にあるミシガン大でも
5.6%値上げするが、カリフォルニアの財政危機を考えても
32%は流石に暴挙だ。
「お金払ってもカリフォルニアの方がいいでしょ?」
という思惑が見え隠れする。
そもそも、お金持ちや国費・社費留学生など
学費が意思決定に影響を与えない学生もいるし、
既に入学してしまった学生は逃げられない。

WS大もフロリダあたりに引っ越したら良いのではないか、
と今度冗談の通じそうな教授に相談してみよう。



テーマ : アメリカ留学
ジャンル : 海外情報

大学教員の給与と夏学期 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

WS大のカレンダーでは、
9月~12月が秋学期、1月中旬~5月初旬が冬学期、
5月中旬~8月上旬が夏学期となっている。
冬休みがやや短く冬学期が終わるのが少し早いが、
基本的にセメスター制を採る大学の多くは似た日程だ。

数学科や経済学科のように教員がニートっぽい学科では
ほとんどの教員が9月から5月までの9ヶ月契約(実働7ヶ月半)
となっており、残りの3ヶ月は給料は出ない。(*1)

NSFやNIHなど連邦政府その他のグラントを獲得して
夏の間のうち2か月分の給料を賄うのが研究者のインセンティブに
なっておりそれを取ることが「一人前の研究者」ということになる。

夏学期は授業があまりなく主に夏も大学に残る院生が入門的な
コースを教えるのがメインだが、大学院向けなどいくつかのコースは
教官が教えている。これは9ヶ月契約に含まれないので、
うちの大学では1コース教えることで、給料の1か月分
(=9ヶ月契約の給料の9分の1)がもらえるようになっている。

一般に、研究大学の若手は、「一人前の研究者」になることを推奨されるし、
夏にコースを持つとコンファレンスに行くのも難しくなってしまうので
あまり夏学期を教えるという話は聞かないが、
アメリカの大学に応募する人、特に家族がいてお金が必要な人は
知っておいた方が良いオプションだろう。

ティーチングカレッジについては事情はもっとシリアスかもしれない。
分野にもよるが数学科のように資金がそれほど潤沢ではない学科では
ティーチングカレッジの助教が、子供のいる家族を長期間養うのは
あまり現実的ではない。一方で研究のrequirementはかなり低いはず
なので、夏のティーチングについては就職面接の時に調べておいた
方が良い内容だ。

(*1) 資金が潤沢な学科では初めの数年間はある程度の補助が出ることもある。


テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

アメリカの若者も起業したがらない -- このエントリーを含むはてなブックマーク

なんで数学科の大学教員が起業とか労働問題についていろいろ書いて
トラフィックを集めているのか自分でもよく分からないのだが
今回は教員生活とも関係のあることを少し書こうと思う。

日本で優等生がこぞって医学部に行こうとしたり
一流企業に入ろうとしたりしていることは嘆かわしいことではあるが
アメリカの若者がリベラルでアグレッシブかというとそんなことはなくて
大半の学生は非常に保守的だ。


ベイエリアやニューヨークは別かもしれないが
その他の地方では医学部志向は異常なほど高い。
日本と違って医学部は大学院扱いなので
国中の学部生の優秀層がこぞって医学部を志望している。

デトロイトにあるWS大はその傾向は特にひどく
私の教えている統計のコースでは上位15%の学生のうち
7~8割は医学部志望である。
数学教員志望とか、コンピューターサイエンス専攻の学生は
平均すればあまり数学ができない。
これは危機的なことだ(*1)。
現在デトロイト圏に残っている人々は、
親戚がみなデトロイト周辺に住んでいて
将来もデトロイトに留まりたいという人が多い。
しかし製造業の衰退で仕事が減っているので、
医師になることが唯一の良い生活を送る道だと考えるようだ。
これは日本の地方の高校生と似ているように思う。

日本と違うのは、
起業したい人を支援する仕組みがいろいろあることだ。

特にデトロイトでは復興支援のために
いろいろな枠組みが用意されている。

例えば、WS大構内にはBizdom U
(Bizdom は business と wisdom から作った造語だろう)
というNPOがあり、起業したい人達を支援するプログラムを提供している。
そこでは、会計などのビジネスの基本や、事業戦略の立て方、
マーケティングの仕方などが教えられている。
週40時間で4ヶ月間のフルタイムのプログラムで、
そのあと8ヶ月はフォローアップ研修が週一回あるそうだ。
生徒は入学前に建てた自分の事業プランをそこで具体化していく。
そして、デトロイト市内で起業する有望なプロジェクトには
最大10万ドルまで出資するという枠組みもある。

そんな立派なプログラムなら学費も高いのではないか、
と思われた向きもあるだろう。気になる学費は、
無料
である。
しかも生活費が月1500ドル付いてくるらしい。
要するに、
「お願いですから起業してください。有望ならお金は出します。
研修中は仕事ができないから生活費を出します。」

というプログラムなのだ。

アメリカ人が、スティーブ・ジョブズみたいな人ばっかりだったら
もっとエクサイティングな世の中になるだろうし、
経済も素晴らしく成長するだろう。
しかし現実はそうではない。
保守的な人がほとんどだからこそ、
保守的でない人を大いに尊敬する文化を
つくらなければならないのだ。



(*1)ただし、移民受け入れで上手くまかなっている。


テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

娘の父親像 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

娘は私がM校の大学院生のときに生まれ、
私はそのまま大学で働いて似たような生活をしているので
父親が働いているという意識が無い。
娘の世界観では、

自分 → プリスクールにいく
パパ → ダイガクにいく
ママ → たべものをかってきてごはんをつくる

という役割分担になっており
プリスクール → キンダー → … → ダイガク
という風にダイガクというのは
プリスクールの延長だと思っている。

今日、夕食の途中で娘が話しかけてきた。

娘「ねえ、パパのダイガクの先生はどんな人なの?」
私「あー、パパは実は先生をやってるんだよね。知ってた?」
娘「(呆然とする娘)…知らなかった。」
私「●●●(娘の名前)も先生になる?」
娘「うーん、ならない。まだ小さいし。英語とか難しいし。」

そんなわけで、娘も世の中の仕組みが
少し分かってきた頃かもしれないので
私ももうちょっと真面目に研究しなければいけない。


テーマ : パパの育児
ジャンル : 育児

日本のマクロ経済政策が適切でない理由 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

誰もが需給ギャップが大きいことを認めていても
日本政府は財政支出を拡大しないし、
どう考えてもデフレでも
日本銀行は積極的に金融緩和をしない。
なぜそんなことになっているのだろうか?

財政赤字が増えるとハイパーインフレが起こるとか、
無担保コール翌日物が0%に張り付いたら
もう有効な金融緩和はできないと言った説もあるが、
それはせいぜいブログのトラフィックを増やすためのネタだろう。

私なりに考えたのは以下の二つの理由だ。

1.関係者の利害の一致

普通の国では政府は人気取りのために財政支出を拡大しようとし、
中央銀行がそれに抵抗して物価を安定させようとすることで
バランスが維持される。
しかし、昔から言われていることだが日本では財務省の権限が強すぎ、
財政赤字を減らすことで彼らが予算配分の自由度を上げて
権限を拡大したいという思惑が働く。
財政赤字の削減はインフレには抑制的なので
中銀との利害が一致してしまいバランスが損なわれる。

2.他国との財政赤字のバランス

ハイパーインフレ論者の論拠はほとんどないが、
ある時点でコントロール不能な急激な変化が起こるとすれば
資産が一挙に海外に流出して政府がファイナンスできなくなる
という可能性だろう(*1)。

逆に言えば、諸外国とのバランスさえ取れていれば
そうした問題は起こらないのでかなりのレベルまで財政赤字は
安定的に維持可能なはずだ。

つまり、もっとも深刻な需要不足に陥った国は、
他の国が似た状況になって財政出動するまで
財政赤字を増やせないという大きなコストを負担することになる。

国家間の財政赤字のばらつきというのは
今後重要になっていくテーマだろう。

通貨の安定のためにユーロが導入された時、
各国の財政赤字のGDP比を3%に抑制する予定、
と聞いて、センスがないな、と思った。
ユーロ圏をデフレにして最強の通貨にするのが目標なら別だが、
変動為替制の下で経済を安定化するためには
財政赤字水準ではなく国家間のばらつきに
主眼を置くべきであるように思う。

(*1) 変動為替制度のもとでなんでそんなことが起こりうるのかは
私にはよく分からない。端的に言えば1ドル=100円でもドルを
買わなかった人が、翌月には1ドル=200円でも先を競って
買うということだ。

そんなわけで、日本のマクロ政策は理由があって
不適切な状態が維持されているので、
あまり多くを期待しないほうがいいだろう。




テーマ : これでいいのか日本
ジャンル : 政治・経済

働く必要さえなければ日本は天国 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

US News から、面白いニュースが報道された。記事は、

What do Japanese-American retirees know that we don't?
(日系アメリカ人が知っていて、我々が知らないことって?)

という一文から始まる。アメリカの年金を受け取っている人のうち
日本に住んでいる人の割合が9年前の7倍の37,600人に達したとのことである。
人数で見ると、カナダ(105,000人, 19%増)、メキシコ(48,800人, 13%減)に
続いて3位だが伸び率は際立っている。
アメリカで働いたことのある多くの日本人や日系アメリカ人が
老後は日本に帰って暮らしているということが見て取れる。

アメリカの労働環境は日本より優れた点が多いと考えられるので
若い頃はアメリカで働き、歳を取って引退したらサービスレベルの高い
日本に帰って悠々自適に暮らす、というのは合理的に思える。

もっとも記事では触れられていないが、2005年に日米社会保障協定
施行され、日米の年金保険料納付期間を合算して受給資格を得られる
ようになったことも大きな要因だろう。
なおこの場合は、それぞれの国での納付期間に応じた年金が支給される。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

恋愛市場の裁定取引 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

恋愛市場における異性としての魅力の高低は
文化的な価値観に依存するところが大きいが
国際的に考えるとどうも裁定の機会が存在している
ような気がしてならない。


例えば、M校の統計学科には韓国人がたくさんいて男女半々くらいなのだが
魅力的な女性がたくさんいるにもかかわらず、
男の方が文句ばかり言っていてなかなかくっつかない。
「結婚したら、かぞえ歳で30歳までに子供を産んで欲しい」
「博士課程に入るようなアグレッシブな女はダメ」
などと彼らなりに色々と条件があるようで、
そうした男は韓国に帰った際に相手を探したりしている。

一方、学科にいた女性の例を挙げるとこんな感じだ。

Aは、落ち着いていて話のうまい女性で、年齢はたぶん30歳。
昨年PhDを取得、サンフランシスコで有名企業に就職して年俸は12万ドル。
金銭感覚がないのか家賃が3800ドルの海の見える2ベッドルーム
を借りて暮らしているが、彼氏なし(昨年時点)。
妹夫婦に一部屋貸して一緒に住んでいる。

Bは20代後半のはずなのだが、
秋葉原の駅前に放置すれば簡単にロリコンがバス1台分釣れそうなベビーフェイス。
もの静かだがノリがよく、飲み会や食事に誘えば必ず来てニコニコしている。
彼氏はおらず暇なので、ジムやアイス・スケートに頻繁に通っている。

この状況を男性側から発言小町の相談者風に書けばこんな感じになるだろう。

有名国立大の博士課程にいる30代男性です。大学院を出たら働こうと思っています。
年齢も年齢なので結婚したいのですがなかなかいい女性が見つかりません。
知り合いの女性は、一流企業勤めで年収一千万超だけど30歳を超えていたり、
20代で容姿や性格は悪くないものの子供っぽすぎたり、
と一長一短でなかなか「これは」と思う人がいません。
結婚したくなるような魅力的な女性は一体どこにいるのでしょうか?



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テーマ : 国際恋愛
ジャンル : 恋愛

アメリカの確定申告 (Tax Return) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本にいる皆さんは、米国の4月15日がどんな日かご存知だろうか?

この日はTax Return (確定申告)の締切日である。
基本的に所得のある全ての人は前年の所得を合算し、
納税額が足りない場合は差額分を納め、
納税額が多すぎる場合は税務署から返してもらうことになる。

ちなみに連邦所得税に所得が無い場合も、
確定申告の免除を申請するためにフォーム(Form 8843)を提出する必要がある。

国税を集める連邦政府の歳入庁(IRS)と地方税を集める州政府は
全く別個に税金を徴収しているので、
別々に申告しなければならない。

デトロイト市で働いている人に限るとさらに市民税がかかるので
それも別に申告しなければならない。。
確か市内に住んでいる場合が2.5%で、市外に住んでいる場合が1.25%だ。
求心力のある大都市ならともかく。
人口流出が進むデトロイト市が特に高い税率をかける合理性が
あまりないのだが、デトロイトというのはそういうところなのだ。

さらに私の場合はW州から8月に引っ越したので、
州税は一定の方式に従って二つの州に払わなければならない。


大抵、1月末頃には前年の所得が記載された源泉徴収票(W-2 Form)
やその他の必要書類が届くのですぐにやればいいのだが
いろいろ面倒な手続きの問題もあったりして
またしても直前になってしまった。
必要書類が揃っていて説明書を読む気力さえあれば
誰でも記入できると私は思うが、慣れないと時間はかかる。
私は今まで申告を訂正をされたことはない。
一度申告どおりに払い戻されなかったことがあり
IRSに電話したら職員の知識が不足していたので
該当項目の概念を解説した上で直してもらった。
具体的には、
「親が非居住者で子供が米国市民の場合の養育費の税額控除の方法」
についてだったのだが、その後制度が変更されて
そういうややこしい控除は廃止された。

税理士に頼むと節税になるかどうかはケースによる。
留学生の場合、最初の5年間は非居住者になるので
アメリカの普通の税理士に頼むのは賢明でないだろう。
そういうイレギュラーなものになると彼らはあまり当てにならない。
一方、控除がいくらまで認められるか
といったノウハウを彼らは持っているはずなので
多少有利になることはあるだろう。

まあ、どれくらい当てになるかも分からないし私は頼んだことがない。
大体、サービスを他人に頼むということのリスクがこの国では大きいし、
最初の年に頑張れば、翌年以降はあまり変わらない。

方法はオンラインと郵送のどちらかが選べるのだが、
いろいろ例外がある場合はオンラインだと面倒なので
いつも郵送で出している。

そんなわけで、先週土曜日(4月10日)
にやっとのことで4通の確定申告をまとめて出してきた。

ぎりぎりに出したつもりだったのだが
郵便局員がニコニコして「早いね」なんて言っている。

4月15日消印有効なのだが、
3分の2がオンラインになった今でも
4月15日の郵便局は長蛇の列で1時間半待ちになるそうだ。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

理数系に女性を増やすことは大事 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

いままでブログ上で懇意にして頂いてきた毒の助さんが、
「理数系に女性を増やそうとするのはムダなのではと思う件について」
という記事を書いてきた。
これは当ブログの趣旨を真っ向から否定する宣戦布告
とも言える記事であり反対の論陣を張らなければならないだろう。


まず、サイエンス系に比較的多くの女性が進出しているアメリカにおいても
理数系、特に数学に近い分野の女性比率が依然として低いのは
厳然たる事実だ。
大学は伝統的に男性社会であったため、アメリカでは
アファーマティブ・アクション(AA)と呼ばれる
マイノリティー優遇策が長年取られている。
具体的には、女性や黒人、ヒスパニック(*1)といった
人口比で教員が少ない層を優遇して比率を上げようというものだ。
確かに、こうした施策は優秀である人の可能性を閉ざすもの
であるとする批判的な意見も根強い。

(*1) アジア人男性などアメリカにおいて社会的に成功している層は
モデル・マイノリティーと呼ばれ、優遇されることはない
(より詳細な考察はこのあたりのエントリーを参照)。

こうした批判は当たっている部分もあるが、
理数系の女性増加への努力は
人材の交流を活発化させる点でメリットが大きいと考えられる。

日本で下心丸出しの中高年の研究者が若手女性研究者に近づこうと
しているのを見た事はないだろうか? あれは大変醜いものだが、
多くの男性研究者がそうした若手女性研究者に近づくことによって
全ての人が「友達の友達」になることができ、知らず知らずのうちに
人的交流が活発化しているのである。

また、アメリカの統計学科では数学科と異なり、
女子学生の比率は3割程度と比較的高いがこれは学生の交流に
プラスとなっている。私が学科の友達と飲みに行く時はまずは
女の子を確保し、それから友達を誘っていた。男ばかりでは
会話の内容も偏るが、男女のバランスを取ることによってリラックス
した雰囲気を作ることができ、最終的にみんなが仲良くなることが
できるのだ。これは、心理学科や英文科から女性を誘ってくれば
いいという問題ではない。合コンもどきをやるのではなく、
自然なコミュニケーションを取ることが大事なのだ。

数学系の分野では、実験設備など大掛かりな装置が必要ない分、
人材交流が研究の根幹を担っているといわれる。
男女比率の改善は、ここで重要な役割を果たす。



また、数学系の学科は男性比率が高いのでAAが特に活発かというと
アメリカではそうはなっていない
と私は思っている。
これは比較優位の理論で説明できる。すなわち、
大学は研究者の質をなるべく下げずに全体としての女性比率を
上げようとする。その結果、女性が比較的強い人文系や医学系などの
分野で女性を採用を更に活発化する一方、女性が元々少ない分野では
性別を気にせず男性をたくさんとるという方が全体としては合理的なのだ。
アジア人女性の教官が非常に増加していることも同様の方法で説明できる。

もちろん、AAというのは最後の手段であって
あくまで社会の固定観念から女性を解放することによって
偏りを解消するのが最も望ましい。

諸外国でも、人文系は女性に人気があり工学系・数理系は人気が低い。
しかし日本においては、そうした分野的な偏りはあまりに極端すぎる。

当ブログは、女性解放を通して男性社会にもメリットをもたらす
そんなWIN-WINの関係を目指して啓蒙を進めていきたい。


テーマ : これでいいのか日本
ジャンル : 政治・経済

書評:ルポ 貧困大国アメリカⅡ(堤未果) -- このエントリーを含むはてなブックマーク



日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した前作「ルポ・貧困大国アメリカ」の続編である。
筆者の堤未果氏は、昨日亡くなったジャーナリストのばばこういち氏を父に持ち、
薬害エイズ事件原告の川田龍平氏を夫に持つ。

前作同様、実地で行ったたくさんのインタビューを交えながら現代のアメリカの暗部を
見事に描き出し、読みやすい文章とインパクトのある数字を織り交ぜることで読者を引き込む。
本書で取り上げる問題は、教育制度、健康保険制度、刑務所の3つだ。

先日のエントリーでも取り上げたように、
20年以上にわたって続く高等教育の学費の暴騰
中流階級の多くの米国民にとって大きな懸念材料になっている。
本書には、学費の高騰と民営化された奨学金制度の組み合わせによって
いかに中流家庭の高等教育の機会平等が失われたかがはっきりと描かれている。
大学卒業後、多額の借り入れと高金利によって苦しむ米国民の
姿を描いたケーススタディーの数々はまた、
「ファイナンスの知識に長けたアメリカ人」
という日本での固定観念を打ち砕くのにも十分だ。
ほとんどのアメリカ人は金融機関が仕掛けた罠に簡単にはまってしまう
極めてナイーブな情報弱者だということがよく分かるだろう。


健康保険制度については、2つの章を割いて最も詳しく解説されている。
特にオバマ政権発足後に、どのようにして健康保険法案が骨抜きにされ
社会的弱者の希望を失わせたかが分かり易く書かれている。
そうした経緯を読むと、アメリカの大統領が巨大な利権を差し置いて
改革を行うことがいかに難しいか
ということがよく分かるだろう。
国による一律の公的保険制度や、公的保険と民間保険の選択制、
といった各制度について賛成派、反対派の意見を多面的に紹介して
いる点も良い。

最後の章は、前作にはない刑務所の問題に焦点を当てている。
刑務所ですらビジネスとして扱われているアメリカの現状は、
政治家と民間業者の癒着という典型的な問題のみならず
オフショアリングが進む米国経済では貧困が構造的な問題
であることを示唆するのに十分だ。

本書には物足りない点もいくつかある。

一つは、著者の堤氏は明確に左派のジャーナリストであり、
問題意識は社会主義的な視点に偏っている点だ。
アメリカを正しく理解するためには、
本書を読みながら、同時にアメリカが活力を維持している
理由も考えなければならないだろう。


現状の分析が単なる分配の問題として片付けられている点も物足りない。
建設的に将来のことを議論するためには、教育に関しても、医療に関しても、
サプライサイドの非効率を問題として扱っていく必要がある。

こうした点は本書ではなおざりにされ、
草の根レベルの啓蒙活動という方策しか示されていないのは
前作と同様少し残念である。

しかしながら、こうした点を差し引いたとしても
現代の米国の構造的な問題を丁寧に現場から取材したルポは
依然として日本語の文書としては大変貴重であり、
アメリカに住もうとする人はもちろん、
アメリカ社会を理解したい全ての日本人にお薦めの一冊である。


(前作はこちら↓)


テーマ : 貧困問題
ジャンル : 政治・経済

Ann Arbor に行ってみた -- このエントリーを含むはてなブックマーク

4月になってかなり暖かくなってきたし、
できれば今年中に引っ越そうと思っていることもあり
昨日は観光がてらミシガン大のある Ann Arbor に行って来た。
Ann Arborからデトロイトのダウンタウンまでは約40マイル(64km)あり
高速が空いている時でも50分位かかるのだが、
WS大の結構な数の教員が Ann Arbor から通勤している。
それだけ魅力のある町なのだろう。

Ann Arbor は、市内の人口11万4千人、都市圏人口34万2千人
程度の小規模な都市だ。米国でこの規模の都市はおおよそ
主な機能が5-6マイル四方に収まっているので生活には便利だ。
人種構成は、白人75%、黒人9%、アジア人12%、ヒスパニック3%
となっている。

これはあくまで私の主観だが、
アメリカの田舎で人口構成上、
日本人にとって住みやすいのは
白人の比率が60%~85%前後、
マイノリティーのうちアジア系の割合が最も高い
という2条件を満たす町と思う。
白人が50%を割るような都市では治安や教育水準に問題があることが多く
白人が90%を超える都市は保守的だったり
ノン・ネイティブの英語が通じにくいことが増えてくる。

Ann Arbor が学園都市であることや人口規模や人口構成から
W大M校のあるM市と似た感じだろうとイメージしていたのだが、
実際行ってみたら「Ann Arbor の方が一枚上」と感じだ。

確かにリベラルで開放的な感じは似ているのだが
M市に比べると Ann Arbor の方が圧倒的にオシャレだ。
カフェ、レストラン、雑貨屋などのレベルが違う。
ウィスコンシンは良くも悪くも田舎なのだろう。
ついでに大学の図書館などにも入ってみたが
大学の施設もW大M校より綺麗で立派だ。

若い人が多くてリベラルな町というのは雰囲気が明るくていい。
レストランの店員もかわいいし、
ピチピチの女子大生がいるのも良い。

ミシガンに引っ越してきてからかなか感覚が掴めなかったのだが
今住んでいるTroy市もそれほどリベラルな町ではないような気がしてきた。
人種構成そのものは、Troy市も白人82%、黒人2%、アジア人13%、
ヒスパニック1.5%と比較的似通っている。
また、隣町の Birmingham はかなり保守的な町なので
Troyは相対的にだいぶリベラルに感じられるが
大学町と比べてしまうと差は明白だ。

妻は Ann Arbor が気に入って
「私は Ann Arbor に住む!」
と言っているが、通勤が片道1時間というのは
電車ならともかく車ではあまり現実的でないと感じる。
週4回通勤するとして一週間で4時間のロスになる。
Troyから Ann Arbor までも片道1時間なので
仮にTroy市に住んで Ann Arborに毎週遊びに行っても
週2時間の節約になる。

また、Ann Arbor は近年住宅価格があまり下がっていないので
Troy市の周辺に比べれば住宅価格は5割増である。

そんなわけで住むのは難しいにしても
定期的に遊びに行きたい町だと思った。

そういえば、友人が秋からミシガン大の大学院に入るかも知れない。
Ann Arbor 在住の方、オフ会やりましょうw


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

子供のなりたい職業を国別に調べると -- このエントリーを含むはてなブックマーク

クラレは、子供がなりたい職業を毎年発表しているらしい。
結果は以下の通りだ。

●日本(クラレ, 2010, 6歳)
[男の子]
1) スポーツ選手
2) 警察官
3) 運転士・消防士
4) 消防士
5) 職人
6) パン・ケーキ・お菓子屋
7) 学者
8) TV/アニメキャラクター
9) パイロット
10) 医師

[女の子]
1) パン・ケーキ・お菓子屋
2) 花屋
3) 芸能人・タレント
4) 教員
5) 看護士
6) 保育士
7) スポーツ選手
8) 美容・理容師
9) 医師
10) アイスクリーム屋

適当にググって諸外国のものも調べてみた。

●米国(Forbes, 2006, 順不同)

- Astronaut
- Athrete
- Dancer
- Doctor
- Firefighter
- Lawyer
- Movie Star
- Police Officer
- Rock Star
- Writer

●イギリス (Creative & Cultural Skills, 2000)
1) Doctor/Nurse
2) Vet
3) Footballer
4) Teacher
5) Actor/Movie Star
6) Writer
7) Dancer/Ballerina
8) Pilot
9) Pop Star
10) Astronaut

●シンガポール (Adecco Singapore, 2009, 7-14歳, 順不同)
- Lawyer
- Doctor
- Teacher
- Police Force


対象年齢などの条件が揃っていないので比較は難しいが
日本と他国の決定的な違いが一つある。それは男女別に
分けて統計をとっていることだ。

きっと小学校高学年くらいになれば子供もこんな統計を
みる機会がある。いいかげん、こういう固定観念で物事を
みるのはやめたらどうかと思う。日本の初等・中等教育は
比較的優れていると思っているが、こうしたステレオタイプは
特に女の子にとってはマイナスになっていると思う。


私が6歳の時はNHKの7時のニュースを読みたかった。
テレビに出れるのってかっこいいし、
ニュースを読むだけで生活できるなんてラクそうだ、
と思ったからだ。

ちなみに、日本の6歳の女の子の一番人気は
「パン・ケーキ・お菓子屋」だが、
うちに生息している食いしん坊の大人は
未だにお菓子屋さんになりたいそうだ。


テーマ : パパの育児
ジャンル : 育児

キャリアと順序 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

昨日は数学科で年に一度のOwens Lecture という
少しだけ大掛かりなColloquiumがあった。
私の出身校のW大M校のからエンジニアリングスクールから
Stephen Robinson 教授が招かれて
Decision Science と数学の融合について話をした。
基本的に中西部というのは人気がないので
中西部の中で人材が交流しているケースが多い。
例えば、ミシガン大やW大M校のたくさんの卒業生が
WS大の教官になっている。

内容も面白かったのだが、学際研究とキャリアについての
考え方の説明が面白かったので紹介したい。

彼によると、若いうちに必要となることは
ともかく得意分野の専門性を磨くこと
だという。
若い人というのは大学であれば40歳前後まで、
准教授になる前までのキャリアを指していた。

他の分野の人と双方にメリットのある共同研究を
するためにはコアとなる専門分野が必要
あまり若いうちから学際研究をしようとすると
キャリアとしては上手く行かないことが多いという。

したがって、中堅あたりになってから分野横断的な交流が
促進されることが望ましいが、大学ではこの部分が
上手くいっていない
のが問題だ、と彼は主張する。
軍や企業は、中堅以上の幹部に対して、
他分野の人と積極的に交流する機会を与えており
大学よりもずっと上手くいっているという。

大学では、90年代以降、研究の蛸壺化が進んでいるように思う。
これはインターネットの普及によるところも大きい。
昔であれば、周囲の人が全く興味を持たなかった研究をすることは
難しかったが、今は世界中を検索すれば同じ興味を持った人が
数十人くらいは簡単に見つかるようになった。

人間は年を取るに従って複数のものを
関連付ける能力が上がると聞いたことがある。
オヤジギャグというのはそういう特性から生まれるものだとも聞いた。
脳の機能そのものに大きな変化がなかったとしても
経験が豊かになることによって関連付けをする能力は
明らかに上がっていく感がある。

ラッセルは、
一番頭が冴えている若い時に数学をやり、
思考が鈍くなったから哲学をやり、
最後に文学をやったと言ったそうだが、
逆の順ではどれも上手くいかなかったに違いない。
(うまくいったとしても真ん中の哲学くらいだろう。)

豊かな人生を送るには順序が大切だということだろう。


テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

統計学科の友人の就職動向2010 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

W大M校に帰って、統計学科の友人の就職状況をいろいろ教えてもらった。

金融関係に関心を持っている友人のR(中国出身)は、
四大会計事務所のうちの一つに就職。
博士課程はまだ4年目だが早くも就職を決めてしまった。

保険会社を辞めて統計学科に来た友人のS(韓国出身)は今年で5年目。
生命保険との絡みで生存時間解析をやっていたのだが、
別に応用は金融じゃなくてもいい、と感じ始めて、
癌研究の某巨大組織のポスドクに内定。
統計学科はこんな感じで
手法を中心に考えて応用分野を変える人
も結構多いのではないかと思う。

アメリカ人のBは、今年4年目。
Duke大とシンガポール大が共同で設立した医学部に
助教(assistant professor)として就職。
純粋なアメリカ人でも条件が良ければ簡単に
他の英語圏の国に流出してしまうという例。
英語ができて優秀な人はアメリカがダメになっても、
職に困ることはないだろう。


P(メキシコ出身)は今年4年目だが、
指導教官が2年前に他大学に移籍した。
M校の統計学科では、指導教官が移籍した場合、
指導教官を変えない限り2年以内に博士課程を修了しなければならない。
大学の人材の流動性は高いので、博士課程の学生はそういった
ルールに常に注意しなければならない。
本人の希望は、ビジネススクールの教官ポストが理想との事だが、
競争が激しいので企業のポスドクも考えているとのこと。

S2(韓国出身)は今年で7年目。
博論はもう出せるはずだが、就職がまだ決まっていない。
これはあくまで主観だが、統計学科のPhDで就職が決まらない人は
能力に問題があるというよりも、積極的に就職活動していない
ケースが多いように思う。

2006年頃までは、売り手市場で就職はいくらでも見つかったが
近年はジョブ・マーケットが良くないので、たくさん応募する
ことが大事だ。


ブログ内の関連記事:
統計学科同期の就職先の動向
米国企業は何故、博士を採用できるのか?
アメリカにいる統計家の生涯賃金(企業・政府部門)
学科のニュースレター


テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

デトロイト圏のパン屋 Zingerman's -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私は元々、パンが大好きなのだが
アメリカではおいしいパンがなかなか手に入らない。
(もっとも、日本なら手に入るのかというと
東京都心なら手に入るがそれ以外ではそうでもない感もある。)

特にアメリカのパンは詰まっていてもちっとした生地が多く
フランス系の硬くて腰のある感じのパンはなかなか手に入らない(*1)。
私はアメリカで売っているフランスパンは
「フランスパン型ベーグル」だと思っている。

(*1) ちなみに、クロワッサンは
Whole Foods や Trader Joe's 等で冷凍の生地を買ってきて
家で焼けば、まともなものが食べられる。

そんな中、ようやく見つけたのが Zingerman's というパン屋だ。
リアル店舗はミシガン大のお膝元 Ann Arbor にあるらしいのだが
Troy の Whole Foods で販売しているところを
妻が2度ほど買ってきて、食べてみたところ
普通に日本の基準でおいしいと思う。
(ただし、私のパンの好みは標準的でないかもしれない。)

以前に紹介した Polish Market のパンもおいしいが、
ドイツ・スイス系に近いパンなので
毎日食べたら私は多分数ヶ月で飽きてしまうと思う。

フランス系のパンは日本人にも受けがいいので、
パン好きの人は試してみられることをお勧めしたい。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

デトロイトにも春がやってきた -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今学期は、高速の渋滞に嫌気が差してほとんど毎日、
Woodward Avenue というデトロイトの廃墟が延々と続く道を使って通勤をしているのだが、
暖かくなるにしたがっていろいろな人を見かけるようになった。

例1:
デトロイトの北限に近い7マイル・ロード付近。
ホームレスが長距離の移動を始めたらしく
スーパーのカートに家財道具(?)を全て載せて延々と歩いている。
大きなダンボールに
HELP
PLEASE
HOMELESS

と書いて道路に向けて載せてある。学校英語に慣れ親しんだ私としては
Please help homeless の方がいいのではないかと何となく思った。

例2:
大学近辺のWoodward Avenueに近い小道の交差点で先頭の車が動かない。
するとその車から黒人の男性が降りてきて、車の脇に立ったまま止まっている。
後ろの車がその車を追い越して交差点に侵入したので私の車も後を追った。
通りすがりに停まった車を見ると、
その男性は小さなタンクでガソリンを入れているところだった。
交差点で停まった際にガス欠になったらしい。

例3:
朝方、午前10時頃に信号待ちをする初老の男性。
ビジネス用のトレンチコートを着ているが、
左足には白い運動靴、右足には紺色のスリッパを
履いていた。
右足用の白い運動靴か左足用の紺色のスリッパを
もっている方は是非彼に寄付して頂きたい。



そんなわけで面白い光景がたくさん見られる Woodward だが
欠点は警察によるスピード違反の取締りが異常に多いことだ。
市の財政が悪く、罰金を収入源にしているためだろう。
平均して行きに5台、帰りに2~3台のパトカーに遭遇する。
そんなに混んでいる道でもないのにこれだけいるとなると
1年間捕まらずに飛ばして走るのは至難の業である。

デトロイトはただでさえ危険な街なのに、
警察はそれをさらに危険なものにしている印象がある。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

通販でいろいろ買えちゃうアメリカ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日遠出した際に妻が運転して高速に乗ったのだが、
料金所でお金を払って窓を閉めるときにサンバイザー(日除け板)を
巻き込んでしまい、そこについているミラーを割ってしまった。

正確に言うと、妻が割れたことに今日気づいて
ちょうど一緒にいた車会社の友達に
「どうしよう!どうしよう!」
と聞いたところ、
「ディーラーに行ったら高そうだから
同じのはないかも知れないけど自動車用品店に行ったらいいんじゃね?
場所教えてあげるよ。」
と言われて聞いてきたとのこと。

症状を見たら、ミラーは割れてて少し危険。
ただ、ミラーはサンバイザーに埋め込まれているので交換は難しそうだ。
しかしよく見ると、サンバイザーはネジ2本で天井に固定されているだけだから
全体を換えれば簡単に綺麗に直せそうだ。
ただ金額は高くなるかもしれない。

とりあえず、googleで
「Honda XXXX(車種名) sun visor」
と入れて適当に検索してみたら、いきなり
「窓閉めるときに、サンバイザー巻き込んでミラー割っちゃったん
だけどどうやって直したらいいかな?」
みたいなQ&Aが出てきた。
しかも一件目の回答が、
「俺もやっちゃったんだけど、答え分かったら教えて。」
みたいなもの。
その後に、
「ヒュンデの車で同じことやっちゃって
ディーラーで直したら200ドル以上した。」

なんてコメントがついてる。
似てるのはHマークだけじゃないようだ。

部品売ってないのかな?
と思ってEBayで検索したところ、めでたく70件くらいヒット。
車種名も年式もピタリのサンバイザーがいくつも見つかった。
どうやら事故車のパーツで商売している会社があるらしく
中古品がたくさん出ている。
純正品がペアで75ドル、ノーブランドが50ドルと分かった。
奴に、
「やっぱ壊した人が払うよね?どっちにする?」
と聞いたところ
「25ドルの違いならやっぱ純正品よね。
100ドル単位の修理になると思ったから良かったー」
との返事(私は75ドルでも高すぎると思うのだが…)。

そんなわけで、アメリカはこの手の部品の流動性が高くて便利だ。
日本のサイトでも試しに検索してみたが、そのものズバリが
いくつも出てくるというような流動性はない。
つくづく、ネット通販でいろいろ便利になったな、と思う。

食料品店とウォルマートさえあれば、
もう従来型の小売店はほとんど使い道がないような気もする。



テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

日本の将来像が見えにくい一つの理由 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

城繫幸さんがブログで
「最悪期まであと2年! 次なる大恐慌」
という本を紹介している。

私はこの本を読んでいないので
本についてコメントすることはできないのだが
城氏によると内容は、
「生産年齢人口の割合が高くなっていく間(人口ボーナス期)に
工業化が進むと経済は急速に発展し、割合が減少に転じると
長期的な低迷に入るというもの」

らしい。
この意見は伝統的な生産関数によるアプローチで
一般的に考えれば妥当なものだろう。

しかし私は、こうした予測は現在の日本の状況には
当てはまらないのではないかと思う。

日本経済が20年にわたって低迷しているのは
新規産業が育っていないという構造的な問題に加え、
マクロ経済政策が適切でないこと、
すなわち財政悪化とゼロ金利を理由に
需給ギャップとデフレを放置していることが
一つの大きな理由だろう。
つまり、需要側が経済成長を阻害する大きな原因になっている。
高齢化が進んで生産年齢人口の割合が減ると
需要超過になる可能性が高いので
需給ギャップとデフレが解消し
投資も適度に活発になって
日本経済は案外うまく回るのではないかという気もする。

日本経済の需給が大きく改善する可能性が比較的高いのは
団塊世代が完全に引退する2012年の前後数年間、
そして団塊ジュニア世代が完全に引退する
2040年代前半頃の二つ
であると思う。

ここまでのストーリーはおおよそ
10年以上前から考えていたことなのだが、
最近気になっているのは
節目の2012年が近づいているにも拘わらず
その兆候があまり現れていないことだ。
理由はいくつか考えられる。

1.高齢者が消費しない

貯蓄が好きな日本人はもしかすると死ぬまで
貯金を続けるのかも知れない。そして遺産を子孫に残す。
そんなケースでは、必ずしも財・サービスの需給は改善しない。
ただ、ここ10数年の日本の家計部門の貯蓄率は順調に
低下しており、この仮説はどうもあまり当てはまらなそうだ。

2.企業部門の貯蓄率上昇

近年、日本の需要が足りないのはどちらかというと
企業部門の貯蓄率が高くなっているせいだ。
これは何が主因なのかは私には良く分からない。
単にコーポレート・ガバナンスが不完全なせいなのか、
人口構造の変化によって終身雇用制度の維持のために
バッファを積まなければいけなくなったのか、
デフレ下で負債削減のインセンティブが増したためなのか、
あるいは、また別の要因のせいなのか?

しかも、ここ20年の間には経済に色々な変化があったのに
「個人+企業」部門が依然として貯蓄超過のままというのは
何か大きな理由があるような気もする。
しかし、その原因もまた分からない。

3.逆資産効果

そもそも、これだけ日本の財政赤字が増大(=個人の債権が増大)
したのになぜインフレにならないのかというと、
不動産や株式などの価格がその分下落して逆資産効果を
生み出し、資産効果を相殺していることが大きい。
今後も、年金基金が流出超になり、人口がさらに減少すれば
需給の観点から株式も不動産もさらに下落する可能性が高い(*1)。
政府の累積債務の増加がインフレに結びつくのは
この逆資産効果のインパクトがなくなったときでは
ないかと思う。

(*1) 不動産と株を海外の投資家に買ってもらうことは
今後、ますます重要になる。

最近、ネット上では日本の将来を悲観する人が増えているが、
そうした人たちは高齢化の負の側面だけを取り上げがちで
「高齢化のメリットがどのようにして実現しないまま終わるのか」
ということに関する説明が欠けていることが多いように思う。


テーマ : これでいいのか日本
ジャンル : 政治・経済

家族連れ留学生・研究者の旅行の仕方 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ミシガン州の自宅から母校のW大M校までは約440マイル(720km)
ほどあるのだが、今回の博論のディフェンスは車で行ってきた。

飛行機で行っても良かったのだが、
今回は妻と娘もW州M市にいる友人に会いたがっていたので
3人で行くとなると車のほうが圧倒的に安い。

車ならガソリン代と有料道路の代金を合わせても、
往復で100ドルくらいだが、
3人分の飛行機代に加えて現地でレンタカーをするとすれば
1000~1500ドルくらいになってしまう。

確かに、飛行機ならデトロイトからW州M市へはデルタの直通便が
飛んでいて1時間半で行けるのだが、実際には空港まで1時間、
空港の待ち時間が1時間、レンタカーの手続きに30分かかると
すれば結局は4時間かかってしまうし、雪なら遅延もする。

そんなわけで私の出張は、家族で車で行って、
私がいろいろやっている間は奴と娘は好きな所に行って
観光しているというパターンが結構多い。

「仕事で忙しいんだゾー」というオーラを出して、
移動中の運転も奴に3分の2くらいしてもらう。

奴は私がいない方がのびのびできて都合が良さそうだし、
娘は旅行というのはそういうものだと最初から思っている。
私も時間だけ伝えておけば、都合の良い時間に迎えにきて
もらえるのでその方が便利だ。
家族の会話なら移動中の車の中で飽きるほどできるし、
私は観光にはあまり興味がないので、
空き時間にちょっとだけ行ければ十分だ。

海外に家族連れで留学や研究に行く人は、
このパターンで旅行ができると非常に効率が良いので
そんな旅行も考えておくと良いと思う。

ブログ内の関連記事:
家族連れ大学院留学の経済事情
― 社会人の大学院留学の機会費用とリスク3(適応リスク)
留学と結婚2


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
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   小説のように読める本。
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2.Matematical Statistics and Data Analysis
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