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減価償却費を払う日本人、金利を払うアメリカ人 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカに来る前に私が持っていたステレオタイプは、
日本人は生活を切り詰めてでもお金を貯め、
アメリカ人は借金をしてでも消費するというものであった。
いまでもこれは別に間違っているとは思っていない。
マクロでは日本の貯蓄率は高齢化でアメリカ並みに下がっているが
日本は高齢化が進んで貯蓄率は構造的に低くなることを考慮すれば
日本人はまだまだ貯蓄好きだと言えるだろう。

しかし、しばらくアメリカに住んで思うことのは、
日本人とアメリカ人ではお金の使い方が随分違う
のではないかということだ。

一見倹約家に見える日本人は、減価償却費をかなり払っている。

日本では多くの人が新築で家を買うし、車は平均的に新しい。
2007年時点で日本の乗用車の平均車齢は約7年だが、
米国では9.2年(NADA調べ, wikipediaより)だそうである。
私の友人は、米国にいたとき中古車を個人売買で安く買い、
2年間乗って買値よりも高い値段で売ったそうだ。
大学町では季節性を利用して卒業シーズンの5~6月に買い、
夏休みに旅行に使って入学シーズンの8月に売れば
多くの場合、買値よりも高く売れる(*1)。
家の平均耐用年数は、日本の31年に対して米国は44年
(国土交通省推計)というデータがある。

また、家電などもアメリカではガレージセールなどで中古品の売買が
盛んであり安く済ませようと思えばかなり安く済ませられる。
例えば、私のシャープ製の電子レンジは6年前に20ドルで
中古で買ったものだが、下手したら今でも20ドルで売れてしまう。

(*1) 税金の問題があるので実際に利益を出すのは少し難しい。
しかし個人売買では違法な取引が多そうだ。

一方で、アメリカ人は減価償却費が安いのに、
一体何をそんなに買っているのだろうか?


一つの答えはガラクタである。例えば、ウォルマートのような
総合スーパーにいくと、延べ床面積の6割程度は「GRKT」と
いう看板の下がったガラクタ・コーナーが占めている。これは、
Garden, Recreation, Kitchen & Toys の略で、その名の通り
園芸用品、レジャー用品、キッチン用品、おもちゃなどのうちで
必需品ではないが衝動買いし易いものを中心に並べられている。

しかし、アメリカ人がお金を使いすぎているのは、
こうしたガラクタだけはないだろう。
平均的なアメリカ人は金利をかなりたくさん払っている。

消費者信用市場の規模
を見ると、
アメリカの消費者一人当たりの消費者信用残高つまり借金の額は
約90万円と日本のおよそ2倍に達している。
その金利がプライム層でも10%前後、信用力の低い層では
簡単に20%に達することを考えると、
アメリカの消費者の金利支払いは
日本人を優に年間5万円以上上回っている可能性が高い。

これは統計上無視できる差ではないだろう。

日本では新しくて高い工業製品がたくさん売れ、
アメリカでは商業銀行が消費者からたくさんの金利を手にする。


日本の電機業界やアメリカの商業銀行が不調とはいえ、長い目で見れば
これは両国で利益の上がる産業と対応しているように思える。


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカでもっともブチ切れた瞬間 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

北米では、もうすぐJSM(Joint Statistical Meeting)が始まる。
開催地であるバンクーバーは、夏はとっても良いところだと聞いているので楽しみだ。

ところで、2年前のJSMはコロラド州デンバーであったのだが
学会が終わってから観光がてらコロラドのリゾート地に家族で2日ほど立ち寄った。
Vail という有名なスキーリゾートで、
コロラドから西に100マイル(約160km)ほどのところにある。
中西部のデンバー以東はひたすら平らな土地なのだが、
デンバーから西に行くと急に起伏に富んだ山岳地となり、
デンバーが栄えた地理的な理由が良く分かる。

デンバーは人種的にも多様でそれなりの都会だが、
Vailという町はお金持ちの白人が休暇をとって泊まりに来る
地元のリゾートで、他の人種は非常に限られていた。
そこでレストランに入ろうとしたのだが、
どうも様子がおかしい。

空いているので店に入ろうとすると、
「小さい子供(当時2歳半)がいるけど静かにさせられる?」
とウエイトレスに聞かれたり、後ろの客が先に案内させられたりする。

どうも歓迎されていないようなので、別のレストランに入った。
今度は混んでいて50~100席くらいあるレストランはほぼ満員だった
のだが、バイトと思われる20歳前後のウェイトレスの対応がひどい。
子供用のハイチェアを高い場所から下ろす時には
ほとんど娘の顔をヒットしそうになっていたし、
持ってきたカトラリーはテーブルクロスの上に無造作に投げ出された。
サービスレベルの低いアメリカでも
流石にテーブルクロスのあるレストランで
フォークやナイフが無造作に投げ出されることはあり得ない。

ここで、頭の回路がブチっと切れた僕は、
現場を仕切っていたウェイトレスを呼びとめてテーブルを見せ、
「これはどういうことだ!」
と言ったあと、立ち上がって、
わざと店にいる全員の客に聞こえるように
「この店には二度と来ないからな!」と怒鳴って店を出た。
日本では怒鳴る人は結構いるが、アメリカではタブー
とされているので相当なインパクトがあったはずだ。
それでもその女主人は不満そうに、
ウェートレスを擁護してごにょごにょ言い訳をしていた。
自分のアプローチがベストであったかどうかは分からない。
好印象を与えることと権利を主張することは
しばしばトレードオフの関係にある。
しかしブチ切れた後でも僕は少なくとも「意図的に」そうしたのだ。

アメリカであっても人種差別を根絶することは難しい。
差別的な考え方を持つことも、思想の自由であるという面もある。
しかしアメリカは、公の立場での人種や宗教に関する平等を
推し進めることで発展してきた国だ。レストランのような
公の場での差別は、アメリカのためにならない。

もちろん、こうした町はもはや全米の人口比で見れば小さな割合だろう。
両海岸の人が持つ「海に面していない州は今でもそんな感じだ」
というステレオタイプは多くの場合、当てはまらない。
一方で未だに存在していることもまた事実であるので、
マイノリティーのためにも、
アメリカ合衆国というシステムのためにも、
一刻も早くそうした雰囲気の街がなくなることを願う。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

親切な人が多い職業ベスト10 (アメリカ編) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

銀行員:
返せない人にもお金を貸してくれる慈悲深い人たち。

証券会社社員:
外貨を稼いでアメリカを豊かにしてくれるだけでなく、
頭の弱い金持ちの財産も市中に還元してくれる現代の石川五右衛門。

保険会社の担当者:
不用意な質問には常に慎重に答える信頼できる人たち。

自動車ディーラー:
ものの10分の交渉で何千ドルも割引してくれる太っ腹な人たち。

不動産エージェント:
買い手の気持ちになって安い家の欠点をタダで教えてくれる親切な人たち。

自動車整備工:
車が壊れるに適切な修理のアドバイスをくれる人たち。

税務署職員:
学術論文の審査に比べれば異常に早く確定申告を審査してくれるテキパキした人たち。

フォーシーズンズ・ホテルの従業員:
対人サービス業を行う他の全てのアメリカ人が見習うべき存在。

麻薬をやっていないデトロイト住民:
決して(無差別に)人を殺したりしない優しい人たち。

ビジネススクールの教授:
何を断る時にも、絶対にNOとは言わない上品な人たち。


(次点)
数学科の教授:
学生が社会に出る前に、結果が努力では買えないことを教えてくれる人生の師。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

先進国から都市国家へのシフト -- このエントリーを含むはてなブックマーク

シンガポールの2010年第二四半期の成長率が
前期比年率で26%に達したらしい。
通年の見通しも前年比13~15%と世界最速だという。

BRICSやVISTAといった新興国のプレゼンスが高くなっているのは
ここ10年の特徴であるが、シンガポールが際立っている点は
その経済水準が既に主要先進国のそれを超えていることである。
IMFによる2009年の購買力平価ベースの一人当たりGDPは、
50,523ドルとカタール、ルクセンブルク、ノルウェーに続いて
世界4位であり、日本の32,608ドルを5割以上も上回る。
更に、中間層に対する所得税率は10%以下と先進国を大きく下回っている。

シンガポールのような都市国家の隆盛は、
アメリカの金融危機問題、ヨーロッパの通貨危機問題
によって強調されている面もあるが、
私はこうしたパワーバランスの変化は恒久的なもので
数十年の長期に亘って続くのではないかと思う。
これはシンガポールには以下のような強みがあるからである。

1. 地方・農村部を持たない。

主要先進国では、インフラ整備や補助金の名目で
都市部から地方・農村部へ多額の所得移転が行われている。
こうしたコストがかからない都市国家は、
税率面で優位に立つことができる。

2. 世代間扶養の年金制度を持たない。

世代間扶養の年金制度はいわば人類史上最大のねずみ講だが、
シンガポールの年金は完全に積み立て式である。
今後、先進国の社会保障負担が増大することで
低福祉の都市国家の相対優位は更に高まっていく。

3.少子化の対策コストが存在しない。

主要先進国では、社会保障制度や経済規模を
維持するためには少子化対策を行わなければならない。
これは主要先進国では
1) 大規模(数百万人以上)の移民受け入れが供給側の事情から難しいこと
2) 上記1.および2.から移民獲得に関して競争力が低いこと
が主な原因であろう。
また、シンガポールについては、
中国、インド、マレーシアといった周辺国からの
移民希望者が集まりやすいという地理的・文化的な
アドバンテージもある

4.民主主義が実現していない。

経済成長のためには強力に資本主義を推進する必要があるため、
いきすぎた民主主義は経済成長の阻害要因となる。
民主主義の意思決定は人々の「効用」をベースに行われるので
概して社会主義的な政策が採られやすい。
これは、冷戦の記憶で凝り固まった人が見逃し易い点であると思う。



都市国家の経済規模は世界の中にあっては
それほど大きくないため問題になっていないが、
主要先進国との格差があまりに大きくなると
社会問題として注目される可能性もある。


一方、超長期で考えると、
シンガポールの政治的・軍事的なリスクが
主要先進国よりも高い点には注意が必要だろう。


テーマ : シンガポール
ジャンル : 海外情報

入学試験は全人格的であるべきか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今週は娘が一週間のサッカー教室に行っているのだが、
小柄なので、グループの中では一番背が低い。
4歳児と5歳児のクラスなので、4歳の娘は年齢も比較的低いのだが
なかには5歳とは思えないほど大きい子も結構いる。
…と思っていたのだが、どうやら同じ年齢でない子もいるらしい。
他の参加者の母親と話をしたところ彼女の娘は6歳だという。
その子は4月生まれで
12月1日で生徒の学年を区切るミシガンでは真ん中あたりだが、
クラスの中で大きいほうが良いからとわざわざ1年ダブらせたらしい。
もちろん、子供にとってどちらが良いかはケース・バイ・ケースだが
日本なら、親は競って上の学年に入れようとするのではないだろうか。
そのあたりに、考え方の違いがあるように思える。

アメリカの教育では、リーダーシップが重視される。
それは、親が子供に望むことの国際比較調査を見てもそうだし、
アイビーリーグなどの大学入試では、成績やテストの結果だけでなく
リーダーシップ、社会貢献、課外活動などを含めて全人格的に評価される。
リーダーシップは、他の子よりも大きい方が発揮しやすいだろう。

一方、日本の教育では能力の開発が重視される。
だからこそ早期教育でいろいろ教えようとするのだ。
そして一流大学の入試は、今でもほとんど学力検査のみで決まっている。
公立高校の入試などでは内申書や課外活動を多面的に判断するので
アメリカの大学入試に近いところもあるが、
大学入試を頂点とした日本の教育システムで中心的な存在とはいえない。

それでは、入学試験はアメリカのように全人格的に判断すべきだろうか?

それとも日本のように学力だけで判断すべきだろうか?
結論から言えば、私は学力のみで判断すべきだと思う。

理由は単純で、その方が教育効果が高いと思えるからだ。
高校も大学も勉強をする場であり各授業は能力に応じて行われるべきで、
その能力レベルが均一な方が教育効果は高い。
自然科学、語学、コンピューターなどの科目では特にそうだろう。

全人格を判断する入学試験を行う社会的意義は非常に曖昧に思える。
もちろん、社会で生きていく上では学力だけでなく
全人格的な能力が大切なことは言うまでもない。
しかし、全人格的に選抜を行うことは極端に言えば、
生徒を、生徒会長タイプばかりを集めた学校と、
てんでまとまりの無い学校に分けることだ。
私はそこに社会的なメリットを感じない。

学力のみによる選抜は一見厳しいように見えるが、
それに成功した人は単に特定の分野の知能が高いに過ぎないし、
逆に失敗した人はその特定の知能についてレッテルを貼られるだけだ
(ただし、かつての日本ではそうではなかった)。
一方、全人格的に選抜試験をおこなえば、
それに失敗した人は全人格を否定されることになる。
社会で生きていくための方法は一通りではなく
必要な能力が職業や職種によって多種多様である事を考えると、
全人格的なスクリーニングをすることのメリットはよく理解できない。

もちろん、アメリカの私立大学が
全人格的な選抜を行う動機はよく理解できる。

社会に影響のある人物を排出することで、
その大学の評判を上げ、社会的な影響力を増大させることができるからだ。
このビジネスは長期に亘って非常にうまくいっているが、
それが社会的に望ましいかどうかはまた別の問題であろう。


テーマ : 教育問題について考える
ジャンル : 学校・教育

【書評】3年で辞めた若者はどこへ行ったのか?(城繁幸) -- このエントリーを含むはてなブックマーク


―― 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか?

国民生活白書によれば、95年以降、
大卒新入社員の3年以内の離職率は35%前後に達する。
この割合はバブル期前後に比べ、約10%も高い。
本書は、そうして会社を辞めていった若者たちの人生を追う。
彼・彼女らの人生は、多様性に富んだドラマでちりばめられており、
読み応えがある。

もちろん、新卒社員の離職率の上昇という社会全体での大きな変化は
単なる若者気質といった理由だけでは片付けられず、
日本経済の基礎的な状況が「昭和」の時代とは異なることが
原因と考えるべきだろう。
もはや日本は、これまでのような年功序列を基本とした雇用制度を
国全体で支える事はできなくなったのだ。
大きな理由は二つある。

一つは、人口構造の変化である。
年功序列制度は、従業員の年齢構成がピラミッド型に
なっていることを前提に維持可能なものであった。
つまり、この仕組みはねずみ講の規模が大きいものと考えることができる。
労働市場における人口構造の変化は、移民の流出入がない限り
かなり安定的に予測することができるため、
もはやこのねずみ講を本気で信じる人はいなくなったということだ。

二つ目は、経済構造の硬直化である。
冷戦で極めて安定した政治・経済体制下にあった日本は
官僚主導で非常に安定した流動性の低い年功序列・終身雇用の労働市場を作り上げ、
従業員のインセンティブを高めることによって、
製造業の生産性上昇という面では極めて優れた経済体制を作り上げた。
しかしポスト冷戦の失われた20年を通して分かったことは、
国民がそうした安定した環境の下で企業の歯車として頑張る
ということが、最早、たいした富を産まなくなったということだ。
変化と不確実性を受け入れ、新しいことに取り組むことこそが、
長期的に大きな富を産む。
そんな社会では、むしろ年功序列は積極的に破壊しなければならない。

著者は、弊害の多い年功序列という歪んだ利益配分システムを一刻も早く捨て、
労働法を改正して流動化を進めよと主張する。そして、新しい社会では、出世のような
共通の価値観ではなく、各人が多様化することによる豊かさを求めるべきだと説く。
一見奇異に見える会社を辞めた若者達のいくつものストーリーは、
そうした多様性の具体例である。


――― 「こちら側」と「あちら側」の温度差

城氏の主張は説得力があるし強く共感できる。
私も、低成長下で多くの人が豊かになるための唯一の道は価値観の多様化である
と思うし、それが究極的には社会のためにもなるのだと信じている。

一方で、本書を手にとった人の多くが私と同程度の共感を感じることができるか、
といえば、私は少し悲観的にならざるを得ない。

有名な大学を出た圧倒的に多くの人は、依然として厚く保護された伝統的企業の
正社員として勤務している。例え社内では「割を食う世代」であったとしても、
非正規の労働者として安定しない身分で働く人との既得権益の格差は極めて大きい。
そういう人たちも「究極的には」年功序列の崩壊や人材流動化が進むと考えている
だろうが、それはあくまでも「段階的に」進むもので、自分達の既得権益について
「多少の妥協」を強いられることはあっても、生活を脅かすほどではない、
と捉えているだろう。これは、中高年に限らず20代の若者でもそうだ。
そして実際、その認識はある程度正しい。

本書のような読み物やネット上で行われる言論では、
既得権益を壊して新しいものを創造しよう、という勢力のプレゼンスが非常に大きい。
しかし、リアルな社会で経済的影響力を持つ既得権益層との認識の乖離は
感覚レベルでは依然としてかなり大きいだろう。

本書に共感できる人には、なぜ社会の変化がこんなにも緩慢なのかを考えて欲しいし、
本書に共感できない人には、既得権益層とアウトサイダーの温度差を知って欲しい。

そんなわけで、本書はあらゆる年代と階層の人に読んで欲しい一冊である。


テーマ : キャリアを考える
ジャンル : 就職・お仕事

中古車の標準販売価格とバイアス -- このエントリーを含むはてなブックマーク

去年の春、ウィスコンシンを発つ前に買った2002年式のスバルが
あまりにレモン(*1)だったため、遂に新し目の中古車に買い換えた。
(*1) 状態の悪い中古車のこと

以前の記事http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-51.htmlにも書いたが、
これを機に中古車の市場価格についてもう一度触れておきたい。

アメリカには、KBB (Kelly Blue Book) や
NADA (National Automobile Dealers Association) といったサイトがあって、
標準価格は、年式、車種、走行距離、グレード、装備、地域など
を考慮して、中古車の標準価格を算出しているのだが、
どうやらこれらのサイトは常に価格を過大に見積もる傾向があるようだ。

例えば、私が今回買った15,000ドル弱の中古車
評価額は以下の通りになっている。
細かい傷はあるものの、ディーラー経由で買っているので
状態は下記の表現で Excellent と Good の中間くらいだろうと思う。
同様の車のネット上での小売価格は15,000-17,000ドルが中心であった。
実際の売値は更に安いはずだ。

● KBB (Kelly Blue Book)

小売価格 (Suggested Retail Price)
Excellent $20,340

個人売買価格 (Private Party Value)
Excellent $17,840
Good $16,790
Fair $15,090

下取り価格 (Trade-in Value)
Excellent $15,450
Good $14,500
Fair $12,800

● NADA (National Automobile Dealers Association)

小売価格 (retail value)
Clean $18,450
下取り価格 (Trade-in value)
Clean $15,350
Average $14,275
Rough $12,975

上記の評価が正しければ、
ディーラーは大雑把に言って下取り価格程度で
車を販売していることになり辻褄が合わない。

評価額が、利害関係者の圧力によって歪められている
ことは想像に難くない。

むろん中古車ディーラーにとっては標準小売価格が高いほうが都合が良いし、
新車ディーラーにとっても中古車価格が高いという事は
減価償却が遅いということだから究極的には望ましい。

下取り価格が高くなってしまうというデメリットもあるが、
消費者が下取りに出す車の状態はまちまちなので
いくらでも言い訳がつく。
しかも、消費者が下取りの見積もりを頼むのは、
買う事を決心して購入の直前まで進んでからである。

さらに、ディーラーによれば保険会社が全損事故の保険金を
払う場合にも、KBBとNADA の評価額が平均して用いられるらしい。
保険会社にとっては、一見、保険金が安いほうが助かるように
思えるが実際はそうではない。事故の際の賠償金額が高ければ
高いほど、保険市場が大きくなり保険会社は儲かるのである。
したがって、保険会社にとっても評価額は過大評価された方が
望ましい。

一方消費者にとっては、適正な標準価格の方が都合が良いが
個々の消費者は発言力が弱いので圧力にはなりにくい。

一見、客観的な統計であっても、
各利害関係者からの圧を考慮してバイアスを推し量ることは大切だ。
予測においては、多くの場合、
高度な統計手法を用いても精度を大幅に上げることは非常に難しい。
従って、バイアスを取り除くことは非常に重要である。

逆に言えば、一見、十分な情報が行き渡っているように見えても、
中立的な情報が不足しているケースも多くある。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカに持っていくべき電気製品 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

6月に日本に帰国した際にIH炊飯器を買ってアメリカに持ってきた。
アメリカでも象印の炊飯器が買えたりするのだけど、機種が限られたり
少々古かったりして、なかなか満足な機種が見つからなかったりするので
買ってきて良かったと思う。

(いま、Amazonで調べたらヨドバシ価格より実質4000円も安くてちょっと後悔した。)


これを機会に、
アメリカに引っ越す際、持ってきた方が良い/持って来る必要がない電気製品
をまとめておこう。

お勧め度を
4:強くお勧め、3:お勧め、2:止めはしない、1:不要
で表すとすると、

● お勧め度:4

― 電子辞書

単純にアメリカであまり買えないので。
ただし、日系の大型書店には売っていたりする。
よく言われるのは、日本語の辞書も入った方が良いという点。
個人的な英和辞典のお勧めはジーニアス英和大辞典、
英英はOxford Advanced Learner's。

― ノートPC

生活のセットアップする上で初めからPCを使えないなんて不便すぎる、
というのがお勧めする最大の理由。
また、日本語版OSの入手が困難だし、
軽いモバイルPCは日本の方がラインナップが充実している。
もっとも、英語版Windows でも(XP以降なら)問題なく日本語を
読み書きできる(ただしメニュー等は英語)ので
そんなに心配する必要は無し。

● お勧め度:3

― 炊飯器

上述。


― 変圧器(100Wくらい)

日本の電化製品用に。
ただし、PCは通常アダプター付きなので変圧器は不要。

― MDプレイヤー

今更とは思うが、まだ使ってる人の場合。MDはアメリカではマイナー。

― ヘア・ドライヤー

古典的な形のもの以外はアメリカでは種類が少ないかも。
海外旅行用のいろんな電圧で使えるものが便利。

― デジカメ

日本の方が若干新しいが、どこで買っても大差なし。
どうせ軽いので、既に持っていればお勧め。

●お勧め度:2~3

― 電気スタンド

アメリカではあんまり明るいのがない。
しかし、そこまでやるか、という反対意見もあり。

●お勧め度:2

― 変圧器(大型)

日本の炊飯器などの家電用に。
実は、アメリカでもAmazonとかで買えるので、その方が安そう。

― DVDプレイヤー

regionコードが違うので、確かに日本のDVDを再生する時には便利。
しかし、region free のプレイヤーをこちらで買えば済むこと。

― デスクトップPC

不便。一時帰国の時に使えない。

●お勧め度:1

― プリンター

アメリカのプリンターは安いので持ってくる意味なし。

― テレビ、家庭用電話機など

国内の規格に依存するものは避けた方が無難。テレビは重すぎ。

― 冷蔵庫、洗濯機

日本製は性能がいいけど、流石に無理。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

在外選挙 - 公平な選挙権って何だ? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本では参議院選挙7月11日に控えているが、
国外に住む日本人が投票したい場合には事前に在外投票をする必要がある。
ところが、この投票までの手続きが想像を絶するほど面倒くさい。

まず、事前に在外選挙人名簿への登録を済ませて置かなければならない。
そしてこれは、大使館や総領事館に在留届を届けを出すのとは
別個に行わなければならない。

これを、日本在住の日本人に例えるなら、
投票をするためには住民票を入れるだけではなく、
選挙で投票したい場合は、
別途、選挙の何ヶ月か前に申し込みを
しなければならないということだ。
しかもその際に、居住を確認するための書類の提出まで求められる。
そんなことを日本国内で実際にやったら、
選挙は組織票ばかりになるだろう。

事前に名簿への登録をしたら、簡単に投票できるというわけでもない。
一応、3種類の投票方法が準備されているが、
どれも非常に使いづらいものだ。

1.在外公館投票

文字通り、日本大使館や総領事館で投票するというものである。
投票方法自体は、日本での投票と似ているが、
いかんせん投票場所が少ない。
私が知る限り、これらの施設は全米で17箇所しかない。
米国の面積が日本の約24倍あることを考えれば、
日本国内に一箇所しか投票所がないのに等しい。

2.日本国内における投票

一時帰国している人のために、
国内でも日本在住の人と同じ方法で投票できるようになっている。
私は、ちょうど一時帰国していたので投票することもできたらしいが
そもそも、その案内自体が海外の住所に送られるので
案内をもらってすぐ日本に行く、というような
極めて特殊なケースの人しか投票できない。

3.郵便等投票

表題だけみると、これが一番現実的だと思えるのだが
よく読むと最大のジョークだ。
手順は次のようになっている。

(1) 在外選挙のお知らせを公示日(6/24)前後に受け取る
(2) 登録先の日本の市区町村に投票用紙を請求する
(3) 自宅に投票用紙が郵送される
(4) 投票用紙を登録先の日本の市区町村に送る

つまり、在外選挙のお知らせから約2週間のうちに
日米間で3回郵便のやりとりをしなければならない。

国際速達郵便を使ったところで、日本の市区町村が
速達で返信してくれる保証も無い。


こうした惨状が単なる役所のセクショナリズムによるものなのか、
あるいは組織票のプレゼンスを最大化したい政治的圧力が影響しているか、
私は詳しく知らない。

しかし、実質的に日本在住者と同じ権利が担保されていない
ことは明らかだろう。

民主主義の枠組みの下での選挙権は「投票が可能」であるだけでなく
その機会が平等で投票の価値も平等であることが必要である。


国民の総意を反映させるのが目的ならば、
有権者の(年齢、居住地、年収等による)各層の票は
投票率の逆数をかけて意思を反映させるのが
統計的には妥当な方法であろう。
そうした方法をとらないならば、
政府は全ての有権者層の意思を反映させるために
最大限の注意を払う義務がある。



テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

楽天の英語公用語化がビミョーな理由 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

楽天が2012年末までに社内で英語を公用語にすると発表した。
オーナー経営者の三木谷社長の強力な意向で決まったのは想像に難くない。

確かに、製造業を除く日本企業の海外進出がなかなか進まない現状を見ると、
言語面を強化しなければならないという問題意識は良く分かる。
英語を公用語化することには以下のようなメリットがあると思われる。

1.海外からの人材獲得が容易に

今後アジア市場などを開拓するにあたって、
優秀な幹部を雇用するには言語環境が英語である事は重要だろう。
現在、アジア域内で優秀な人材の多くが
米国・シンガポール・香港に集まってきている事実はこの事を裏付けている。
バックオフィス部門を海外、例えばインドなどに移管する際にも
社内が英語化されていれば障壁が低くなる

一方で、楽天は雇用慣行も米国を意識したものに変える必要がある。
採用のトップ画面が、「新卒」「中途」「MBA」なんて分類になっていたままでは
日本マニアの人以外は面食らうだろう。
グローバル企業の採用は、例えばグーグルのように分野別に
なっているのが普通だ。これは、年齢ではなく専門性に重きを置く
という企業文化を反映したものでもある。

また、給与体系も完全にグローバルなものにする必要がある。
優秀な幹部候補生を採りたいなら初任給は少なくとも年俸10万ドル
程度は払う必要が出てくるだろう。

2.市場開拓が容易に

自動車のような工業製品に比べ、国際的なサービス業は言語に
依存する部分が大きいと考えられる。ベンダーを集めるためにも、
現地語でセールスをしなければいけないし、エンドユーザーに届く
サービスは現地の言葉と文化を反映したものでなければならない。

必要な言語はもちろん英語に限らないが、
マネジメントのレベルでは英語は共通言語として使えるし、
英語圏がインターネットの活用面で日本に先行していることから
社員が英語圏の事情に詳しくなることには一定のメリットがある。

日本市場は、グローバル企業にとっては将来性のない市場だ。
楽天のプレゼン資料にもあるように、
2006年に世界の12%を占めていた日本のGDPは、
2050年にはわずか3%になる見込みだ。
海外市場を開拓することなしに楽天の長期的成長は見込めない。

3.論理的な業務の運営が可能に

好きな異性に気持ちを伝えたり、文学作品を読んだりするのには
母国語を使うのが一番便利だろうが、仕事をする上ではそうとは限らない。
限られた言語能力を使って、脳内で内容を論理的に構成し、簡潔にして翻訳する
というステップは、案外、合理的な意思決定の助けになるかもしれない。
往々にして、人は母国語のままでは論理的に考えるステップを省略しがちだ。


しかし、私は、こうしたメリットを考慮した上でも
楽天の英語公用語化には疑問を感じざるを得ない。
主な理由は以下の通りである。

1.現状の海外売上比率が低すぎる

直近の2009年時点でも、楽天の海外取扱高比率はわずかに8%、
しかも、海外企業の買収を除くとなんと1%に過ぎない。
つまり、楽天が近年、高成長を遂げているとはいえ、
そのほぼ全てが日本の国内市場によるものなのだ。
楽天は、将来的に海外比率を7割に引き上げたいとの目標を
持っているようだが現在のところ、これは机上の空論に過ぎない。

安定的に利益を伸ばしている日本のオペレーションに大ナタを振るってまで
全く実績の無い海外部門のために英語化を進めるのが経営リスクの取り方として
合理的なのかどうかは疑問符がつく。

サムスンは新入社員にTOEIC800点を課しているとの報道もあったが、
海外売り上げ比率が85%にも達するサムスンと楽天を比較する事は
できないだろう。

2.コストが過大

経営幹部についてならともかく、英語を全社員に要求するとなると
相当な機会費用がかかる上、英語話者を引き止めるためにかかるコストも
日本語しか話せない人材に比べてかなり大きくなるだろう。
営業費用の4割弱(2010年第一四半期で150億円のうち56億円)を
人件費が占める楽天で、そうした施策が果たして合理的なのかには
疑問が残る。

3.視点がグローバルでない

「英語を公用語化する」なんていうと一瞬ちょっとグローバルで
かっこいい感じがするが、実際は極めて日本的な考え方である。
多くの日本企業が海外進出に失敗している理由は、
無理に日本国内で育てた人材を海外に送ろうとしてることだ。
大人の日本人を何年アメリカに置いたところで、
現地の米国人と同じにはならない。
むしろ現地の人を採用し
業務全体を現地化してしまうことがグローバル化の早道ではないのか。
実際、楽天の海外業務のほとんどの部分が買収によるものである。
経営に携わる一部の人にとっては英語が重要になるが、
全社員に英語を話させる意味は無いように思われる。

楽天が本当のグローバル企業ならば、日本のローカルなビジネスを
やっている職員全員に英語を使わせることに一生懸命になったりは
しないだろう。

4.「英語力を人事評価の項目に」はママゴト

アメリカ国内の求人では、外国人が応募してくる事を想定して
"excellent oral and written communication skills in English"
などと書かれていることが多い。
もちろん、そうした能力は採用の際には重点的にチェックされる。
しかし人事評価は100%業績によって決まり、
言語能力は明示的には評価されない。
語学面の不利を、プレゼン資料や丁寧な説明で補うのは自由だ。
それは結局のところ、語学そのものを評価するよりも業績を
向上させるのに役立つ。

こうして見てみると、
楽天の英語公用語化は理想としては理解できるが、
現状では企業の身の丈に合っていないことは否定できないし、
そもそも手段であるはずの英語化が目的になってしまっている
感がある。


テーマ : 英語・英会話学習
ジャンル : 学校・教育

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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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