アメリカン・ライフの良い点 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

もちろん、アメリカ生活には良い面もある。

・日本に比べて安い値段で広い住宅に住むことができる。

・中等教育までの子供のストレスレベルは平均して低い。
 社会的な性差が小さいので、
 女子の能力の伸び悩みがほとんど見られない。

・車で移動するので、特に育児中の人や
 満員電車が特に嫌いな人には快適だ。

・医療制度に難はあるが、
 妻が出産した時には大勢の看護婦が
 システマティックに動いて安心感があったし、
 生まれた娘と一緒に家族で部屋に泊まることができた。
 自己負担は10%だった。

・外食は平均したらおいしくないが、
 例えば私の好きな羊肉の調理は
 アメリカのレストランの方が上手い。

しかし、こうした利点がそんなに重要かというと私の答えはNOだ。
基本的にアメリカというのは生活に適した国ではないと思う。

アメリカに求心力があるのは、
能力があるものに何度でもチャンスが与えられるからだ。


私が子供の頃、両親から人生設計について有用な
アドバイスをもらったことはほとんどなかったが、
ある時、母はこう言った。

「人生でチャンスはそう何回も来ないものよ。
でも、どんな人生にも3回くらいはチャンスがあると思う。
そういうチャンスをきちんと活かしなさい。」

確かに響きの良いアドバイスで的を射ていると思う。
しかし、3回しかチャンスがない国とはあまりに窮屈ではないか。
下品な言い方をすれば、
大学受験に失敗し、就職のタイミングを逃し、玉の輿に乗るのに失敗したら、
日本では人生ゲームオーバーということである
(もっとも、本当のチャンスは大抵、競争以外のところにあるものだ)。

アメリカ社会は基本的に
目標を持って努力する者には何度でもチャンスを与えるし、
それに向かって努力する者も多い。
チャンスが何度もあるからリスクも取れる。

世の中の事が少し分かってきた頃、こんなことを呟いたことがある。

「僕は、できればアメリカに生まれたかったな…。」

それに対する母の感想はこうだった。

「そう思う? 私も若い頃そう思ったわ。」


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テーマ : アメリカ合衆国
ジャンル : 海外情報

アメリカ生活の残念な点 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカは経済システムとしては良くできた国だと思うが、
日常生活を送る上で便利とは言えない点も多い。
このあたりでアメリカ生活の残念な点をまとめて、
アメリカ生活を夢見る人たちのやる気をくじいておこうと思う。

なお、言葉の問題や、人間関係の問題、ビザの問題、
一時帰国費用の問題は自明なので捨象
する。

1.サービスのレベルが低い

店員やウェイターの応対、各種事務手続き、各種修理
などあらゆるもののサービスレベルが非常に低い。

一つの理由は、アメリカがそれほど評判社会でないということだ。
これは国が広い上に人々の流動性が高いためだろう。
こんにちではインタネットを通じていくらでも悪評は広めることが
可能だが人々の意識はそこまで変化していない。

人材の流動性が高いことは、習熟度のレベルが低いことも意味する。
例えば、Comcast というケーブルTV会社があるが、
作業する担当者に配線の仕方を伝えたにもかかわらず
わざわざ間違った配線をして帰ってしまい、当然機能しないので
自分で繋ぎなおしたことがある。他の人からも聞いたがこの会社は
どうやらズブの素人を雇ってインストールさせているようなのだ。

事務手続きに関して好ましくないことは、
手続きが不正確であるにも拘わらず確認をしないことである。
明示的に確認を求めて断られたこともある。
同様に電子メールでも、自分に利益がない限り返事をしない
というのが基本のようだ。

低いサービスレベルは、やはり倫理的な問題も大きいだろう。
ブルーカラーの人たちに職人魂などというものはかけらも感じられない。
これは人々がこうした職業を尊敬していないこととも関係しているのだろう。
また、多数派であるキリスト教の宗教的な倫理観は
あくまで個人的な付き合いがある時だけに発揮され、
職業倫理と結びついていないように感じられる。

2.食べ物がおいしくない

外食は、一般的においしくない上に非常に高い。
特に中西部はそうだ。ニューヨークや西海岸の一部では、
高い料金を払えばそれなりに美味しいものは食べられるが、
品質を調整すれば値段は日本の倍くらいするのではないかと思う。

それでは食材はどうかというと、確かに安いが品質は高くない。
まず肉だが、牛は日本のように柔らかいものは手に入らない。
鶏はも生産工程が熾烈すぎて本来の味がしない。豚は日本よりも臭みがある。
魚は鮮度が落ちるし品揃えは限定的だ。
野菜は全般的に硬い。例えば、日本のようにキャベツを
さっと炒めて食べる、というようなことは快適でない。
果物は量あたりの価格を下げることに特化しすぎているため、
あまりジューシーではない。
タマゴも生では食べない、という人が多い。
パンも安いものは「これはパンではない」というレベルだし、
高いものを買っても「これはパンなの?」というレベルだ。
デトロイト圏で私がおいしいと思えるのは、
今のところ Polish Market と Zingerman's だけだ。

3.健康的でない

車社会なので歩く機会が限られ、健康的でない。
ミシガンでは信号があっても
大きい交差点を徒歩で渡るのはあまり安全ではない。
また散歩するにしても街がただっ広いのであまり楽しくない。
結果、アメリカに住む人々はフィットネス・クラブに入ったり
自宅の地下室で黙々とトレーニングマシーンを使ったりするのだ。

ちなみに、これは逆に健康に良いのかも知れないが、
車社会だと飲み会をやりにくいということも難点と言える。
日本は酒税は高いが、都内の金曜や土曜の夜の電車に乗ると
日本の都会はアルコール天国だと思う。

4.医療制度が充実してない

私の場合は、家族がみな健康なので良いが
アメリカの保険は非常に複雑だし、
医療は官僚的で待ち時間が長く、値段は非常に高い。

旅先で妻がインフルエンザにかかったときも、
別の旅先で私が指を切ったときも、
最初にしたことは保険会社に電話をかけて
カバレッジを確認することだった。

保険料も非常に高い。
雇用主が大半を負担しているとはいえ、
今私が入っている健康保険料は家族で年間14,000ドルだ。


上記の4点は、国境を越えてカナダにわたったけでも大きく変わることだ。
私が日本人だから感じるというよりも、アメリカ自身が抱える問題である。

上記の4点のほかに、コンビニに買いたいものが売っていない、
日本の本屋がない、冬が寒い、といった、割と個人の嗜好や環境次第と
思われるような問題もある。

もちろん、アメリカ以外の国へ行けばこれとは別の問題があるだろう。
海外で働く場合は、その国の不便な点をよく見極めつつ、
自分に合った国を探す必要がある。



テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカ不動産購入記(エージェント選び) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ずっと以前に少し触れたが、
アメリカの中古不動産の売買には、
売り手と買い手の間に二人のエージェントを挟む
という摩訶不思議な制度が存在する。
一人は、売り手側のエージェント(listing agent)であり、
もう一人は、買い手側のエージェント(buyer's agent)である。
「4階から目薬」(4階が買い手、3、2階にエージェント、1階に売り手)
と表現すればその不便さを理解して頂けるだろうか。

しかも、二人のエージェントは両方とも売り手から手数料を貰っており、
売買価格が高いほうが多くの手数料を受け取ることができる
(手数料の合計は売買価格の6%)。
裁判で言えば、原告が原告側と被告側の二人の弁護士を雇い、
原告と被告のどちらが正しいか争って
判決で出た賠償金の額が多い方が双方の弁護士の報酬が高くなる、
というイメージだろうか。

そんなわけで、buyer's agent というのは本質的に
買い手のために働いているわけではない。
ただしエージェントは、
物件情報(multiple listng system)への独占的なアクセス権
を持っていることなどから、
ほとんどの買い手が buyer's agent を使っている。
どのエージェントも同じデータベースを使っているので
情報量にほとんど差はない。
また、物件の下見の際にも、彼らは検査士ではないので
それほど有用なアドバイスができるわけではない。
法律の専門家でもないので、
法律的な知識も大抵はかなり限定的だ。

したがって、エージェント選びにあたっては、
いかに
1.自分の意見を主張せず
2.時間の融通が利いて
3.手続きに詳しく迅速かつ正確な人
を選ぶかということが重要である。

なお、エージェントになるためには、
通信講座を数百ドル払って受講して簡単な試験にパスすれば
良いだけなので、アルバイト感覚でやっている人も多い。
米国人の300人に1人は不動産エージェントだそうだ。

結果的に私は4人のエージェントを首にして、
5人目のエージェントを使って家を買った。
以下、それぞれのエージェントの印象を記しておく。

1人目:
応対は丁寧な女性のエージェント。
しかし、質問に正直に答えない人だったので解雇。
「昨年1年間で何件の物件を扱い、そのうちforeclosureやshort saleは何件か?」
という質問に対する答えが、
「最近、お得な物件は foreclosure や short saleが多いですね。」
であった。
ちなみに、foreclosure 物件を買うと
「前のオーナーの借金を取り立てに来られることがある」
そうだ。
要するに、権利関係が複雑な物件は扱いたくないのだろう。
取り扱い件数を答えられないというのは専業ではない証拠でもある。

2人目:
投資家としても活動しているということで
詳しそうなのでE-mailでコンタクト。
5分でできそうな簡単なMLSのセットアップに2週間を費やす。
下見の依頼をすると、一軒一軒、難癖をつけてきた。
要するに、一応Webに名前は載せてるものの、
基本は自分の売買のためだけにエージェントをやっているらしい、
ということで解雇。解雇されて、本人も喜んでいた。

3人目:
非常に人当たりの良い男性エージェント。年間取り扱い4件。
しかし、とにかくセコく、安い物件を必死にけなしたり、
物件のリストから除いたり、
安いオファーに必死に反対したりして、手続きを遅らせる。
専業だと主張していたが、平日に全く手続きや連絡が進まず
嘘であることが発覚。手続き書類のことも全く理解してない、
ということで解雇。

4人目:
初めて専業のエージェント。年間16件の取り扱い。
仕事はまあまあだが、自分勝手で押しの強い性格。
3人目よりはましだが法的な手続きにも間違いが多い。
法律的な質問をすると「弁護士に聞け」が口癖。
売り手側の重要な情報を私に隠していたこと、
顧客である私にキレたことから解雇。
解雇後「後から手数料を請求する!」と脅してきたので、
「弁護士に相談したほうがいいよ。まあ頑張ってね。」
と助言。

5人目:
専業エージェント。年間16件取り扱い。
法律面はしっかりしているがケアレスミスが多い。
顧客の要望に反対することはなく、礼儀正しいが、
自分の時間節約が優先で対応が遅い。
満足できるサービスではないが、変えるのも面倒なので妥協。

まとめると、
1.せめて専業で手続きくらいちゃんとできる人を選ぶべき
2.ただし、どっちみち多くは期待できない
3.営業成績トップとかのエージェントを選べば良かったのかも
という感じであった。

3人くらいのエージェントにインタビューしてみて
良さそうな人を選ぶのが最終的には時間の節約になるだろう。
インターネットを検索すれば、初めに聞いてみるべき質問が
まとめてある。しかし、仕事を取る時はどのエージェントも
一生懸命なので見極めはなかなか難しいところでもある。


テーマ : アメリカ生活
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アメリカ不動産購入記(物件情報) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

家を買おうと思い立ったら、
エージェントと会って本格的に家探しをする前に
取りあえずネットで地域の不動産情報を探したいと思うのが普通だろう。

1.物件情報

一番便利な形で不動産情報を提供しているのは、
ZillowTrulia だ。
いずれも地図上に売り出し物件の位置や価格、面積、エージェント名などの
物件情報、推定市場価格、税額、過去の売買情報などを表示してくれる。
売り出されていない家についても、推定価格を見ることができる。
友人の住所を知っていれば、どんな家に住んでいるかほぼ分かってしまう。
また、各地域の不動産市況の分析や、利用者の掲示板なども利用でき大変便利である。
Google Map のページでReal Estate のオプションを使って
Zillow や Trulia と似た操作感で検索することもできる。

他の大手不動産会社もデータベースを提供しているが、
そこまで interactive で 使い易いサイトはあまりない。

これらのサイトの最大の問題点は、
売却済となった物件の更新が遅いことだ。

新着物件はかなりすぐに更新されるが、
すぐに売却された物件がそのまま残っていることも多い。
この問題は、Google Map では特に顕著だ。

Trulia には、実際には売りに出ていない物件、売買されていない物件の
情報が表示されてしまうという不具合もある。これは、単に銀行が物件の
差し押さえを開始したといったような売買と直接関係のない情報が
載ってしまうためである。

より正確な情報を得るためには、
買い手のための不動産エージェント(Buyer's agent) に頼んで、
Multiple Listing System (MLS)と呼ばれる
データベースから情報を送ってもらう必要がある。
これに登録してもらうと、毎日 Update されたリストが電子メールで
送られてくる。
このデータベースは全米の不動産エージェントの飯の種になっており、
一般人による利用は厳しく制限されている。
どうやら個人が一度に入手できる件数の上限は200件程度のようだ。

2.学区の情報

学区は、アメリカの不動産の価値を決める上で非常に重要だ。
教育需要のみならず、住民の質や犯罪率などの代替指標にもなっているためだ。
隣りのBloomfield 市では小学校を統廃合しただけで裁判になっている。

各学区は通常、ホームページを持っており、そこで学区の境界など
様々な情報を見ることができる。"Attendance Area" とか "Boundary Map"
というようなキーワードで探すことができるのが普通だ。
教育熱心な親の多くは、どこが境界線になっているかを
知っていることが多い。

各学校の評価は、School MattersGreat School といった学校比較サイトで
気軽に調べることができるが、もちろん1次ソースにアクセスすれば
学年別の生徒数、成績、人種構成などをより詳しく調べることができる。
ミシガンであれば、ミシガン教育省のページから、
MEAP, MME, ACT などの学校別スコアなどを教科別、
学年別がエクセルシートで一覧になっている。


日本でも不動産業者は消費者よりも情報に富んだデータベースを持っているようだが、
アメリカの不動産情報は上述のように非常に充実しており、
スペックやデータが好きな人にとってはありがたい環境となっている。




テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

みんなのアメリカ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

娘が9月からフルタイムのプリスクールに週5日通い始めた。
昼寝の時間が1時間半あるものの、
朝8時から昼3時まで7時間のプログラムだ。
長い時間通わせているのは、学校に入った時に
言葉で苦労しないようにという親心からである。

過去2年間も週3~4回半日だけプリスクールには行っていたが、
フルタイムのプリスクールに入ってからの英語力の向上は目覚しく、
家でも「××ちゃんは、○○ちゃんや私のことを意味もなく
押したりして良くない。」などと英語で説明したりするようになった。
(家では英語は基本的には禁止なのでずっと話すわけではない。)
上達のスピードを見ていると、もしかして自分もプリスクールに
通った方が良いのではないか?と本気で思わされる。

そんな感じで雑談をしていたところ、
「プリスクールでは毎日、全員が胸に手を当てて国歌を聴くんだ」
という話を娘がして、奴と私は驚いた。
しかも、実は去年に通っていた(公立の)プリスクールでも
その習慣はあったようなのだ。
宗教や文化、人種の違いといった国民の個性は尊重しつつも、
国民の愛国心の維持に最大限の努力を払うのがアメリカなのだろう。


日本で国歌が悪しき全体主義の記憶として疎まれるのは、
歴史的な経緯を考えれば理解できる。
国歌斉唱や国旗掲揚の強制も
全体主義の復活という文脈で懸念されることが多い。

しかし、国家間の競争の中で日本が繁栄を維持するには
民主的な統制が効いた下で愛国心を育てることの
重要性が今後増していくだろう。

いつまでも冷戦時の価値観のままで
太平洋戦争の反省と右翼と左翼の対立に明け暮れていては
日本の将来は見えない。


テーマ : アメリカ合衆国
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アメリカ不動産購入記(コスト計算) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先週、コンドミニアムを買った。
これから、数回に分けて不動産購入記をまとめていく。

家を買った最大の動機は高い家賃を払いたくないことだ。
そこで、コストの試算から始めてみよう。

デトロイト北部の郊外では平均世帯年収が10万ドルを超えている市が多く
家賃もそれに見合って高額である。一方で、2000年台半ば以降
人口の緩やかな減少が続いているので、不動産価格は比較的安い。
大雑把に言うと、3ベッドルーム(=3LDK)の古いアパートの家賃は、
私の住むT市の場合、1,400-1,500ドルくらいである。
それでも需要超過で、私の住んでいるアパートは家族で住めるような
大きめの部屋は常に空室待ちになっている。

一方で、ほぼ同じ条件のコンドミニアム
(日本で言うタウンハウスやマンションのこと)
の価格は10万ドルくらいだ。

直感的には買った方が得だが、
きちんとしたコスト計算をするのは案外難しい。
不動産に関する情報は大半が売り手側からの情報であるため
試算にバイアスがある
ためだ。

そんな中、客観的なデータや持ち家所有者の情報から
なるべく中立的にボトムアップ・アプローチで試算した結果が
以下の通りだ。
完全に全ての費用を考慮したわけではないが
ほぼ実体に近いのではないかと考えている。経済見通しは、
インフレ率 = 0%、実質金利 = 1.5%、不動産価格横ばい
と仮定している。これはかなり悲観よりのシナリオだ。

住居試算改


最初に思ったのは、世の中には錬金術はないということだ。
一見買った方がすごく得のように思えたが、
実際には月々300ドル程度のメリットしかないし、
しかも持ち家なら何か壊れた時は自分で直すか
業者を呼ぶかしなければならない
(ただし修理費用は試算に含んでいる)。

居住年数を6年として計算しているが、
減価償却が遅いアメリカでは居住年数はそれほど損得に影響しない。
コンドの試算を居住年数3年、10年, 20年に変えた場合の
月当たり総コストは 1,489ドル, 1,171ドル, 1,103ドルである。
アメリカ中西部の場合、一番気にしなくてはならないのは、
光熱費、メンテナンス・コスト、固定資産税の3つだ。

もちろん住宅ローンを組む場合には、
転職に支障がでたり、
払えなくなるほどのローンは組むべきではない。


一戸建てはどうだろうか?
敷地面積1,500平米、リビングが二つもある一戸建てが
わずか7万ドル上乗せしただけで買えるという事実は
日本人の感覚では大変お得
に思えるだが、
肥料、芝刈り、雪かき、落ち葉集めなどを全部自分で
やらなければならないという手間を考えてしまうと、
子供が多いとか、どうしても大きい家に住みたいと言う
理由がない限り、あまり経済合理性があるとは思えない

奴は当初
「きれいなエリアにある一戸建て買おうよ!」
と言っていてそれも悪くないと思っていたのだが、
金銭的・時間的コストを一覧にして「どっちにしたい?」と聞いたら
「やっぱり、コンドの方が無難なんじゃね…。」
と言い出した。奴は基本的に買い物が嫌いなのだ。

不動産エージェントに試算をさせれば、
買った方が得という結論が出るに決まっている。
家を買おうと思っている人は、取りあえず
上の試算をじっくり眺めて検討されることをお勧めする。


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

為替レートに関する考え方 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカの不動産バブルが崩壊して世界的に需要が不足し、
自国経済の回復のための通貨の切り下げ競争が本格化してきた。
そこで円や人民元の問題に関して
私が考えていることをまとめておこうと思う。


1.円相場について

最近3年の円高:

アメリカの不動産バブルの崩壊が明らかになった2007年半ば以降の
円ドルレートを見ると、124円台から81円台へとかなりの円高が
進んでいる。この原因は、
(1) ボラティリティ(変動幅)の増大と、
(2) 実質金利の逆転である。

為替変動が非常に小さい時期には、名目金利差を通じて低金利通貨から
高金利通貨へ資金が移動する。これは2000年から2007年にかけ
101円台から124円台へと円安が進んだ最大の理由である。
こうした流れが逆転するのは、通常はボラティリティの増大であって、
経済見通しのコンセンサスの変化ではない。

変動幅が大きくなると、多大なリスクをとってまで高金利通貨に
投資する投資家は減少するからだ。
実体経済指標が変化するのはそれよりもずっと後になるのが普通だ。
実体経済によって金融市場を予測する事は基本的にできない
(プラザ合意のような強力な政治的意思がある場合は別だ)。

金融危機によるボラティリティの増大で一気に円高が進んだ後に
起こったのが実質金利の逆転だ。2000年以降の長い間、少なくとも
短期金融市場においては、円の実質金利(名目金利-インフレ率)は
米ドルに比べて低い状態が続いてきた。しかし、アメリカの金利と
日本のインフレ率が大幅に低下した結果、日本の実質短期金利は
アメリカよりかなり高くなり、実質長期金利も日本の方が高くなった。
為替レートの変動幅が十分にあるときには、購買力平価への収束圧力を
通じて、実質金利が高い通貨が上昇しやすくなる。


最近15年の円安:

1995年には1ドル=79円台まで、円高が進行した。
この後、日本がデフレに苦しみ、米国で年率2~3%のインフレが
続いたことを考慮すると、当時の円高は大雑把に言って
現在の1ドル=60円前後に相当する。
実質金利が逆転するような事態になっても、現在の円相場が
そこまで円高にならない理由は何か?主な理由は二つあると思う:

(1) 個人による外貨投資の自由化:

1995年当時、個人投資家が外貨投資をすることは非常に難しかった。
銀行に外貨預金をしようとすれば個室に呼ばれて丁重に断られた
という話は日経新聞にも載ったことがある。もちろん、当時FXを
やっていた個人投資家は皆無だった。

本来であれば、民間の企業部門や個人が対外投資をして為替レートは
均衡するが、当時は少なくとも個人に関しては不当に外貨投資が制限
されていたのである。超円高が進んだ後から、突如として外貨投資、
続いてFXの取引が活発化したのは、政策的な規制緩和の結果と考える
のが妥当だろう。

(2) 国際競争力の低下:

韓国、台湾、中国など新興国・地域の台頭が、日本の国際競争力を
低下させているほか、日本における労働時間の短縮やの高齢化に伴う
社会保障費(いわゆるレガシーコスト)の増大も、日本の国際競争力
を低下させる方向に働いている。


こうして見ると、ここ3年の円高も、ここ15年の円安もそれなりの
構造的な理由があり、投機で上下しているだけといった単純なもの
ではないことが分かる。


2.人民元相場について

人民元が安すぎると批判が米国を初めとした先進国から出ている。
確かに人民元相場は輸出競争力から考えると割安だが、
だからといって中国政府に圧力をかけるという方法が最善なのかは
疑わしいし、そもそも経済的に正しい方法なのかも疑わしい。


例えば、もしあなたが量販店に行って、「パソコンが安すぎる」
と感じた時どうするだろうか。安すぎれば単に買えばよいのだ。
みんながこぞってパソコンを買っても安いままならば、
パソコンの本来の値段はそもそもその位が相場なのだ。
店の人に頼んで値段を上げてもらう必要は全くない。

人民元に関しては、各国政府が安すぎると文句を言っていながら、
その国の国民がなかなか買おうとしないという奇妙な状況にある。
したがって、一義的には米国政府は国民に向けて
「中国元は大バーゲンセール中だから全力買いして」
とアピールする必要がある。
レバレッジの高い通貨取引に関する規制緩和をしたり、
システム開発に政府が資金援助してコストを下げたり、
対外間接投資の税制上の特典を増やしたりすればよい。
金融機関に対する規制が強化される中、
個人に対する規制緩和は特に重要だろう。


現在は中国政府の資金力が大きすぎることが投資家の参入を防いでいるが
10兆ドル、20兆ドルといった巨額の資金が中国に流入した時に、
中国政府が引き続き外貨を買い支えるとは思えない。
(買う事はいくらでも可能だが、リスクが大きすぎる。)
もし、買い支えたとしても最終的に損をするのは、
高い通貨を無理に買った中国政府なのである。

人民元にとって最大の問題は中国政府の力が巨大すぎることであるので、
他の投資家層を充実させて、マーケットメカニズムを働くようにする
というのが資本主義的な解決法だろう。




テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

NBER-NSF Time Series Conference at Duke U -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今週末は、ノースカロライナ州のDuke 大学で行われた
NBER-NSF Time Series (時系列) conferenceに参加した。

金曜日の授業は代講を頼んで、木曜日にノースカロライナへ。
金、土とコンファレンスに参加して、土曜日の夜は
日本人の友人と食事。
明日(日曜日)の昼に飛行機でデトロイトに戻る予定だ。

以下、覚書として様子を簡単にまとめておく。

1.参加者

Richard Davis, James Stock, Tim Bollerslev など
著名な計量経済学者も参加。時系列は、アメリカの統計学科では
下火なので、大半は計量経済系の人になっている。

アメリカでやってる割には
Duke周辺の研究者を除けば米国からの参加の割合はそれほど高くなく、
ドイツ、カナダ、イギリスからの参加が結構多かった。

大学のほかは、各国の中央銀行から多数の参加があったほか、
米国センサス局からも2名ほど参加していた。

参加者は合計で100名前後。日本からの参加は残念ながら無し。
日本人は自分を含めて二名。

2.発表の傾向

特に無し。金融時系列は高頻度データが流行っているが、
金融時系列でも本当に高頻度一色という感じではない。
ジャンプも流行っているが発表はそれほどなかった。
MCMCを使っているものは多かったが、Duke は Bayesianが
多いので当然だろう。SVARとかをやっている人も相変わらず
多いが、これも流行っているわけではなく、実証では以前と
して便利だからということだろう。

敢えて言えば、マクロや金融の伝統的な時系列を扱ったものが
ほとんどで、ウェブ上で得られるデータや空間データなど
など新しいものを使ったものが見当たらなかった。
また、変数の数が標本数より多い large p small n 問題を
扱ったものもほぼなかった。そのあたりは、計量経済の人が
大半だったというところに起因するのだろう。


3.発表はした方がいい

今回は発表をしなかったのだが、
ポスターでも良いので発表はした方が良いと改めて感じた。
やはり、いろんな人に顔を売るのは発表するのが一番だ。
ちなみに来年のコンファレンスは、ミシガン州立大で行われるが
オーガナイザーも知り合いなので
来年はなんとか論文を提出したいところだ。


やはり、テーマを絞ったコンファレンスは参加のしがいがある。
いまは論文はインターネットで探せるが、やはり人が集まるところに
行くと、気づかなかった情報を仕入れられるので有益だ。
なんとか、毎年旅費の目処を立てて参加しようと思う。


テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

日本人のノーベル賞受賞に浮かれるな -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ノーベル化学賞が発表され、
北海道大の鈴木章氏とパデュー大の根岸英一氏という二人の
日本人(を含む三人)の受賞が発表された。
受賞自体は日本にとって喜ばしいことだが
ノーベル賞に拘りすぎるのは危険だ。

ノーベル賞はあくまでも過去の業績に対して与えられるものであり、
鈴木氏、根岸氏の受賞にしても約30年も前の研究業績が受賞の理由である。
これは日本人が行った過去の研究が素晴らしかったことは示唆するが、
今後の研究レベルを保証するものでは全くない。
ノーベル賞は遅行指標であり、過去の結果を確認するに過ぎない。

例えば、今回の両氏の研究はパデュー大時代の研究が重要な役割を
果たしていると言われているが、現在のアメリカの主要大学における日本人の
プレゼンスの低さ、中国など他国出身者のプレゼンスの高さを考慮すると、
(国籍というテクニカルな問題を除けば)50~60年後の日本人受賞者が
中国人受賞者よりも多いとは到底考えられない。

小泉政権時代には、日本人のノーべル賞受賞者が増えるようにロビー活動を
繰り広げたが、これはあくまで政治的な意思から行われたもので
科学技術政策の一部としての意味は極めて薄弱であろう。

経済政策の為政者が統計のなかから先行指標を探し出すように
教育政策の為政者は、露出の多い賞に惑わされることなく
将来の研究成果のために注視すべき指標は何なのか
論文の引用数、研究者数、院生の数、研究予算、産学連携の仕組み、
など研究の質や量を測る方法はいろいろあるが、
それらをどう政策に繋げるかを真剣に考えて欲しいと思う。

特に人と人との繋がりは研究において主要な役割を果たし、
世代を超えた研究者同士の繋がりが一旦失われれば、
それを回復するには膨大な時間がかかる。

政府や文科省は場当たり的に予算をつけるのではなく、
長期的な視野で研究基盤を保護してほしいものだ。


テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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