アメリカで売られている飲料水 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

震災で日本ではミネラルウォーターが品薄だ。
アメリカは日本から遠いのでそこから輸入するのは
コスト的に見合わないのかもしれないが、
アメリカ現地ではペットボトル入り飲料水は安い。
ミシガン州は飲料水の産地でもあるので特に安く、
スーパーの特売では500ml入りペットボトル24本で
2.5ドルくらいになることもある。
今の為替レートだと一本9円程度だ。

スーパーに行くと、
300ml~1ガロン(3.79L)、更には数十リットルのタンクまで
様々な容量のものが売られているが、
日本と異なり3種類のものが置かれている。

1.Spring Water

いわゆる湧き水から採ったミネラルウォーター。
日本では、アメリカの水はかなり硬いと言われることが多いが、
実際に買ってみるとブランドによりかなりばらつきがある。
飲むには良いが、お茶などに使うには向かないものもあり。

2.Purified Water

その辺の水を適当にろ過してできた水。
名前に反して、味を残すため若干鉱物を
残しているので、飲用にも適する。
いわゆる軟水なので、紅茶や日本茶などは
これでいれているのが一番おいしいと思う。

3.Distilled Water

文字通り、蒸留してできた水。
主な購買層は不明だが、
鉱物を含まないので例えば加湿器の使用には適する。


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T市、キンダーガーテンの授業料値上げ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

娘は5歳なので今秋から、
事実上義務教育(*1)の kindergarten(幼稚園年長)に入るのだが、
ミシガンの公立学校の財政状況は大変厳しいようだ。
地価の下落で、市の税収の大半を占める固定資産税
(property tax)の税収が落ち込んでいるほか、
州知事が共和党のSnyder氏に代わって、
歳出削減と法人税減税が急ピッチで進んでいることが背景にある。

私の住むT市では、
半日制のクラスが無料、
全日制のクラスが年3000ドルであったのだが、
州からの15万ドルの補助金がカットされるため
全日制のクラスを廃止し、午後は教室を託児所風に使用する計画になっていた。
しかし私の知人など教育熱心な保護者たちが廃止に反対し
ミーティングで「値上げしてでも継続を」と訴えたところ、
最終的には、授業料を450ドル値上げして費用を
カバーすることで継続されることになった。

公立学校の仕組みは
同じデトロイト圏でも市によって異なり、
キンダーも、半日制しかなかったり、
逆に全日制で無料だったり、と様々だ。
それぞれの市は小さいので、
今回のように住民の強い意思があれば、
一旦決まったことを覆すこともできる。

声を上げることは大事だと思うとともに、
旅行中で運動に参加できなかったのは少し残念だ。


(*1) 満6歳から義務教育、という不思議な制度であるが、
全ての子供はkindergartenの途中で6歳になる。


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米国の確定申告終了 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

毎年4月中旬は確定申告(Tax Return)の締め切りなので、
先週末の一日使って、連邦政府、ミシガン州、デトロイト市と
3つのTax Returnを書いた。

税理士に頼んでも良いのだが人を信用しない性質だし、
そういう所にお金を払うのは悔しいので毎回自分でやっている。
ただし、解説書をよく読まないと使える控除を見逃して損をするので注意。

まずは、インターネット検索でよくある間違いを検索すべきだ。
会計士(CPA)若菜雅幸氏のサイト(日本語)は大変参考になる。


また、米国居住者ステータスの人で前年と状況が大きく違う時は、
税理士(CPA)にお金を払って相談した方が無難かもしれない。
一方、米国非居住者ステータスの人は、
そのあたりの普通のCPAに聞いても間違いしか返って来ない
と思った方が良いと思う。
なお、Fビザの留学生は6暦年目からは
居住者ステータスに変わるので注意されたい。

私の分は計算したところ、
連邦税は、天引き11,000ドル強に対して、
実際の課税額はわずか 3,000ドル強になった。
近いうちに、8,000ドル以上戻ってくることになる。
景気対策の減税で実効税率が下がっているのもあるし、
そもそも天引きしすぎというのも大きい。
ミシガンとデトロイトからも数百ドルずつ返ってくる計算だ。

以下は、こんな税額控除や所得控除を使いました、というメモ。

(連邦政府)
所得控除:
私はStandard Deductionを使っているので所得控除は
3800(ドル/人)×3(人) = 11,400ドルのみ。
これを使わず経費を積み上げる場合は
ある程度のノウハウが必要。
地方税、固定資産税、住宅ローン、医療費、
車購入の売上税、仕事上の必要経費
なんかを控除できるはず。

Child Tax Credit:
子供一人につき1000ドル税額控除。

Education Credit:
昨年途中まで学生だったので学費の2割が税額控除。数百ドル。

Residential Energy Credit:
熱の遮断率が高い窓を買ったのでその3割が税額控除。千数百ドル。

Foreign Tax Credit:
日本の利子所得も申告対象だが日本で源泉徴収されてるので税額控除。3ドル…。

Making Work Pay Credit:
給与所得者は一律800ドル(夫婦合算申告の場合)税額控除。
夫婦別、あるいは独身の場合は、400ドル。


(ミシガン州)
所得控除:
1) Exemptions: 3,600(ドル/人)×3(人)=10,800ドル
2) Number of Children: 600(ドル/人)×1(人)=600ドル
をあわせた11,400ドル。

City Income Tax Credit:
デトロイト市税の納付額の数%が税額控除。数十ドル。

Renewable Energy Surchage Credit:
DTE Energy を使ってる場合、通常年36ドルの20%で7ドル税額控除。

Property Tax Credit:
居住用不動産の固定資産税の一部が税額控除。
賃貸の場合も、賃料の20%を固定資産税相当額とみなせる。
ただし、いろんな制限があり今回は私は使えず。
使える場合は、通常数百ドル程度税額控除。

Energy Efficient Qualified Home Improvement Credit:
熱の遮断率が高い窓の購入により、150ドルの税額控除。
冷蔵庫の購入により、価格の1割の税額控除。

(デトロイト)
所得控除:
600(ドル/人)×3(人)=1800ドル。

税額控除:なし。

蛇足だが、taxフォームに18行しか項目がないのに
入力欄が20行分あり、行がずれてキレイに記入できない。
デトロイトの仕組みは隅から隅まで、否、枠外まで腐っているようだ。


デトロイトの人口減少 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

YSJournal さんの記事にもあるとおり、
先日、米国センサス局はミシガン州の2010年センサス調査の詳細を発表し、
デトロイトの人口は2000年の915,000人から、2010年には714,000人へと
22%も減少した。米国の大都市で、ここまで急速に人口が減少したのは過去
数十年でも例がない。

ここ数年の問題としては、自動車産業の不振と
2009年のGM・クライスラーの破綻が響いているが、
本質的な問題はもっと構造的なものだろう。
デトロイトは治安、教育、景観、インフラなどの点で街の魅力が低いのに
周辺地域に比べて税率が高く、行政サービスのレベルが低いので、
人が集まらないのは当然である。
州の法律では、市の人口が75万人を割ると州で唯一徴収している市税
(市民は所得の2.5%、通勤者は所得の1.25%)
が取れなくなるようだが、それはむしろ正しい方向だろう。
シカゴのような求心力のある都市と異なり、
デトロイト市が周辺地域より高い税金を徴収する合理性は全くない。

デトロイト市と北部の郊外は、
8マイルロードという真っ直ぐな幹線道路で区切られており、
道路の南側は空き地と老朽化した住宅で荒廃しているが、
ラインを北側に跨いだとたん、経済状態は格段に良くなり、
新車ディーラーなどが立ちならぶ。

リーマンショック、GM、クライスラー破綻後のデトロイト圏は
総じて経済状態が悪いが、経済が回復するのが
デトロイト市外からであることはほぼ間違いない。

最近では、北部郊外の住宅価格が下がったため、
デトロイト市内から移住する黒人低所得者層も増えているという。
荒廃した地域からの移住者は総じてマナーが悪く
夜中に庭で草野球をはじめたりするため、
以前から郊外に住む黒人高所得者層が、
黒人の評判悪化を恐れて低所得者層の移住を嫌がる
という複雑な人種問題も発生しているそうだ。

それでは、デトロイトに未来はないのだろうか?
希望はまだある。
都市には、ライフサイクルのようなものがあり、
一旦、荒廃が進み始めるとそれを止めるのは困難だが、
デトロイト市内は既に相当な空洞化が進んでいるため、
廃墟の撤去や区画整理を計画的に進めれば、
大企業の誘致を進めることもできそうだ。
行政サービスの点でも居住地域を縮小させることで
コストの削減につなげることができるだろう。
交通網が整備されていることや、
物価、地価、人件費が安く抑えられていること、
エンジニアの求人が行いやすいことは
企業誘致の原動力になる。

都市の繁栄には最終的には人口増加が不可欠なので、
移民を受け入れることも有力な選択肢である。
デトロイト圏の歴史を見ると、
南部から仕事を求めて黒人が大量に移住したとともに、
東欧、南欧、西アジアなどからも多くの移民が流入している。
気候面での類似からかソ連崩壊後には
ロシアからのホワイトカラーの移民が結構多い。

そこで私は、
ミシガン州に北朝鮮崩壊後の難民受け入れに期待している。
北朝鮮は今や大変貧しい国だが、
近年の平壌の映像を見る限り都市は未だに美しく保たれている。
そうした国からの難民の流入は都市の発展にはプラスだろう。
移民は祖国と似た気候の場所に住みたがる傾向がある。
平壌の気候は仙台と概ね同じであるが、
札幌とほぼ同じ気候のデトロイトは比較的それに近い。

貧しい地域を補助金漬けにしたり、
特定の産業やグループを優遇して逸話を作る
といった政策は長期的な繁栄を生まない。
ビジョンのある政策を期待したい。


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政府は震災を機に京都議定書の再交渉を -- このエントリーを含むはてなブックマーク

福島第一原発はいまもなお緊張状態が続いているが
今後、問題になるのは
原発の停止で失われた発電能力をどう取り戻すか
ということだ。

事故が起こった日本では、
世論を考えると原発の新設はおろか、
既存の原子力発電所の再稼動すら危ぶまれている状況である。
電気事業連合会によれば、2008年時点での日本の発電量は
石炭・石油・天然ガスを用いた火力発電が約66%、
原子力が24%、水力その他が10%となっている。
早期の能力回復と安定供給を考えれば、
火力発電を増やさざるを得ない状況だ。

火力発電の問題のひとつは
今後の発電コストが天然資源の価格により影響されやすいことだが、
もう一つの問題はCO2の排出量が増加して
京都議定書によって拘束されたCO2排出削減目標が危ぶまれる
ことだ。

発電方法の変更によるCO2排出量の違いは極めて大きい。
環境問題研究会の論文によれば、
2009年時点の現状の原発を維持したケースでは
発電によるCO2排出量は1990年対比で8.8%増加するが、
2020年までに8基の原発を作り63基とし
稼働率を既往ピークをやや上回る88%まで上げるという想定の下では
発電によるCO2排出量は現状対比で年約1億トン減少し、
1990年対比では0.7%減となる。
(更に全ての火力発電を原子力に置き換えた場合は同25.2%減となる。)

裏を返せば、原発の新規計画の中止だけでも
CO2排出量は年間1億トン前後増えることになり、
これを全て排出権取引で賄えば2,000億円の負担増になる。

温暖化は進まないに越した事はないが、
以前に述べたとおり、京都議定書は世界の
二酸化炭素排出量削減に意味のある効果があるとは考えられず、
いわば政治的に仕組まれたゼロサム・ゲームによってお金が
動いているに過ぎない。つまり、
日本政府は、今回の原発事故でこのゲームの参加費用に
少なく見積もっても2000億円支払うことになる。
馬鹿馬鹿しいというほかない。

幸い、京都議定書を主導する欧州諸国でも
今回の原発事故を機に原発の見直しが進んでおり、
この条約を厳格に守るメリットは少なくなっている。

これを機に日本は、脱退も視野に入れつつ、
条約の枠組み変更の提案を含めた交渉を進めるべきだ。
日本での具体的な報道はまだなされていないようだが、
海外では震災直後からこうした可能性は話題になっている。

事故が解決していない現在は
関係者も多忙を極めていることは理解できるが、
政府は震災の印象が強く残っているいまだからこそ、
先を見据えて戦略的に動くべきだ。


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ジャンル : 政治・経済

原発事故報道に見た日本のマスコミの姿勢 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

3月11日に大地震と原発事故が起こってから、
ニュースをいろいろ見ていて一番強く感じた事は、
相変わらず日本のマスコミは、
情報を流すためにあるのではなく
政府の宣伝機関兼営利企業なのだなあ、
ということだった。
マスコミはこれまでの歴史の中でも
世論を操作するためにいろいろやってきたわけだが、
ここまで情報化された社会でまだそんなことをやっている
というのは、少し驚きだった。
携帯電話かパソコンさえあれば、
NHKや読売のニュースを見るかわりに
New York Times や Wall Street Journal を
見ることはいとも簡単なことだ。
英語が読めなくても、誰かが日本語で要点を
Twitter なりブログなりに書き込めば、
情報は伝わってしまう。
そんな社会でも、なおテレビや新聞の報道は
世論に対して大きな影響力を持っており、
そうした情報しか手に入れることができない
情報弱者が大勢いるのだということを実感した。

別にマスコミがやっていることが
間違っていると言っているわけではない。
仮に事態が悪化して原発事故の危険が首都圏に及んだとしても
経済活動の継続や移動手段の問題から首都圏の人が全員、
近畿以西に逃げるということは不可能だ。
(私は状況の良し悪しに関わらず避難地域が大幅に
拡大されることはないと思っている。)
その前提に立てば、むしろ政策的に重要なのは
混乱を抑えることで被害を最小化することだろう。
日本のマスコミが特異なのは、
政府の具体的な指示があったにせよなかったにせよ、
ほぼ一様にそうした政府の意向をそのまま
受けて入れていることだ。

例えば、自衛隊がヘリコプターから水を撒いて
原子炉を冷やすなんていうことをやっているが、
New York Times の論調では、
これは計画(plan)というよりは祈り(pray)のようなものであり、
人々は政府が精一杯なんかをしているということを目でみたいのだ
という内容になっている。
一方で、日本のマスコミ
「今日は何トン放水」とか「何時から再開」というような
詳細かつ実質的にはあまり意味の無い情報をたくさん流す一方で
放水自体にどれくらいの意味があるのか
ということはほとんど報道しない。

繰り返すが、日本のマスコミが間違ったことを
やっているということを言いたいわけではない。
私が子供の時、土曜のゴールデンタイムにやっていた
「8時だよ全員集合!」という番組では、
クライマックスになると、爆竹を鳴らしたあとで
舞台セットの上の方から大量の水が降ってくるという
のはよくある結末だったし、
一般的に言ってお茶の間向けに
そういう映像を流すのは正解だと思う。

また、実質的な効果が小さいのであれば、
むやみに多くの作業員を危険に晒すのは理に叶わないが、
日本人は「なんとか決死隊」みたいなのが大好きだし、
実際、コントのタイトルをそのままコンビ名にした
雨上がり決死隊なんてのも活躍しているくらいだから
マスコミ的にはそういうのは正解に違いないのだ。

結局、何が言いたいのかというと、
日本のマスコミは社会的な影響や、
視聴者の求めるものをそれなりに合理的に判断して
番組を作っているが、
受け手側は、きちんとした情報を入手したいなら
それとは別の然るべき手段を取らなければならない
ということだ。具体的に大事なことは2つある。

一つは、一次ソースを直接見に行くということだ。
例えば、原子力災害対策特別措置法に基づいて、
東京電力は現場の放射線レベルを開示しなければならない。
ニュースでやっていなくても、そうした数値は
東京電力のウェブサイトに載っている。
また、数値以外の情報に関しても、
情緒的かつ断片的なマスコミの報道よりも
首相官邸の災害ページの方が若干ましな情報が得られる。
政府の発表には、国際機関や他国から情報開示の
プレッシャーがかかるからだ。

二つめは、バイアスの少ない記事を見に行くことだ。
一般的にはアメリカの報道機関が日本のものより中立的だという
保証はないが、日本における危険について、アメリカの
報道機関の方がより客観的に報道できる可能性が高い。
通常時は、海外で起こっていることでも非常に短時間のうちに
日本語記事になって報道されるため、わざわざ海外のマスコミ
の記事を読みにいく価値は高くないが、今回のような事件の
場合には海外のソースも読む価値がある。


今回の原発事故は、政府や東電の対応が叩かれているし、
実際、対応が良くなかった面はたくさんあると思うが、
これは別に日本固有の問題ではない。
仮にアメリカで同じような事故があったとしても、
程度の差こそあれ、政府は右往左往しただろうし、
大企業は情報を隠して事態を悪化させただろう。
それに比べ、日本のマスコミの特異性は
際立っているように私は感じた。


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ジャンル : ニュース

ハーバード大の日本人入学者はなぜ少ないか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ハーバードの日本人学部入学者が毎年1人程度しか
いないことが先日、日本のメディア話題になった。

一方、中国や韓国は毎年、10人前後の入学者がいるようである。
こうした日本人入学者の減少を学生が内向きになったとか、
草食系がうんたらかんたらと言った要因に帰着する意見もあるが
そうしたことが本質的だとは思えない。
アメリカに住んでみれば一目瞭然なように、
その最大の理由は日本人のアメリカ社会への
浸透度が圧倒的に低いことだ。


例えば、デトロイトのあるミシガン州には
1万人強の日本人が住んでおり、2万人前後の韓国人、
3万人前後の中国人と比べても、それなりの規模を維持している。
しかし、日本人の多くは日本企業の現地展開のために一時的に
米国に滞在しているため、現地の大学へ進学する人は少ない。
アメリカにいても日本の方を向いており数年で帰ることの多い日本人と、
現地で同胞同士のコミュニティーを作って長期に渡って
居住することの多い中国人・韓国人では
当然ながら浸透度にかなりの差がある。
こうした浸透度の違いは、
国籍別の入学者数には大きく影響するし、
ハーバードで外国人入学者全体の3倍、毎年300人程度いる
アジア系米国人としての入学者数にも反映していると考えるべきだろう。

いわゆるトップ数%しか入学できないような一流大学の
入学者数には、入学可能性のある人数としての分母が重要だ。
例えば、私がこの先、娘を英語のネイティブ・スピーカー
として18歳まで育て、きちんとした教育を受けさせても
ハーバード大に入る可能性は非常に低い。
しかし、同じような環境の日本人世帯が20世帯くらいあれば
たぶん一人くらいは一流私立大に入れるだろう。
現状の日本人のアメリカにおける浸透度では
多くの一流大学に主なアジア諸国と互角の人数を
送り込むには分母が足りないということだ。


繰り返すと、米国の大学における日本人のプレゼンスの低さは
日本人の米国社会における浸透度の低さが根源
にあり、
若者の内向きのようなもっともらしい社会現象に帰着しても
事態はなんら進展しない。
国民のアメリカ社会への浸透度の圧倒的な違いを受け入れた上で
それでも何かすべきこと/できることがあるのかを考えるべきだ。


テーマ : アメリカ合衆国
ジャンル : 政治・経済

コアの能力をじっくり育てよう -- このエントリーを含むはてなブックマーク

このところ、日本の大人社会が
若者を見る目は非常に厳しくなっている。

若者は良い大学を出るだけでなく、
アルバイトやサークル活動でリーダーシップを発揮し、
夏休みはインターンシップを経験し、
英語を勉強してTOEICのスコアを出し、
できれば短期留学なんかも体験し、
面接では礼儀正しく好感を持てる態度で、
コミュ力と行動力と責任感を
見せることが求められる。
そうした能力はどれもあるに越したことはないが、
求められることが多すぎて学生が気の毒になってしまう。

自分のこれまでの経験を振り返ると、
世の中で生きていくために本当に必要な事は
もっと素朴で単純なことだ。

日本で大学院に進んだ時、金融機関で働いた時、
米国でPhDを取る時、大学で働くようになった時、論文を書いている時、
自分の強みの源泉はつまるところ、
高校時代の3年間、そして大学の数学科で4年間
数学を勉強したことだけだった。

大学1年生の9月頃だっただろうか、
大学で授業を受けていると3年生の先輩が中庭のベンチで寝ている。
3年生は気楽でいいなあ、と思いつつ授業が終わって外に出ると
ベンチから先輩に話しかけられた。

先輩A「おーい、Willy君!元気か!」
自分「あー、はい、まあまあです。」
先輩A「今日はいい事教えてやろう。いいか Willy よく聞け。」
自分「あー、はい。」
先輩A「一日3ページは教科書読め。後は一日何しててもいい。分かったか?」
自分「3ページですか。うーん、分かりました。」
先輩A「俺、今日はもう3ページ読んだ。飯でも食いにいこうぜ!」
自分「うーん、今度にしときます。それじゃまたゼミで。」



理論系の学問を専攻しなかった人は冗談だと思うかも知れないが、
この先輩の言った事はこの上なく正しい。
毎日3ページ、良い教科書をきちんと理解して読み進めれば、
1年で約3冊の専門書を仕上げることになり、
大学の成績はほぼ全てAが取れるし、東大の大学院にも楽勝で入れる。
ほとんどの一流企業も喜んでその学生を採用するだろう。
そして、キャリアを積む上でもコアの能力になることは間違いない。

1日3ページのペースできちんと読んで理解し
復習して自分のものにするためにはおそらく3時間くらい必要だが、
それは、家でやってもいいし、公園でやってもいいし、
好きな喫茶店でやってもいい。
朝9時からやれば昼までに終わってしまう計算なので
あとは友達と遊ぶなり、バイトするなり、好きにすればいい。

しかし、一見途轍もなく簡単そうなその計画は、
授業、バイト、サークル、スポーツ、友達、恋愛、麻雀、ゲーム、旅行
といったものに邪魔され、
実際はほとんどの人が達成できないまま終わるのだ。

私が数学者になれなかった(※)最大の原因の一つは、
一時期、他の事に気を取られて毎日3ページ進むことが
できなかったからだ。
アドバイスをしてくれた先輩は立派な数学者になった。
(※私はいまは統計屋であって数学者ではない。)


翻って、一般的なキャリアの問題を考えてみる。
「希望の会社に入社するには何をすればいいですか?」
という一般的な質問に無条件かつ具体的に答えなければいけないなら、
それはコミュ力、行動力、英語力のような
一般的なものにならざるを得ない。

しかし、本当に大事なのは自分のコアとなる能力を磨くことだ。
自分のコアとなる能力では全人口の上位1%に入らなければならない。
それは途轍もなく難しいことではない。
世の中に100種類の異なる能力があれば、
どの能力でも上位1%に入れない人は
0.99の100乗と考えれば、わずか37%に過ぎない。

「そうは言っても何でもできる人と何も出来ない人も大勢いる」
という文句が聞こえてきそうだが、
「何でもできる人でも結局何か1つ選ばなければならない」
というのもまた事実だ。
途中で諦めて進む道を変えた時も、
二つの経験を上手く組み合わせることができれば
より大きな強みになりうる。

そうした偏った能力を身につける事は、
人に自信とアイデンティティを与えて幸せにする。
0.99^100 = 0.37
は幸せなキャリアを実現するための等式だ。


テーマ : 就活
ジャンル : 就職・お仕事

共和党支持者は一体何を考えているのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク


続きを読む

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京大のカンニング事件について思ったこと -- このエントリーを含むはてなブックマーク

aicezuki による大学入試でのカンニング事件が話題になっている。
NHKはニュース速報まで出したらしい。
騒ぎすぎとの声も出ているが、一生を左右する試験で
このような形の不正が見つかれば騒ぐのが当然だろう。

1.一番の問題は監督体制

最大の問題点は、入学試験の監視体制だ。
予備校生 aicezukiがやったことが問題なのではなく、
カンニングをした者がYahoo知恵袋に投稿するまで
発覚しなかったことが問題
である。
ほとんどの者はわざわざ証拠の残る方法で
カンニングしようとは思わないはずだ。
これは氷山の一角と見るほうが自然である。
辞書を見る、隠し持った公式集やメモを見る、他の人の解答を見る、
と言った程度のカンニングは相当程度横行していると見て
間違いないものと思われる。

大学の大教室は階段状になっていることが多く、
他人の答案が見やすい上に机の形状から死角が多い。
試験の重要さに比べて大学入試の監督体制は
甘すぎるといわざるを得ない。

2.カンニングは摘発ではなく、予防が大事

今回の事件を見ても分かるが、
カンニングの発見やその事実の証明というのは
非常にコストがかかる上に大した効果を挙げられない。
今回あれだけ騒いで、摘発したのはたった1人だけだ。

今回は、正式に警察に依頼しているから大学の立場は安全だが、
大学の定期試験のカンニングなどでははっきりした証拠を抑えないと
教員側が名誉毀損やアカデミック・ハラスメントで訴えられる
と言った恐れもある。
米国の大学では教員の立場があまりにも守られていないことが多く、
カンニングの摘発は一切しない、という教員もいるほどだ。
私は、W大M校時代、友人と答案を写しあうというカンニングを
2組4人分摘発したことがあるが、処分を下すのはかなり面倒くさい。

一人ずつ呼び出して面接をし、
酷似した二つの答案を見せながら、
「不正をしなければここまでの類似はあり得ないから
何も言わなければ双方零点とする。」
と伝え、事実関係を認めれば成績は下げるが単位は
与えるという条件で妥協点を探す。
アメリカ人の学生はあまり怒られずに育ってきているので
あまりの修羅場にガクガク震えていた。
双方にかなりのコストがかかるし、教員側にもリスクがある。
今回も、大学側は答案の再チェックや、
警察対応などでかなりの手間を費やしたはずだ。

そうした、混乱や手間を考えれば、来年の入試では
荷物の持ち込みは禁止、筆記具は大学側が用意、監督員は大幅増員、
程度の対策をするのは十分理に叶っている。
また、逆に1枚程度のメモを持ち込み可能とすることで、
カンニングによる不正や不公平を予防することもできる。

試験問題を複数用意して、他人の解答を
見ることを難しくするのも良いかもしれない。
国語や英語はともかく、数学や理科のような科目では
数値や条件を少し入れ替えれば同様の類題を作るのは簡単だし、
選択問題では選択肢の順序等を入れ替えればカンニングは難しい。

3.新たなビジネスチャンスも


携帯電話の妨害電波を流す電子機器はかなり売れるだろうし、
荷物の持込を禁止するためには
移動式のロッカーなどのサービスも流行るかもしれない。

逆に、大学側が十分な不正対策をしないならば、
受験問題の質問にリアルタイムで答える有料サービスなんかが
大流行することになってしまうだろう。


テーマ : 大学受験
ジャンル : 学校・教育

このブログがアメリカでも有名に? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今年はW大M校時代に知り合いだった女の子が二人も、
採用候補者として面接に来た。

自分:
「あー、ひさしぶりー。」
女の子A:
「ひさしぶりー。そういえば友達から聞いたんだけど、
Willy君、日本語で面白いブログ書いてるらしいじゃん。
読みたいから私も日本語勉強しよっかなー。」

→ 一体、どれだけ情報通なんだ。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

アメリカ各地のデモの本当の原因 -- このエントリーを含むはてなブックマーク


アメリカが州の財政の問題で揺れている。

事の発端となったウィスコンシン州マディソン市
(私はこの町に5年間住み、娘はそこで生まれた。)
では、州知事が州職員の団体交渉権をほぼなくす法案を
提出した事から、労組などが反発し2週間にわたるデモが起こっている。
(参考:保守系の記事(WSJ日本語版)、リベラルの記事(CNN日本語版))


州政府職員に団体交渉権が認められている方が望ましいのかどうかは私には分からないが、
経済的に考えると州財政に関する現在の議論はまだ本質的な部分に達していない。

問題の本質は、連邦政府と各州からなる財政のシステムが
大きな景気変動や構造変化に対応できるものとは言い難いことだ。
問題は以下の3点の組み合わせに集約される。


1.地方政府の固定費用は大きい

地方財政は公共財の中でも、
初等教育、警察・消防、除雪といった
基本的なものを担っており固定費用が大きい。
医療保険に関しても一部は地方政府が担っている。
連邦政府はお金がなければ、火星に行くのを諦めたり、
イランや北朝鮮に攻め込むのを諦めたりすることができるが、
義務教育を3年間短縮したり、警察・消防費用を半減したり
することは非常に困難だ。

2.地方政府の歳入は景気に大きく依存する

地方財政は固定費が大きいにも関わらず、
歳入は大きく景気に依存する。
州に入る法人税は景気に大きく依存するし、
市の歳入の大部分は地価税であり、
地価の下落の影響を大きく受ける。
所得税や売上税のような安定した収益源のない
市政府などは特に影響が深刻だ。

3.地方政府の財政は均衡を強いられる

事実上、総務省を経由して日本政府が
債務保証している日本の地方政府の財政と異なり、
アメリカの州の財政や市の財政は独立している。
各州や各市の規模は連邦政府に比べて圧倒的に小さく
特定の産業に依存しているケースが多いため
信用力や安定性の面では連邦政府に比べ大きく見劣りする。
そのため地方政府のファイナンス能力は限られ、
より小さい自治体(例えば市町村)ほど財政は均衡している必要がある。

上記の1~3は大きな景気ショックがあった時には並存しえない。
地方財政の問題を解決するには、
上記のうち少なくとも一つ以上を変えなくてはいけない。

1.歳出の削減

まず考えられるのは、今まで過剰だった職員数や
給与・福利厚生水準を切り下げることだ。
長い目で見ればこれは当然必要なことである。
しかし、不況時の政府の役割としては適切でないだろう。
不況時には、失業関係の事務コストも増えるし、
失業に伴って犯罪の数や学校に行く人の割合も増えるのだ。
歳出を削減すれば、雇用や所得も落ち込み
負のスパイラルに入る危険性が高くなる。

連邦政府がなかなか有効な景気対策を打ち出せないのは、
本当にお金が必要なところを州政府が担っているのが
主な原因の一つだ。


2.歳入の安定化

法人税や地価税の計算方法を変更することにより
歳入を安定化させることも考えられる。
しかし、法人税の歳入安定化は景気の不安定化に繋がるし、
地価税を硬直的にすれば、不動産価格はより不安定化する。
例えば、40万ドルの家が20万ドルに下落した時、
地価税が年1万ドルのままだったら誰が住むだろうか?
そういった不動産は極端な価格下落に見舞われるのが常だ。

3.連邦政府からの債務保証

連邦政府は、経済状態を安定化させるために
地方政府への債務保証や所得移転を通じて景気対策を打つことができる。
景気変動や構造変化のショックをならすために連邦政府と州政府の間に
よりよい仕組みを作るべきだ。


米国の州政府の問題は構造的なもので、州政府だけで解決するのは困難である。
デモに参加している米国民は、より良い社会を目指したいならば
州議会ではなくむしろ連邦政府に批判の矛先を向けなければならない。


テーマ : アメリカ合衆国
ジャンル : 政治・経済

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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