【デトロイト情報】2013年秋、ミシガン州統一テストの学校別成績 -- このエントリーを含むはてなブックマーク


米国では公立学校の校舎別テストスコアは、住宅購入の際に、教育水準、住民の知的水準のみならず、治安や生活水準の目安にもなるため、とても重要な資料だ。データは各州の教育省などのページで公開されており、誰でも閲覧可能になっている。

久々にミシガン教育省のウェブサイトをチェックしてみたところ、2013年秋に実施されたミシガン州の小中高での統一テスト(MEAP)の結果ファイルが落ちていたので、結果をまとめておく。ミシガン州においては、3年生(日本の小3相当)〜9年生(日本の中3相当)に対して試験が実施されるが、学区の人口動態を占う上でもっとも注目されるのは、その年に初めてデータの出る、一番下の3年生の試験結果である。表では、データが報告されたミシガン内の1609の小学校のうち、上位100校の学区名、学校名、参加生徒数、算数と読解の平均スコアをまとめた。通常、報道などでは悪名高い「落ちこぼれ阻止法(No Child Left Behind Act)」との兼ね合いから、合格基準点に達した生徒の割合が報告されることが多い。しかし、むしろ教育データを気にするような層が感心をもっているのは全体のレベルがどれだけ高いかであろう。そこで、ここでは平均点をまとめた次第である。なお、全学校の平均点(各校を1標本とみなした単純平均)は330.8点、標準偏差は10.9点であった。

以前、より詳細なばらつきデータを用いて計算したところ、日本風の指標に直した場合、上位数校の生徒の平均偏差値は60前後になることが分かった。住所だけで通学先が決まる公立学校にしてはかなり大きなばらつきだ。しかし、学校での教育内容は州のカリキュラムに依存する面が大きいため、テストスコアの差は、元々の生徒の質とピアプレッシャーによって生じている面が大きい。実際、教育内容がほとんど同じはずの学区(School District)内でも、校舎別にスコアはかなり異なるのが実情である。年収の高い地域、アジア人の多い地域、新興住宅地域ほど、スコアが高いという傾向がある。テストスコアの高い学校の方が優れたカリキュラムを実施しているとは言えないため、結果の過大評価は禁物であるが、住宅選びをする際には見ておいた方が良い指標であることはまちがいないだろう。


MEAP Average Score Top 100 (Grade 3)
RankDistrictBuildingTotal TestedAvg. Score
1LivoniaWebster38365.75
2EastGrandRapidsLakeside62361.14
3TroyBemis104361.13
4AnnArborMartinLutherKing81360.80
5AnnArborAngell47359.07
6ByronCenterBrown98357.76
7Plymouth-CantonMiller92357.59
8AnnArborAbbot36356.55
9NoviNoviWoods94355.65
10GrossePointeKerby49355.01
11CrestwoodCrestwoodAccelerated28354.86
12RochesterBrewster74354.65
13HudsonvilleBauer56354.56
14RochesterUniversityHills68354.33
15HamiltonBlueStar41354.14
16EastGrandRapidsWealthy80353.98
17SaginawHemmeter58353.77
18AnnArborWines82353.66
19SaginawHandley64353.57
20TroyWass75353.53
21AnnArborUriahH.Lawton65353.40
22ForestHillsThornapple71353.11
23BrightonSpencerRoad90352.79
23TroyHamilton75352.79
25TroyLeonard82352.72
26RochesterMusson82352.59
27RochesterNorthHill91352.57
28RochesterBaldwin81352.28
29HaslettMurphy75352.07
30HudsonvilleJamestown101351.99
31GrossePointeStevensT.Mason64351.93
32AnnArborBach66351.86
33TroyBarnard89351.52
34LowellAlto76351.44
35AvondaleDeerfield59351.43
36NoviDeerfield96351.24
37WalledLakeOakleyPark51351.02
38MarysvilleGardens78350.87
39Plymouth-CantonDodson85350.86
40FerndaleJohnF.Kennedy46350.64
41NorthvilleAmerman123350.43
42RochesterDeltaKelly82350.31
43AnnArborBurnsPark63350.27
44EastGrandRapidsBretonDowns70350.23
45NorthvilleMoraine58350.19
46LakeOrionWebber78350.16
47AnnArborLogan54350.15
48OkemosMontessori-Central57350.03
49BloomfieldHillsConant60349.94
50AnnArborHaisley77349.91
51AchieveAchieveCharter86349.61
52HudsonvilleForestGrove39349.39
53YaleJohnF.Farrell-Emmett38349.33
54BerkleyBurton64349.11
55TroySchroeder93349.07
56NorthvilleWinchester103349.05
57ForestHillsAda69348.89
58ZeelandZeelandQuest19348.66
59AnnArborThurston70348.62
60ClarkstonBaileyLake100348.57
61UticaMessmore48348.29
62St.JohnsEastOlive30348.14
63GrossePointeLewisMaire52348.07
64BerkleyPattengill42348.03
65HudsonvilleGeorgetown103347.94
66VanguardVanguardCharter87347.89
67LakeOrionOrionOaks97347.74
68NorthvilleSilverSprings85347.72
69LakeviewMacombArdmore64347.67
70TroyHill48347.65
71RochesterLongMeadow97347.61
72TroyCostello56347.59
73SouthLyonSalem46347.57
74GrandHavenPeachPlains77347.41
75NorthCentralNorthCentral27347.36
76LakeOrionStadiumDrive80347.35
77NoviParkview96347.27
78AnnArborEberwhite57347.11
79GrandBlancMyers96347.08
80EastLansingRedCedar49347.04
81SalineWoodlandMeadows99346.98
82RochesterHamlin61346.72
83LakeOrionCarpenterYearRound75346.71
84Carman-AinsworthRankin24346.65
85RoyalOakAddams75346.64
86AGBUAlex-MarieAGBUAlex-Marie28346.59
87TroyWattles81346.55
88GrossePointeRichard69346.54
89CrossCreekCrossCreekCharter83346.53
90MarshallWalters41346.50
91GrandHavenRosyMound63346.49
92JenisonSandyHill70346.38
93LowellMurrayLake75346.36
94WalledLakeHickoryWoods87346.34
94AnnArborJohnAllen59346.34
96FarmingtonHighmeadow54346.34
97BloomfieldHillsWay93346.25
98GrossePointeFerry51346.10
99BerkleyRogers62346.08
100GrandBlancCity24346.02


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

中学、高校の数学教育は何のためにあるのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、ちきりんさんが「下から7割の人のための理科&算数教育」というエントリーのなかで、「今、教えられている内容を前提とすれば、数学や理科に関しては、全体の3割程度の生徒が学べばよい」という意見をブログで述べた。長年ちきりんファンをやってきた数学科教員として、中学、高校の数学教育は何のためにあるのかについて、ここで私見をまとめておこうと思う。

1.どのレベルの数学が不要なのか?

そもそも大多数の日本人は「理科や数学は勉強する必要なし!」と思ってるのだろうか?これは私の想像に過ぎないが、多くの人は、四則演算や、簡単な分数、小数、百分率、簡単な図形など、小学校の算数でやるような内容生活が役に立たないとは思っていないのではないかと思う。昔、所ジョージ氏が 元祖・所ジョージさんの 頭悪いんじゃないの? (ベストセラーシリーズ・ワニの本) の中で、「割り算なんて小学校で教えなくても大人になったらみんな出来るんだから大丈夫!」といったことを書いていたが、それは割り算が生活に必要だから自然に知識として定着することの裏返しである。一方で、よほど数学に恨みを持ってでもいない限り「大学の数学科を廃止せよ!」という人もいないだろう。結局のところ、その中間にある中学や高校の数学について「日常生活の役に立つわけでもないし、専門家になるわけでもないのに全員に本当に必要?」という疑問が湧くのではないか。

2.中学と高校の数学は何のためにあるのか?

結論から言ってしまえば、「現在の数学の中学と高校のカリキュラムは、日本にたくさんの技術者を育てるためのカリキュラムだな」というのが率直な感想である。現在の中学と高校の数学は、理論の厳密さやストーリー性にそれほど注意が払われているわけではなく、一方でよく言われる「論理的思考力」とやらを身につけさせるために最適な、考えさせるようなカリキュラムになっているわけでもない。基本的な関数や微分積分、ベクトルといった内容を中心に基本的な事実がコンパクトにまとめられていて、エンジニアリングや、数学以外の自然科学分野に進む人が将来困らないようにしているのだな、というのがひしひしと感じられるカリキュラムなのである。

もちろん、高校生全員が将来、エンジニアになるわけではない。まさに、7割くらいの人達にとっては中学や高校の数学は不要以外の何物でもない、というちきりん女史の意見はとても正しい。それでは初めから可能性のある3割の生徒だけが学ぶ選択科目にしてしまって良いのか、というのはなかなか難しいところである。例えば、米国の高校では必修となる数学の内容は「東アジアの3年遅れ」と言われる一方で、選択科目を取れば、日本の高校と同等の内容を履修することができるようになっているのだが、実際には生徒の数学力は過去30〜40年あまり、丘から転げ落ちるように転落して、科学技術分野の深刻な人材不足が指摘されているのである。物理や化学に至っては、大学入試で必須でないことから、選択科目を取った生徒でさえ、真面目に勉強しないケースが多いという。それでも米国は、英語が公用語であるというメリットを活かして、科学技術分野で大量の人材を外国から受け入れることで成り立っているが、日本で同様の人材戦略を採ることはできないだろう。つまり、戦後の日本は、全ての生徒に技術者向けの数学や理科を教えて人材の裾野を広げ、7割を犠牲にして、3割の人材を育てたのだと言える。

そうは言っても、中学や高校の数学のカリキュラムは無味乾燥すぎる、という文句も聞こえてきそうだが、技術者を育てるという観点でいうと実は理にかなっている内容が多いのである。以下でいくつかのよくある疑問にお答えしておきたい。

3.公式の暗記は必要か?

日本の算数、数学教育で悪名高いのが、公式を暗記させられることだろう。なぜ、公式を暗記しなければならないのか。それは、実は公式の暗記こそ実用的な数学を学ぶための効率の良い方法だからである。

少し話はそれるが、私自身は大学に入るまで、算数や数学の公式を暗記させられた、と感じたことはほとんどなかった。私が小学校低学年のころ、友達の家に遊びに行って2〜3学年上の友達のお兄さんと話すと、彼は学校の算数の授業で「三角形の面積の求め方」を習っているという。私はそのとき、その友達のお兄さんを畏敬の眼差しで見た。長方形の面積なら簡単だが、三角形はいくら長方形を足し合わせたって作れない。求めるには大きな飛躍が必要なはずだ。「やっぱり上級生はすごいんだなあ!」と感嘆したが、実際自分が上級生になって三角形の面積の求め方を習うと「補助線をひいたら三角形はある長方形の面積の半分」というだけ。「な〜んだ」とがっかりしたのを覚えている。興味のある子なら、「すごい公式を見る → 証明を読んで"な〜んだ"と思う」の繰り返しで勉強すればいい。しかし、そもそも、公式の種明かしに興味を持てない子だっているし、証明がどうしても理解できない子だっているだろう。そんな時に、公式さえ覚えれば誰でも、次のステップに進むことが出来るのが、数学の良い所なのだ。例えば恋愛小説なら、各場面の要約だけ読んで結論を急ぐという事はできない。

また、そもそも公式を当てはめることだって、実はそんなに簡単なことではない。公式を覚えることは、数学を使う上で便利なショートカットだが、一方で理屈を理解せずに公式を当てはめるということは直感に反するので、訓練が必要なのである。

私は米国の大学で日本の高3くらいのレベルの授業をたくさん教えているが、概念のきちんとした理解はおろか、教科書に載っている公式をきちんと場面に応じて当てはめられる学生の数はそれほど多くない。内容にもよるが、せいぜい2〜4割くらいでないかと思う。

実は私も、自分の頭で一から考えるのが好きな方なので、公式を当てはめるのはあまり得意な方でない。院生時代、友人と問題を解いていると、私が一生懸命考えているのを尻目に、友人はいろいろな参考書をあさって便利な公式を見つ出してしまう、といった事は日常茶飯事だった。

公式を当てはめる練習は、色々なレベルで大事なのである。


4.パズル的な数学は必要か?

「百歩譲って、教科書に書いてあることが大事なのは良く分かる。しかし、中学、高校、大学などの入試問題があまりにテクニカル過ぎるのでは?」といった疑問もよく聞かれる。近年の大学入試ではテクニカル問題は減り考えさせる問題が増えた、と主張する向きもあるが、私が見る限り、どう考えてもかなりマニアックな問題がまだかなりある。実際、多くの国の数学の入試問題は、日本ほどテクニカルでパズル的ではないようだ。

入試でテクニカルでパズル的な問題を出題する第一の理由は、単なる知識だけではなく、深い論理的思考力や柔軟な発想力を試そうとしていることだろう。日本において難しい入試問題を課す名門私立中高が、一流大学に多くの人材を輩出し、また一流大学が多くの科学者やエンジニアを輩出している事に鑑みると、あながちこのアプローチが間違っているとは言えない。

しかし、これは日本で特にテクニカルな出題が多いことを完全には説明できないように思う。私は、こうした特徴は、日本社会が専門性よりも現場の試行錯誤を重視して問題を解決しようとする傾向が強いことと関連していると思う。

例えば、私の専門分野の統計学を例にとろう。大企業の経営企画部の若手社員が部長から「毎月の売り上げを予測する式を試作して2日以内に報告するように」と頼まれる。若手社員は経営学部出身で、回りにも統計の専門家はいないので、自力でなんとかしなければならない。しかし、知識も本もソフトウェアも何もなかったとしても、グラフを見ながらなんとなく当てはまりそうな式を時間をかけて丹念に探していけば、データがよほど複雑でない限り、おそらく統計学を駆使して得られるモデルとそう大差ない式に行き着くことができるだろう。そんな時に役に立つのは、高校生の時に受験勉強で1次関数や2次関数をいじくり回した経験かも知れない。2日後になんとかもっともらしい式を作った若手社員から報告を受けた部長は「専門家でもないのに、やはりあの若手は地頭が良い」などと満足するのだ。

多くの人が細かく試行錯誤するパズル的な能力をつける事は、専門化による分業をある程度、置き換えることができる。そうした能力は、専門性をあまり重視しない日本の企業社会では、特に重要になっていると考えられる。


5.中学と高校の数学の本当の問題とは?

以上のように、日本の中学、高校における数学教育は、大量の技術者を養成するという国策、そして現場で試行錯誤をする能力という観点からは、過去にはそれなりに機能してきたのではないかと思う。しかし、その最大の問題は、そのカリキュラムが時代に応じて全く変化していないことだ。

数学教育は、中学、高校、大学の数学教員や文部科学省の役人といった、いわば閉じた世界で数学をやっている人達によって決められている。例えば、統計教育の必要性が叫ばれながらもそれがなかなか進まないのは、現場に統計を使って仕事をした経験がある人が少ないからであろう。統計以外にも、仕事でスプレッドシートやデータベースを扱う機会が増えた現在では、初歩的なブール代数などが高校のカリキュラムに入ってもいいし、モデル化のためにはグラフ理論などが入っても良い。微分積分にしても、定理の導出より近似のアルゴリズムやシミュレーションをもっと重視したカリキュラムにするべきだろう。コンピューター言語を扱う情報科目ももっと比重を置かれるべきだ。

数学のカリキュラムの検討にあたっては、GDPへの貢献度に応じて産業界から委員を選出するなど、よりダイナミックに内容を変えて行かなければならないだろう。いまのような状態では、百年後も高校の数学の授業は大して変わらず、古典文学のような授業になってしまうかも知れない。

6.数学を勉強しなくてすむようにするために

そうは言っても、数学を学ぶことの重要性はやはり低下しているのだろう。世界中のどこに行っても、若い世代の数学力の低下が叫ばれており、特に先進国ではその傾向が顕著だ。しかし、数学のカリキュラムを大幅に「軽量化」するためには二つのことが必要だ。

1点目は、社会全体で専門化による分業を進めることである。数学力のスタンダードが下がった世界では、経理担当者やエンジニア、科学者でさえも、数式の処理やデータの処理などに当たっては、それを専門家に丸投げできるような体制を整えておく必要がある。

2点目は、数学が必要になった時のために、いつでも、どこでも、いくらでも、好きなペースで、無料で学べる日本語のコンテンツを充実させておくことだ。今なら、ウェブ上のコンテンツを開発することになるだろう。思い起こせば、日本でゆとり教育が導入された際、当時の数学者たちは危機感を持って、高校生にも読めるかなりの数の数学の啓蒙書を書いた。日本中の数百万の中高生が、数学の勉強に頭を痛めることから解放されることを思えば、そうしたコンテンツの開発コストは本当に微々たるものに違いない。


テーマ : 算数・数学の学習
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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