スポンサーサイト -- このエントリーを含むはてなブックマーク

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


楽天市場では送料偽装の責任を誰も取らない件 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

つい先日、pucotan氏が「amazonマーケットプレイスの"1円+関東への送料無料"」 なる記事にて、事実上送料が380円であるにも関わらず商品の紹介画面で「関東への送料無料」と出品業者が表示させることができる、という現象を紹介されていた(ただし、実際に注文画面にいけば料金は合計381円と表示される)。こうした抜け穴はシステム側(アマゾン側)で防ぐべきである、という意見に賛同する。

しかし、私は楽天市場にて昨年、もっと不愉快な体験をしたので報告しておきたい。出品業者は「和気文具」で、創業1926年で今年創立14周年だそうだ。つまり今年は1940年。どうやら西暦ではないようだ。
waki.png

具体的に起こった事は次の通りである。

1.楽天市場から商品を注文。
  商品送料426円+送料(メール便)220円=合計646円
  をクレジットカードで決済。
  その際「送料等の諸費用は変わる場合があります」との但し書きあり(写真参照)。
値段1

2.「【和気文具/R】XXXXX様 発送日のご連絡です。【ご注文最終確認】」
  なるメール通知を受け取る。最後までよく読むと、一方的に
  「送料が580円(合計1006円)に変更になる」旨の連絡が含まれている。
  「ご注文内容の変更やお客様都合による取り消しについては
   お受けいたしかねますのでご了承ください。」との文言があり、
  2日後に一方的に発送される。

値段2

3.クレジットカードから1006円が引き落とされる。

4.過大請求につき差額を返金するよう電子メールで依頼。

5.5週間にわたり返信なし。

6.再度、過大請求につき差額を返金するよう電子メールで依頼。

7.「先日下記内容でメールをお送りさせて頂いておりますが、
   ご確認頂けていないとのこと、失礼致しました。」との連絡があり。
  先方は、差額返還を拒否。

 → 私はメールの削除は一切しないし、既にやりとりのある業者とのメールが
 (私の使っている)Gmailのスパムで弾かれることは99%あり得ないのだが。
  
8.返金はこの時点で諦め、この業者が返金しない事実を確定させるため、
  以下の内容のメールを送信。
 「今回の件に関しては、貴社は返金は行わないという
  最終決定したという事でよろしいですか。ご確認願います。
  その上で然るべき対応を取らせて頂きます。」

 → 「然るべき対応」というのは、運営サイトの楽天に問題を
   上げるというつもりで書いた。

9.先方より、最終決定で構わないとの通知あり。
  先方の主張も引用しておくと、
  『メール便不可商品の宅配便送料への変更につきましては、
  商品ページにメール便不可の記載をさせて頂いていること
  また、メール便不可の商品をメール便でご購入された時の対応を
  ご利用ガイド、ならびに買い物かごの説明文に記載させて頂いております。
  ネットショップの特性上、ご注文頂いた時点で
  上記を含めた注意事項等に「お客様がご同意の上ご注文頂いた」と
  判断させて頂いております。』
  とのこと。

 → 確かに上記「1.」に送料等が変更になることがあるとは書いてあるが、
  こうした文言さえあれば料金の一方的な変更はいくらでも認められるのだろうか?

 → そもそもネットでの少額の買い物では、購入の意思決定はほとんど
   送料に依存する。実際、この商品を買うときも、アマゾンや楽天の
   いくつもの業者の送料を見てから注文した。したがって、はっきりと
   送料が表示してあれば気付かなかったとは考えられない。
   つまり「メール便不可」とは書いたが、送料は書かかれていない上、
   注文画面ではメール便は選べるようになっているという事である。

10.楽天のカスタマーサービスのチャットにて、
   上記の一部始終に関し、楽天市場のシステムの問題として回答を求める。
   少々読みにくいが、やりとりを原文のまま紹介する。
   (ただし、プライバシー保護のため個人名や注文番号等は、担当者A、Willy, XXXXX 等と置き換えた。)

担当者A: お待たせいたしました、楽天市場の担当者Aと申します。
担当者A: お問い合わせいただきありがとうございます。
担当者A: お問い合わせ内容は以下でよろしいでしょうか?
「楽天で商品を購入した際の決済額の承認プロセスについて」
Willy: クレジットカード決済についての質問です。
Willy: 先日商品を購入したところ、代金が約400円、送料約220円で合計620円くらいの額を決済しました。
Willy: しかしながら、実際には送料が、メール便を使用できなかったため、との理由で自動的に変更され、発送後に1000円強の請求がありました。
Willy: 楽天市場のシステムにおいては、参加店舗が任意の金額を引き落とせるようになっているのでしょうか。
Willy: もし、そうでければどのような仕組みで利用者のクレジットカードの安全性は確保されているのですか。
担当者A: お知らせいただきありがとうございます。
Willy: 参考までに、加盟店(和気文具)からは差額の返金は拒否する旨、
正式な最終決定を頂いております。
担当者A: お知らせいただき恐れ入ります。
担当者A: それでは、確認いたしますので注文番号をお知らせいただけますか?
Willy: 注文番号 XXXXXX-XXXXXXXX-XXXXXXXXXX
注文日時 2014-12-DD HH:MM:SS
担当者A: お知らせいただきありがとうございます。
担当者A: 確認いたしますので、少々お待ちください。
----(中略?一部コピー失敗の可能性あり)----
Willy: 細くしたいのですが、
担当者A: お知らせいただきありがとうございます。
Willy: 捕捉したいのですが
Willy: すみません。補足したいのですが
担当者A: はい、お願いいたします。
Willy: 今回の件に関しては
Willy: 既に最終決定も出ており金額も小さいので
Willy: 結果がどうなっても構わないのですが
Willy: 一般的に、決済の安全性や公平性がどうなっているのか
Willy: という点にむしろ関心があります。
Willy: 実際に、少額の買い物においては
Willy: 送料の額が、どこで買うかどうかの意思決定に
Willy: 大きく影響していると
Willy: 考えています。
Willy: その際に、例え送料だけであっても
Willy: 加盟店が任意の金額を後から決定できるような
Willy: 仕組みがあるとすれば
Willy: 非常に問題であると思っております。
Willy: 他の大手サイトにおいて
Willy: そのような問題は今の所経験しておりません。
Willy: 今回の件に関しても
Willy: 加盟店はメール便が選べないにも拘らず、選べるように画面が設定されている不具合と主張しているのですが
Willy: 実際には、同一商品の他店舗のページをみると
Willy: メール便が可となっているものや
Willy: メール便が予め選べないようになっているサイトも存在するのです。
Willy: あくまで、楽天市場の仕組みがどうなっているのかと
Willy: 加盟店と楽天側、どちらの不備なのか、
Willy: あるいは消費者は現状を容認しなければならないのか、
Willy: という点に関して
Willy: 回答を頂きたいと思っております。
Willy: 長文失礼致しました。
Willy: 以上です。
担当者A: それでは、上記もあわせて担当部署に申し伝え、メールにてご案内いたします。
Willy: ありがとうございます。よろしくお願いします。
担当者A: 詳細の確認ができしだい、今回ご入力していただいたメールアドレス宛に、
弊社担当者よりご連絡させていただきますので、
そちらをご確認いただきますようお願いいたします。
担当者A: チャット窓口にお問い合わせをいただくお手数をおかけしたにも関わらず、
本窓口にてお力添えできず申し訳ございませんでした。
担当者A: ご丁寧にありがとうございます。
担当者A: その他、ご不明な点はございますでしょうか?
Willy: ありません。それではメールでのご返答をお待ちしています。
担当者A: かしこまりました。
担当者A: かしこまりました。
担当者A: はい、それでは、担当部署からのメールをお待ちいただけますと幸いでございます。
担当者A: このたびはお問い合わせいただき、ありがとうございました。
Willy: 了解しました。では。
お客様 が切断されました。

11.既に2ヶ月以上経過したが、結局楽天から回答は得られていない。


私は、もしはじめから426円の商品の送料が580円もかかると分かっていれば注文はしなかったし、上の業者の取引慣行がグレーであるとも思う。しかし、ネット上には信頼できる業者もあれば、できない業者もあるわけで、その点は致し方ないと考えている。

問題は、そうした玉石混淆の業者を扱う楽天側のシステムにある。そもそも、楽天やアマゾン、Yahooなどの大手サイトで多くの人々が買い物をするのは、名前も知らないサイトで買い物をするよりも安心した取引ができるというメリットがあるからではないのか。そうした大手サイトが、例え送料という名目であろうとも、消費者が承認していない額を自動的に決済できてしまう仕組みを放置しているというのは、ビジネスの根幹に関わる問題だと思うのだが、利用者のみなさんはどう思われるだろうか。


スポンサーサイト

節約型早期リタイアについて考察してみる -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日ネットサーフィンをしてところ、「一日不作一日不食」というブログの「セミリタイアするにあたって影響を受けたブログ5選」という記事にたどり着き、どうやら日本には、特段大きな資産を築いたわけではなくても、40歳前後で引退して節約生活(といえば聞こえは良いが、多くは極貧生活)に入る人や、そうした節約型早期リタイアを目指している人が結構いるということを知った。

昔からこうした人はいたのかも知れないが、多くの人がネットでその生活を紹介しているのは、節約型早期リタイアとネットの親和性が高いからだろう。こうした人の多くは、リアルの人付き合いをあまり好まない一方、ブログなどをつける時間は十分ある。また、そうした生活を紹介する事でアフィリエイターとして若干の収入が得られるというのも大きそうだ。

mushoku2006さんの「年間生活費100万円! 36歳からのドケチリタイア日記」の生活費内訳を見ると、その節約の凄まじさが分かる。月の食費は9千円、食べ物はほぼ、食パン、豆、卵、トマトジュース、もやし、サバ缶、たまに安い肉だけという感じである。この方は、年間の生活費を100万円に抑えることを目標にして9年ほど前にリタイアしたようだ。

他の国にこういう人がどれくらいいるのかは知らないが、米国で暮らしている感じでは、周到な計画を立ててそういう生活を目指している人はあまりいないように思う。日本にそうした人達が多くいる背景は何なのだろうか。

1.なぜそこまでして早期リタイアを目指すのか

まず考えられるのは、日本の職場の労働環境が厳しいことだろう。上司や顧客からのプレッシャーが大きいとか、労働時間が長いということもあるだろうし、そもそも、会社自体が共同体としての役割を果たす日本企業の文化が、生まれつき肌に合わないという人もたくさんいる。

もう一つは、失礼を承知で言えば、節約型早期リタイアを考える人達は、思考回路としてはコミュ障とか引きこもりと呼ばれる人に似ていることだと思う。そうした人は、生活上必要ならば常識人として振る舞うこともできるという器用さを持ち合わせているものの、できればそうしたくない、そのための苦労を厭わない、という考えを持っているようだ。これは、日本の労働環境が厳しいということの裏返しでもある。

社会制度の観点から大きいと思うのは、福祉制度を格安で利用できるという点である。一番大きいのは、国民健康保険の存在だろう。自治体にもよるが、所得がなくなれば、保険料は年間で2万円ほどで済むケースが多い。介護保険や後期高齢者支援金を入れても、年間4万円程度だろう。国民年金も所得がゼロなら全額免除が通る。また、貯金が底をついても、その時働けないほど高齢者になっていれば生活保護も需給可能だろう。国保はともかく、介護保険や国民年金は高齢者以外にとっては極めて不公平感が強い制度であるし、生活保護も同様だが、早期リタイアによってこうした問題は一挙に解決して得する側に回ることになる。

例えば米国では、仕事を失うのと同時に健康保険を失うのが通常だ。65歳以上になれば国が提供する高齢者用保険のメディケアに入れるが、それまでは、一部の富裕層を除く大多数の人にとって仕事を辞める選択肢は事実上ない。

更に言えば、その他の行政サービスも時間のある無職者の方が大きな恩恵を受けられる。公立図書館は無料で利用出来るし、市民館やコミュニティーセンターなども思う存分使える。忙しいビジネスマンが、駅前の本屋で本を買い、スポーツクラブで汗を流すのを横目に、ほとんど同じサービスを格安で受けられる。

こう考えていくと節約型の早期リタイアとは、当事者が意識しているか否かにかかわらず、いまの社会の仕組みに対するアンチテーゼになっているといえる。


2.節約型早期リタイアのデメリット

こう書いていくと節約型早期リタイアはいい事ばかりで、まさに日本では「働いたら負け」なのではないか、とも思えてしまうが、良い事ばかりではない。もちろん、「張り合いがなくなる」とか「時間を持て余す」などという意見は、早期リタイアを目指すような人にとっては百も承知だろうから、大した障害にはならないだろう。しかし、早期リタイアを不利にするような社会の仕組みも確実に存在する。

経済的な面で言えば一番大きいのが年功序列賃金だろう。節約型早期リタイアは、かなり周到な資金計画が必要だが、伝統的な日本の組織の賃金制度は年功序列なので40歳そこそこで退職すると「一番安月給で働かされる時期」だけ働く事になる。これは、早期リタイアを諦めさせる経済的要因としては一番大きいだろう。

もう一点は、無職者に対する社会的な風当たりが強いことだ。例えば、借家を借りるにしても無職者では断られることもある。もちろん、米国などでも借り主の支払い能力は審査されるが、あくまで大事なのは支払い能力であって、無職で信頼できないからダメという埒のあかない状況とは違うように思う。無職者に対する風当たりの強さをもっと観念的に表しているのは、日本が社会主義国でもないのに憲法に「勤労の義務」がうたわれている事である。

3.いざ節約型早期リタイアを目指す方に

さあ、デメリットも考慮した上で「働いたら負け」の信念は変わらず、いざ節約型早期リタイアを決心したとしよう。「資産の確保」と「住居の確保」は、現実的な二大経済問題だ。これに関して私の提案は以下のようになる。

(3-1) 「資産は全力で積極運用せよ」

資産運用の基本は「取れるリスクは取れ」ということだ。高齢で働くことができず、虎の子の1千万円で5年暮らさなければならないというような状況ではリスクを取れないが、20代でこれから収入がある人なら全財産を失ってもやり直しがきく。早期リタイアは、まさに「働けるけど敢えて引退」を目指しているのであるから、「働けるけど」というオプションの価値を活かして、全力でリスクを取るのが合理的である。私なら大半を株式で運用するだろう。その結果、財産の大半を失ってリタイアが遅れる可能性があっても、5年分の唯一の生活費を投資で溶かしてしまった老人よりは、ずっと状況が良いということだ。

リタイア後はどうであろうか。さすがに引退前よりは保守的にならざるを得ないだろうが、依然として積極サイドにふった運用をすべきであろう。一つの理由は、若いうちは再度働くというオプションが残されていることだ。実際にそうなればかなり憂鬱だろうが、それでも「無一文で働けない老人」よりもずっと状況は良いはずである。もう一つの理由は、死ぬまでの期間の長さだ。資産運用の結果は投資期間が長いほどならされるので、最終的にその方が得になることが多い。

そもそも、例え早期リタイアしたとしても経済は常に変化する。物価の変化や社会制度の変更のリスクは、個人ではどうにもできない。したがって、いずれにしてもある程度のリスクを勘案してリタイア時の資金計画をつくることが必要であり、リスクを取らないことよりも、経済イベントに応じて計画を変更していく方が重要である。そして、計画全体の期間が長いほど、穏やかな計画の変更によって対処できるはずである。

(3-2) 「家は買うな」

毎年の支出を考えれば、地方に格安の不動産を買ってそこに住むことで家賃を浮かせるというのは魅力的な手段に映る。実際、格安リゾートマンションで生活しているという人もいるようだ。しかしこれはお勧め出来ない。早期リタイアという超長期の計画の中で考えると、日本の不動産は値下がりする可能性が極めて高いからだ。現状の日本政府のポリシーミックスでは、長期的に価格が維持出来る可能性があるのは、東京23区とその周辺等ごく一部の環境の良い住宅地に限られる。さらに、仮に購入価格が格安であってとしても、その不動産にいつまでも正の価値があるとは限らない。百万円で買ったマンションの管理費や修繕積立金が上がり続け、買い手がつかないまま、これらの費用や固定資産税を払い続ける、というハメになるリスクも低くない。また、建物が老朽化して建て替えになった時のリスクも大きい。

無職者の賃借が難しいという点を勘案しても、あくまで住宅の購入は最終手段と考えるべきで、「賃貸+株式などの資産運用」が、「もっとも勝てる可能性の高い」ポートフォリオと言えそうだ。


さて、他の人よりずっと早く仕事のストレスから解放される「節約型早期リタイア」について一通り見てきたが、その魅力はどうだっただろうか。

個人的には、(既に30代後半で時遅しという点を抜きにしても)「うーん、僕は遠慮しておこうかな」という感じであった。


1から分かるトヨタの種類株ーAA型種類株はなぜ投資家に有利なのか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

トヨタがAA型種類株という特殊な株式を発行出来ることが株主総会で決まった(詳しい内容はこちら)。様々なメディアが一般向けに解説をしているが、仕組みが一から分かるような説明があまりないようなので、ここで説明してみたい。

結論から言うと、この種類株は投資家にとって非常に得な条件で発行され、一方のトヨタは無駄金を使うことになる。発行価格がまだ決まっていないのにどうしてそう断言出来るのかを以下で説明する。

1.AA型に似た仕組み ー 転換社債(CB)

AA株は、5年間で年1.5%という確定利回りが保証されている一方、トヨタの普通株式に予め決められた転換できる権利がついているので、株価が大きく値上がりした場合には普通株に転換して利益を出せるようになっている。「確定利回り+転換権」という組み合わせはCBと似た仕組みである。そこで、まずCBの仕組みを復習してみよう。

CBが企業にとってメリットをもたらすのは、「普通株への転換」という通常よりも低い金利で借り入れが可能だからである。CBと普通社債(SB、固定金利での借り入れ)を比較してみよう。例えば、企業は債券発行にあたり、典型的には次のような2つの選択肢を持っている。

(SB)満期5年、利回り1%
(CB)満期5年、利回り0.5% + 株式への転換権つき。

つまり、株式への転換権という「おまけ」を付ける事によって、借り入れの金利を安くするのが企業側にとってCBを発行するメリットだ。

もちろん企業にとってのデメリットもある。例えば、株価が800円の企業が1億円のCBを発行し、一株あたり1000円で株式に転換できる権利を付けたとしよう。満期が来た時に、その企業の株価が1200円になっていたとすると、1億円のCBは、
(1億円)➗(1000円/株) = 10万株
に転換される。CBの持ち主には1200円のものを1000円で買うので得になるが、企業や既存の株主にとっては、市場より安い価格で新たな株式が発行されるので損になるというわけだ。しかし、そもそも株価が大幅に上昇するというシナリオは企業にとってはポジティブなので、そのデメリットは発行時点ではあまり問題にならない。

2.AA型の高過ぎる利回り

AA株の問題は、「株式への転換権」というおまけがついているにもかかわらず、利回りが5年で1.5%と非常に高いことだ。同時期に条件が決定された米アップル社の円建て5年債の利回りは0.35%である。アップルもトヨタも共に信用力の非常に高い企業であることを考えると、1.5%がいかにお得かが分かる。話を簡単にするため、0.35%のSBと1.5%のCBの信用度が同じ程度だとして比べてみよう。

(SB)満期5年、利回り0.35%
(CB)満期5年、利回り1.5% + 株式への転換権つき???

株式への転換価格の条件がどうなろうとも、「おまけ付きで利回りも高い」という時点でお得すぎる条件になっている。トヨタは、転換価格についてはマーケットに委ねて決定しようとしているが、8,234円(6/19現在)の普通株への転換価格が1万円になろうと2万円になろうと、「おまけ」である転換権の価値がゼロを下回ることはない。投資家に取って有利な条件にしかなり得ないのだ。

3.投資家にとっての落とし穴

上のようにAA型は投資家に有利な条件で発売されることが確定しているが、もちろん、注意点が全くないわけではない。

1つは、5年間譲渡ができないという流動性の制約である。これは、自由に低利での借り入れができない個人投資家にはデメリットであるが、余裕資金を運用する富裕層などにはあまり大きな障害にならないだろう。さらに、ファイナンスが比較的自由にできる金融機関や大企業、一部の機関投資家にとっては、大した障害にならないと言える。

もう1つは、利払いの確実性が普通社債(SB)に比べて劣るという点である。利払いについては、債券というよりも優先株(固定利回りで、普通株の配当に優先するが、社債の利払いより優先順位が落ちる金融商品)に近いと考えられる。しかし、自動車会社という業態は、電機メーカー等に比べ、短期•中期的には経営が安定していると考えられており、それほど大きなデメリットとはならないだろう。

4.トヨタにとってのメリットは?

トヨタは、この株式を安定株主の増加のための施策として位置づけているようだ。もちろん、そうした効果はある程度あるが、残念ながら今回のスキームはそのためにベストなものにはなっていない。

トヨタは、AA型種類株を普通株に1:1で転換する権利を付与し、その株数に応じた議決権を付与すると述べている。例えば、転換価格が現在の株価と同じ8234円だとして、AA株の発行価格が1万円であれば、トヨタは1万円の調達に対して1株分の議決権しか発行出来ない。しかも、上記の2.でみたように、AA株の利回り条件は非常に投資家に有利となるため、転換価格は非常に高くなる可能性が高い。例えば現在の株価の約2倍、1万6千円でAA型を発行すれば、同じ払い込み金額に対して、トヨタは半分の議決権しか発行出来ないことになる。要するに、議決権を増やすためには効率の悪い方法だと言えるのだ。

5.トヨタの株価への影響は?

結論から書けばネガティブだが、破壊的に大きな影響はないと言える。

ネガティブな点は二つある。一つは余計な金利を払う必要があるという点であり、もう一つは事実上の債券ホルダーが議決権を持つ事により、経営がより保守的になるという点である。もっとも、2つ目の点は、むしろトヨタの経営陣はポジティブな側面だと考えているようだ。これは「会社は株主の物ではなく、債権者や従業員を守るために存在する」という日本的な価値観の裏返しである。

一方で、破壊的に大きな影響が生じないのは、トヨタがAA型新株発行に合わせて、普通株を自社株買いするためだ。そのため、今回の新株発行で株式数が増えすぎて利益が希薄化するということはない。


6.「AA型種類株バーゲンセール」の原資

トヨタが余計な金利を払ってまで保守的な株主を増やせる余裕はどこから来るのだろうか?個別にトヨタという企業を見れば、発展途上国を始めたとした自動車需要の拡大、という追い風があるだろう。

しかし、もう少し大きな視点を持てば、先進国が巨額の政府債務を解消するために国債金利を人工的に低く抑え、その波及効果として、大企業が多額の資金を格安で調達できるようになったことが背景にある。米国の近年の株高も、自社株式を買い取って、低利の借り入れに置き換えることで支えられている面が大きい。トヨタの種類株発行も、その大きな流れに乗って、経営に問題が生じない程度で贅沢をした、といったところだろう。


米国のデビットカードを使って国外で現金引き出し -- このエントリーを含むはてなブックマーク

海外によく行く人にとっては現地通貨をどうやって手に入れるのが一番得か頭を悩ませることも多いだろう。空港や銀行で現地通貨に換えるのは簡単だが手数料は非常に高い。また、日本の金融機関が発行するデビットカードを海外のネットワークで利用する事もできるが、ほとんどの場合、3〜4%の為替手数料をとられる。

しかし、米国発行のデビットカードの場合は、うまく選ぶと海外(米国外)での現地通貨引き出しがほぼ手数料なしで行える。2年ほど前の記事のようだが、Nerd Wallet が主要な銀行ごとのATM引出手数料をまとめている。

この分野でもっとも定評のある Charles Schwab Bank を使うと、ATM手数料、為替手数料とも一切かからない。実際には、Visaがチャージする手数料を Schwabが負担しているということのようだ。同様に Fidelity Investments のデビットカードも手数料がかからないと報告されている(ただし、物品の購入には1%の為替手数料がかかる)。これら二つの金融機関はいずれも VisaのATMネットワーク(PLUS, STARS, Interlink等)を使っている。Capital One 360 もインターネットで口座を開いた顧客は手数料なしでATMから現地通貨を引き出せる。こちらは Mastercard のネットワークを使っている。

無料で使えるとは言っても、一日に下ろせる金額はそれほど大きくない点には注意が必要だ。デビットカードの規約次第だが、例えば私の持っているデビットカードの引き出し限度額は一日500ドルである。手数料が無料なのも、少額の現金が必要になった場合の付加的なサービスという位置づけだからなのだろう。

また、米国のデビットカードでも発行する金融機関によって手数料は大きく異なる。例えば、Chase、Citibank、Bank of America などおなじみの大手行のデビットカードでは、手数料は2.5〜5ドル+3%と日本の金融機関と大差ない。例えば、1ドル=120円の時に日本で1万2千円を引き出せば、代金の100ドルに加えて、ATM手数料として5ドル、為替手数料として100ドルの3%で3ドルかかるので、108ドルということになる。

海外に行く事が多い人は、海外での現地通貨引き出し手数料のかからない銀行口座を作っておくと、お得だろう。


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

【書評】アクチュアリー・桑山啓介の転職 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、某ブロガーがこの本を読んだとつぶやいていたので、アマゾンから取り寄せて読んでみた。せっかくなので感想を簡単にまとめておく。

まずは、誤算だった点を2点。

1.ノンフィクションかと思ったら三文小説だった

作者の鷹巣怜氏は、損保会社のアクチュアリー(既に退職?)のようで話の大部分は実体験や業界での伝聞に基づいているが、本書はタイトルにもある通り、想像上のアクチュアリーのキャリアを描いた小説として書かれている。ノンフィクションにするとプライバシーや機密情報の問題が発生するため、致し方なかった面もあるのだろう。一方で、作者が趣味で小説を出版してみたかったとの思惑も見え隠れする。アクチュアリーが必死で小説を書こうとするとこうなるのね、という微笑ましさを楽しむ余裕が必要だ。(自分も「大数の法則と中心極限定理を恋愛小説風に語ってみる」で同じような事を書かれたので人の事は言えない。)

しかし小説というアプローチの是非はともかくとして、「これはいかがなものか」と思ったのは、主人公の桑山と英会話の女性講師とのラブシーンである。二次元、三次元の性的コンテンツのあふれる現代にあって、小説の濡れ場シーンというだけでもレトロなのに、この三文小説の濡れ場は目も当てられない。顔を手で覆い、かろうじて指の隙間から斜め読みする感じである。

実際の作者はどんな人なのだろうと思って検索してみたら、作者のホームページを見つけたので、参考までにここに貼っておく。ついでに作者のtwitterアカウントもリンクされていたが、フォローワーが一人しかいなかったようなので、「2げっと」は私がしておいた。

2.海外アクチュアリーの話がほとんど国際会議の体験談だけ

本書を買った大きな動機は「海外のアクチュアリーの雇用環境ってどうなの?」という関心があったからなので、この点は非常に残念であった。確かに、米欧のファイナンス系の学会等は別世界の豪華さだと聞くので、作者が書いておきたいと思ったのは無理もない。しかし、米国アクチュアリーの転職の実情や、日米の職場での業務内容の違いなどの描写を期待していた私には、ちょっと残念であった。これは、作者の体験をベースにした小説としての限界であると思う。


それでも読んで損はないと思う理由

いくつかの誤算があったので個人的には正直少し期待はずれな本ではあったが、アクチュアリーを目指す学生には、業界の雰囲気を知る上で、一度斜め読みしても損はないのではないかと思う。

知人等からも聞く話だが、日本のアクチュアリー界は人数も少なく狭い世界だ。この本を読めば、アクチュアリーがアクチュアリー会(の研究会など)を通じて繋がっている様子がわかるし、業務内容に触れているところも多いので、保険会社内での仕事の位置づけも伝わってくる。恐らく作者の年齢からくる、やや時代錯誤な仕事観や企業観も見られるが、雰囲気を感じる上で大きな障害にはならないだろう。

現状ではアクチュアリーというキャリアを学生の側から見ると、まずアクチュアリー試験の方に関心がいってしまう。数学などを学ぶ学生からすれば、数学の知識が直接に役立つという点でアクチュアリー試験には親近感を覚えやすいからだ。しかし、アクチュアリーの業務内容は、むしろ、制度、経営、計算やデータ処理という側面が強いので、こうした面に興味がない人がアクチュアリーになることは、本人にとっても企業側にとっても不幸だ。アクチュアリーに興味を持った若い人にとって、例え小説であっても「仕事の雰囲気」を手軽に伝える本があることは、幸運なことだと言えるだろう。






テーマ : 就職・転職・起業
ジャンル : 就職・お仕事

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

検索フォーム
Twitter

Twitter < > Reload

お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

全記事表示

全ての記事を表示する

最近のコメント
訪問者数 (UA)
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
31位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
北アメリカ
4位
アクセスランキングを見る>>
人気記事Top10


(はてなブックマークより)

カテゴリー
最近のトラックバック
お勧めブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。