アメリカの健康保険 -- このエントリーを含むはてなブックマーク



アメリカでは、
自己破産の62%が医療費用を原因とするものであり、
その78%は健康保険を持っていたにもかかわらず
破産した(ハーバード大研究者による調査)との報告もある。

そんなわけで、留学などで米国に来る際には
健康保険がどうなっているかは、
財政援助や授業料と並んで大事なものであると思う。

例えば以前、米国移住を考えている中高年と思われる人から
「日本の健康保険の海外療養費の支給制度ではだめか」
というナイーブな質問が某掲示板であった。
この制度は、海外での治療費のうち、日本国内で治療を
受けた場合の相当額を受け取れるというものだが、
アメリカに適用すると大雑把に次のようになる。
まず、アメリカの医療価格は
少なく見積もっても日本の3~5倍
だろう。
仮に3倍だとして、3,000ドルの治療を米国で受けると、
日本での相当額は1,000ドル、
3割自己負担なら健康保険からの支給額は700ドルである。
ないよりはましだが、焼け石に水である。
しかも健保によっては、専門家による請求書の
英日翻訳を強制しているところもあるようだ。

次に、日本の保険会社の海外傷害保険に入った場合はどうか。
費用を払う分多少マシになるうが、
出産、既往症、自覚症状のみに基づく疾病(腰痛等)、虫歯
など、比較的必要性の高いものは、細かい免責条項
決まっており安心できない。

結局、米国内の保険に頼らざるを得ない。
多くの大学では、留学生は学生用の健康保険
強制加入することになる。

大学によってカバレッジや保険料は異なるが、
以前にいたW大M校では、
独身者が年1800ドル、
家族が7500ドル程度だった。
家族用の保険料が高いのは、
出産や子供の定期健診等をカバーするためである。
TA/RA をやるとカバレッジが少し高くなる上に
95%ほどが大学負担になり、
自己負担はわずかに年400ドルほどだった。
救急外来を除けば医療費を払った事はほとんどない。
以前、W大M校は院生の待遇が悪いと書いたが、
充実した保険は大きなアドバンテージの一つである。

今いるWS大では9月から大学の保険が提供されるが
私が選択した比較的安い健康保険(HMO)の
年間費用でも12,000ドル以上に上る。
そのうちの約10,000ドルは大学側が負担し、
自己負担は年間2千数百ドルほどだ。

労使のどちらが負担するにせよ、
健康保険料は非常に高額であり
米国経済の大きな負担になっている。
次回は、もうちょっとマクロ的な視点で
アメリカの医療制度について書こうと思う。
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テーマ : アメリカ留学
ジャンル : 海外情報

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プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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