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初等教育を丸投げする米国(教育制度比較1) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカの大学が
なんであんなに外国人をたくさん入れているかというと、
それは国力を見せ付けるためではなくて、
第一にはお金のためであると思う。
その辺りのことは、先日紹介した小林由美さんの本
などにも書かれている。

確かに、例えば外国人から博士課程の学生を受け入れると、
学費などの経費を含め、実質的な労働の対価を除いたベースで
10~20万ドルくらい掛かるのではないかと思う。

しかし、どうやら自国の教育制度を充実させて
自前で人材を育成するには、もっとお金がかかるようだ。
米国で、専門職に就くために博士号は運転免許のようなものだが、
それでも持っている人は成人の約2%前後と推定されている。

初等・中等教育のレベルを底上げするには、
最終的に研究・開発職につく人の50倍の生徒に
投資しなければならない。教員のQualificationを
少し上げるだけでも相当な投資額になるだろう。
ならば、外から受け入れよう、という判断なのだ。

それに、生まれながらにして確率的に
知能の高い人と低い人がいることを考えれば、
母数の大きい中国やインドから優秀な知的労働者を
受け入れた方が効率が良いのは明らかだ。

コストと言えば、最近は
院生すら絞り込んで
ポスドクを戦略的に増やす大学

も出てきている。
昨年、二人の友人が立て続けに、PhD取得後、
イェール大学のポスドクについた。
事情を聞くと私立大学は学費が高いので、
高い給料を払ってもポスドクの方が安くつくらしい。
そこでイェール大は、
知識のしっかりしたポスドクを積極的に
受け入れているとのこと。


外国人受け入れのもう一つの側面は、
階層格差の維持だろう。
富裕層や知識階層にとっては、
むしろ公的な初等教育のレベルを落として、
自分の子弟だけに最高の教育を受けさせた方が
階層を維持するには都合がいい。

階層を最大限維持してパイを少人数で分けた上で
足りなくなった分は外国人で賄うのが
「アメリカのビジネスモデル」だと思う。

米国にはアファーマティブ・アクション
(AA, 社会的弱者に対する優遇)
などという体のいい概念があるが、
これは抜本的な階層社会の構造を変えずに、
ポーズだけとっている面も強い。

端的にいえば、
貧しい子供に教科書を買ってあげるのではなく、
教科書が買えない子供は勉強ができないはずだから
スコアに10%分ゲタを履かせる、
というのがアメリカのAAである。


このように
アメリカの高等教育は、
他の国から頭脳労働者を輸入し
経済を維持するための一つの道具

である。

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テーマ : 教育
ジャンル : 学校・教育

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博士号

アメリカの修士は日本の学士と同じくらいの感覚ですね。アメリカの博士は日本の修士と博士の中間くらいかな、と思います。もちろん、凄い人はいるので個人差の方が大きいですが。

アメリカで博士号が必要な一つの理由は、それが日本で言う有名大学卒と同様の肩書きになるからで、もう一つの理由は、お金以外の価値観が博士号くらいしかないからです。

国によって価値観は違いますね。日本人がアメリカで就職活動をすると、面接で「東大卒で三●物産に勤めてました」なんてアピールしがちですが、アメリカ人からしたら「学部卒で問屋で営業やってた日本人が来ました。期待できなそうです。」なんてことになりそうです。

No title

おもしろい見解ですね(というかこっちでは絶対聞けない意見)。アメリカの教育もH1B問題と似たような現象が起きてるのでしょうかね。

でもK-12教育に関しては格差を現状維持するために意識して公立教育のfundingを抑えてるとはちょっと思えませんね。単に公立教育に関心が無いだけだと思う。自分が金持ち/知識層にいて、子供を一番いい学校に入れたいと思えば自然と私立に入れると思います。その上ほとんどの政治家は金持ちでありますし。金持ちでなければ"too bad"って意見じゃないでしょうか。人種格差も激しいから公立教育に莫大なお金を懸けると黒人やラテン人が優遇されてるようにみえる、べらんめぇ~!って意見も少なくないはず。

まぁつまりアメリカ人が重宝する「責任感」や「独立心」の方がK-12教育の向上の壁になってると思いたい。お金の問題はside effectということで。。

Community organizerだったオバマさんは教育に関してこれからどう動くか興味あります。

アメリカ

>格差を現状維持するために意識して公立教育の
>fundingを抑えてるとはちょっと思えませんね。

教育問題に限らないのですが、アメリカ社会というのは現象そのものは見えても、誰がどういった意図でそうしているのか、というのが私には、よく見えないです。でも、結果的には非常に上手く回っている。それが「神の見えざる手」によるものなのか、頭の良い人たちが仕切っているのか、よく分かりません。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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