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理系の学生の進路 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

私は、数学科を出て金融機関に就職した後、
何年かして、海外の大学院の博士課程に進んで進路を変更した。
米国では、大学と企業、アカデミックとビジネスの垣根が
低いので、こうした進路変更はしやすい。
大学准教授から、金融業界やIT業界に転職するという
ケースでさえ大して珍しくない。

日本は、社会の仕組みとしては大学と企業の垣根が高いと思うが、
人々の意識の垣根も高いように思う。

10年ほど前の話だが、日本の週刊誌か何かに
「理工系の学生が金融機関に進むことをどう思うか」
という質問を二人の識者にぶつけた記事が載った。

回答者の一人は早稲田大理工学部の学長で、
「バブルの頃は理工の卒業生が
大量に金融機関に進んで
このままでは日本はダメになると思った。
不景気になって金融機関に行く人が減ってよかった。」
という意見。
もう一人は、東京工業大の学長で、
「バブルの頃はうちの卒業生が
大量に金融機関に進んだ。
理系の人が金融をやるようになれば
金融も良くなるだろうと期待したが、
金融機関は彼らを活かせなかった。
残念だ。」
という意見であった。

私は、早稲田大の卒業生だったので、
この二人のあまりの見識の差に落胆した。

日本人がモノづくりが得意なことは疑いないが、
裏を返せば、目に見えないような技術を作り出すことや、
目に見えないものを作る組織を管理することが非常に苦手だ。

多くの日本人は、得意な分野に目を奪われすぎて
苦手でうまくいっていない分野があることに
目をつぶりがちであるように思う。

精密機械、自動車、カメラのような
目に見えるものを作る日本メーカーは
今でも世界を席巻しているが、
情報通信や金融を主な生業としている日本企業は、
世界で成功しているとはいいがたい。
多くの先進国で総生産の7割以上を占める
サービス業が苦手分野であることは致命的で、
ここ十数年の日本の雇用環境の悪化の大きな原因に
なっているのだ。

別に、金融業が他の産業より優れているとはちっとも思わないし、
一部の金融機関の賃金が不当に高すぎるという批判ももっともだ。
しかし、金融業も世の中を豊かにするために必要不可欠な産業だし、
業務が属人的なスキルに大きく依存するだけに、
優秀な人がたくさん必要な産業であることは間違いない。

確かに理工系の卒業生はモノづくりで長年日本を支えてきたが
構造変化が起こっているときは、
伝統的な価値観は必ずしも正しくない。

65年前のこんなエピソードもある。
当時、理系の学生は徴兵を免れることができた。
みんなが戦場に行っているのに、自分は大学で勉強していることを
申し訳なく思った東京工業大の学生が教授に、
「自分も戦争に行って国のために尽くすべきでは?」
とたずねた。すると、教授は、
「戦争はじきに終わる。戦後の日本を支えるために
君達、理工科の学生が必要だ。」
と嗜めたという。

理系の学生は伝統的な価値観など気にせず、
どんどん金融業に進んだらいいと思う。
もちろん、全員がそうなっては困るけれど。

(この記事は反論が来そうですね(笑)。)

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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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No title

>目に見えない
ソニーが迷走してますよね(ソフト面で)。Vaioは無駄に高いですし、PS3のハードを贅沢品として作りながらソフトはXbox360と変わらない上にネトゲーを無視。PSPはiPodキラーと命じながらゲームのデジタル配分を無視し、UMDみたいな「新しい」メディアを作って沈没。オンライン音楽ストアもAppleやAmazonに占領されてますし。高いハードを作るという勲章が欲しいのだろうか。

電機

一番ビョーキなのは総合電機だと思いますが、消費者向けもここ10数年苦戦してますね。基本的に日本のメーカーは目に見えないものを管理する能力が足りないんだと思います。ウォークマンみたいにハードだけで閉じてた時代は良かったのでしょうが。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
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2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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