統計学科の大学院博士課程へのアプライ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

大学院へのアプライを考えている方から
真面目な質問を頂いたので、
エントリーを一つ使って紹介したい。

>統計学博士課程のアプライについてなんですが、
>最近知人からphdコースともなるといい書類をそろえるのは
>もちろんのこと学会発表歴や査読付の論文投稿歴がないと厳しい
>という意見をききました。
>
>willyさんの場合ですと、やはり純粋数学出身で統計を
>つかう職歴を評価されたのでしょうか?
>またgre subjectのmath scoreの提出を義務付けていないところが
>ありますがそういった大学についても頑張って高いスコアをとって
>アピールネタにつなげるべきでしょうか?


アメリカの博士課程で考慮する材料は主に6つだ。
・TOEFLのスコア
・学部や修士の専攻や成績
・研究業績/ライティング・サンプル
・エッセイ
・推薦状
・GRE (general test, subject test)のスコア
この他には、母国から奨学金を持ってきているか
というのも考慮されることもあるだろう。

この中で、恐らく最初のスクリーニングに使われるのは
「TOEFLのスコア」と「これまでの専攻と成績」
である。
統計学科で取りあえず、無事にPhDを取得するには
英語力と数学力が大事だからである。

GRE (general)のスコアもスクリーニングには
便利だが、その重要性は何とも言えない。
general テストのquantitativeは日本の高校入試程度のレベルなので
統計学科ではこれが満点でないのは流石にまずいと思うが、
Verbalに関しては、少なくともW大M校ではほとんど見ていない。
300点くらいあればいいよ、と私の指導教官が話していたことがある。
もちろん、年によって選考基準は変わるだろう。
応募の多い大学では、足きりに使われることもある。

GREのSubject testの方もなんとも言えない。
そもそも、全員に提出させないのであれば
比較に使うことができない
のであまり効果がなさそうだ。
私が出願した時は、提出が必須の学校がいくつかあって
そのうちの一つから結構高い奨学金のオファーが出た。
従って得をすることもあると思うが、
一般にはそんなに大きいファクタとは思えない。
ちなみに、mathematics subject test の問題も簡単
(学部1年~2年レベル?)だが
結構面倒な計算問題を1問平均3分で解かなければ
いけないので、凡人が満点を取るのは難しいと思う。
私は8割半くらいしか正答できなかったが、
それでも順位は上から4%くらいのところだった。

エッセイは、どういう風に使われているのか知らないが
応募者の方向性とファカルティーの研究分野が一致していれば
強みとなるだろう。
しかし、学校毎にエッセイを書くのは時間的に難しいし
そもそもその分野の経験がなければエッセイを書くのは難しい。
今までやってきたことを中心に書いて、
それを将来の方向性と結び付けられればべスト

という感じで自然体で書くと良いと思う。
ビジネススクールに入るわけではないのだから
相手を熱心に説得する必要は無い


推薦状もどの程度効いているのか分からない。
よほどのビッグネームでない限り、誰が書いたのかは
あんまり関係ないのではないかという気がする。
もちろん、大学と推薦者に密接な関係があれば有利だろう。
アメリカではコネクションは非常に重要なので、
推薦者がコネクションを持っている大学があるなら
分野が合わないなどの問題がない限り、応募した方が良い。

査読付き論文があれば大きなプラスになるのは間違いない。
ただ、これは必要条件というより十分条件と言った方が良いだろう
(学部時代の成績やTOEFLの基準点をクリアしているのは前提とする)。

具体的には、私立の名門校(Stanford, Harvard, Chicago, Yale,
U Penn 等)では、こういう明確なアドバンテージがないと
合格の見込みは低いと思うが、州立のそこそこの大学
(UNC, W大M校, U Michigan、Michigan State, Purdue, Iowa,
Iowa State, Washington-Seattle, U Florida, U Minnesota 等)
くらいのレベルであれば必要とは言えないと思う。

仮に査読付き論文がない場合でも、
自分の能力を示すために
修士論文(英文)を添付するなりして
何らかのライティング・サンプルは送っておいた方が良い。

まとめると、
統計学はあまり人気のない学問であり
入学選考はあまり厳しくない。
最低限の英語力と数学力さえあれば
やる気次第で誰でも入学・卒業が可能

だと思う。



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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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No title

書き込みありがとうございました。

実は自分の場合、奨学金を確保できるかどうかということが留学する際にとても重要なのですが、以前の書き込みで
「理系留学はただが当たり前というのは楽観的」
というエントリーがありました。
willyさんの場合は奨学金が与えられない合格校もあったのでしょうか?また高い奨学金を提示されたことを他校への交渉材料として利用されたでしょうか?差し支えなければ教えていただけませんか?

財政援助

財政援助のつかない合格もありましたよ。一校から財政援助が出れば、当然交渉材料に使ってみましょう。実際に出るかどうかは運次第ですね。出ていなくても一応押してみると良いでしょう(笑)。

Re:財政援助

PhDコース=学費免除ではないのですね
しかもアフターリーマンですから、財政援助については悲観的になっておいたほうがよさそうですね。お忙しい中ありがとうございました。

No title

統計学の1.5流大学院に入るためのTOEFLスコアはどれくらいあればいいのでしょうか?100点くらいでしょうか?教えていただけると嬉しです。

No title

日本の大学院生さん:

1.5流というとトップ州立大くらいのレベルでしょうか。
大学によるのでなんとも言えませんが、
基本的に学科が要求する最低ラインをクリアしていれば
問題ないという大学が多いと思います。
各大学のホームページでチェックしてみて見て下さい。

例えばミシガン大の場合、

The University of Michigan requires a minimum TOEFL score of Reading 23, Listening 23, Speaking 17 and Writing 21 for a total of 84 (internet based test).
と書いてあります。ReadingやWritingはもっと取れるでしょうけど。
ウィスコンシン大の場合は、92以上、ただし80以上なら条件付きで許可する場合がある、
と書いてありました。

従って大体80点後半〜90点前後というのが相場なのかも知れません。
TOEFLは仕組みが変わる度に日本人にはどんどん難しくなっているようですね。

統計博士の就職活動

Willy さん、色々とためになるエントリーを有り難うございます。

統計学博士が就職に強いとか、分野が広いというのは理解できるのですが、1つ質問があります。

博士論文のテーマは、就職にどのような影響を及ぼすのでしょうか? テーマとは違う分野の企業でも就職できるのでしょうか? 可能である場合、新しい分野の知識はどれ程深く持っている必要があるのでしょうか? 自分で勉強できる範囲内なのか、新しい分野では全くの素人でも統計の専門家ですよ、っという感じでもOKなのでしょうか? 民間でも就職活動をされたと書かれておられましたが、いかがでしたでしょうか?

No title

Sさん:

ポジションによります。
ほとんど問われないこともありますし、この分野の人と指定されることもあります。
傾向としては、統計分門が小さい組織の場合はあまり問われないでしょうし、
大きい組織の場合は専門細分化していると思います。

また現実的な問題として、どういった統計ソフトやコンピューター言語に習熟しているか、
というのが民間に就職する場合には効いてくるので、多くのソフトや言語に詳しく
なっておく、ということの方が重要かも知れません。

お礼

お答えいただきありがとうございました。

自分で調べればわかることを聞いてしまい、申し訳ありませんでした。

調べたことろ、普通の大学は80から90、ちょっと名門は85から95、少し開いて、超名門は100以上と言った感じですね。

No title

日本の大学院生さん:

私立の有名大学や西海岸の大学では、学生の講師に対する要求水準が高いので、
要求スコアが高い傾向があると思います。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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