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アメリカでは資格を取れ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日の「日本で資格は取るな」
「資格取得は効率の悪い差別化である」と書いた。
しかし、もちろんケースによっては
資格を取るのが望ましい場合もある。
アメリカで暮らそうとする日本人が
置かれる状況は往々にしてそうだ。

そもそも資格を取るメリットは何であろうか?

Rionさんのブログで触れられている通り、
主なものは「シグナリング」「独占利潤」だろう。

このうち、
アメリカでは「シグナリング」が果たす役割が
日本と比べて非常に大きい
という印象を私は持っている。

一つの理由は、アメリカが移民国家であるということだ。
いきなり外国から来たどこの馬の骨か
分からない人では評価してもらえない。
そんな時に、例えば有名大のMBAとかPhDというのは非常に役に立つ。
アメリカの技術系の職種でPhDが
運転免許に例えられるのはそういった事情だ。
これは必しも経歴だけの話だけではなく、
在学中に培うコネクションという形でも大きく影響する。

以前こんなことがあった。
Citibank の投資銀行部門のインターンに応募しようとして
ウェブサイトで情報を入力していたら、
在学校をプルダウンで選ぶ項目があって
ほとんど有名大学のMBAプログラムしか載っていない。
そして、その項目を回答しないと次の項目に進めない。
注意書きを見ると、
「このリストはcomprehensiveなものなので
あなたの大学は必ず載っているはずです。」

と書いてある。
日本でこんなことをやる企業があったら
すぐに2ちゃんねるで祭りになるだろう。


アメリカで資格が重要なもう一つの理由は、
アメリカの大きな企業では
従業員の役割が明確に決められており、
従業員は既に持っている知識を活かして、
迅速に仕事をを進めることが求められるからだ。
特定のスキルは、もちろん資格に限らないが、
最低限の知識を持っているかどうかを探るのに
資格というのは都合が良い。

アメリカでは、
頭のいい人だったら1ヶ月で簡単に身に
つけられるようなスキルであっても
就職時の選考に関して決定的な差となってしまうことがよくある。
日本的に考えるとなんとも馬鹿らしく思えてしまうが
流動性の高い労働市場を持ち
一般労働者の意欲が高くないアメリカでは
企業はポテンシャルよりも
即戦力の高い人材を求めざるを得ないのだ。


それでは、資格を取るためのコスト面はどうだろうか?

日本人のような勤勉な外国人にとっては
資格を取ることに関するコスト・パフォーマンスが良い。

一つは単純に、日本では初等・中等教育の水準が比較的高い
と同時に、日本人は試験に慣れているので対策を打ちやすい
という絶対水準で見た優位があるからだ。

もう一つは、日本人のような英語ダメダメな民族が
他の方法で差別化することが難しいという比較優位である。
例えば、アメリカでも高い賃金を得るためには
やはり管理職に就くことが一つの有力な手段だが
管理能力は専門知識に比べると言語能力に依存する面が
大きいので、日本人は比較劣位の状態にある。

私は、アメリカで英語力が十分でない外国人が
年収20万ドル以上稼ぐのは結構難しいと思っている。
アメリカのfresh PhD に企業が払う年俸は
大雑把に言って平均10万ドルくらいだと思うが、
アメリカでは管理職への昇進などがない限り、
就職後に給料がどんどん上がるという職種は稀だからだ。
しかし、資格で明確に給料が上がるような職種に
つけば不可能ではない。


例えば、DW Simpson 社が
アメリカのアクチュアリー(保険・年金数理人)の給料
を出しているが
全ての資格を取得した15-20年程度の経験のある
アクチュアリーだと中央8割の年収レンジは、
例えば損保のケースで 144,000-324,000ドル
(約1,300-3,000万円)とかなりの額になる。

この資格を取ることに成功するかどうかは
能力や適性次第だが、外国人が他の方法で同じくらい良い仕事に
就く事は恐らくかなり難しいのではないかと思う。

つまり、状況によっては資格を取ることは
そんなに効率が悪いことではない。

業務独占資格を比較優位を活かして簡単に
取得できるような状況では特にそうだろう。

しかし大事なのは、
あくまで社会の仕組みや自分の能力を冷静に分析した上で
勝てる見込みがあり、しかも、勝った場合のメリットが大きい
ものにのみ挑戦することだ。


資格はあくまで目的ではないのだから。




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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
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2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
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