飛行機の燃料費の謎 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

近年、飛行機の燃油サーチャージが高いのが話題になっている。例えば、日系航空会社の成田-北米路線だと、7月以降はサーチャージだけで往復56,000円もかかるようだ。つい4~5年前なら閑散期の航空券が買えてしまった値段である。日本国内では旅行会社のパンフレットなどでサーチャージの額がはっきりと書かれていないこともあって、客と旅行会社の間でトラブルが絶えないらしい。突き詰めれば、不明朗な料金体系を強いられている原因は事前に運賃を確定させない航空会社側にあるわけだが、消費者側の立場としては、当然料金の総額を表示してもらう権利があるだろう。実際、ようやく10月からは総額表示になるらしい。

しかし、私が持った疑問は「本当に、燃料費がそんなにかかってるの?便乗値上げじゃないの?」という点である。大雑把に言って総額の約半分がサーチャージになるということは、(ベースの料金も一部は燃料費なので)燃料費が運賃の半分を優に超えていることだ。人件費や空港使用料、機体のリース料だって馬鹿にならないはずなのに、本当に燃料費だけでそんなにかかっているのだろうか。

早速、米国の代表路線の一つである成田-シカゴ間で計算してみた。機体はボーイング747とすると、1時間当たりの燃費は約4,000ガロンらしい(出所:JAL)。この路線の飛行時間は往復で24時間10分だから、燃料は約97,000ガロン。燃料の値段はよく分からないが、ジェット燃料は灯油とほぼ同じ性質なので、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のHeating Oil の価格を参照すると、直近の価格は1ガロン当たり約3.77ドル。したがって、燃費は総額で360,000ドル。B747の定員を467名、搭乗率を80%とすると、客一人当たりの燃費はなんと975ドル!もかかっていることになる。便乗値上げどころか、現状の運賃を続ければ、航空会社はおそらく赤字になってしまうだろう。航空会社はどうやって費用を捻出しているのか謎だが、おそらく燃料の先渡取引などのために費用の増加が若干のタイムラグをもって効いてくる、というのが理由ではないかと私は勝手に想像している。いずれにしても、原油価格が現状で推移すれば、近い将来、閑散期でも航空運賃は1,500ドルに迫り、繁忙期は2,000ドルを超えるだろう。

お金がかかるのでここ2年ほど日本に帰っていないが、ますます、日本に里帰りす気がしなくなる今日この頃である。
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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