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人間は確率を感覚で理解できるか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

よくある素朴な確率に関する疑問として、
「なんで、期待値が小さくてリスクが大きい
宝くじをみんな買うのだろうか?」

というのがある。

経済学をやっている人などは、
これに対して色々な説明を考え出す。
「横軸に利得、縦軸に効用をとると
効用関数は逆S次カーブをしており、
非常に大きな利得の効用が大きくなっている」

とか、
「いや、大きな利得によって可能になる
意思決定(会社を辞める等)の効用が
非常に大きいので効用関数が不連続なのだ」
とか説明する。

なんとなく尤もらしく聞こえるのだが、
どうも納得がいかない。一番大きな理由は、
人々はそんなに小さな確率をきちんと
評価できるわけがない、という直感だ。

脳が多層パーセプロトロンでできているとして
百万分の一単位の確率を2~3倍の誤差(*1)で
正確に判定できるように学習させられる
とはとても思えない。

(*1) 3倍の誤差があれば、宝くじを
買うかどうかは正しく判断できない。

脳を確率的に学習させる有力な手段は
ポーカーやマージャンだろうが、
子供の頃トランプが好きだった自分でも
フラッシュ(1/509)がストレート(1/255)より
難しいのが、なんとか分かる程度だ。
それも、強いハンドの方が確率が低い
ということを知らされていたので
先入観のせいかも知れない。

もっと、極端な例を出そう。
私は子供の頃、4人家族だった。
お風呂に入ると毎日シャンプーや石鹸が
減っていくが、他の人がたくさん使っている
のだろうくらいに思って気に留めていなかった。
それが、一人で暮らしてみると、
それが思いのほか早く減っていくのに少し驚いた。
数学をやっていた学生が、高々4分の1程度
の確率も正確に認識できていなかったということになる。
確率を直感で比較する事は比較的易しいが、
確率の水準自体を直感で認識するのは極めて難しい。

公平なサイコロを振った時
1の目が出る確率はもちろん6分の1だが、
よく考えてみると私は
これを直感で認識できていないと思う。

数と論理を使って確率を計算したから
6分の1だと分かるだけだ。

結局、正しい確率的な判断をするには
きちんと数学を使って理解することが必要で
数学を使わない確率的な判断の信頼性などというのは
サルと変わらないレベルなのだろう。



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テーマ : 数学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

理屈じゃなしに、一攫千金の夢と思います。

私は、2~3度買って止めました。地道に額に汗して頑張る方が性にあってるな、と思いまして。

別に期待値とか難しいことじゃなく。一種の人生観みたいな。

ギャンブル好き

私も宝くじはあまり買いません。
買うとしても1枚ですね。
ギャンブル好きな人も、
宝くじが嫌いな人が多い気がします。
自分の判断が活かされなくてつまらないから。

わたしも宝くじ買ったことないです。

20代のある時期とても収入が少なく、試しに一度ロト6買いましたが,あたりませんでした。それで、こんなものに200円(250円かな?)使うなら,缶コーヒー買った方がよっぽど良かったと猛烈に反省して,それが最初で最後になりました。

祖母はいつも十枚買い、たぶん2ー3年に一回、コンスタントに年末ジャンボで1万円当たります。わたしは代わりに換金してあげて足代1万円もらってます。彼女は当たるということがうれしいので、お金はどうでもいいみたいです。

それを見て,母も毎年十枚買いますが一度も当たりません。

娘の私はこう思うわけですーーお金が欲しくてクジを買っても当たらないんだ。

そしてそういった思い込みは、自分のロト6の経験でさらに確信が深まります。

自分も統計をつかって生活を立てる身ですが、こんなもんです。

ロト

流石に数学や統計やってる人で宝くじ買う人は少なそうですね。ロトのように自分で番号を選ぶタイプのものは、各番号の売れ行きデータが入手できれば、賞金の期待値を少し上げることができそうですが、残念ながら公開されていないようです。

No title

いつも興味深いエントリ、非常に参考になります。極端な例として、挙げられている内容が私の理解力がないせいで良く分かりませんでした(汗
もしよろしければ、ちょっと補足してもらえないでしょうか。
(ちなみに私の場合は、逆に1人暮らしだとなかなかシャンプーが減らないなーと思った口でした。。。)

シャンプー

よく考えるとあまり適切な例でなかったような気がします。シャンプーの話は単なる比の問題で確率の問題ではないですね。1:4という比でさえ、直感では理解できないということが書きたかっただけです。スーパーで安売りのシャンプーを買う時は、「一人だから1年で2本くらいだろう」、などと考えず、「4人の時に年6本使っていたから、一人だと年1.5本使うはず」という風に計算しないとうまく推量できないな、と思ったわけです。

No title

ご丁寧な説明、どうもありがとうございます。
理解できました。。。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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