オンラインバンク・冬の時代 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

店舗を持たないオンラインの銀行は
一般銀行に比べ高いオペレーションコストを
抑えられるので預金者に高金利を払うことができる。
金利が正常な水準な時には、銀行間の翌日物金利
(アメリカならFF rate より若干低い金利)
を払うことが多かった。
銀行は、翌日までの資金であれば市場からほぼ
FF金利で調達することができるので、
これよりやや低い金利で預金を調達するのは
理にかなっているように見える。

しかし、金利が極端に下がった昨今では
オンラインバンクは市場金利より高い金利を
預金者に払っている。

現在、FF金利は0.13%前後だが、
Bankrate.com によるとオンラインバンクの
普通預金(Savings Account)の金利を見てみると、

Bank of Internet USA: 1.70 APY (*1)
Capital One Direct: 1.70 APY
WTDirect: 1.50 APY
HSBC Direct: 1.35 APY
ING Direct: 1.30 APY
等となっている。

これらは比較的大きな銀行だし
破綻リスクが高いわけではない。
しかも、銀行預金には現在25万ドルまで預金保険がつく。
信用リスクで金利が上がっているわけではない。
信用度の低い銀行が、より高い金利を提示している
という傾向もあまり見られない。

似た現象は日本でも見られる。
特にオンラインバンクの創業期の2000年代初頭
にはこうした現象が顕著で、それが重荷となって
オンラインバンクは長らく赤字であった。

これに対する一つの説明は、
金利が上がった時に備えているようというものだ。

銀行の預金残高は普通預金であっても
全体としてみればそれほど大きく
変動するわけではないので
金利が高くなった時に得られる利鞘を見越して
超低金利下でも高めの金利を設定する。

普通預金は契約上は短期資金だが、
統計的には長期資金とみなすことができる。
そして金利は通常の長期資金より低い。


もちろん、銀行が調達難に直面している
という面もないわけではない。
銀行は住宅ローンや企業貸付など長期で
資金を調達しているが、満期の遠い調達資金には
銀行と言えども大きなプレミアムがつく。
貸出は急には減らせないので、
預金の方もある程度のコストを払ってでも
維持する必要が出てくる。

現在のアメリカの銀行の利鞘
(FFレートとプライム貸出レートのスプレッド)
は約3%あるので、
預金者に1%台半ばの金利を払っても、
直ちに逆ザヤになるわけではない。

オンラインバンキングの預金というのは
クリック一つで簡単に動かせるので
銀行が長期的な戦略で金利を上げている
というのはいまひとつしっくりこない面も
あるのだが、日米の異なる経済環境で
同様の現象が観察されていることを見れば
それなりに合理的な理由があるのだろう。

ちなみに、オンラインバンキングはSSNを
持っていないと開設できないことが多い。
オンラインだけでの手続きになるので
資金洗浄関係のリスクに敏感なのだろう。
また、先日、日本の銀行からアメリカの
某オンラインバンクの自分の口座に送金をかけたら、
受け取り拒否で戻ってきてしまった。
オンラインバンクは、
あくまでも貯蓄用の2番目の口座として使うのが
賢明なようだ。



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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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1.ルベーグ積分30講
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2.Matematical Statistics and Data Analysis
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