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今年後半にも第2次アジア危機到来か? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

原油高の影響が世界中に広がっている。現在の物価に換算しても第二次石油ショックの最高値は105ドル程度だと聞くから、現在の状況は、まさに第三次オイルショックと言ってよいだろう。そんなわけで、今回のオイルショックが過去の2回と異なる点について、自分なりに考えてみる。

第一に気付くのは、各国に与える相対的なインパクトが異なるという点である。特に第一次石油ショックにおいて、最も影響を受けたのは石油の輸入依存度が高い先進国(日本や欧州)であった。米国は石油を自給できていたし、発展途上国は、工業化が進展しておらず農業中心の経済であったことから、影響が相対的に軽微であった。石油高騰のあおりを受けて先進国では経済成長が鈍化した一方、発展途上国はショック後に高成長を維持した。また、農産物価格の高騰は現在ほど見られなかったため、この点でも発展途上国には好材料であった。現在、この状況は正反対になっている。先進国では、サービス産業の比重が大きくなって原油価格による影響が小さくなる半面、多くの途上国(中国、インド、ベトナム等)の工業化が進み、原油価格の経済へのインパクトは非常に大きくなっている。農産物価格も急騰しており、途上国にはダブルパンチになっている。その結果、インドのインフレは年率11%超、ベトナムは25%超となっている。第三次石油ショックの後に起こるものは、途上国の経済成長の鈍化であり、所得の収束のスピード鈍化であろうと想像できる。

第二に気付くのは、金融市場の影響力が格段に増している点である。過去のオイルショックが産油国主導なのに対し、特に昨年以降起こっていることは、商品先物市場に流入する投機資金の影響が非常に大きい。そして、途上国の発展に関しても、流動性の高い投機資金の流入が大きなファクタとなっている。

こうして見ていくと、今回のオイルショックはまず、発展途上国に危機をもたらす可能性が非常に高い。まず、インフレ高進から金利引き上げが起こり、そこから一気に資本流出による危機が起こるという経路をたどる可能性が高いように思う。現在の一次産品の価格高騰を見ると、早ければ今年後半、遅くとも来年中には、途上国のいずれかでこうした危機が起こり、他国へ伝播していく可能性はかなり高い。一旦そうなれば、先進国の金融システムも大きな影響を受けるだろうが、米国はIMFなどを通じて途上国への影響力を強めることができ、相対的なプレゼンスの大きさを維持することができるだろう。

楽観的なシナリオとして、(1)各国が一次産品の価格抑制のための市場規制を強化してインフレの抑制に成功するシナリオ、(2)化石燃料の高騰が途上国の経済成長を抑え燃料価格がソフトランディングするというシナリオ、の2つが上げられるが、近年の金融市場を取り巻く状況を見ると、その可能性はあまり高くないように思えてしまう。

私は、米国やEUがわざわざアジア危機をもう一度起こそうとしているとは思わないが、少なくとも昨今の化石燃料の高騰は米国やEUの相対的な経済力の維持にプラスであるという面は否定できない。アジア危機の際もヘッジファンドの存在感が非常に大きかったが、今回、米国は金融関連の規制や産油国へのプレッシャーの大きさを巧みに操りながら、途上国の経済成長に大きなプレッシャーをかけているのではないか。
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Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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