スポンサーサイト -- このエントリーを含むはてなブックマーク

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ビジネススクールへの就職はマジでヤバイ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日の記事で少し触れたが、
統計学、オペレーションズ・リサーチ(OR)、経済学などを専門としていて
アカデミックを目指しているという人には、
ビジネススクールのファカルティーを目指すという選択肢もある。


利点は給料が高いこと、教育負担が少ないこと、
外部資金獲得のプレッシャーが少ないことだ。


教育負担のメリットから見ていこう。
Bスクールでは教えるコースの種類が少ない
大体、統計学入門とか回帰分析の初歩のようなコースが大量にあって、
あとは若干難しいデータマイニングのようなコースがあっても
おそらく大抵は概論的なものだ。
基本的に教育の手間というのは授業準備の手間が大半なので、
同じコースの繰り返しが多ければ長期的に見れば圧倒的に楽だ。
また、概して教えるコマ数も少ない。
リサーチ大学の理学系の教育負担は通常、
アイビークラスの一流私大やごく一部の州立を除けば、
学期に2コマ(=6時間/週)であることが多いが
ビジネススクールでは、
これが毎学期1~1.5コマ程度である。

次に給料を見てみよう。
ベンチマークとしてASAによるリサーチ大学統計学科の
新米助教の年俸中央値は2008年度で75,000ドルだ。
これは資金力の豊富なバイオ系が入っているので
純粋な理論をやってる人の給与はもっと低いと思われる。
例えば、AMSの統計によると数学科の助教の場合、
大学のランクにもよるがリサーチ大学の平均は6万ドル台後半だ。
それでは、ビジネススクールはどうだろうか。
AACSB (Association to Advance Collegiate Schools of Business)
の2008年版 US Salary Survey (*1) によれば、
統計/OR系の平均年俸は 91,500ドルなので
統計の中央値よりも16,500ドル高い。
(新任の助教の給与の平均と中央値は概ね同じである。)
しかも、ビジネススクールのサーベイの方には、
リサーチ大学でない大学、例えばカリフォルニア州立大(CSU)の
大学が約半数を占めているので
実質的な差は2万ドル以上と見るべきだろう。

(*1) 直リンクは見当たらないが
グーグルで検索すれば閲覧/DLが可能。

最後に外部資金の獲得だが
ビジネススクールの資金というのは実業界や卒業生の寄付、
そして高額な授業料で賄われており、統計などの
「技術系」の教官が部資金を獲得する必要はあまりない
ようだ。

ここまで見ると、Bスクールはバラ色に見えるが、
もちろんいいことばかりではない
よく言われるのが、教育評価が非常にシビアだということだ。
例えば、日本でもアメリカでも確率・統計の教科書の初めの方には
サイコロを振って場合を数え上げるような問題が載っているが
ビジネススクールでそんなものを解説したら
問答無用で「もっと役に立つことをやれ」と文句が出るようだ。
(まあ、流石にBスクールでサイコロはないだろうが。)
もちろん、実践的なことから学ぶのは良いことなのだが
すぐに分かることだけ学ぶのでは
一生カルチャースクールレベルから進歩しない
わけで、
忍耐力のない学生にそういう専門科目を教えるというのは
必要以上に大変でストレスの高い仕事だろう。

リサーチに関しても、詳細は省くが
どうも彼らの考えている方向性というのはちょっと違うようで
理論分野をやっている人にとっては
あまりやりやすい環境とは言えない。
(もちろんノーベル経済学賞受賞者が出るような超一流校はまた別だ。)

そんなわけでBスクールも一長一短、
あるいは少なくとも三長一短くらいなのだが、
そもそも英語ダメダメな人は悩む必要があまりない。
英語にハンディのある人がビジネススクールのポストを
取るのは非常に難しいからだ。


自分も数学科とビジネススクールのフライアウトが両方来た時は
どっちがいいかなー、などと楽しく考えたものだが(苦笑)、
そんなことを考えるだけ無駄だったようだ。
そのBスクールのフライアウトに呼ばれたのは自分を含めて
せいぜい三人だと思うが全員が論外だったらしく、
採用無しという結論に落ち着いたと知らされた。
ホント、気構えておいた方がいい(笑)。

英語に自信のない日本人が狙うのに適しているのは、
シンガポールや香港などの英語ネイティブの比率が低い
Bスクールだろう。

まとめると、(いろんな意味で)
アメリカのビジネススクールはマジでヤバイ
ということになるだろう。



スポンサーサイト


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

コメントの投稿

非公開コメント

No title

UPenn はこの中でも例外になるのでしょうか?

U Penn

詳しくは知りませんが、例外でしょうね。あそこはそもそも統計学科がBスクールの中にあるし、バリバリ確率解析やってるような人もいるようですし。

私がこの記事で主に想定したのは30位以下くらいのBスクールです。ちなみに私が呼ばれたのは大まかにいって50-100位くらいのところです(多分)。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

検索フォーム
Twitter

Twitter < > Reload

お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

全記事表示

全ての記事を表示する

最近のコメント
訪問者数 (UA)
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
30位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
北アメリカ
5位
アクセスランキングを見る>>
人気記事Top10


(はてなブックマークより)

カテゴリー
最近のトラックバック
お勧めブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。