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現金廃止の現実味 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本は実質的に90年代後半以降長い間デフレに苦しんでいるが
その一番大きな理由が金利のゼロ制約にあることは明らかだ。

金利の下限をマイナスにできないのは、
そうなればみんなが現金を引き出して
貨幣の信用創造が一気に崩壊するからである。

日本では深尾光洋氏などが「減価する紙幣」
というネタを提供しているが、これは事務コストがかなり
高くなってあまり現実的ではない。

アメリカに住んでいて思うのだが、
減価する紙幣よりも、金融日記Himaginaryさんの日記
取り上げられているような
現金廃止の方がよっぽど現実的な感じが気がする。

そもそも、アメリカで現金を使う機会はほとんどない。
私が過去3ヶ月間で現金を使ったのは5回だけだ。

そのうち2回はValet Parkingなどのチップの支払い、
別の2回は小さなものの個人売買の決済、
1回はクレジットカードの使えない日本人オーナーの美容室だ。
ちなみに、チップと言っても通常のレストランのチップは
カードで同時に払える。

日本ではチップ制度はないし、
個人売買をすることもあまりない。
もしあったときは携帯で銀行振込をして確認すればいい。
自販機などは、Edy やSuica (って今もあるんでしょ?)
を使えばいいし、割り勘は実はカードの方がやり易い。

アメリカでは上記のようなシチュエーションのほか
(Rionさんの記事にあるように)
老人が相変わらずチェックを使っていたり
といった小さな障害があると思うが、
法律など技術的な問題、政治的な問題はあるにせよ、
経済的には日本で現金を廃止するのは結構簡単なのではないかと思う。

そして廃止の目的がマイナス金利にあるのであれば、
いわゆるアングラ・マネーは無条件に電子化すればいい。
他の目的と混同して実施を遅らせるのは避けた方が賢明だろう。


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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

 別の資産に逃げたらどうします。
 「持つ者」と「持たざる者」の格差という問題は発生しませんか?未だにGOLDに対する投資があるみたいだけど、GOLDってそんなに価値あるの?
 あまりに権力的であり過ぎはしないか、そのような権力構造にヒトは耐えられるものだろうかと不思議な気持ちになりますが、「特別徴収」という納税制度が上手く機能する国ですから、「現金廃止」も上手くいくかもしれませんね(年金からの税金や保険料の特別徴収については、それなりに不満の声はでたようですが。)。そういや、「e-tax」ってあったな。電子政府の方は、なかなか進んでいないのかな?
 今朝、たまたま「禁酒法」について触れている新聞掲載の記事を読みましたが、このシステムが完成したら、誰が新しい「タックスロンダリング」の、こちらは勿論合法の、「商品」を開発するかを見れるかもしれないな。 
 長々と駄文申し訳ありませんでした。不快に感じられたら申し訳ありませんでした。徴税に対する信頼は社会が成立する上で不可欠だけれど、なんだか不思議な気持ちになりました。

金投資

>マイヤーさん

当然、別の資産に資金が逃避するでしょうがある意味それが金利を下げる目的ですから構わないでしょう。「持つもの」と「持たざるもの」の格差は金利のゼロ制約が無い方が縮まると思います。権力的過ぎると言うのはあるでしょうね。ゼロ制約を取り払うのは公権力が大幅に強まりますので。そういう意味で、現金廃止は戦国時代にやった「刀狩り」に近いと思います。また、すぐに起こる問題としては、格付け機関などがマイナス金利をデフォルトとみなす可能性が高いことでしょう。本当にこれで日本が一気に復活してしまうなら、米政府は格付け機関に圧力をかけるでしょうし。

>GOLDってそんなに価値あるの?

ないですよね。正確に言うと将来の需要見通しは悪くないのかも知れませんが一旦価格が暴騰すればすぐにピークを打つ可能性もあります。私が聞いてる米国のラジオでは、毎日 「インフレ対策にgold と rare metal」と煽っていますけど、まあ完全にネタです。天然ガスとトウモロコシの先物でもロールオーバーしておいた方がはるかにましでしょう。

真面目なコメントはいつでも歓迎ですので、今後ともよろしくお願い致します。

現金

むしろ政府紙幣こそ政府の権力を端的に示すものの一つですから、現金を廃止することで権力がどうのという話にはならないかと思います。

政府紙幣

現金廃止や減価する紙幣はネタとしては面白いですが、
政府紙幣は例えるなら「長靴に穴が開いて水が入ったのなら、もう一つ穴を開けて排水すればいいではないか」というレベルですね。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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