社会人の大学院留学の機会費用とリスク3(適応リスク)
動物は年をとると新しい環境に適応するのが難しくなる。
以前に海外経験のある人ならともかく、
いきなり日本から海外に行った場合には環境の変化が大きなストレスになりうるし、
日本と同じように社会で成功出来るかどうかにはリスクが伴なう。
1. キャリア上の成功
キーとなるのは、語学力とコミュ二ーケーションに対する考え方だろう。
まずは語学力だが、言語に依存する分野ほどキャリアの上で成功する
ためには高い語学力が必要になる。過去の日本人の留学/海外就職事例を参考に
する時は職種の言語依存度と語学力をセットでみる必要がある。
語学の習得に年齢が関係あるというのも真実だろう。これは脳の老化だけではなく
社会的な側面も大きい。若い人ほど、仕事や専門と関係ない話をたくさんする機会
に恵まれているからだ。歳をとるほど、語学学習の環境を保つことに注意しなければ
ならないし、多くの時間や費用をかける必要もあるだろう。
次にコミュニケーションだが、日米ではそのルールが異なる。
米国のコミュニケーションは、非常に大雑把に言えば礼儀正しく話せば何を
主張しても良い(主張が通るかどうかは別問題だ)。逆に言えば、
あらゆる人があなたに色々なことを要求してくる。そういう交渉をクールに
処理していくということが大事だ。日本的に言えば「空気を読まない力」
とでも表現すべきだろうか。
2.生活への適応
まず、他の人とのコミュニケーションという点では、米国生活に適応できるタイプは
二パターンある。ひとつは、極めて社交的で言葉の壁をものともせず友達を作って
しまうタイプだ。いくつかの理由(詳細略)によって、女性ではこのパターンが
成功するケースが比較的多い。もう一つは、最低限のコミュニケーション以外取らない
タイプだ。最低限のコミュニケーションを取るのは日本語でも英語でも大差ないし、
文化や言葉の壁があった方が、相手に対して置く仮定が少なくなるので、むしろ
コミュニケーションはうまくいく。この二つの中間の人が一番上手くいかない。
もちろん生活をしていく上では、コミュニケーションのみならず、
あらゆることに適応しなければならない。
第一に思いつくのは食事である。語学学校に通っている時に、日本人の間で
「社会人を経験している人にアメリカの食事はつらい」
という話になったことがある。基本的にアメリカのレストランは高くてまずいので
銀座や青山で美味しいものを食べ過ぎた人にはつらいということだ。
それ以外にも、日本食が大好きな人は洋食好きの人に比べれば適応度が低いだろうし
料理が嫌いな人は料理が好きな人に比べて暮らしにくいだろう。
第二に思いつくのは、あらゆるサービスのレベルが低いことだ。一番初めに面食らったのは、
午後5時までやっている自動車保険会社へ午後4時40分に契約をしに行ったら、
「そろそろ閉まるから明日来て来れ」と言われたことだ。これは適応というよりは
慣れるしかない。海外ニートさんの考察にもあるが、
「自分が奴隷のように働かなくていい反面、受けるサービスのレベルも低い」
と考えるしかない。
その他にも、恋人が見つからない、娯楽が少ない、日本のテレビが見れない、
車社会が不健康でつらい、日本の本屋がない、喫茶店が早く閉まる、昔の友達と会えない、
バスタブが小さい、空気が乾燥している、といった色々なことが問題となりうる。
3.家族の適応
留学には乗り越えるべきいろいろな壁があるが、そうは言っても本人は大きな目標を
持ってくるので、環境の変化も仕方がないと受け入られる面もある。
したがって、家族を連れてくる場合は
家族が現地に適応できるかどうかをより慎重に見る必要がある。
特に、留学同伴に伴って諦めなければならないキャリアがある場合には、
後悔の念から適応が困難になるケースもあるので注意が必要だ。
もっともこればかりは、本人の性格の問題もあるので具体的に論じることは難しい。
しかし少なくとも、コミュニティーに溶け込む手助けをしてあげることは重要だろう。
子供の場合には、性格とともに渡米する際の年齢も問題だろう。
私の場合は、子供がアメリカで生まれているので極力現地に馴染ませるために
敢えて日本人が少なめの地域を選んで住んでいる。
しかし、留学期間が短く子供が既に成長しているのであれば、無理に現地に
適応させる必要はあまりないので、日本人が多く日本語主体で勉強出来る
環境にした方が好ましいケースも多いだろう。
冒頭で、環境への適応力は年齢とともに衰えると書いた。
しかし、これは年齢とともに徐々に変化するものであって
はっきりした境界線があるわけでない。個人差も大きいだろう。
それが、適応リスクを雇用リスクの後に書いた理由である。

以前に海外経験のある人ならともかく、
いきなり日本から海外に行った場合には環境の変化が大きなストレスになりうるし、
日本と同じように社会で成功出来るかどうかにはリスクが伴なう。
1. キャリア上の成功
キーとなるのは、語学力とコミュ二ーケーションに対する考え方だろう。
まずは語学力だが、言語に依存する分野ほどキャリアの上で成功する
ためには高い語学力が必要になる。過去の日本人の留学/海外就職事例を参考に
する時は職種の言語依存度と語学力をセットでみる必要がある。
語学の習得に年齢が関係あるというのも真実だろう。これは脳の老化だけではなく
社会的な側面も大きい。若い人ほど、仕事や専門と関係ない話をたくさんする機会
に恵まれているからだ。歳をとるほど、語学学習の環境を保つことに注意しなければ
ならないし、多くの時間や費用をかける必要もあるだろう。
次にコミュニケーションだが、日米ではそのルールが異なる。
米国のコミュニケーションは、非常に大雑把に言えば礼儀正しく話せば何を
主張しても良い(主張が通るかどうかは別問題だ)。逆に言えば、
あらゆる人があなたに色々なことを要求してくる。そういう交渉をクールに
処理していくということが大事だ。日本的に言えば「空気を読まない力」
とでも表現すべきだろうか。
2.生活への適応
まず、他の人とのコミュニケーションという点では、米国生活に適応できるタイプは
二パターンある。ひとつは、極めて社交的で言葉の壁をものともせず友達を作って
しまうタイプだ。いくつかの理由(詳細略)によって、女性ではこのパターンが
成功するケースが比較的多い。もう一つは、最低限のコミュニケーション以外取らない
タイプだ。最低限のコミュニケーションを取るのは日本語でも英語でも大差ないし、
文化や言葉の壁があった方が、相手に対して置く仮定が少なくなるので、むしろ
コミュニケーションはうまくいく。この二つの中間の人が一番上手くいかない。
もちろん生活をしていく上では、コミュニケーションのみならず、
あらゆることに適応しなければならない。
第一に思いつくのは食事である。語学学校に通っている時に、日本人の間で
「社会人を経験している人にアメリカの食事はつらい」
という話になったことがある。基本的にアメリカのレストランは高くてまずいので
銀座や青山で美味しいものを食べ過ぎた人にはつらいということだ。
それ以外にも、日本食が大好きな人は洋食好きの人に比べれば適応度が低いだろうし
料理が嫌いな人は料理が好きな人に比べて暮らしにくいだろう。
第二に思いつくのは、あらゆるサービスのレベルが低いことだ。一番初めに面食らったのは、
午後5時までやっている自動車保険会社へ午後4時40分に契約をしに行ったら、
「そろそろ閉まるから明日来て来れ」と言われたことだ。これは適応というよりは
慣れるしかない。海外ニートさんの考察にもあるが、
「自分が奴隷のように働かなくていい反面、受けるサービスのレベルも低い」
と考えるしかない。
その他にも、恋人が見つからない、娯楽が少ない、日本のテレビが見れない、
車社会が不健康でつらい、日本の本屋がない、喫茶店が早く閉まる、昔の友達と会えない、
バスタブが小さい、空気が乾燥している、といった色々なことが問題となりうる。
3.家族の適応
留学には乗り越えるべきいろいろな壁があるが、そうは言っても本人は大きな目標を
持ってくるので、環境の変化も仕方がないと受け入られる面もある。
したがって、家族を連れてくる場合は
家族が現地に適応できるかどうかをより慎重に見る必要がある。
特に、留学同伴に伴って諦めなければならないキャリアがある場合には、
後悔の念から適応が困難になるケースもあるので注意が必要だ。
もっともこればかりは、本人の性格の問題もあるので具体的に論じることは難しい。
しかし少なくとも、コミュニティーに溶け込む手助けをしてあげることは重要だろう。
子供の場合には、性格とともに渡米する際の年齢も問題だろう。
私の場合は、子供がアメリカで生まれているので極力現地に馴染ませるために
敢えて日本人が少なめの地域を選んで住んでいる。
しかし、留学期間が短く子供が既に成長しているのであれば、無理に現地に
適応させる必要はあまりないので、日本人が多く日本語主体で勉強出来る
環境にした方が好ましいケースも多いだろう。
冒頭で、環境への適応力は年齢とともに衰えると書いた。
しかし、これは年齢とともに徐々に変化するものであって
はっきりした境界線があるわけでない。個人差も大きいだろう。
それが、適応リスクを雇用リスクの後に書いた理由である。

海外ニートさんのブログからの引用記事:
「仕事の神聖化をヤメる」and「奴隷型顧客満足第一主義をヤメる」
のリンクが正しくなかったようですので、訂正しました。
Rionさん、ご指摘ありがとうございました。
「仕事の神聖化をヤメる」and「奴隷型顧客満足第一主義をヤメる」
のリンクが正しくなかったようですので、訂正しました。
Rionさん、ご指摘ありがとうございました。
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