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沖縄から日本を復活させよう -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、経済学101のRionさんが「日本の強みは東京にある」をエントリーされた。

私も基本的に「将来日本の最大の強みは東京という巨大集積経済になる」
という見方には同意である。

しかし、当該記事のコメント欄で指摘したように、
地方への所得移転(各種補助金や公共投資など)をやめて
東京の巨大集積経済をより発展させるというのは政治的には極めて難しい。
シンガポール、香港、ルクセンブルクなど都市国家並の効率を目指すなら
首都圏だけを独立させる必要があるが、これは政治的に更に難しい。

そして、道州制などを通してそれを部分的に実現したとしても、
(上の記事の他の方のコメントにあったように)
「社会保障を通して高コスト体質になっている日本の社会構造を変えることが難しい」
という問題は残るだろう。

そこで、私が考えるのが「沖縄から日本を復活させよう」である。
具体的には、日本を一国二制度にして沖縄に低福祉、低負担の経済特区を作り、
そこを海外流出する企業や人材の受け皿にしようというものである。

基本的な考え方として、国や都市がうまくいかなくなった時、
その国や都市を復活させるよりも、新たな国や都市を作った方が早い。
その国や地域で活動するのにコストが高いと、
優良な企業や人材を保持、獲得することが難しいからだ。


沖縄の強みの一つは、その地理的な条件だ。


第一に、沖縄は他県から離れておりインフラが県内でほぼ閉じている。
このことは他地域と制度を切り離す上で好都合だ。
都市国家であるシンガポールはマレーシアと地続きであり
水源をマレーシアに頼っているため、経済格差を背景に
水資源に対する補償が常に重大な政治問題になっている。
日本でも、首都圏を分離させようとすれば、水資源や発電施設などを
材料に他地域から所得移転を迫られるのは想像に難くない。

第二に、沖縄(2275km^2)の面積は都市国家として成功している
ルクセンブルク(2586km^2)とほぼ同じである。
沖縄が無数の島からなりインフラの維持コストが高い点は難点だが、
規模的に都市国家として望ましい大きさであることは間違いない。

第三に、沖縄はアジアの主要都市からの距離が近く気候も近い。
このことは他国から企業や人材を獲得する上ではアドバンテージとなる。

第四に、地震災害の可能性が低い。こうした都市としての信頼性は
金融やITといった産業にはプラスだろう。

第五に、観光資源が豊富である。小さな国・地域を振興させるためには
観光業は重要な産業となる。しかし、例えば、シンガポールは国土が極端に狭く
有力な観光資源もないことから、観光客のリピーター率が低いという
問題に悩まされている。その点、欧米レベルのリゾートを多く持つ沖縄
にはアドバンテージがある。また、シンガポールでは大規模カジノ施設
を建設中だが、カジノは周りに何もない、ことが成功の重要な要素を
占めており、離島が利用できる沖縄はメリットが大きい。


沖縄の強みの二つめは、その人口構造だ。


沖縄の合計特殊出生率は 1.72 と全国(平均=1.28, 2003年)で最も高い。

また、沖縄県民の平均年齢は、38.4歳と全国で最も低い(2003年、以下同じ)。
全国平均は42.5歳で、次に低いのは、滋賀(40.7)、愛知(40.7)、埼玉(40.8)、
神奈川(40.9)、大阪(41.5), 千葉(41.5), 東京(41.9)といった大都市圏
およびそのベッドタウンだ。

その結果、人口分布は日本の平均に比べて著しく高齢者比率の低い構造になっている。

このことは、経済特区として切り離すことが出来た場合、
低福祉・低負担の社会制度を導入することの政治的困難が
最も小さいことを意味する。
もし年金制度だけでも、日本のシステムから切り離せることになれば
企業や若手の人材招致には強力な推進力となるだろう。


沖縄の強みの三つめは、その経済水準だ。

沖縄の一人当たり県民所得は、209万円(2006年)と全国で最低水準にある(東京は482万円)。
海外居住者がよく使っているシティバンク銀行のコールセンターは沖縄にあるが、
こうした事例はこれは沖縄の人件費の安さと無関係ではないだろう。
逆説的だが労働生産性の高い人材を引き寄せるために、
安い労働力の供給を豊富にして購買力でみた所得を増加させるのが望ましいのは
香港・シンガポールの例をみても明らかだ。

これらに加えて、沖縄が日本語圏であることは、もちろん、
シンガポールや香港への日本企業・日本の人材の流出を止める上では
強力な武器になるだろう。
今後、日本社会が高コスト体質になっていき人材流出が起こるとしても
語学の壁がその歯止めになることは間違いない。

残念ながら沖縄には、現時点では東京のような集積経済としての魅力がほとんどない。
従って需要が限られるので、まずは他地域・他国向けの企業を誘致することが必要だ。
その際、製造業の招致についてはアジアの他地域との価格競争力の差を考慮すると現実的でない。
地理的な制約があまりおおきくない金融業やIT産業を中心に招致すべきだ。
それも、無理に国際的にしようとするのではなく、はじめは
日本語圏のメリットを生かして言語に依存する業務を狙うべきだろう。


ご存知のように沖縄には2002年から経済特区が作られている。
それでは、何故、いま、2010年に再び沖縄に注目なのか?


それは、まさに今話題の普天間基地の問題があるからだ。
都市国家や経済特区の最大の弱点は、安全保障上の問題である。
ルクセンブルグにもシンガポールにも貧弱な軍隊しかない。
しかし、沖縄には米軍がいる。日米の軍事同盟を前提とすれば
軍事的に安全な経済特区を目指せる。

確かに沖縄の人が、米軍の駐留の負担を一手に引き受けるのは
不公平と感じている気持ちはよくわかる。
罪の無い小学生や中学生の少女が米軍にレイプされているのだ。
しかし、頑張って不公平を解消した後に残るのは公平だけだ。
個人だけではなく、地域の将来の成功を決めるのも、競争ではなく差別化だ。

沖縄の経済特区はバラ色ではない。
企業や人材の招致は、まだまだ成功してるとは言えないし、
現在の経済水準も低いため地方財政は重度に地方交付税に頼っている
中央政府と有利に交渉を進めたいなら、普天間基地問題が政権を揺るがし
社民や国民新党がキャスティングボードを握っている今しかない。

いま沖縄の指導者に求められるのは、
県民感情を納得させることでもなければ、他県との公平を求めることでもない。
強力なリーダーシップと理念としたたかな計算だろう。

沖縄の指導者は、人口構成の差による不公平を理由に
日本政府に年金制度の切り離しを交渉してはどうだろう。

日本を変えるために一番大きな部分から変えるのは容易でない。
現実的な方法は、小さな地域で改革を成功させ、
他地域との裁定を働かせて全体を変えることだ。




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テーマ : これからの日本
ジャンル : 政治・経済

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面白い

トラックバックありがとうございます。これは一部の経済学者が提唱している流れでもあります。沖縄なら地理的な分離もありますし実現可能かもしれません。

うーむ

今回のは、既に長年言われていることが多くて、ちょっと、ありきたりになってしまったかも知れません。この手のことを書くのって難しい。。。

No title

このプランは面白そうですね。ただ沖縄の先住民系の人は、こういう感じで自分たちが日本の戦略の一部と捉えられるのってどういう気持ちするんでしょうね。

こういう思い切ったことを本気でやる、っていう姿勢を上の方から感じられるのなら日本の将来にもっと自信を持てるんですが。

沖縄

県外から引越してきたretirees の生活に文句つけたりしてる人達も多いようなので、一般市民の感情に任せていては改革は難しいと思います。仰る通り、上の方から本気でやることが必要だと思います。

実現可能な案

沖縄に特化した地域政党ができると、実現可能になるかもしれません。
沖縄にも国会議員の枠が割り当てられているため、政権与党への協力と
引き換えに、実現させることもできると思います。
そうなったら、国内のサービス企業も無理に海外移転をする必要はなくなると思います。

No title

元SEさん:

日本は見通しがくらいから海外へ、というのは極論で、沖縄にもっとアグレッシブな特区を作るくらいの方が現実的だと私は思っています。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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