家族連れ留学と出産1 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

留学と恋愛、留学と結婚については以前書いたので、
今回は、家族連れで留学する男性の配偶者が同伴して渡米し
留学先で出産することについて考えてみる。

若い人の中には家族連れの留学というのは稀だと思う方も多いかも知れないが、
アメリカの大きな大学に来るとそういう日本人は結構いるものである。
子連れの留学や留学先で配偶者が出産するケースを見ると、
1) 医師の研究留学、
2) 大学や企業の研究員の在外研究のための留学
3) 社会人経験の後に大学院に留学

の順に多いように思う。
日本の機関から紐付きで来る場合は1~2年のことが多く、
そうでない場合は4年以上の長期の人も多い。

出産自体は全人類に共通する営みなので
日米でそんなに大きな違いがあるはずはないが、
制度や環境が異なるという点でいくつか注意するべき点はある。

主な注意点は以下の三つだ。

・健康保険のカバレッジ
・出産後のサポート体制
・妊娠・出産時期


アメリカで健康保険のカバレッジを調べずに出産するのは、
値段を見ずに宝石を買うようなものだ。

通常、日本で購入できる海外傷害保険では出産をカバーしていないケースが大半である。
また、大学が提供する保険は大学によってまちまちで、
全ての大学でカバレッジが高いわけではない。
また研究員として留学する場合は、保険が大学側から提供されるかどうかは
個別の交渉によるので、きちんと調べておく必要がある。
私の家のケースでは、自然分娩で2日間の入院だったが、かかった総費用は
大雑把に言って8000ドル程度。検診を全て含めて約1万ドル程度だったと思う。
大学の保険のカバレッジは約9割だったので、自己負担は1000ドルちょっとだった。
もちろん、帝王切開などの手術をすれば費用は上がるだろうし、
集中治療室などを使うことになれば総費用が1000万円を超えるのは
全然不思議ではない。

次に問題なのは出産後のサポート体制だろう。
日本では、実家や親戚、近所の親しい人など様々な人の援助を受けやすい。
しかし、アメリカではそうもいかないので、
できれば出産する人の親や姉妹などが来てくれるのが望ましい。
手伝いに来てくれる人がいるとして、難しいのはいつ渡米してもらうかである。
出産予定日はあるものの、標準偏差はかなり大きいし、
アメリカの出産予定日の決め方はかなりいい加減らしい。
予定日の2~3週間前に来てもらうとか、
生まれそうになったら急いできてもらうとか、
作戦を練っておく必要があるだろう。
手伝いに来てくれる人には、
基本的に身の回りの世話をしてもらうことになるので、
英語が出きなくても、車が運転できなくても、
決定的な問題にはならない。
ただ、夫の実家から人を呼ぶ場合はやや注意が必要だろう。
本当に手伝う気で来る場合は良いのだが、
海外旅行気分で来られて、何もしていないので
ものすごく大変だったという話を聞いたこともある。
やはり出産のような一大事ともなると血の繋がりは大事なのだ。

割と見落としがちなのが出産時期だ。
アメリカは結構遠いので日本で妊娠してから渡米する場合は
安定期に入るまで飛行機に乗るのは難しいと考えた方がよさそうだ。
また、アメリカで妊娠する場合は、帰国までに生まれた乳児が飛行機に
乗れる必要がある。

ジャンボジェット機は、細かい気圧の調整ができるので比較的小さい乳児でも
乗ることができるようだが、小さい飛行機に乗らなければいけない
場所などでは注意が必要のようだ。

こうした注意点をクリアした上でも、
日米それぞれのメリット・デメリットはたくさんある。
それぞれ挙げてみると次のようなものだ。

メリット:
・配偶者が留学期間を有効に使うことができる。
・配偶者が退屈しなくて済む。
・子供がアメリカ国籍を取得出来る。
・アメリカは車社会なので、乳児との移動が楽。
・子育てに関するプレッシャーが日本より少ない。
・社会が子育てしている人に優しい。


デメリット:
・病院でのやりとりが英語になる場合もある。
 ただし通訳を頼むことは可能だし、いなくても電話通訳を頼めることも多い。
・医療は病院次第だが、日本に比べれば質は劣るだろう。
・出産後はアメリカで旅行やレストランに行きにくくなる。
・出産後、ちょっとした用事等で実家などの援助を受けにくい。
・祖父母が生まれた子供のあまり会いに来れない。

もしあなたが周りにアメリカでの出産にアドバイスを求めても、
賛成の人はメリットばかり強調するだろうし
反対の人はデメリットばかり強調するだろう。
3つの注意点さえ解消しているならば、あとは結局本人たち次第だと思う。

個人的な意見を言わせてもらえば、
上に挙げるようなデメリットは気にならなかったし、
メリットは結構大きいと感じたので、まさに

「案ずるよりも産むが易し」

という奴ではないかと思うが、出産したい女性には、

「留学中の夫は家にいても宿題で忙しかったりするので
あまり子育てに参加できなくても恨まないように」

とアドバイスしておきたい(笑&反省だけなら猿ry)。
夫は日本で働いている時と同じように忙しいのだ、
ということを想定して出産することをお勧めする。

ブログ内の関連記事:
家族連れ留学と出産2 (coming soon!)
恋人 vs 留学
留学と結婚1
留学と結婚2
社会人の大学院留学の機会費用とリスク3(適応リスク)




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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

アメリカの医療費は高いとよく言われますが、
実態をあまり把握していなかったので調べたところ
良くできてますね。
指定された病院でしか治療を受けられないが
日本よりも安い保険なんてのもあるようです。

特に病院は高額の報酬を受け取るが、
医療過誤等で裁判を起こされた時の為に更に高額な保険を払っているというのは面白かったです。
それって帳消しになるんじゃないの?と思いましたが、
金を回して経済を活性化させるという意味ではプラスですし、
Willyさんが以前書かれた記事にもあったように金を払えば高度な医療が受けられる。という利点も生まれますし。

先天的な病気をもっていたり、病弱だったりすると厳しいですが
そこそこ健康な人からすればアメリカの保険制度も有りなんじゃないかなと思いました。

No title

axeさん:

アメリカの医療システムは本当に悲惨ですが、お金をたくさん積めば進んだ医療が受けられるのもまた事実でしょう。取り敢えず、カバレッジの良い保険を持っていれば、そこまで心配するほどではない、ということだと思います(それでも日本よりは劣ると思いますが)。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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