証券営業担当者の神の見えざる口 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日、少しグロソブの話を書いたら予想外に大きな反響を頂いた。

この手の投資信託などを売る職業は結構ストレスが多いらしく
顧客に売った商品が値下がりすると気が気でない人も多いようだ。
例えば、昔、合コンで話した青いメガバンクの女性は
「一番気が楽なのは宝くじの営業。損しても誰も文句を言わないから。」
と言っていた。実際、証券営業職の離職率はかなり高いと聞く。
しかし、私は証券営業というのは立派な職業であると思うし
当人たちが引け目を感じる必要は全くないと思っている。

そもそも証券営業を批判するような人たちは、
金融業の存在意義をきちんと理解していないように思える。
金融とは、元来的には「金銭を融通すること」である。
すなわち、お金の余っている人々や企業が、
お金を必要としている人に適切な方法で融通するというのが本来の意味だ。

例えば、アメリカ政府が好き放題やっている大手金融機関をなかなか
止められないのは、本質的にはアメリカにはお金が必要だからである。
すなわち経常収支の不均衡を、相対的に効率の高い対外投資を
行う金融業によって支えているわけである。
その結果一部の投資銀行員が法外に高い給料を受け取ることに
なってしまっているが、これはあくまで富の分配と言う二次的な問題であって、
そうした問題のために富の蓄積自体を諦めるというのは本末転倒なのだ。

一方、日本では富裕層がお金を使わないことが問題になっている。
使わないお金は必然的に投資されるので、金融業はそこに大きな手数料を
課すことによって、お金を世の中に還元することになる。
有名私立大学の経済学の先生が、現金に課税すればデフレも解決、
という面白い話をよくしているが、
現金そのものに課税しなくても、投資にたくさんの手数料を払って
くれる人がたくさんいてそれが証券会社経由で世の中に回れば、
効果としてはそれに近いものが得られる。
手数料をたくさん課している証券会社や銀行も、
立派に世の中に貢献しているのだ。

金融や経済に関して、善悪の判断を直感的に行うのは危険だ。

「質素に暮らす高齢者の女性が虎の子の1億円を
証券会社の担当者を信用して投資したら半額になってしまった」
というような話があるとすぐに
「鬼のような証券営業担当者だ」というような批判的な意見が出るが
批判している人たちは、
その高齢女性が守銭奴のように1億円ためこむのと、
それが手数料や他の投資家の所得となって世の中に還元され
レストランやデパートで使われて景気が良くなるのとどちらが良いか、
本当に熟慮した上で批判してるのだろうか。

もちろん、証券営業担当者が法律を遵守して
商品を売ることはとても大事なことだ。
法治国家においては、経済的にメリットのあることでも、
法を犯してまでそれをすることは禁止されているからである。
その意味で、証券営業は難しく、まさに神の見えざる口
というべき、巧みな話術が必要になるのは想像に難くない。
実際、もうひとつの神の見えざる口を持つ、
イタコと証券営業担当者は驚くほど良く似ている。
(以下のイタコの能力の説明は、
こちらのサイトからそのまま引用したものだ。)


イタコの能力  証券営業の能力
写真を拝見することで事細かに事情をご説明いただかなくとも、適切な指導をする事が出来ます。 資産を拝見することで事細かに事情をご説明いただかなくとも、適切な指導をする事が出来ます。
私たちを見守る守護霊からのメッセージを頂く事が出きます。 私たちを見守るアナリストからのメッセージを頂く事が出きます。
病と心の関係を見抜き、心と体の不調和という視点から拝見し、心の指導をすることが出来ます。 お金と生活の関係を見抜き、お金と生活の不調和という視点から拝見し、お金の指導をすることが出来ます。
あなたの守護霊からのメッセージを照らし合わせ、先の未来を拝見する事が出来ます。 あなたのライフスタイルのご希望を照らし合わせ、先の未来を拝見する事が出来ます。
亡きご家族やご友人からのメッセージを頂く事が出来ます。 亡きご家族やご友人からの遺産を運用頂く事が出来ます。
水子供養、子宝などを拝見する事が出来ます。勿論霊障の有無も拝見いたします。 養育費や教育費も拝見する事が出来ます。勿論、住宅ローンの有無も拝見いたします。
霊障全般、因縁、先祖からの因縁、浮遊霊による悪戯、憑依など、和鎮(浄霊)により解決いたします。 塩漬け株、値下がりした投信も、売却により解決いたします。
人生相談や恋愛相談など、守護霊のメッセージを照らし合わせ、適切な指導をしてゆきます。  人生相談や結婚相談など、ライフプランと照らし合わせ、適切な指導をしてゆきます。 


証券営業担当者が神の見えざる口を持つことは
ここに証明された。


イタコ


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イタコの信憑性

わたしの友人(女性)の友人は、母親が死んだ後も話がしたいと考えて(未だ両方生きている)、その時が来たらイタコに頼もうと思っていた。そこで母親がイタコに本当におりてきたかを確認する為に、合い言葉を決めていた。

テレビ番組で、イタコにおりたエルビスが青森訛だったのがキッカケでした。(おりてきたのは彼の魂で、イタコはチャンネルしているだけなので不思議ではないそうだ。)

イタコ

YSJournalさん:

上のエントリーでは、イタコが神の見えざる口を持っていることをまず証明しないといけないですね。しかしいずれにせよ、目の見えない方々に職業を保証するイタコという制度は優れたものだと思います。

No title

こんな真実をつかれたらイタコさんの商売あがったりで可哀想ではないでしょうか。証券レディーのほうは、年齢はともかく巫女さんコスチュームを着て営業されたら、悪い商品なら買わないという自信が揺らいでしまいます。

No title

巫女さんコスチュームはイイですね。4年前に日本に帰ったときに、秋葉原で巫女カフェというのを見つけたんですが、そうしたメイド系カフェと証券営業をコラボにするというのは斬新な案かも知れません。「ねえご主人様。次はどんな投信買ってくださるの?」みたいな感じで営業もしやすそうです。妄想スマソ。

No title

金融という分野が社会に貢献できうる事は、まぁそうなんだと思いますが、アメリカ政府が金融機関を規制しないのは、金融の力を信じてるからとは僕個人は思わないんです。今アメリカ議員1人につき10人以上のロビイストがいるみたいで、金融機関・保険産業は常に選挙キャンペーンへの莫大な資金提供を行っています。

本当に金融の力を政府関係者が信じてるのであれば、投票者が100パーセント金融機関反対で、政治関係者が金融機関からお金を一切もらわなくても、規制しないという行動に出ると思うんです。そんな自信がないから、金融機関は自分達の給料を削ってまで政治に半端ない金額を費やすように僕の目にはうつります。

下院議員の多数がミリオネアだそうです。アメリカ経済は crony capitalism と呼ばれるようにすらなっていますし。金融機関と政治の癒着、というよりは、金融機関による政治プロセスの買い占めやコントロールが横行している中での金融政策というのは、『アメリカの価値観』とか『真実』(それが何であれ)を反映してるというのは説得力を欠くと僕は思うのですが、Willy さんはどうお考えでしょうか。

No title

1ファンさん:

民主主義と資本主義は真っ向から対立する概念です。国力や総生産の最大化という観点からは(特にアメリカは)金融業をかなり強力にバックアップした方が良いと思いますが、民主主義ではそういった富の分配に反対する人数の方が常に多いわけです。民主主義が資本主義によって歪められているとも言えますし、資本主義が民主主義によって歪められているとも言えますね。極論すればロビイストの存在はテクニカルな問題に過ぎず、多数決を人数で決めるか金額で決めるかの違いだと思います。そして現在のアメリカは、ロビイストのことも含めて、主に資本主義で回っているということなのではないでしょうか。それが良いか悪いかはまた別の問題ですが。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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