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統計学PhDの所要年数 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカの統計学の博士号は、
他分野に比べると比較的早く取れる方ではないかと思う。
社会学のように自分でデータを取るために何年も使うということもないし、
哲学や文学のようになかなか出してもらえないということもない。
いわゆる「筋トレ」はある程度必要だが、純粋数学ほどではない。

レンジで示すと、W大M校の場合、4年~7年で取る人が大半だ。
私は結局6年かかったが、最後の1年は既に働いているので
実質は5年半といったところか。

おそらく今までの最短は、
知り合いのGが2年9ヶ月で取ったケース
だ。
実験やフィールドワークに時間がかかる分野ではないので、
優秀でさえあれば、理論的にはいくらでも早く取れる。
(ただし制度上、2年9ヶ月が最短だ。)

もちろん2年9ヶ月で取った人は飛び切り優秀なのだが
PhD取得までの年数はかならずしも能力だけで決まるわけではない。
私が学科で見てきて重要だと思った要素は5つある。
これは、統計学に限らず、他の理論分野にもある程度当てはまると思う。

1.研究能力

能力は当然ながら重要だ。一つの理由は、主に数学的基礎学力の到達度を測る
Qualifying Exam という試験があり、これをどれだけ早くクリアするかで、
研究を開始できる時期が決まってくることがある。
また、Qualifying Exam終了後は、英語力が比較的大きな要因になってくる。
リサーチテーマを探す上で、読解スピードやコネクションづくりが有利に
なるためであろうか。ネイティブ・イングリッシュ・スピーカーの修了
までの期間は明らかに短い。

2.ピア・プレッシャー (peer pressure)

M校の統計学科の外国人を見ると、中国人とアメリカ4~5年で卒業、
韓国人は6年で卒業する人が割と多い。これは、個々人の能力というよりも、
何年で卒業しなければいけないか、というコンセンサスが
友人関係に左右される
せいだろう。

3.指導教官

指導教官によって何年で卒業させるべきかの方針が異なる。
博士論文にどの程度の水準を求めるかにもよるし、研究分野にもよる。
傾向としては、理論分野の方が所要年数が長くばらつきも大きい。
ある応用分野の教官は、ほとんどの学生を4年~4年半で卒業させている。

4.年齢

意外に思われるかも知れないが、少なくとも私の回りでは
年齢の高い学生の方が修了までの年数が短い傾向にある。
若いうちに、ある程度のところまで行かなければならないという
プレッシャーが大きいせいだと思う。

5.景気

景気が悪くなると就職が決まらないので、博論がほぼ完成しているのに
大学院にとどまる人が増える。
不景気では学科の資金力が低下するので、
学科は早く学生を卒業させたがるが、なかなかうまく行かないようだ。
学科は結局のところ、在学生のファンディングを新入生よりも優先せざる
を得ない
からだ。

ブログ内の関連記事:
― 大学院統計学科の選考基準について
― 修士課程と博士課程、どちらに行くべきか?

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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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No title

僕の知っている範囲では、社会人経験者のほうが取得期間が短いですね。経済的に余裕がないこともあるようですが、事前にある程度テーマを決め手から行くことも要因としてあるのではないでしょうか。僕も、もしphDに進学することがあれば、やはりある程度研究の方向性を決めてからにしたいですね。理想をいえば、留学前に簡単な雑誌(ただし査読付き)に出版することでしょうね。

ご案内のとおり、financeでいえば、学会より実務レベルのほうが進んでいる面もあるので、別でしょうね。とはいっても、僕はクオンツではないのでこの方向性はないのですけれど。

PHD取得

>事前にある程度テーマを決め手から行く

確かにそれはあるような気がしますね。完全には決まってなくても
方向性が決まっていたり、実務経験があったり、他の分野で論文を書いたことがあったり、
というのは強みになるように思います。

No title

ちなみに、仕事をしながら、phDを採るという選択肢は考えなかったのでしょうか。

No title

>仕事をしながら、phDを採るという選択肢は考えなかったのでしょうか。

国内でということですね。これはリスク・リターンの観点からは非常にお勧めできると思うのですが、個人的には両方同時にやるのは大変そうなのでやめました(笑)。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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