日本に足りないのは経営のできるオタク -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先日書いた「起業したい若者に対する大人の本音」が意外と受けたところを見ると日本における起業に対する関心は案外、高いのかも知れない。それでは、日本とアメリカで大成功している起業家の傾向に違いはあるのだろうか?

ちょうど先日Forbesから億万長者のランキングが出たので、50歳以下のアメリカ人の億万長者の顔ぶれとバックグラウンドを見てみよう(ただし、遺産相続による億万長者は除く)。

Sergey Brin (36): Stanford U, MS Computer Science (Google)
Larry Page (37): Stanford U, MS Computer Science (Google)
Michael Dell (45): U of Texas Austin, Drop Out (Dell)
Jeffrey Bezos (46): Princeton U, BA/BS Computer Science/Electric Engineering (Amazon)
Pierre Omidyar (42): Tufts U, BA/BS Computer Science (EBay)
John Arnold (36): Vanderbilt U, BA/BS (hedge fund)
Mark Zuckerberg (25): Harvard U, Drop Out (Facebook)
Daniel Och (49): U of Penn Wharton, BA/BS (hedge fund)



トップのBrinとPageは各々175億ドル、8人のうち一番少ないDaniel Ochでさえ資産は33億ドルもある。専攻分野や人物像の紹介などを見ると、金融で財を気づいた Arnold と Och を除く6人はみなコンピューターオタクの若者だったという共通点がある。

一方、日本の億万長者はどうだろうか。同じくForbes の「日本の富豪40人」から50歳以下の億万長者を抜粋すると次の4人の名前がある。資産額はトップの三木谷氏が47億ドル、一番少ない重田氏は6.6億ドルとなっている。

三木谷 浩史(44):一橋大・商 → Harvard, MBA(楽天)
田中 良和(33): 日大・法(グリー)
笠原 健治(34): 東大・経済(ミクシィ)
重田 康光(44): 日大・経済(中退) (光通信)


やはりいずれもIT関係・インターネット関係の起業家ではあるものの、三木谷氏や重田氏などビジネスへの関心が原点となっている傾向が強い。

4人ではサンプルが少ないので50歳以下の起業家として取り上げられたことのある日本人を適当にみてみるとやはり似た傾向が見られる。コンピューターオタクかどうかの線引きは難しいが大学の専攻分野と事業内容との関連で見る限り米国の上の6人と類似していると言えるのは、ソースネクストの松田氏くらいだろう。

村上 世彰 (50) : 東大・法(M&Aコンサルティング)
折口 雅博 (48): 防衛大・理工(グッドウィル)
松本 大(46) : 東大・法(マネックス証券)
宇野 康秀(46) : 明治学院大・法(USEN)
熊谷 正寿 (46): 放送大(GMOインターネット)
夏野 剛 (45?): 早稲田大・政経(NTTドコモ)
堀 主知ロバート(44):関西学院大・法(サイバード)
松田 憲幸(44): 大阪府大・工(ソースネクスト)
西山 知義(43): 日大・法(レックス・ホールディングス)
堀江 貴文(37): 東大・文(ライブドア)
野尻 佳孝(37) : 明治大・政経(テイクアンドギヴ・ニーズ)
藤田 晋(36): 青山学院大・経営(サイバーエージェント)
槇野光昭(36) : 東海大・政経(価格ドットコム)
岩瀬 大輔(34):  東大・法(ライフネット生命)
※西村博之 (33): 中央大・文(2ちゃんねる、ニコ動)


日本の電子系の大学教育のレベルが決して低くないことを考えると、日本では本来起業のポテンシャルを持ったオタクが十分に能力を発揮していないのではないかと想像できる。そもそもオタクとは、専門知識を経済的価値に変換出来ない人の総称であるのかも知れない。次回は、こうした潜在的な問題に対してどのように対応すべきか考えたい。

ブログ内の関連記事:
経営のできないオタクをどう活かすか

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昭和40年生まれ多いですなあ

いや私の生まれ年なんです。(笑)ITバブルがハジけた時に35歳。チャンスと思った人たちは成功して、ヤバイ、どうしよ、とオロオロして、会社にしがみついた私たちは負け組確定。(苦笑)
しかし、まあエンジニアとしてはMixiやGreeやDeNAなど商売として大成功しても技術的にスゲえ、ヤラれた、と言う発明があったわけじゃないんで、あまり羨ましいとも思わないし、単純に金額だけならBNFさんみたいな株式投資で儲けた方が効率いいんじゃないの?と思ってしまうあたりが既に成功への道から遠ざかってますね。(笑)

どうも携帯電話やSNS関連のビジネスに魅力を感じないんですよね。今の時代に金持ちになるにはそれが近道とは思うんですけど。

No title

>どうも携帯電話やSNS関連のビジネスに魅力を感じないんですよね。

僕なんて携帯を通話以外に使わない人なので、こういうのは全く未知の世界です。
Mixi なんかもアカウントはあって一時よく見てましたがあんまり楽しくありません。

No title

最近のMIの選挙公報CMだったと思いますが、いかに"Geeks"が今の世の中で台頭してるかの例を挙げて、候補者がいかに"Geeky"だったかで宣伝してるものがありましたね。(まだ流れてると思いますが)

MixiやSNSで儲けている仕掛け人達自身はそれほど「楽しんで」いないんじゃないですかね?勝手な想像ですけれど、「ビジネス」と割り切ってやっているのでなければとても受け入れられないシステムが沢山ありますしw 分野はかなり関係してますが、ビジネスとしては一切自分も興味がありません。

Willyさんのように使う場合はこういったBlogの方が合っているように感じますよ。

No title

aRtさん:

僕もFacebookのデータなんかは分析対象として面白そうだとは思うんですが、自分で積極的に使ってるかというとそうではありません。

No title

僕も子供の頃はプログラマになって面白いゲームだかソフトかなんかを書いて天下取ってやるとか思っていたのですが、実際ITブームになってみると儲かるサービスと自分がやってみたい事の乖離が激しい事に気づいて、会社で納期に間に合わせるためにコード書かされるぐらいならコンピュータを使わない他の仕事したいなと思うようになってしまいました。それどころかコンピュータなど存在しない無人島で暮らしたくなってます。

オタクはマネージメントに興味がないからこそオタクにとどまる、ということかと。

No title

毒の助さん:

プログラムを書いて儲けたって話は私より10~15歳くらい上の世代では結構いるような気もするのですが、今は産業が成熟してしまったので難しそうですね。

No title

USのIT系起業を見ていると、「ビジネス」や「経営」をやる、という意識よりも、単にハックの対象をコンピュータから社会や経済へと広げている、という印象を受けます。

Y CombinatorをやっているPaul Grahamも、「ビジネスを回すことについては、やってればわかってくるから最初は心配しなくていい」というようなことを再三言っていますね。(Paul Grahamは自身のベンチャー支援についてもはっきりと「経済の仕組みに対するハックだ」と言っていますし)。

とすれば、経営ができるかできないかという以前に、ハックの対象とする領域が違うというだけなのかもしれません。

No title

こういう記事を拝見してると、どうもアメリカの方が楽しそうに見えますね。
私なんかはもう大学を出て15年以上たってるのでどうにもなりませんが
理系の学部や修士の比較的若い層に『社会保障等は置いておいて、シンプルに面白い人生を送りたいと考えた際に留学はオススメ?』と聞かれたらWillyさんはどのようにお答えになるか興味があります。

社会人が留学する際に~等の記事も拝見しましたが、
それなりに道を選べる若者にとって面白いのどっちなの?と聞かれたら
どのようにお答えになりますか?

No title

shiroさん:

アメリカの方が気楽にやっているということでしょうかね。日米の違いで一番大きいのは、規則が明文化されているかどうか、ということだと思うのですが、その点アメリカでは分からないことも調べれば分かることがほとんどという意味で気楽にやれるのかも知れません。

axeさん:

>『社会保障等は置いておいて、シンプルに面白い人生を
> 送りたいと考えた際に留学はオススメ?』

これは難しいですね。

日本と比べると、アメリカの方が何度も挑戦できてストレスの小さい社会だと思います。
そういう意味ではYESです。またITとか研究職のようにアメリカの方が待遇の良い職業も多いように思います。

一方、日常の娯楽という意味では、外国人として住むとアメリカはつまらない国ですし、食事もおいしくないし、移民関係の法律も厳しいので、「住みやすいか」という点ではNOだと思います。

No title

お返事ありがとうございます。
中々うまくはいかないようですね…

No title

とても魅力的な記事でした。
今必要な人物像に共感致しました。
また遊びに来ます。
ありがとうございます。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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