キャリアと順序 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

昨日は数学科で年に一度のOwens Lecture という
少しだけ大掛かりなColloquiumがあった。
私の出身校のW大M校のからエンジニアリングスクールから
Stephen Robinson 教授が招かれて
Decision Science と数学の融合について話をした。
基本的に中西部というのは人気がないので
中西部の中で人材が交流しているケースが多い。
例えば、ミシガン大やW大M校のたくさんの卒業生が
WS大の教官になっている。

内容も面白かったのだが、学際研究とキャリアについての
考え方の説明が面白かったので紹介したい。

彼によると、若いうちに必要となることは
ともかく得意分野の専門性を磨くこと
だという。
若い人というのは大学であれば40歳前後まで、
准教授になる前までのキャリアを指していた。

他の分野の人と双方にメリットのある共同研究を
するためにはコアとなる専門分野が必要
あまり若いうちから学際研究をしようとすると
キャリアとしては上手く行かないことが多いという。

したがって、中堅あたりになってから分野横断的な交流が
促進されることが望ましいが、大学ではこの部分が
上手くいっていない
のが問題だ、と彼は主張する。
軍や企業は、中堅以上の幹部に対して、
他分野の人と積極的に交流する機会を与えており
大学よりもずっと上手くいっているという。

大学では、90年代以降、研究の蛸壺化が進んでいるように思う。
これはインターネットの普及によるところも大きい。
昔であれば、周囲の人が全く興味を持たなかった研究をすることは
難しかったが、今は世界中を検索すれば同じ興味を持った人が
数十人くらいは簡単に見つかるようになった。

人間は年を取るに従って複数のものを
関連付ける能力が上がると聞いたことがある。
オヤジギャグというのはそういう特性から生まれるものだとも聞いた。
脳の機能そのものに大きな変化がなかったとしても
経験が豊かになることによって関連付けをする能力は
明らかに上がっていく感がある。

ラッセルは、
一番頭が冴えている若い時に数学をやり、
思考が鈍くなったから哲学をやり、
最後に文学をやったと言ったそうだが、
逆の順ではどれも上手くいかなかったに違いない。
(うまくいったとしても真ん中の哲学くらいだろう。)

豊かな人生を送るには順序が大切だということだろう。
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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

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オヤジギャグ

最近、オヤジギャグに磨きが掛かる身としては、ここ強い話題です。

私の尊敬する日本人の一人は、井上 順なのでが、若い頃かオヤジギャグ、それも洗練されていたと思います。世間での評価が低い事を、ずっと憤っています。

失礼しました。

オヤジギャグ

YSJournalさん:

私のブログのコメント欄にもオヤジギャグをどしどし書き込んで頂いて構いません。
つまらない時は放置しますので。

ラッセルのパラドックス

ラッセルのパラドックスの意味が理解出来なくて悩んでます。(笑)
床屋の話は特に判らないです。自分で髭剃るグループと床屋が髭剃るグループで、床屋がどっちに入るか?と言ったら両方に入るとしたときに、ラッセルさんは何が気に入らないんでしょうか?矛盾、と言われても床屋にしてみれば自分の髭ぐらい自分で剃るだろうしねえ。(笑)
Willyさん流の解説をお願いします。

No title

野田一丁目さん:

それはラッセルのパラドックスの例になっていないと思います。
それを言うのであれば、
「ある村に、自分自身のひげをそらない人全員の
ひげをそってやる床屋さんがありました。
この床屋さん自身のひげは誰がそるのでしょうか。」
という問題ではないでしょうか。

ちなみに、ラッセルのパラドックスを少しひねってクイズ形式にした
"Willyのクイズ"というのがあります。これは:

「丸い机の周りに6人が座っています。全員が一斉に右側の人に
向かって"お前は嘘つきだ!"と言いました。嘘つきは何人いるでしょう?」

というものです。答えが分かっても満足してはいけません。
理由はここには書きませんが。

私が日本でピカピカの新入社員だった時、
「社内に閲覧するので自己紹介を書いてください」
と言われて、私は自己紹介の代わりにこのクイズを載せました。

丸い机の周りに6人

うーん。「クレタ人は嘘つきだ」問題みたいですね。(ところでクレタ人って何処の国の人?)
6人全員が嘘つきだったら、嘘つきと言った人がホントのことを言っていることになり、正直者になるし。
一人置きに嘘つきだったら、成り立つかな?3人嘘つきで3人正直者?いや?もっとヒネリがありそうですね。(笑)

ラッセルのパラドックスは「自分自身」と言うのがキーワードみたいですね。なんかややこしくて。(笑)

No title

企業や軍(もしくはその他の政府部門でも)は中堅以上の幹部になればそれまでの専門(財務とか開発とか)を超えた能力を評価されるので,それに対応した能力開発をすることには被用者にとってもメリットがありそうですが,研究者は結局のところ同じ専門分野の研究者に業績評価されるのでインセンティブ的に難しいかと.テニュアを取ったし上位の大学に移るつもりもないのでもう後は好きなことを研究しよう,というのであれば学際的な研究もいいとは思いますが.

No title

>研究者は結局のところ同じ専門分野の研究者に
>業績評価されるのでインセンティブ的に難しいかと

まさにそこが問題ですね。ドンパチやらずに本当のイノベーションを起こすためには、
大学を資本主義的な枠組みにある程度嵌める必要がありそうです。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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