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大学教員の給与と夏学期 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

WS大のカレンダーでは、
9月~12月が秋学期、1月中旬~5月初旬が冬学期、
5月中旬~8月上旬が夏学期となっている。
冬休みがやや短く冬学期が終わるのが少し早いが、
基本的にセメスター制を採る大学の多くは似た日程だ。

数学科や経済学科のように教員がニートっぽい学科では
ほとんどの教員が9月から5月までの9ヶ月契約(実働7ヶ月半)
となっており、残りの3ヶ月は給料は出ない。(*1)

NSFやNIHなど連邦政府その他のグラントを獲得して
夏の間のうち2か月分の給料を賄うのが研究者のインセンティブに
なっておりそれを取ることが「一人前の研究者」ということになる。

夏学期は授業があまりなく主に夏も大学に残る院生が入門的な
コースを教えるのがメインだが、大学院向けなどいくつかのコースは
教官が教えている。これは9ヶ月契約に含まれないので、
うちの大学では1コース教えることで、給料の1か月分
(=9ヶ月契約の給料の9分の1)がもらえるようになっている。

一般に、研究大学の若手は、「一人前の研究者」になることを推奨されるし、
夏にコースを持つとコンファレンスに行くのも難しくなってしまうので
あまり夏学期を教えるという話は聞かないが、
アメリカの大学に応募する人、特に家族がいてお金が必要な人は
知っておいた方が良いオプションだろう。

ティーチングカレッジについては事情はもっとシリアスかもしれない。
分野にもよるが数学科のように資金がそれほど潤沢ではない学科では
ティーチングカレッジの助教が、子供のいる家族を長期間養うのは
あまり現実的ではない。一方で研究のrequirementはかなり低いはず
なので、夏のティーチングについては就職面接の時に調べておいた
方が良い内容だ。

(*1) 資金が潤沢な学科では初めの数年間はある程度の補助が出ることもある。
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テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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