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在外選挙 - 公平な選挙権って何だ? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本では参議院選挙7月11日に控えているが、
国外に住む日本人が投票したい場合には事前に在外投票をする必要がある。
ところが、この投票までの手続きが想像を絶するほど面倒くさい。

まず、事前に在外選挙人名簿への登録を済ませて置かなければならない。
そしてこれは、大使館や総領事館に在留届を届けを出すのとは
別個に行わなければならない。

これを、日本在住の日本人に例えるなら、
投票をするためには住民票を入れるだけではなく、
選挙で投票したい場合は、
別途、選挙の何ヶ月か前に申し込みを
しなければならないということだ。
しかもその際に、居住を確認するための書類の提出まで求められる。
そんなことを日本国内で実際にやったら、
選挙は組織票ばかりになるだろう。

事前に名簿への登録をしたら、簡単に投票できるというわけでもない。
一応、3種類の投票方法が準備されているが、
どれも非常に使いづらいものだ。

1.在外公館投票

文字通り、日本大使館や総領事館で投票するというものである。
投票方法自体は、日本での投票と似ているが、
いかんせん投票場所が少ない。
私が知る限り、これらの施設は全米で17箇所しかない。
米国の面積が日本の約24倍あることを考えれば、
日本国内に一箇所しか投票所がないのに等しい。

2.日本国内における投票

一時帰国している人のために、
国内でも日本在住の人と同じ方法で投票できるようになっている。
私は、ちょうど一時帰国していたので投票することもできたらしいが
そもそも、その案内自体が海外の住所に送られるので
案内をもらってすぐ日本に行く、というような
極めて特殊なケースの人しか投票できない。

3.郵便等投票

表題だけみると、これが一番現実的だと思えるのだが
よく読むと最大のジョークだ。
手順は次のようになっている。

(1) 在外選挙のお知らせを公示日(6/24)前後に受け取る
(2) 登録先の日本の市区町村に投票用紙を請求する
(3) 自宅に投票用紙が郵送される
(4) 投票用紙を登録先の日本の市区町村に送る

つまり、在外選挙のお知らせから約2週間のうちに
日米間で3回郵便のやりとりをしなければならない。

国際速達郵便を使ったところで、日本の市区町村が
速達で返信してくれる保証も無い。


こうした惨状が単なる役所のセクショナリズムによるものなのか、
あるいは組織票のプレゼンスを最大化したい政治的圧力が影響しているか、
私は詳しく知らない。

しかし、実質的に日本在住者と同じ権利が担保されていない
ことは明らかだろう。

民主主義の枠組みの下での選挙権は「投票が可能」であるだけでなく
その機会が平等で投票の価値も平等であることが必要である。


国民の総意を反映させるのが目的ならば、
有権者の(年齢、居住地、年収等による)各層の票は
投票率の逆数をかけて意思を反映させるのが
統計的には妥当な方法であろう。
そうした方法をとらないならば、
政府は全ての有権者層の意思を反映させるために
最大限の注意を払う義務がある。


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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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No title

自分は、住まいがバンコクだったので大使館へ出かけてちゃんと投票してきました。今回は、自分がネットで知ることになった優秀な逸材が、候補者として名乗り出て選挙を戦っているので、後押ししたい気持ちもあったわけです。

あれって、不在者投票みたいな感覚ですね。

でも、選挙権は与えられるものでも無く、自分でそれを行使することに価値があるのだと思います。本当に政治を変えてみたいと思うのなら、自腹を切らざるを得ない状況ですが、わたしが遠隔地だったら、会社に断って観光気分で投票に出かけてしまうかもしれません。

ただ、懐具合が寂しかったら棄権ですかなー。
早く、国民背番号制による電子投票システムが確立されると楽なんですけどね。

No title

>選挙権は与えられるものでも無く、
>自分でそれを行使することに価値があるのだと思います。

そう思っている人が多いみたいなのですが、個人的にはあんまりそう思いません。
論点のすり替えのように思えます。

No title

日本だけが特別面倒くさいのか世界一般で面倒くさいのか気になりますね。

>国民の総意を反映させるのが目的ならば、
有権者の(年齢、居住地、年収等による)各層の票は
投票率の逆数をかけて意思を反映させるのが
統計的には妥当な方法であろう。

個人的にはこれに賛成です。
ただ、それを成立させる為の法案が通らないというジレンマがありそうです。

そういえば学生のころに憲法の改正は国民投票によって云々という文言を見て、そもそも国民投票の国民とは何か?という質問を先生にして困らせたことがありますね。選挙権と国民投票権とは別物だろうと延々言い合ってました。このあたりのモヤモヤした印象があって未だに社会科学は好きになれませんね。

No title

axeさん:

民主主義なんて本当は達成されていないし、達成されたらされたで色々問題も出てくるでしょうね。そもそも資本主義と民主主義が並存していること自体が捩れていると思います。

No title

これは興味深いですね。あまり在外選挙について調べたことも無かった私にとっては、大変勉強になりました。
ということで、一つエントリーをこれで立てて、紹介してみたいと思います(笑)

No title

松本さん:

お久しぶりです。ブログ、時々拝見させて頂いております。

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No title

匿名さん:

ご愛読ありがとうございます。EMSで投票表紙が来たというのは素晴らしいですね。

No title

統計的に正しくても一人一票が厳守できないという点がネックなんでしょうね。一人一票に意味があるのかはともかく。ただ1.2億人もいて自分の参政権が小さすぎると感じることが投票率を押し下げる一因ですから困ったものです。

No title

izuさん:

以前にRionさんのブログに紹介されましたが、ランダム選挙という方法もあるようです。
http://rionaoki.net/2010/02/3322
これだと、一票の影響が小さすぎるから投票しないという事は発生しません。
いずれにしても、恣意性を完全に排除することが難しいというところがネックになるでしょうね。

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No title

匿名さん:

おっしゃるとおりです。層の選び方は、もっとも偏りが大きな指標を探して
それを元に切るということになるでしょうね。本来、それは技術的な問題ですが、
現実問題としてあらゆる変数を考慮することは出来ないため、そこに恣意性が
残りそうです。

No title

英国は、国土が約3分の2程度、投票がロンドンかエジンバラの2か所らしいので、日本国内に3箇所程度の投票所しかないのに等しい、ですね。

ちなみに、『在外投票、浸透いまひとつ=有権者80万人、投票率3%-参院選』だそうです:

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201007/2010070300234

No title

こ@ロンドンさん:

リンクどうもです。投票率3%ですか。一票の格差は違憲判決がでてますが、投票率の不均衡は問題にならないんですかね。例えば、東北は市区町村に1箇所ずつ、東京23区で1000箇所でも違法にはならないんでしたっけ?公選法では決まってない、みたいな話を見たことがありますが。
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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