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中古車の標準販売価格とバイアス -- このエントリーを含むはてなブックマーク

去年の春、ウィスコンシンを発つ前に買った2002年式のスバルが
あまりにレモン(*1)だったため、遂に新し目の中古車に買い換えた。
(*1) 状態の悪い中古車のこと

以前の記事http://wofwof.blog60.fc2.com/blog-entry-51.htmlにも書いたが、
これを機に中古車の市場価格についてもう一度触れておきたい。

アメリカには、KBB (Kelly Blue Book) や
NADA (National Automobile Dealers Association) といったサイトがあって、
標準価格は、年式、車種、走行距離、グレード、装備、地域など
を考慮して、中古車の標準価格を算出しているのだが、
どうやらこれらのサイトは常に価格を過大に見積もる傾向があるようだ。

例えば、私が今回買った15,000ドル弱の中古車
評価額は以下の通りになっている。
細かい傷はあるものの、ディーラー経由で買っているので
状態は下記の表現で Excellent と Good の中間くらいだろうと思う。
同様の車のネット上での小売価格は15,000-17,000ドルが中心であった。
実際の売値は更に安いはずだ。

● KBB (Kelly Blue Book)

小売価格 (Suggested Retail Price)
Excellent $20,340

個人売買価格 (Private Party Value)
Excellent $17,840
Good $16,790
Fair $15,090

下取り価格 (Trade-in Value)
Excellent $15,450
Good $14,500
Fair $12,800

● NADA (National Automobile Dealers Association)

小売価格 (retail value)
Clean $18,450
下取り価格 (Trade-in value)
Clean $15,350
Average $14,275
Rough $12,975

上記の評価が正しければ、
ディーラーは大雑把に言って下取り価格程度で
車を販売していることになり辻褄が合わない。

評価額が、利害関係者の圧力によって歪められている
ことは想像に難くない。

むろん中古車ディーラーにとっては標準小売価格が高いほうが都合が良いし、
新車ディーラーにとっても中古車価格が高いという事は
減価償却が遅いということだから究極的には望ましい。

下取り価格が高くなってしまうというデメリットもあるが、
消費者が下取りに出す車の状態はまちまちなので
いくらでも言い訳がつく。
しかも、消費者が下取りの見積もりを頼むのは、
買う事を決心して購入の直前まで進んでからである。

さらに、ディーラーによれば保険会社が全損事故の保険金を
払う場合にも、KBBとNADA の評価額が平均して用いられるらしい。
保険会社にとっては、一見、保険金が安いほうが助かるように
思えるが実際はそうではない。事故の際の賠償金額が高ければ
高いほど、保険市場が大きくなり保険会社は儲かるのである。
したがって、保険会社にとっても評価額は過大評価された方が
望ましい。

一方消費者にとっては、適正な標準価格の方が都合が良いが
個々の消費者は発言力が弱いので圧力にはなりにくい。

一見、客観的な統計であっても、
各利害関係者からの圧を考慮してバイアスを推し量ることは大切だ。
予測においては、多くの場合、
高度な統計手法を用いても精度を大幅に上げることは非常に難しい。
従って、バイアスを取り除くことは非常に重要である。

逆に言えば、一見、十分な情報が行き渡っているように見えても、
中立的な情報が不足しているケースも多くある。
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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

Willyさん
ディ-ラーは、Black Book (Red Book だったかも)という、実勢価格に近い基準で査定を行っていたと思います。

正規ディラー(メーカー)は、中古車販売においては、自分たちの基準でメインテナンスをした上でワランティーを付けて販売するといった従来の中古車販売とは違う形態を完成しつつあるので、所謂 as is 相場とは違ってきていると思います。

KBBとかの価格インフレーションについて、ありもしない高値というのを多くの人が認識しいます。(もしくは、売買活動の時に学習)価格設定のモデルが変わらない限り、同じ様な事が続くと思います。

保険についても疑問はありますが、よく分からず。


No title

YSJournalさん:

一部の利害関係者のための統計というのは結構ありそうですね。

>KBBとかの価格インフレーションについて、ありもしない高値

日本語のミシガンクチコミ掲示板というのががありますが、K
BB価格を元に出品してる人が多いですね。あれも確信犯かな。

保険は、あらゆる保険会社が「他社よりも安い」と主張していますね。
当然、消費者は割安な時にしか乗り換えないので、各社が自社の契約者を
ベースに計算すると、「我々が一番安い!」というのはあり得なくもないですね。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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