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先進国から都市国家へのシフト -- このエントリーを含むはてなブックマーク

シンガポールの2010年第二四半期の成長率が
前期比年率で26%に達したらしい。
通年の見通しも前年比13~15%と世界最速だという。

BRICSやVISTAといった新興国のプレゼンスが高くなっているのは
ここ10年の特徴であるが、シンガポールが際立っている点は
その経済水準が既に主要先進国のそれを超えていることである。
IMFによる2009年の購買力平価ベースの一人当たりGDPは、
50,523ドルとカタール、ルクセンブルク、ノルウェーに続いて
世界4位であり、日本の32,608ドルを5割以上も上回る。
更に、中間層に対する所得税率は10%以下と先進国を大きく下回っている。

シンガポールのような都市国家の隆盛は、
アメリカの金融危機問題、ヨーロッパの通貨危機問題
によって強調されている面もあるが、
私はこうしたパワーバランスの変化は恒久的なもので
数十年の長期に亘って続くのではないかと思う。
これはシンガポールには以下のような強みがあるからである。

1. 地方・農村部を持たない。

主要先進国では、インフラ整備や補助金の名目で
都市部から地方・農村部へ多額の所得移転が行われている。
こうしたコストがかからない都市国家は、
税率面で優位に立つことができる。

2. 世代間扶養の年金制度を持たない。

世代間扶養の年金制度はいわば人類史上最大のねずみ講だが、
シンガポールの年金は完全に積み立て式である。
今後、先進国の社会保障負担が増大することで
低福祉の都市国家の相対優位は更に高まっていく。

3.少子化の対策コストが存在しない。

主要先進国では、社会保障制度や経済規模を
維持するためには少子化対策を行わなければならない。
これは主要先進国では
1) 大規模(数百万人以上)の移民受け入れが供給側の事情から難しいこと
2) 上記1.および2.から移民獲得に関して競争力が低いこと
が主な原因であろう。
また、シンガポールについては、
中国、インド、マレーシアといった周辺国からの
移民希望者が集まりやすいという地理的・文化的な
アドバンテージもある

4.民主主義が実現していない。

経済成長のためには強力に資本主義を推進する必要があるため、
いきすぎた民主主義は経済成長の阻害要因となる。
民主主義の意思決定は人々の「効用」をベースに行われるので
概して社会主義的な政策が採られやすい。
これは、冷戦の記憶で凝り固まった人が見逃し易い点であると思う。



都市国家の経済規模は世界の中にあっては
それほど大きくないため問題になっていないが、
主要先進国との格差があまりに大きくなると
社会問題として注目される可能性もある。


一方、超長期で考えると、
シンガポールの政治的・軍事的なリスクが
主要先進国よりも高い点には注意が必要だろう。
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テーマ : シンガポール
ジャンル : 海外情報

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「明るい北朝鮮」の成功

経済成長の原因は、管理人さんが指摘するように、先進国が悩む「レガシイ・コスト」が、SGでは少ないことである。(建国も戦後である)
また,景気刺激策として、都市インフラを整備している。(地下鉄の延伸や水処理施設の拡張など)
さらに、マレーシアとインドネシアという二大イスラム国家に隣接して、潜在的脅威があるので、アメリカ海軍による寄港も認めている。ちなみに、リー・カン・ユー元首相も米軍の抑止力が必要とメディアに公言している。最後に、エリート政治家や官僚が、高学歴で優秀であり、使命感を持つのは、羨ましい。

ブルームバーグの記事

No title

「明るい北朝鮮」とは面白い表現ですね。民主主義でない国家というのは政策の方向性のばらつきが大きく、シンガポールのような国からソ連・北朝鮮のような国まで生まれるということだと思います。超長期では、民主主義国家の方が安定するのでメリットがあると思いますけど。

外国人労働者の扱い

以前NHKでシンガポール特集を見ました。
首相が外国人労働者は使い捨てと公言しており、
職のない海外労働者は、簡単に海外追放されます。
そのため、ある日本人科学者は結果を出すために
必死で働いていました。

シンガポールの強さは過酷なまでの競争社会にあると、
のほほんとした日本に居て思いました。

No title

元SEさん:
>そのため、ある日本人科学者は結果を出すために必死で働いていました。

日本に来て必死で働くホワイトカラーの外国人は殆どいないですからね。その辺りに、既に求心力の差があるのかなとも思います。競争は確かに激しいです。アカデミックでは、今まではそれでもアメリカの方が人気がありましたが、多くの分野でそのうち逆転するでしょう。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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