アメリカでもっともブチ切れた瞬間 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

北米では、もうすぐJSM(Joint Statistical Meeting)が始まる。
開催地であるバンクーバーは、夏はとっても良いところだと聞いているので楽しみだ。

ところで、2年前のJSMはコロラド州デンバーであったのだが
学会が終わってから観光がてらコロラドのリゾート地に家族で2日ほど立ち寄った。
Vail という有名なスキーリゾートで、
コロラドから西に100マイル(約160km)ほどのところにある。
中西部のデンバー以東はひたすら平らな土地なのだが、
デンバーから西に行くと急に起伏に富んだ山岳地となり、
デンバーが栄えた地理的な理由が良く分かる。

デンバーは人種的にも多様でそれなりの都会だが、
Vailという町はお金持ちの白人が休暇をとって泊まりに来る
地元のリゾートで、他の人種は非常に限られていた。
そこでレストランに入ろうとしたのだが、
どうも様子がおかしい。

空いているので店に入ろうとすると、
「小さい子供(当時2歳半)がいるけど静かにさせられる?」
とウエイトレスに聞かれたり、後ろの客が先に案内させられたりする。

どうも歓迎されていないようなので、別のレストランに入った。
今度は混んでいて50~100席くらいあるレストランはほぼ満員だった
のだが、バイトと思われる20歳前後のウェイトレスの対応がひどい。
子供用のハイチェアを高い場所から下ろす時には
ほとんど娘の顔をヒットしそうになっていたし、
持ってきたカトラリーはテーブルクロスの上に無造作に投げ出された。
サービスレベルの低いアメリカでも
流石にテーブルクロスのあるレストランで
フォークやナイフが無造作に投げ出されることはあり得ない。

ここで、頭の回路がブチっと切れた僕は、
現場を仕切っていたウェイトレスを呼びとめてテーブルを見せ、
「これはどういうことだ!」
と言ったあと、立ち上がって、
わざと店にいる全員の客に聞こえるように
「この店には二度と来ないからな!」と怒鳴って店を出た。
日本では怒鳴る人は結構いるが、アメリカではタブー
とされているので相当なインパクトがあったはずだ。
それでもその女主人は不満そうに、
ウェートレスを擁護してごにょごにょ言い訳をしていた。
自分のアプローチがベストであったかどうかは分からない。
好印象を与えることと権利を主張することは
しばしばトレードオフの関係にある。
しかしブチ切れた後でも僕は少なくとも「意図的に」そうしたのだ。

アメリカであっても人種差別を根絶することは難しい。
差別的な考え方を持つことも、思想の自由であるという面もある。
しかしアメリカは、公の立場での人種や宗教に関する平等を
推し進めることで発展してきた国だ。レストランのような
公の場での差別は、アメリカのためにならない。

もちろん、こうした町はもはや全米の人口比で見れば小さな割合だろう。
両海岸の人が持つ「海に面していない州は今でもそんな感じだ」
というステレオタイプは多くの場合、当てはまらない。
一方で未だに存在していることもまた事実であるので、
マイノリティーのためにも、
アメリカ合衆国というシステムのためにも、
一刻も早くそうした雰囲気の街がなくなることを願う。

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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

日本の普段の暮らしの中では冗談としか思えない体験ですね
私の友人(日本人)もget out chinese! と道でやられたらしいですが、まだ所々に人種差別があるのだと驚いたものです。

No title

>get out chinese! と道でやられたらしい

ウィスコンシンにいた時、道で(白人に)「ニーハオ!」と
言われて困ったことはありますが(笑)。

日本人としての誇り

Willyさん
話がどんどんずれますが、私はニューヨークの 42nd street で、黒人のアンチャンから韓国語で、偽物のローレックスを売りつけられそうになった事があります。(17,8年前ですけど)

そのかわり、こんな顔をしているのに、GS で良く道を聞かれます。車に乗っていても、わざわざ窓を下ろして聞かれた事もあります。

No title

YSJournal さん:

ニューヨークはお金に関してはいろいろと気をつけていないと危ないですね。
デトロイトはフィジカルに危ないですが(笑)。

私は新宿で割とよく外国人に道を聞かれました。
当時は英語を話さない人だったのでお役に立てませんでしたが。

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No title

>日本では怒鳴る人は結構いるが、アメリカではタブーとされている

やはりアメリカでもタブーなのですね。こちらでもタブーというか、怒鳴ってる人は極めて稀で、仮にそういう人がいると、周りにいる人は「あいつ本気でヤバイ」という目で遠くから見ているか、そそくさとその場を離れているように思っていました。

No title

こ@ロンドンさん:

東アジア以外ではほとんどタブーでしょう(笑)。
アメリカ人は怒られることにすら慣れていません。

No title

お返事ありがとうございました。

>東アジア以外ではほとんどタブーでしょう(笑)。
>アメリカ人は怒られることにすら慣れていません。

やはりそうでしたか…。

あと、こちらでタブー(?)といえばサービス残業でしょうか(苦笑)。そのあたり、日米で働かれた経験がおありのWillyさんに、ワークライフバランス周辺の1エントリ、気が向いたときにでもできればお願いしたいと思います。

No title

こ@ロンドンさん:

サービス残業ですか。日本では、やったことがあります。
今の仕事は勤務時間と自由時間の区別がないので比較がしにくい面もありますが
労働関係の話はまた書きたいです。

No title

始めてコメント差し上げます。よく楽しみに記事を読ませていただいておりますコロラド州に在住の者です。

さて、この人種差別の件では書くべきか悩んだのですが、書かせていただきます。実際の現場を見たわけはありませんし、正直に言いますとVailにも言ったことがありませんのであくまでも私の個人的な感想で、Willyさんを非難、否定するつもりはありませんのでよろしくお願いします。

私はアメリカ在住10年弱で、その前には南米に住んでおり人生の半分ほどは海外生活です。私もアメリカに住み始めた当初はレストランやお店などで他のお客さんを優先されて「やっぱりアジア人差別だ!」と思ったりしました。しかし、最近思うのですが、恐らく私をアジア人と思って差別しているのではなく「順番を間違えたらそれがタダ単にアジア人」だったと言うだけでけっして人種差別に基づく差別ではないように思います。

もちろん地域によっては限定的に差別が残っている地方はあるかと思いますが、表立った人種差別はかなり少ないと思います。ましてやVaiの様な世界的なリゾートのレストランですと先ず表立った人種差別はありえないかと思います。白人のお金持ちの集まるリゾートだからこそ少数のマイノリティーはウェルカムな面もあります。

むしろこの様なケースは人種以外のところに何かの問題が無かったか考える様に私はしております。例えば高級レストランに子供を連れて行った(最初の例はアジア人を嫌がったと言うより本当に子供連れを嫌がった面があるかと思います)。2つ目の例はタダ単にかなり程度の低いバイトだった可能性があります。常に人種以外の問題を考えてみて下さい。共和党の集まるバーで「Vote Obama 2008」のTシャツを着ていなかったか。ワイオミングのカウボーイの集会でスーツを着ていたetc。しょうもない話ですが、サイクリングの盛んな山間のリゾート村では車の走行をサイクリングが邪魔をして地元住民といざこざがあり自転車に乗る格好でカフェに入ったら差別を受けたと話も聞いたことがあります。

デンバーのニュースのキャスターは「Tanaka」さんだったり「takahara」さんです。人種差別はコロラド州などの西部でもかなり少ないです。アメリカの南部などに行くと違うのかもしれませんが、ルイジアナ知事はインド系です。私の経験ではアメリカの人種差別は表立ってはかなり少ないと思います。面白くない事にあったら人種差別の決め付けるのは簡単です。しかし、人種以外に何か問題がないのかを考えてみて下さい。

事実を知らずに勝手に書きましたが参考まで。


No title

masashiさん:

コメントありがとうございます。

リンクにある毒之助さんのブログでも少しコメントしたのですが、一般的に言って差別があるかどうかは状況証拠でしか分かりません。人種だけでなく、体格、言葉、服装、振る舞いなどあらゆる要素が考えられます。また、単に全ての人に対して愛想が悪い人もいるでしょう。逆の立場から見ると差別をする側も「○○人だから~」と意識して考える事はこんにちのアメリカでは稀であり総合的に人物を見て差別をしていると考えるのが妥当でしょう。そういう意味で今日の差別は非常にimplicitなものです。

従って、何か良くないことがあっても人種差別だと言い切れる状況はまずありえませんが、だからといって差別が無いというのもまた言い過ぎであるわけです。そんな中、Vailであったことは総合的に見て人種差別的側面が非常に強いと感じた出来事だったということです。もちろん、コロラド近辺で差別が多いということを言いたいわけではありません。属人的な面が非常に大きいでしょう。

人種問題は多面的に考えないといけないので、ポジションを取って書いているこのブログ記事では確かにバランスが取れていない面があります。この問題についてはまた触れようと思います。

No title

お返事有難うございます。

おっしゃるとおりアメリカでの人種差別は少ないですが残念ながら皆無ではなく人それぞれと言った感じでしょうか。

少し前になりますが、アメリカの国内便の飛行機で乗り合わせた隣席のアメリカ人(白人のワーキングクラスに見える、おっちゃん)がそのフライトの間、延々2時間以上もジャップの悪口を日本人の私に向かって話をし続けた事がありました。どう見ても東洋人に見える知り合いでもない私に何でこの人は恐れもせずにジャップの悪口を散々できるのか不思議でした。当時の私は現場の仕事をしていたので少々汚い格好でしたので恐らくこのジャップ嫌いの隣席の人にとっては私は東洋系アメリカ人で日本人とは思って無かったのではないかと思います。私の頭の中では;この人は日本人は嫌いだが人種差別はしていなかったと言う結論に至っております。要は東洋系であろうと、白人であろうと、黒人であろうと、ラテン系であろうとこの人にとってアメリカ人であればOKで人種の差別をしていなかったのでは無いかと思っています。反対に白人であれ東洋人であれ日本人は嫌いと言う図式ではないでしょうか。これって外国人に対する排斥ですが人種差別ではないと思いました。

アメリカ広しです。こんなおっちゃんもいましたので参考までに紹介します。

またちょこちょこブログを覗かせていただきます。
(大丈夫ですよ、コロラド攻撃ではないことは分かっています)


No title

masashiさん:

なるほど。それは奇妙な体験でしたね。どんなトピックでも飛行機で隣りに座った人に2時間も話されたら迷惑ですが(笑)。

No title

お前バカだなぁ

一介のニップが出しゃばること自体が傲慢なんだよ
そのまま氏ねゴミクズ

No title

うわぁ・・・怒鳴るとかさすがに大人げない。
あんたも悪いだろ
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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