アメリカ不動産購入記(コスト計算) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

先週、コンドミニアムを買った。
これから、数回に分けて不動産購入記をまとめていく。

家を買った最大の動機は高い家賃を払いたくないことだ。
そこで、コストの試算から始めてみよう。

デトロイト北部の郊外では平均世帯年収が10万ドルを超えている市が多く
家賃もそれに見合って高額である。一方で、2000年台半ば以降
人口の緩やかな減少が続いているので、不動産価格は比較的安い。
大雑把に言うと、3ベッドルーム(=3LDK)の古いアパートの家賃は、
私の住むT市の場合、1,400-1,500ドルくらいである。
それでも需要超過で、私の住んでいるアパートは家族で住めるような
大きめの部屋は常に空室待ちになっている。

一方で、ほぼ同じ条件のコンドミニアム
(日本で言うタウンハウスやマンションのこと)
の価格は10万ドルくらいだ。

直感的には買った方が得だが、
きちんとしたコスト計算をするのは案外難しい。
不動産に関する情報は大半が売り手側からの情報であるため
試算にバイアスがある
ためだ。

そんな中、客観的なデータや持ち家所有者の情報から
なるべく中立的にボトムアップ・アプローチで試算した結果が
以下の通りだ。
完全に全ての費用を考慮したわけではないが
ほぼ実体に近いのではないかと考えている。経済見通しは、
インフレ率 = 0%、実質金利 = 1.5%、不動産価格横ばい
と仮定している。これはかなり悲観よりのシナリオだ。

住居試算改


最初に思ったのは、世の中には錬金術はないということだ。
一見買った方がすごく得のように思えたが、
実際には月々300ドル程度のメリットしかないし、
しかも持ち家なら何か壊れた時は自分で直すか
業者を呼ぶかしなければならない
(ただし修理費用は試算に含んでいる)。

居住年数を6年として計算しているが、
減価償却が遅いアメリカでは居住年数はそれほど損得に影響しない。
コンドの試算を居住年数3年、10年, 20年に変えた場合の
月当たり総コストは 1,489ドル, 1,171ドル, 1,103ドルである。
アメリカ中西部の場合、一番気にしなくてはならないのは、
光熱費、メンテナンス・コスト、固定資産税の3つだ。

もちろん住宅ローンを組む場合には、
転職に支障がでたり、
払えなくなるほどのローンは組むべきではない。


一戸建てはどうだろうか?
敷地面積1,500平米、リビングが二つもある一戸建てが
わずか7万ドル上乗せしただけで買えるという事実は
日本人の感覚では大変お得
に思えるだが、
肥料、芝刈り、雪かき、落ち葉集めなどを全部自分で
やらなければならないという手間を考えてしまうと、
子供が多いとか、どうしても大きい家に住みたいと言う
理由がない限り、あまり経済合理性があるとは思えない

奴は当初
「きれいなエリアにある一戸建て買おうよ!」
と言っていてそれも悪くないと思っていたのだが、
金銭的・時間的コストを一覧にして「どっちにしたい?」と聞いたら
「やっぱり、コンドの方が無難なんじゃね…。」
と言い出した。奴は基本的に買い物が嫌いなのだ。

不動産エージェントに試算をさせれば、
買った方が得という結論が出るに決まっている。
家を買おうと思っている人は、取りあえず
上の試算をじっくり眺めて検討されることをお勧めする。



追記:
表があまりに見にくかったので修正しました。
修正後は前提条件と試算を分け、費用は全て月額換算しました。
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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

アパート、コンド、一戸建てに住んだときの地域コミュニティ、公共施設の近さの点について、アメリカ中西部ではどういう風に考えればよいのでしょう?と疑問に思いました。
もしお時間あれば、教えていただければ嬉しいです。

No title

のひさん:

地域によると思いますが、デトロイト郊外は完全な車社会であることもあり、ほとんど無関係です。アパートは若干、商店街の近くにある傾向があるかも知れませんが。

No title

よく、ハイパーインフレが起これば借金がチャラになるとかいいますが、本当なのでしょうか?理論的にはそうかもしれませんが、そんなうまいこと借金がチャラになるとは思えないです。 私の周りには、財政破たんに期待して(ハイパーインフレを期待して)、家を買ったというようなことを言う人がいます。

No title

小梅伊藤さん:

コストはそれなりに大きいですが、最終的にはなると思いますよ。
もっとも、現在の毎年50兆円程度の財政赤字で、ハイパーと呼ばれるほどの
インフレになりうるのかはかなり疑問ですが。
大雑把に言って、累積債務が1000兆円、財政赤字が50兆円で
インフレが始まり中央銀行が全力で国債を買い支えるという
シナリオになった場合でも、継続的に5%以上インフレになる
理由がありません。

Cash

Willyさん
コンド購入おめでとうございます。

さて、質問ですが、キャッシュで購入ですよね?(住宅ローンの話が出てこないので)後、売却費用の減価償却は具体的に何をさしているのでしょうか?

1,500SFTとちょっと狭い感じ(気を悪くなさらず)ですが、10万ドルは安い。地元民としては是非具体的な場所を知りたいものです。

No title

減価償却は建物の分です。大雑把な試算ですが。
1500sqftは確かに狭いです。本当はもう少し高くても広い所が良かったのですが、
エリアを限定したところ、10万以下と20万以上しかないという状況で、
コンドに20万ドル払うのはちょっと、という感じになりました。
Bloomfield なら結構あったんですけどね。

コンド割安ですね

自分は「家賃」と「金利」は戻ってこないお金だと思って、それを比べることで買うのが適正かどうか考えるようにしています。

月1587ドルなら、金利5%で380,880ドルのコンドを買うのと同じことですよね。ならば10万ドルというのはとてもお得ではないかと。

うちの周りはそれくらいのコンドだと65万します(溜息

No title

masayangさん:

ブログ、いつも拝見しております。

単純計算だと結構得なんですが、いろいろ考えるとそんなでもないんじゃないかとも思ってしまいます。築30数年のコンドですし。10万ドルのコンドってかなり貧しい人が住んでいるのでメンテナンスもきちんとされていなくて修理も大変です。やっぱしアパートは最強なんじゃないかと思ったりもします。

No title

え”~、将来的に絶対に庭付きの戸建てですよ。。。米国でもどんなに小さくても戸建てはコンドより断然強いです(マンハッタンは別)by不動産関係者

No title

匿名子さん:

子供が遊ぶのにどうとか、知り合い呼んでバーベキューがどうとか、そういうネタはいろいろありますねー。不動産屋さんって結構ベタですよね。商売柄仕方ないと思いますが。

コンドは建物部分の価値比率が高いので減価償却が早い、管理費のうちの人件費の占める割合には注意すべき、一戸建ての方がメンテナンスに手間がかかる代わりにランニングコストは低い、ということは言えそうですね。他に合理的な理由があれば教えて下さい。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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