大学教員の昇進審査 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

アメリカの研究大学のテニュアトラック助教の昇進は、
主に、研究(査読付き論文や推薦書)、外部資金の獲得、
教育の3点で判断される。建前としては、Service、つまり、
大学や学科の委員をやったりする事も考慮されるが、
実質的にはあまり関係がない。

学科にとって一番重要なのは外部資金の獲得だが、
これはハードルも結構高いし、獲得しても直接効力があるのは
アメリカだけなので他国に移るときには使えない。
確かに金銭的にははっきりしたメリットがあるし履歴書にも書けるが、
理論中心の分野ではこれは最重要にはなり得ない、
というのが現時点の私の考えだ。

一方、教育は建前では業績評価の45~50%を占めるが、
実際上はそれほど大きな問題にはならないようだ。

もちろん授業はベストを尽くしているし、
学期中は最も多くのな時間を費やしているが
受ける学生の要望や科目との相性もあるので
時間をかけてじっくり改善するしかないだろう。

やはりどこに行っても通用する業績は論文の質と量だ。
良い雑誌に通すのはなかなか大変で、単に壁に跳ね返される事もあれば、
理不尽なレフリーにあたって没になることもままある。
これは別に僕が不運な訳ではなくてレフリー制度というのはそういうものだ。
審査中に似た内容の論文が別の雑誌にpublishされてしまったこともあった。

今日は、半年かかって、割と有名な雑誌からレフリーリポートが来た。
結果は「リバイズ」。証明がいい加減なところがあるとのこと。
全体の論調はポジティブなので、冬休みに見直して
できれば来学期中にpublishしたいところだ。
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テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

統計は実践的というかアクティブに動いてる感じがしますが、それでも半年かかったりするんですね…

No title

半年は遅いほうでしょうね。普通、3ヶ月くらいだと思います。Annals のリジェクトは早いと聞きましたが。

No title

数学は査読が遅すぎてarxivに皆が投稿しだしてから危機感もったのかここ何年か早くなってますね。昔のように年単位はないです。

No title

そもそも、レフリーによる査読っていうのがもう前世紀的な発想だと思います。Arxiv だけで十分なんじゃないでしょうか。評価は引用回数なんかでですればいいわけだし。査読なんかやってたら一向に学問は進みませんよ。レフリーの負担も重いので、米国の教員はみんなやりたがらないと聞きます。この前、詳しくない分野の査読依頼が来たので断りました。質を確保するためにレフリー制度は必要って言う人が結構いるんですが、レフリーの方が一般読者より一生懸命読んでるって発想自体が謎です。

No title

初めまして.いつも示唆に富んだ投稿,楽しく拝読しています.
畑が違うと文化が違って面白いですね.
私は化学ですが,論文審査に半年もかかったら,発狂しますしw,
レフリーの査読が時代遅れっていう発想も,全くありませんでした.
確かに査読は面倒ですが,相当勉強させられるのも確かで,
私にとってはわりと,良い教材,っていう感じです.
査読意見が全く反映されずにpublishされていたりすると,ガッカリしますけど.

No title

カメ@ふらんすさん:

やっぱり半年は遅いですか。今回の件ももっと早めにプッシュすべきだったのかも知れません。実は2週間くらい前にプッシュしたらすぐに返事が来たのです。確かにコメントは勉強にはなるんですよね。

投稿する側(査読者がまともな場合)→勉強になる
投稿する側(査読者がだめな場合)→とばっちりを受ける
査読する側(分野が一致)→勉強になる。
査読する側(分野違い)→面倒。ちゃんと評価できない。

という感じでしょうか。
よく考えたら、適切な人を選んで査読させるということが肝なのかも知れません。
きっと、純粋数学なんかは特にそうなんでしょう。

No title

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

No title

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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