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米国の大学のティーチング・アシスタント(シップ)について -- このエントリーを含むはてなブックマーク

今日はTA(ティーチング・アシスタント)との打ち合わせのため、
今年初めて出勤した。そこで、今日はTAについて書いておきたい。

1.TAの仕事

統計学科や数学科で多いのは、
演習の授業を週2~4回(1回1時間程度)教えるというものだ。
アメリカの大学のコースは週に2~3回の講義があり、
問題演習をやるクラスがそれに付随していることが多い。

演習クラスのほかに、小テストの採点、宿題の採点、学生の質問係
などをやることになるのが普通だ。

2.TAの労働環境(公式)

超一流私立を除くほとんどの大学では、
理論分野や人文系などお金にならない分野の大学院生は
学費や生活費をカバーするためにTAをやることになる。
通常、学生ビザ(F-1)での就労は週20時間までに制限されているので、
TAの契約は週15時間とか20時間のことが多い。

アメリカの大学院は、
きちんとしたコースを3つとれば自由時間はあまり残らないので、
これにプラスして週15~20時間の労働というのはかなりの
負担になる。

3.TAの労働環境(実質)

資金力に余裕がある大学では、TAの労働負担は契約よりも軽く
その分の時間をコースワークなり研究なりに割くことができる。
そして、そうした時間的余裕の差は、研究内容や就職に大きく
影響を及ぼすことになる。
もちろん大学院を待遇だけで決めるわけにはいかないが、
待遇も大事な側面だということは大学院選びの際に
理解しておく必要がある。

私がいたW大M校はTAの負担が重いことで悪名高かった。
週20時間の契約に対して、平均的なTAの労働時間は
15時間(±5時間)程度であったと思う。
私の大学院時代は、TAの代わりに統計解析の下請けを
した期間も長かったが平均すれば時間的な負担は同程度であった。

もっとも、TAをやっている大学院生の生活はタイトなので、
実質の労働時間が契約を超えるようなら
しかるべき担当者に相談すべきである。
伝統的な日本人の労働観(笑)に基づいて、
サービス残業をしていたのでは身を滅ぼす。

4.TAの役割

あくまで講義に沿った形で、学生の理解を深めるということが大事だ。
しかし、一連の内容を複数の人で教えるという形式が本当に
望ましいのかは私には疑問
ではある。

アメリカの学部では、少人数クラスというのが大学評価の重要な指標に
なるので、少人数の演習クラスをにしてTAに持たせて解決!
という弥縫策としての側面も否定できない、と個人的には思う。

また、講師に比べれば学生に近いので、
より細かい質問に答えるのも役割の一つだろう。

5.TAの使い方

TAを使う側としては、優しさ7割、厳しさ3割で接するという感じだろう。

TAはフルタイムの労働者でないので、
あまり働かせすぎるのは大学院の利益にも反する。
一方で、あくまでコースの方針は守らせる必要がある。

以前私についたTAの中には、
講義と違う定義を使ってで演習の授業をし、
期限前の宿題の答えをそのまま演習の授業で黒板に書き、
講師の依頼を自分の都合で断る、というTAもいて参った。
あくまで個人的な意見だが、某国出身のTAに問題のある人が
多いと思うのは私だけだろうか。

6.TAと学内政治

権力のある教授が勝手にTAを使ってしまい他の教員に
TAが割り当てられないという学内政治的な問題もあるようだ。
またTAのマッチングにもいろいろな人間関係が渦巻いていそうだ。

7.TAの採用

TAを雇うために大学から配分されるお金は、
学科が院生を確保するための重要な資金である。
そのため、通常は学科内の人の雇用が最優先される。
稀に、人数不足で他学科の院生が雇われることがある。

また、最低限として英語のテストスコア
(今なら TOEFL Speaking スコアだろう)が要求される。
私がなった時は学科いい加減でチェックしていなかったように思えたが、
そういうところは段々厳しくなっているだろう。
また、学費の高い私立大学や、学生の授業評価が厳しい西海岸の大学
などでは、英語の要求水準が高いように思う。


個人的には、一つの科目は一人で教えるのがベストだと思うが、
TAという制度が米国の研究大学と切り離せない
ものであることも確かである。
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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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No title

RAについても考察していただけないでしょうか!

私は理系RAの立場なのですが、RAとしての仕事や役割がほとんどなくて、こんなんでお金もらっちゃっていいのー、という感じなのです。TAの仕事でいつも忙しくしているLabmateにあわせる顔がないのです。

ラッキーだったとありがたく受け入れてしまっていいのか、それとも先に苦しい労働がまっているのか、まあ多分に教授次第だとは思いますが、様々なパターンをご存知であれば、RA編として教えていただけると幸いです。

No title

会員番号一番さん:

RAは義務がほとんどないという人もいるので、羨ましい限りです。あまり枠にはめて議論できるものではなさそうです。

No title

なるほど、あまりRAとしての仕事がない、という人もいるわけですね。ありがたく今の状況の恩恵を受けることにします。実は無能だから仕事が与えられない、というだけなんじゃないかという恐れもありますが。
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
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   応用も充実。学部上級。

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