京大のカンニング事件について思ったこと -- このエントリーを含むはてなブックマーク

aicezuki による大学入試でのカンニング事件が話題になっている。
NHKはニュース速報まで出したらしい。
騒ぎすぎとの声も出ているが、一生を左右する試験で
このような形の不正が見つかれば騒ぐのが当然だろう。

1.一番の問題は監督体制

最大の問題点は、入学試験の監視体制だ。
予備校生 aicezukiがやったことが問題なのではなく、
カンニングをした者がYahoo知恵袋に投稿するまで
発覚しなかったことが問題
である。
ほとんどの者はわざわざ証拠の残る方法で
カンニングしようとは思わないはずだ。
これは氷山の一角と見るほうが自然である。
辞書を見る、隠し持った公式集やメモを見る、他の人の解答を見る、
と言った程度のカンニングは相当程度横行していると見て
間違いないものと思われる。

大学の大教室は階段状になっていることが多く、
他人の答案が見やすい上に机の形状から死角が多い。
試験の重要さに比べて大学入試の監督体制は
甘すぎるといわざるを得ない。

2.カンニングは摘発ではなく、予防が大事

今回の事件を見ても分かるが、
カンニングの発見やその事実の証明というのは
非常にコストがかかる上に大した効果を挙げられない。
今回あれだけ騒いで、摘発したのはたった1人だけだ。

今回は、正式に警察に依頼しているから大学の立場は安全だが、
大学の定期試験のカンニングなどでははっきりした証拠を抑えないと
教員側が名誉毀損やアカデミック・ハラスメントで訴えられる
と言った恐れもある。
米国の大学では教員の立場があまりにも守られていないことが多く、
カンニングの摘発は一切しない、という教員もいるほどだ。
私は、W大M校時代、友人と答案を写しあうというカンニングを
2組4人分摘発したことがあるが、処分を下すのはかなり面倒くさい。

一人ずつ呼び出して面接をし、
酷似した二つの答案を見せながら、
「不正をしなければここまでの類似はあり得ないから
何も言わなければ双方零点とする。」
と伝え、事実関係を認めれば成績は下げるが単位は
与えるという条件で妥協点を探す。
アメリカ人の学生はあまり怒られずに育ってきているので
あまりの修羅場にガクガク震えていた。
双方にかなりのコストがかかるし、教員側にもリスクがある。
今回も、大学側は答案の再チェックや、
警察対応などでかなりの手間を費やしたはずだ。

そうした、混乱や手間を考えれば、来年の入試では
荷物の持ち込みは禁止、筆記具は大学側が用意、監督員は大幅増員、
程度の対策をするのは十分理に叶っている。
また、逆に1枚程度のメモを持ち込み可能とすることで、
カンニングによる不正や不公平を予防することもできる。

試験問題を複数用意して、他人の解答を
見ることを難しくするのも良いかもしれない。
国語や英語はともかく、数学や理科のような科目では
数値や条件を少し入れ替えれば同様の類題を作るのは簡単だし、
選択問題では選択肢の順序等を入れ替えればカンニングは難しい。

3.新たなビジネスチャンスも


携帯電話の妨害電波を流す電子機器はかなり売れるだろうし、
荷物の持込を禁止するためには
移動式のロッカーなどのサービスも流行るかもしれない。

逆に、大学側が十分な不正対策をしないならば、
受験問題の質問にリアルタイムで答える有料サービスなんかが
大流行することになってしまうだろう。
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テーマ : 大学受験
ジャンル : 学校・教育

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No title

騒ぎすぎと言いながら、ネット上の住人のほうが騒いでいるように僕は見えますね・・・。ここぞとばかりにほとんどの有名ブロガーも記事書いてましたし・・・。

結局、大きな意味ではマスコミもネットも変わらないと改めて思わされました。

No title

wasting time さん:

まあ、マスコミやブロガーが時事ネタにとりあえず何か言っとくのは自然な流れですね。
どちらも注目されることが大事という意味で同じなので。
自分の記事も含め、だから何?、みたいな記事が多くなってしまいますが。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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