ハーバード大の日本人入学者はなぜ少ないか? -- このエントリーを含むはてなブックマーク

ハーバードの日本人学部入学者が毎年1人程度しか
いないことが先日、日本のメディア話題になった。

一方、中国や韓国は毎年、10人前後の入学者がいるようである。
こうした日本人入学者の減少を学生が内向きになったとか、
草食系がうんたらかんたらと言った要因に帰着する意見もあるが
そうしたことが本質的だとは思えない。
アメリカに住んでみれば一目瞭然なように、
その最大の理由は日本人のアメリカ社会への
浸透度が圧倒的に低いことだ。


例えば、デトロイトのあるミシガン州には
1万人強の日本人が住んでおり、2万人前後の韓国人、
3万人前後の中国人と比べても、それなりの規模を維持している。
しかし、日本人の多くは日本企業の現地展開のために一時的に
米国に滞在しているため、現地の大学へ進学する人は少ない。
アメリカにいても日本の方を向いており数年で帰ることの多い日本人と、
現地で同胞同士のコミュニティーを作って長期に渡って
居住することの多い中国人・韓国人では
当然ながら浸透度にかなりの差がある。
こうした浸透度の違いは、
国籍別の入学者数には大きく影響するし、
ハーバードで外国人入学者全体の3倍、毎年300人程度いる
アジア系米国人としての入学者数にも反映していると考えるべきだろう。

いわゆるトップ数%しか入学できないような一流大学の
入学者数には、入学可能性のある人数としての分母が重要だ。
例えば、私がこの先、娘を英語のネイティブ・スピーカー
として18歳まで育て、きちんとした教育を受けさせても
ハーバード大に入る可能性は非常に低い。
しかし、同じような環境の日本人世帯が20世帯くらいあれば
たぶん一人くらいは一流私立大に入れるだろう。
現状の日本人のアメリカにおける浸透度では
多くの一流大学に主なアジア諸国と互角の人数を
送り込むには分母が足りないということだ。


繰り返すと、米国の大学における日本人のプレゼンスの低さは
日本人の米国社会における浸透度の低さが根源
にあり、
若者の内向きのようなもっともらしい社会現象に帰着しても
事態はなんら進展しない。
国民のアメリカ社会への浸透度の圧倒的な違いを受け入れた上で
それでも何かすべきこと/できることがあるのかを考えるべきだ。

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テーマ : アメリカ合衆国
ジャンル : 政治・経済

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No title

日本"文化"のプレゼンスはそれなりにあるなと感じるんですけどね、大学内に日本文化センターがあったり、ホールにひな祭りのひな壇が飾られていたりするので。しかしおっしゃる通り日本"人"のプレゼンスとなると韓国、中国だけでなく台湾、タイ、カザフスタン、中東勢にさえ負けてる感があります。

No title

こういうのがあるんですけどね。私はアメリカの皆の衆とは手をつなぎたいのですが。

http://www.anti-rothschild.net/index.html

韓国の「超格差社会」

背景には、韓国、中国などの「超格差社会」があるのでは。例えば、韓国の場合:

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1706
韓国では、子供の教育費が家計支出の50%を占めるので、夫婦の老後に備えた貯金が不十分であり、不安であると。

逆張りの「日本留学組」

<逆張りの「日本留学組」>

韓国、中国では、アメリカ留学経験者が増えて、彼等同士の競争が激しいと。従って、逆張りとして、
日本留学経験者(弁護士、弁理士など*)が活躍のチャンスが多い。というのは、韓国、中国の企業では、直接、間接的にも、日本との交流がおおい。*理系も同じトレンドか?

No title

そもそもわかってないってのがあると思うんですよね。アメリカなら学部は近場の州立大で院からでもいいし、カレッジからの編入でもいいし、いきなりハーバードに行くことを殊更強調することもないと思います。

この休み期間に東大で集中講義をやったんですが、学生はアメリカの博士過程は授業料タダとか何も知りませんでしたからね。ちょっと調べればわかる話なのに何で調べないんでしょうかね。

No title

ハーバード等超一流の場所に行かなくても、アメリカで高等教育を受けて日本に帰れば、かなり安泰した職に当たれる可能性が大きい、とかはどうでしょうか。アメリカだと高学歴でも不安定な生活になる公算が大きいので(僕の周りはそんな風に感じてるみたいです)、(退屈とか逃げ道とか言われそうですが)日本に戻るのはかなり賢明な選択なようにも思われますが、Willy さんはどうお考えですか?

No title

日本人のアメリカ社会への浸透度が低いというのは本当だと思います。

10年前に初めて留学した際、学位取得後は日本に戻ることを前提にしていることを前提にしている日本人が多いの対し、米国に残ることを考えて英語力の上達に励み、現地の溶け込もうとする中国や韓国からの人が多いように見えました。ましてや、日本企業から駐在員として米国にいる人は更に、そういう傾向が強いかと思います。

その結果、分母が足りないということになっているのかと思います。このままでいくとアメリカの大学だけではなく、アメリカ社会における日本人のプレゼンスの低さは更に進むことになってしますのではと思います。

No title

kikiさん:
そう思います。台湾、タイには負けてますね。中東は国によると思います。

足立さん:
ちょっとそういう陰謀論的なのはどうかと思いますが…。
まあ、各国のトップをアメリカに留学させれば、
ある程度思想をコントロールできるという面はあるでしょうね。
経済とか行政関係は。

snowbeeさん:

韓国は、軍事的な問題(南北の緊張、徴兵制)があることと、
米国留学帰りの待遇が良いことが留学生が多い主な理由だと思います。
日本留学は逆張りというか、まあニッチ市場でしょうね。

axeさん:

アメリカの良い学生は結構いろんな大学に分散していますね。
つまり問題を正確に表現すれば「どこの大学でも日本人の存在感が薄いこと」
ということになるでしょう。二番手どころには日本人が結構いるということではないですし。
国内の学生は相変わらず、海外にはあまり関心がないのですかね。
博士課程に関して言えば、本当のトップ層(=難なく一流大の助教になれる
レベル)以外は海外に来るメリットが結構ありそうなのですが。

ブルースさん:

同意です。W大M校在学当時、日本人はみんな中古車なのに
韓国人の新入生は結構新車を買っている人がいました。
「なんで新車買ったの?」とある友人に聞くと、
「僕はずっと米国に住むつもりだから」という答えが帰って来たことがありました。

日本人のプレゼンスは既にかなり低いのですが、
これまでは日本の技術力、経済力である程度ゲタを履かせてもらっていた
ということがあると思うのです。それがなくなると更に落ちそうですね。

プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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