デトロイトの人口減少 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

YSJournal さんの記事にもあるとおり、
先日、米国センサス局はミシガン州の2010年センサス調査の詳細を発表し、
デトロイトの人口は2000年の915,000人から、2010年には714,000人へと
22%も減少した。米国の大都市で、ここまで急速に人口が減少したのは過去
数十年でも例がない。

ここ数年の問題としては、自動車産業の不振と
2009年のGM・クライスラーの破綻が響いているが、
本質的な問題はもっと構造的なものだろう。
デトロイトは治安、教育、景観、インフラなどの点で街の魅力が低いのに
周辺地域に比べて税率が高く、行政サービスのレベルが低いので、
人が集まらないのは当然である。
州の法律では、市の人口が75万人を割ると州で唯一徴収している市税
(市民は所得の2.5%、通勤者は所得の1.25%)
が取れなくなるようだが、それはむしろ正しい方向だろう。
シカゴのような求心力のある都市と異なり、
デトロイト市が周辺地域より高い税金を徴収する合理性は全くない。

デトロイト市と北部の郊外は、
8マイルロードという真っ直ぐな幹線道路で区切られており、
道路の南側は空き地と老朽化した住宅で荒廃しているが、
ラインを北側に跨いだとたん、経済状態は格段に良くなり、
新車ディーラーなどが立ちならぶ。

リーマンショック、GM、クライスラー破綻後のデトロイト圏は
総じて経済状態が悪いが、経済が回復するのが
デトロイト市外からであることはほぼ間違いない。

最近では、北部郊外の住宅価格が下がったため、
デトロイト市内から移住する黒人低所得者層も増えているという。
荒廃した地域からの移住者は総じてマナーが悪く
夜中に庭で草野球をはじめたりするため、
以前から郊外に住む黒人高所得者層が、
黒人の評判悪化を恐れて低所得者層の移住を嫌がる
という複雑な人種問題も発生しているそうだ。

それでは、デトロイトに未来はないのだろうか?
希望はまだある。
都市には、ライフサイクルのようなものがあり、
一旦、荒廃が進み始めるとそれを止めるのは困難だが、
デトロイト市内は既に相当な空洞化が進んでいるため、
廃墟の撤去や区画整理を計画的に進めれば、
大企業の誘致を進めることもできそうだ。
行政サービスの点でも居住地域を縮小させることで
コストの削減につなげることができるだろう。
交通網が整備されていることや、
物価、地価、人件費が安く抑えられていること、
エンジニアの求人が行いやすいことは
企業誘致の原動力になる。

都市の繁栄には最終的には人口増加が不可欠なので、
移民を受け入れることも有力な選択肢である。
デトロイト圏の歴史を見ると、
南部から仕事を求めて黒人が大量に移住したとともに、
東欧、南欧、西アジアなどからも多くの移民が流入している。
気候面での類似からかソ連崩壊後には
ロシアからのホワイトカラーの移民が結構多い。

そこで私は、
ミシガン州に北朝鮮崩壊後の難民受け入れに期待している。
北朝鮮は今や大変貧しい国だが、
近年の平壌の映像を見る限り都市は未だに美しく保たれている。
そうした国からの難民の流入は都市の発展にはプラスだろう。
移民は祖国と似た気候の場所に住みたがる傾向がある。
平壌の気候は仙台と概ね同じであるが、
札幌とほぼ同じ気候のデトロイトは比較的それに近い。

貧しい地域を補助金漬けにしたり、
特定の産業やグループを優遇して逸話を作る
といった政策は長期的な繁栄を生まない。
ビジョンのある政策を期待したい。
スポンサーサイト


テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

コメントの投稿

非公開コメント

No title

Willyさん、TBありがとうございます。
市税の件も大変重要ですね。デトロイトに限らず、大きい都市はいろいろと優遇されている事は興味深いですね。

さて、60年とか50年とか続いた民主党市長の社会保障漬けでデトロイトはダメになったと思います。今でも95%が民主党支持だそうです。

今回の人口流出では、白人ばかりか黒人も逃げ出しています。(ヒスパニックは増えているらしい)

ロシアと北朝鮮の人々での復活は素晴らしいアイデアですが、実現は難しそうです。

ロボコップの世界が現実化しそうで、不気味です。

No title

デトロイトは、もうちょっとコストを下げる必要があると思います。
州や連邦政府からの補助なしに復活は難しいと思いますが、
今の補助の使い方は正しくないと思います。(廃墟の撤去は良いと思いますが)。
また、職員の腐敗もずいぶんひどいようです。
私のtax return は半年くらいかかりましたし。

民主党支持は、黒人8割という事情から致し方ない感じもしますが。


プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

検索フォーム
Twitter

Twitter < > Reload

お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

全記事表示

全ての記事を表示する

最近のコメント
訪問者数 (UA)
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
25位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
北アメリカ
5位
アクセスランキングを見る>>
人気記事Top10


(はてなブックマークより)

カテゴリー
最近のトラックバック
お勧めブログ