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米国のクレジットカード市場がバブってる件 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

リーマンショック以降、米国の消費者向け金融市場は元気がない。
2006年頃は、毎日何通も無茶苦茶な住宅ローンを宣伝するジャンクメールが届いたが、
今ではそんなものは全く見かけなくなった。

そんな中、昨年後半あたりから、どうやら
クレジットカード市場で顧客の奪い合いがバブルの様相を呈している。
クレジットカードは一度顧客を獲得してしまえば
その後ずっと使ってくれる可能性が高いため、
アメリカでは元々、入会特典などを使ったキャンペーンが多い。
典型的には、新たにカードを作って使い始めると50ドルもらえる
というような感じだ。

その特典が昨年後半頃から、どんどんエスカレートしている。

昨年夏にChase Bankで「もう一枚作れば100ドルあげます」
と言われて作ったのがその前兆だった。
確かにキャッシュで100ドル貰ったが、
そのカードではまだ9ドルしか買い物をしていない。
使わないので近々解約しようと思う。

次に目に付いたのが、
航空会社のマイレージを貯めるクレジットカードの特典だ。
従来は、年会費80ドル程度のカードを作って数千ドル使うと、
25,000マイルもらえるというものが多かった。
それでも、1マイル=1セントと換算すれば250ドルになるから結構すごいが、
それが30,000マイル、40,000マイルとどんどん上がっていき、
昨年後半には100,000マイルもらえるというキャンペーンが打たれた。
ただし、10,000ドル前後の利用が必要だったと思う。
これは結局、作らなかった。

そうこうしているうちに、昨年のホリデーシーズンには
毎日2~3通のクレカの勧誘のダイレクトメールが届くようになった。

目に付いたのは、最初の1年間、全てのショッピング利用額の
6.25%分をキャッシュバック
します、というものだ。
私の家でクレジットカードで払わないものと言えば、
住宅の管理費、たまにある飲み会での割り勘、家の修理業者への支払い、
くらいなので、少なくとも年に3万ドルくらいはカード決済をする。
使えば使うほどカード会社が赤字になるのではないかと心配してしまう。
このカードは愛用しているが、1年経ったら使わないだろう。

引越しをしてからDMの数は減ったが、
最近また増えてきて、毎日、平均一通程度届く。

先月は、「カードを作って500ドル使うと、
シェラトン系列のホテルに約400ドル分泊まれます
という案内が来たのでつい作ってしまった。
そのうち車でシカゴあたりにでも行こうと思う。
これは2年目から年会費がかかるので1年以内にやめたい。

昨日は、アメックス・ゴールドのDMが来た。
作って3ヶ月以内に500ドル使うと、500ドル分のギフトカードがもらえるらしい。
2年目から年会費が175ドルかかるらしいので
1年以内にやめなければならず、作るかどうか非常に悩む。
と思っていたら、今日もアメックス・ゴールドのDMが来て、
同じ条件で今度は750ドル分のギフトカードがもらえるらしい。

特典が増えるからといって
カードをどんどん作ったり、解約したりすると、
クレジットスコアが下がるので、
クレジットカードの専門サイトでは
「モデレートなアプローチ」を推奨している。
なるべくいい条件のカードを年に2枚くらい作って家計の足しにする
というのが無難なアプローチなのだろう。

カードをたくさん作ると管理が大変、という人がいるが、
そういう事を言うのはあまりカードを持っていない人だろう。
たくさん持っている人でもほとんどのカードは使わないし、
同じ金融機関が発行するカードは、
一つのオンラインアカウントで確認できるので
ある程度増えると手間は大して変わらない。

「何となくカードを作ってたら36枚にもなってしまって、
3分の1に減らしたけど限度額の合計がまだ25万ドルある」
などという極端な話もある。

それにしても、こんなバブルがずっと続くとも思えない。
かといって、住宅ローンバブルのような巨大な問題にもならなそうだ。
なんだか、不思議な感覚である。

(※もちろん、クレカに金利を払ったことは一度もない。)

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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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クレジットカード

手持ちのシティバ○クのクレジットカードの有効期限が近づいているので、ちょうど色々見て回っているところです。日本のア○ゾンでもプロモーションしてます:

http://www.amazon.co.jp/b/ref=mp_ccmp?ie=UTF8&node=2113286051

毎月カードを使う場合は、消費者としてプロモーションをほどよくexploitしてもいいような気もしますがどうなんでしょうか。リボ払い専用という残念なカードがあるので、このあたりの利益を回しているのかなと思います。

No title

>こ@元ロンドンさん:

カード会社にとって期待値的に利益がでることと、個別の顧客について利益がでることは違いますね。きっと自分はカード会社にとって期待値的には利益の出る顧客なんだと思います。アメリカの企業は、そのあたりを割り切ってプロモーションをするから、キャンペーンをたくさんやるのだと思います。

No title

バブってるといえばシリコンバレーのITバブルが今日の科学新聞だったかな?でやっと取り上げられていました。
ブログでは様々な方がだいぶ前からおっしゃってたのでネットってスゲェと改めて思った次第です。

No title

axeさん:

確かにネットはその手の現場情報は早いですよね。そういえば、デトロイトの主な産業は「失業」ですが、今年に入ってからは自動車エンジニアが売り手市場になっているそうです。自動車業界は不振ですが、最近の若者は自動車に全然興味を持たないので、きっと人材供給が少なすぎるのでしょう。
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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