アメリカの病院の種類と使い方 -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日曜日に朝遅く起きてのんびりしていたら、奴が
「昨日、揚げ物しててやけどしたところが水膨れになっちゃったよ。
大きいからちょっと潰してみよっかなぁ…。」
と言う。見てみると、手の甲に長さ2センチ、幅1センチ、高さセンチ
くらいの大きい水膨れが二つできている。
自分で傷つけて感染症になったりしたら余計大変だ。

「おいおい、ちょっと待て。医者に見てもらった方がいい!」
ということになり、せっかくなのでみんなで行く事にした。

近年のアメリカの健康保険は、
HMO (Health Maintenance Organizations)という形式が主体になっている。
このシステムでは、保険会社のリストの中から
Primary Care Provider (PCP) と呼ばれる家庭医を一人選び、
どんな病気や怪我でも基本的にはこの人に最初に見てもらわなければならない。
これは、医療費を抑えるためだ。
患者が料金の高すぎる診療所に行ったり、
いきなり専門医のところに行って不必要に高い治療を受けたりするのを
避けるためである。

ただしPCPに診てもらわなくても良い例外が二つあって、
一つは Emergency Room、もう一つは Urgent Care と呼ばれる。
緊急度で並べると、ER > Urgent care > PCP
費用で並べると、 ER >> Urgent care = PCP
となっている。
ERの料金が高いのは緊急時に対応するせいもあるが、
無保険の人が来ても断れない法律になっているため
その分のリスクプレミアムが料金に乗ってしまっていることも大きい。

3つの病院の違いを極端に表現すれば、
ER → 野戦病院、Urgent Care → 町医者、PCP → 役所
という感じになる。つまり、
即座に治療が必要なケガや病気の場合はERに、
通常のケガや病気の場合はUrgent Care に、
急を要しない要件(定期健診や慢性の病気や不具合など)
の場合はPCPの元に行けば良い。

ERは地域によっては、保険のないどこの国の人かも
分からない人で溢れかえっていることがある。
人が溢れていると緊急にもかかわらず
2時間待ちなどということも少なくない。

一方、PCPならきちんと予約が取れるが、
例えば「高熱があるのですが」と日曜日に電話すると、
「それでは水曜日の午後3時でいかがですか?」
などと言われることも珍しくない。
(もちろん、そういう場合は、
「明日の昼までじゃないとダメです!」
などとごねて予約を取るべきだ。)

というわけで、今回ミシガンで初めてUrgent Care に行ったが
診療所は自宅から車で2-3分のところにあり、
年中無休で営業時間も午前9時~午後9時までと
なかなか使い勝手の良い診療所であった。
簡単で便利だなーと思ってふと規約を読んだら、
診察後にPCPに連絡を入れて証人を得なければならないとのこと。
アメリカの保険制度で簡単で便利などと言うことは
100%ありえないと言って良いようだ。
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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

アメリカに滞在した時は薬の凄さに圧倒されましたね。
頭が痛いんで薬くれといったら何か大きい錠剤をくれて(後で調べたら日本では麻酔薬の扱いでした)
これ飲んだら確かに頭に限らず色んな所は痛くなくなるんですけど試しに針を刺してみたら全然痛くなくて、いやいやこれどうなのと思いました。

日本だと即効性が無い薬が多いというか、痛みに関しては根性論な感じがするので、こういう点は見習って欲しいです。麻酔薬を出せとまでは言いませんが・・・

No title

アメリカの薬は強いですね。以前書いたかも知れませんが、咳止めを飲んで授業をしたら、
「二日酔いで授業するな」と授業評価に書かれました。

No title

ロンドンで急患用のA&E(Accident & Emergency)に飛び込んで、入院したことがありますが、NHSという保険のおかげで、処方された薬も含めてすべて無料でした。イギリスはイギリスで、待ち時間などが問題のようです。

No title

こ@元ロンドンさん:

イギリスは医師不足のようですね。英語圏の労働者は待遇が悪いとすぐ他国に流出してしまうので国は大変です。


No title

いろいろあるんだねぇ。。言葉が違うとそういったことも難しいですよね

No title

今日のWSJに英国でも医療保険改革を行うけど、米国のようにプライベート企業主導にはしない!との首相のコメントが載っていましたが、財政負担はどうするというジレンマはどの国も同じみたいですね。。。せめて、米国での医療保険制度改革の成果が見えてくるまでオバマ政権がもってくれると良いのですが。。。

No title

ブルースさん:

まあ、オバマの医療保険改革もいろいろ叩かれてますが、やらないよりはマシだったんじゃないかと思います。保険に入っている人が少ないために開業医が貸金業のようなハイリスクな商売になり、なり手が減ってしまうという状況のようですから…。

どの国も予算制約があるのですから、医療保険制度は目的をはっきりさせるべきだと思います。例えば長寿を目指すなら予防を徹底的にやるということになるでしょう。

No title

Willyさん:

>イギリスは医師不足のようですね。英語圏の労働者は待遇が悪いとすぐ他国に流出してしまうので国は大変です。

日本語の壁最強(笑)ですね。そう考えると、以前お書きになっていた「英語力付けさせるべく優秀な人材に集中的に投資すべし」をやった場合に、優秀な層の頭脳流出が起こって国が大変な思いをするかもしれないですね。

No title

こ@元ロンドンさん:

>優秀な層の頭脳流出が起こって国が大変な思いをするかもしれないですね。

まったくです。例えば東大の1年生を全員アメリカに留学させたら、2割くらいは帰って来なそうですね。ただ、日本人の考える「日本」っていうのは「日本民族」のことだと私は思っているので、日本人がいろんなところで活躍すればそれで良いのかな、とも思います。全員いなくなっちゃったら困りますけどね。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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