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雇用ベースの米国永住権(グリーンカード)について -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本人が米国の永住権(permanent residency)を取るには、主に
1.家族関係による申請、
2.雇用ベースの申請、
3.抽選による多様化プログラム
の3つのカテゴリーが存在する。
(そのほかに、難民(political asylum, refugee)による申請がある。)

先日、弁護士の方と永住権申請の相談をしてきたので
今回は雇用ベースの米国永住権について少し書いてみたい。

まず雇用ベース永住権の申請には、
当然ながら米国での雇用先が存在する必要があるが、
そのためには労働ビザを取得していなければならない。

日本人の米国内就労者で比較的多いのは、
H-1B (専門職全般), L-1 (駐在員)
F-1-OPT (米国大学・院卒業後の就労者), J-1 (研究員など), E2 (投資家、自営業)

などだ。

このうち、H や L は、永住権との同時申請 (dual intent と呼ばれる)
が合法的に認められているので問題はないが、
F, J, E などは、dual intent が原則として認められていないため、
手続きは waiver を通した複雑なものになるようだ。
特にJビザは本来、滞在期間終了後に2年間は本国に帰国しなければいけない
ルールがあるため、注意が必要である。

私の場合は順を追うと、F-1-OPT → H-1B → 永住権申請 となっている。
H-1B は3年毎更新で最長6年までとなっているので、
H-1B取得後、6年以上米国内で働くためには永住権取得が必要条件となる。
もちろん、予定が未定でも早めに申請しておくに越したことはない。

雇用ベースの永住権には、EB1 ~ EB5 まで5種類のカテゴリーがある。
このうち、EB4 は宗教関係などやや特殊なビザであり、EB5は投資家向けなので、
一般的な雇用によって取得できるのは主に EB1 ~ EB3だ。
それぞれ、下記のような分類となっている。

EB1: 著名な研究者や経営者など
EB2: 専門職従事者(博士, 修士, 5年以上の関連職務経験のある学士)
EB3: それ以外の就労者(特殊技能のある者、学部卒以上の専門職従事者)

数字が小さいカテゴリーほど優先度が高く、求められる能力のレベルも高い。
出身国によっても adjustment of status と呼ばれる最終段階の待ち時間が変わる。

出身国による現時点の待ち時間は、以下の通りだそうだ。

EB1: 待ち時間なし
EB2: 中国・インド:4年3ヶ月、その他:待ち時間なし
EB3: 中国:7年2ヶ月、インド:9年3ヶ月、その他:5年10ヶ月

ただし、この待ち時間は例えば、
4年3ヶ月前に申請した中国・インドの人の申請が審査中ということであり、
今後の待ち時間を保証しているわけではない。

私を含めてほとんどの専門職従事者は、EB2 で出す事になる。
普段大国の勢いに押されがちな少数派外国人たちも、
永住権申請に関しては大きなアドバンテージがあると言って良い。


永住権を取得する最大のメリットは、
米国内での転職や就労にビザの再申請が不要になること
だろう。
同時に家族も永住権を取得すれば、
FビザやHビザでは働けなかった配偶者なども就労が可能になる。
(ちなみに、Jビザ や Lビザの配偶者ビザは労働許可をもらえば就労が可能だ。)

永住権は、1年以上米国外に連続して滞在すると効力を失うが、
適切な申請を行うことにより2年未満の連続した国外滞在が許される。

また、事例は多くないが、永住権を取得して5年間が経過すると、
市民権 (citizenship)を申請することができる。

永住権と市民権には、直ちに生活に影響するほどの違いはないが、
永住権は外国人に対し米国が条件付で認めた権利であり、
市民権は米国民としての権利であるという点に鑑みれば
国外滞在の制限、更新の有無のみならず、
例えば、違法行為を犯した時などの権利の強さには
根本的な差があると考えるべきだろう。
一方で、2重国籍を認めない国の出身者は
元の国籍を放棄しなければならない。

上記のように、各ビザと永住権のルールを見ていくと、
米国で長期就労するためには、米国大学院での学位
(修士または博士)がいかに有用であるか

ということもまた、よく理解することができる。
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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

大学のファカルティだと、EB1で出せるのでは?

No title

永住権に関する弁護士の費用はどのくらいかかりましたか?
大学がお金出すかによって本人負担はだいぶ変りますが。

No title

FFさん:

実際、同僚の1人はEB1 で出してるみたいですが、実績も必要ですし、書類も大変のようです。日本人で EB1 で出すメリットはあまりない感じです。EB2 NIW (national interest waiver) という枠で出すと、確か一部のプロセス( labor certification?) が省略されて早くなるようですね。

jj さん:

私の場合は、ほぼ大学負担になると思いますので、よく分かりません。妻の分で追加でかかる費用があれば自分で払う必要がありますが。

No title

大学から就職のオファーをもらってから18ヶ月以内にlabor certificateの申請をすれば、再募集が不要になり、圧倒的に楽になります。
http://www.hooyou.com/shperm_teach/index.html

F-1 OPTでも、いちどOPTさえ認められたら、すぐに永住権申請に移れば、Hを踏まえずとも済みます。(雇用者はHの弁護士費用が浮くので、その分を永住権申請、特にadjustmentに回してもらうことも可能かと。)

No title

Kevinさん:

なるほど、期間によって再募集が必要かどうかが違うんですか。
F-1-OPT → 永住権 の件は知っていましたが学科があまり乗り気でありませんでした。

No title

グリーンカードに関して修士または博士(米国以外で取得したものでも)がいかに有用であるか、という点には驚きですよね。ご指摘のように特にインド人、中国人には死活問題で、どうにかEB1で取得しようと必死に頑張っているポスドクが周りに何人かいます。日本でも永住権取得に学位がこれほど有利に働くのだろうか、とふと思ったりします。

Jビザは二年ルールが適用されるものと適用されないものがありますが、通常のポスドク(担当教員から給料をもらう)として渡米する場合には自分が知る限り適用されない場合が多いです。よって、Jビザ->グリーンカードも十分に可能です。移民法的に申請時期を考慮する必要がありますが(Jビザ申請から一定期間経ていること)、現時点で日本人がEB2で申請するのであれば数カ月で取得可能だと思います(一定以上の研究業績がある場合)。

永住権取得後、五年で市民権取得は日本が二重国籍を基本的に認めてないので、日本人はあまりいないのかも知れませんが、周りを見ている限り二重国籍が認められている国の人たちは取得する人も多いようです。市民権があると研究費の採択率が高くなるという話を聞いたことがあります。

Willy様の場合は、EB1でもEB2でも遅くとも数カ月で問題なく取得できると思いますが、全ての手続きがスムーズにいきますように。

No title

Seedless raisin 様:

Jビザはいろいろ複雑なようですね。米国の大学院出身の外国人の場合、
F → J → H というパターンが結構多いのですがJ → Hもうまくいくケースが多いようです。

学位は米国内のものだとF-1-OPT が使えるというメリットはありますが、
その点を除けば、どこの国のものでも職業に直結する修士または博士を持っている
ということが大事ということになりますね。

No title

プリンストン大が「中国人がGREで良い成績を取ってもアドバンテージにならない」とか、MITの一部学科が「TOEFLからIELTSへ移行する(中国では受けられる場所がほとんどない)」と発表してましたけど、この5年ってのも凄いですね。それこそ国籍差別と文句を言えるレベルだと思うんですが問題にはなってないんでしょうか。

No title

axe さん:

中国人は、GREでインチキをしすぎなので仕方ないでしょう。
GREで高得点を取るには英語よりも中国語を勉強した方が良いのでは、と思います。

待ち時間の違いですがこれは米国政府の「多様性」に関する考え方によるものだと思います。そのうち詳しく書きたいです。

GRE

中国語勉強したほうが良いってすごいですね笑。そんなにインチキが横行してるんですか?

No title

それに関するエントリーが以前にありまね、失礼しました。削除していただいて結構ですので。

普通に米国で就労・就学するのに複雑な条件や運が必要な一方、米国で生まれた日本人の子供は楽ですよね。日本は二重国籍を認めていませんが、今のところ結局両方保有できてしまうので両国で市民として生活できてしまいます。さながら合衆国日本州民ができあがる感じですが。

No title

Mikさん:

インチキというのは確かにやや不適切かもしれません。
GREを行っているETS社は問題の使い回しをしているため、
受験者が問題の内容を漏らさないように誓約書を取っているのですが、
中国は人海戦術でそれを収集してしまっているというだけ話です。

市民権持っている人は、日本人以外の学生でも時々います。
親が研究者で、たまたま米国滞在中に生まれてたケースとか。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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