日米の専門職のキャリアと賃金カーブの違い -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日米の専門職のキャリアと年収を比較すると違う点は非常にたくさんあるが、
それが断片的に強調されすぎていることも多い。
そこで、企業や政府の研究開発分野で活躍する日米の専門職のキャリアと賃金が
どのように違うのか、大雑把に書きたい。


1. 日本は潜在能力重視、米国は学歴主義

日本の新卒採用の採用は、個人の潜在能力が重視される。
それは一流大学卒の肩書きであったり、
人間性の豊かさであったり、頭の回転の良さであったりする。

一方で、米国では学歴が重視される。
学士、修士、博士では新卒の初任給には雲泥の差があるし、
研究/開発関係の主要なポジションは博士が必須と言っても良い。
これは、米国では学歴が潜在能力(例えば自分で考える力)
を測るための指標としても比較的優れているという点に
大きく依存している。
例えば、私がいるような無名の大学であっても、
院生の潜在能力は学部生と比べて段違いに高い。

2. 修士+実務経験3年 = PhD 5年

日本では、専門知識は学問的な部分を除けば
企業内の実務経験を通して身につける傾向が強い。

一方で、米国の院生は専門性の高さは日本ほどではないものの
取りあえず社会に出てそれなりに仕事をこなせるだけの素地を
備えている人が多い。

米国のPhDは、日本で言えば博士というよりも、
修士+研究開発の実務経験3年と言った方がぴったりくる
かも知れない。

実際、日本の新卒社員は
少ないの給与をもらいながらトレーニングを受けるが、
米国の大学院生も少ない給与をもらいながら
トレーニングを受けるという点で似ている。

3.日本は年功序列、米国の賃金カーブは緩やか

日本は、企業内で人材を育成する関係で、
当初数年間の給与水準が低いのはある程度理にかなっているが、
そうした点を考慮した上でも賃金カーブが急で年功序列の色彩が強い。

一方、米国は、新卒の給与は高いもののその後の
賃金の上昇は非常に緩やかである。

その結果、日本では若年層の賃金の低さと高齢層の賃金の高さが
相対的に目立つ
ことになる。


こうしたことから、日米を断片的に比べると
その違いに驚くことがあるが、
長い目で見れば結局あまり変わらない
ということは
以下のイメージを見ると分かって頂けると思う。

日米年収
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テーマ : アメリカ生活
ジャンル : 海外情報

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No title

平均を考えて、という議論はしにくいかとは思いますがアカデミックに関してどうなのでしょう?

もし同じようなカーブだったら米国でPh.Dとった後しばらく向こうで働いてから日本に戻ってくる教授方は常に高い方の賃金を貰っていてお得だな~などと思ったのですが(笑)

No title

匿名さん:

アカデミックに関しては、給与水準が低くてあまり議論する気になりませんが
同様の議論が成り立つと思います。
米国の大学教員は分野別に賃金が大きく異なるのでその点も考慮する必要がありますが、
分野によっては途中で日本に帰るのが賃金は最も高くなるでしょうね。

No title

2. 修士+実務経験3年 = PhD 5年
工学ならば教授が企業から引っ張ってきたネタをRAとしてやらせて実務的な経験を積ませるというのは理解できますが数学ではどうなるんでしょうか。例えば教員や学科が企業とパイプを持っていて金融だとかへのインターンを支援する。というようなことがあるのでしょうか。役に立たないので強みを持ってる学生と同じ土俵というのは厳しいですよね。

ワシントン大の知り合いが確率論が強くコネで就職が良い(特に政府系に)がうちのウリだと言ってましたが、数学科はどうも不透明ですよね。Willyさんが以前カレッジの教員に成り手が少ない。と記事を書かれてましたが、例えばカレッジへの就職はまあ大丈夫だから就職に関してはあんまりやる気がないみたいなことはあるんでしょうか。

日本でも数学科は1大学あたり30人~程度ですから教員免許を持って旧帝クラスの修士を出てれば高校教員にはまあなれるので、あんまり支援が無いんですよね。

No title

axeさん:

確かにpure math に関しては、積めるのは教育経験だけですね。pure math の就職は米国でも非常に厳しいように思います。ティーチングカレッジでも、数学は一流大学PhD持ちの教員が多いように感じますし。

No title

日本の場合はこれが転職しちゃうと給与カーブにリセットがかかりますが、アメリカでもリセットがかかるんでしょうか?ただ、アメリカではリセットがかかっても水準が高いから、若くして転職しやすそうだな、というイメージはあります。

No title

松本さん:

お久しぶりです!転職はしたことがないのであまり分からないのですが、
ゲンキンな人が多いので給料が上がるから転職、というケースが多いようです。
いずれにしても、賃金体系がフラットですから、同じランクの仕事なら
給料はあんまり変わらないような気がします。

No title

米国で修士+実務経験3年の人間です。このグラフは統計分野でのデータですか?

この図を見ると日本の専門職も、グローバル企業の専門職相手にはいずれ勝負できなくなる気がします。終身雇用が前提の人間でなければ魅力がなくなる賃金体系だからですが、日本に住むことや会社に魅力が存在しつづけないことには、若い労働者をキープできるか分かりません。

「クールジャパン」とかいって日本の独自性や生活環境の魅力を売り込むのは、若い日本人をターゲットにするべきかもしれないですね。

No title

毒之助さん:

これはイメージ図ですから、データに基づいたものではありません。
ただし統計分野の初年度の年俸や、統計学会のサーベイデータなどを
参考にはしています。

野田首相が言っていましたが、「日本に生まれて良かった」という社会を
維持する事が大事だと思います。賃金については、日米では環境が
大きく違うこともあり、名目で2倍弱までの格差はセーフゾーンでしょう。

一方で、年功序列賃金さえなければ、今の円高なら外国人の技術者を
集める事も可能な訳で、少しもったいない感じもします。

No title

特に記事と関係ないのですが、以下に勝手に発見した事実を掲載させて頂きます。

ご存知のようにアメリカの就職活動では、ポジションごとに公募されてる場合がほとんどで、1つのポジションで現地面接で落とされましたが、同じ会社の違うチームですがほぼ同じようなポジションで面接をもらえましたw これは長所でもありますが、多くのポジションにアプライするのは時間を要しますね。。。。。

No title

SOさん:

確かにそうですね。逆に大学等でジョイントで募集していると、どちらかに嫌われた時点でおしまい、という難しさもあります(経験者は語る)。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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