少年よ、サラリーマンになれ -- このエントリーを含むはてなブックマーク

My Life After MIT Sloan の Lilac さんが久々に
「大人になっても夢を持ってよいということ」
をエントリーして大きな反響があったようだ。
そこで応援と宣伝を兼ねて私も前から思っていることを書きたいと思う。
それがタイトルの通りだ。

私は、日本で学生をしていた頃、
中高生向けの進学塾で数学を教えていた。
その塾は優秀な生徒が多く集まるところで、
毎年、東大や医学部に多数の合格者を出していた。

そんな中、合格祝賀会や合格体験記特集で語られる卒業生の将来の夢は
大抵、医師になる、弁護士になる、大学の研究者になる、のいずれかだった。
もちろんそうした職業は、知的好奇心を多いにそそり、
社会の役にも立つので、それが立派な夢であることは間違いない。
しかし、自分が年齢を重ねるにつれて不安になってきたのは、
彼らのような学業優秀な高校生も
極めて限られた職業のことしを知らないのではないか
ということだ。

先進国の雇用のほとんどは企業から生まれ、
我々が享受している、ハイブリットカー、顔を認識してくれるカメラ、
スマートフォン、SSNサイト、検索エンジン、といったほとんどの
イノベーションもまた、一般企業から生まれているものだ。
むろん、創業者や経営者の強力なビジョンとリーダーシップは
そういうイノベーションに必要不可欠だろうが、
それを組織的に支える人たちが最終的には実現している。
工学やマネジメントのような分野では企業は主要な役割を果たしているし、
数学のように最もアカデミックな分野ですら
民間企業からも国際会議の全体講演者が出る。
そうした状況を踏まえれば、
世の中の面白い仕事の大半は企業の中にあるはずだし、
もっと多くの子供が「あの企業に入りたい、こんな企業を作りたい」
と言った夢を語る世の中になった方が将来は明るい。

夢というと、野球選手になりたい、歌手になりたいと言うような、
良く言えば「大きな夢」、実際には「単なる思いつき」であることが多い。
「保育士」「教師」「医者」「弁護士」「科学者」なども、
子供の目に留まりやすいという点で「思いつき」であったり
親による刷り込みであったりすることも多いだろう。

大人は、中高生が「こんなサラリーマンになりたい」という夢を持てるくらい
子供たちに企業における仕事のことを詳しく説明するべきだし、
会社員として働く大人は
純粋な心の中高生が「こんな会社に入りたい」
と思えるくらい魅力的な会社にするように努力すべきだ。

私が中学生のとき、一人だけ、
将来はこの会社に入ると決めていた同級生がおり、
彼は専門学校を出て計画通りそこに入社した。
その会社が近年多額の利益を計上しているのも
おそらく偶然ではないだろう。
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テーマ : 夢へ向かって
ジャンル : 就職・お仕事

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Boys, be a salary-man

Willy さん
「極めて限られた職業のことしを知らない」これは、自分の事を振り返っても、子どもを見ても思います。日本、アメリカで暮らし、転職経験(業種もいろいろ)の豊富な(?)父親として、選択肢を拡げるのが義務だと考えておりますが、なかなか相手にされません。

私は、どちらかというと就職よりスペシャリストを目指せと啓蒙中です。(女でもあるので)

軍人、地質学者、炭坑夫、これからは軍隊とエネルギー関連じゃないかと思って押し付けようとしておりますが、親の思い込みも、少年(うちは少女ですが)の無知と同じくらい危険そうです。

上の娘は、先生希望ですが、軍でも企業でも教えるというポジションがあるという変な理論を展開中です。

No title

YSJさん:

親は子供に比べて情報と分析力があると思いますが、
結局、自分のことは自分にしか分からないですからね。

判断は子供自身が考えてしないとうまくいかない、というのは結局同じでしょう。



No title

民間企業から数学の国際会議にでる人なんているんですね!?保険業界とかからでしょうか?

同級生の計画性、実行力はすごいですね。中学生のうちに進路の目標を見定められるのは幸運な気もします。

No title

数学さん:

確か、私が読んだのはマイクロソフトかどこかだったような。

早くから目標が固まっている人は幸せだと思います。

No title

最近進学するのかか、この時点で就職するのかよく考えてます。
でもやっぱり今は勉強続けたいのが結論なんですよね。将来どうしたいかなーってのも色々考えてます。
留学も結局自己実現のカードの1つにしか過ぎないなと最近感じます。
どういう会社があってどういう仕事があるのか知るいい機会なので説明会等色々聞いてみたいと思います。(SEってどんな仕事か気になるので調べてきます!

No title

Dehmel さん:

仕事も勉強もやってみないと面白いかどうか分からない
ところが難しいところですね。

有難うございます

ご無沙汰しております。取り上げてくださって有難うございます。

自分のことを振り返ると、これは全くそのとおりだと思いました。日本はサラリーマンの国(米国などに比べて、優秀な層が大企業に就職しますよね)なのに、大きな企業がどのようなことをしているのか、大学生くらいになるまで本当に知らない人が多いように思います。私も含めて。
大学に入って、日経ビジネスとかを読み始めて、初めてこういう企業があるんだと知った、という感じです。企業は、もう少し高校生や大学生にアピールしても良いかもしれません。

何故アピールしなかったんだろう、と思うと、やはり「新卒一斉採用」「終身雇用」という原則があって、高校生にアピールするなんて抜け駆けしなくても、一流企業であり続ければ、一流の人材が入ってくるというシステムで動いていたからなのでしょうね。ところが、これからの時代はそうは行かないでしょう。

昔、私の知り合いで採用関係をやっていた人は、最近は日本で一番優秀な層はベンチャーに行っている、と言っていたことがあります。

Willyさんのエントリを読んで、また書きたいことが出てきたような気がします。
前のように、Entry backではないですが、ブログで返信をお書きしようかな、と思いました。

No title

Lilacさん:

お久しぶりです。この記事、Lilacさんの記事にトラックバックしてみたんですが、
なんか失敗したみたいです。FC2のバグだと思います。よくあるんです、そういうこと。

ベンチャーに行く人が増えたのは良いことだと思います。
日本の伝統的大企業は良くも悪くも本当に優秀な人が活躍できる場になっておらず、
人材を死蔵してしまうという面があるようですから。しかし、依然として企業規模による
待遇格差は是正されていないようですね。そのあたりは、ミクロの実務的なことに
詳しいLilacさんならもっと分析できるのかも。

No title

僕の父親はごく平均的な中流家庭を養う典型的な昭和型サラリーマンで、今風に言うといわゆる社畜だったと思います。子供時代を振り返っても、母親と比べ仕事ばかりの父親の存在は自分にとって残念ながら薄いものでした。

僕が身をもって甲斐性なしになって気づいたのは、職業を選り好みしながら経済的に家庭を背負ったりするのは思うほどラクではないということで、そこをきちんとやってくれた父親にはそれは感謝していますが、会社でやってることがあまりにブラックボックスなので、何をすれば毎月給料が貰えているのか子供には分からないわけです。そこで、口でも背中でも語ってくれないなら、こっちから聞いてみよう、ということで聞いてみたわけです、あるとき。

そうしたら、案の定、日本企業のサラリーマンにはなりたくないな、ということしか分からなくて(笑)ガッカリした思い出があります。そして、そんなサラリーマン人生を全うした父親が、自分のキャリアに対して少々否定的な雰囲気を持っていたことが、すごく印象に残っています。

No title

私の父も典型的な昭和型サラリーマンで、終電で帰ってくることも多かったですし
日曜日は昼過ぎまで寝ているのが常でしたが、それなりに好きな仕事のようでしたし
そのお陰で自分は良い生活を送れたので、あまり否定的なイメージは持っていません。
ちなみに母親も典型的な昭和型の専業主婦でした。

ただ、子供ながらに自分の将来と重ね合わせるときには、父親の人生にも母親の人生にも
非常に大きな違和感を持っていました。それをそのうち書きたいと思います。

No title

>そのお陰で自分は良い生活を送れたので、あまり否定的なイメージは持っていません。

いや僕はsalarymenを別に否定したいわけではなく、日本型の組織の中で生きながら父親も色々なことを疑問に思いながらリーマンをやっていて、だからこそ息子が日本から離れ定職を持たずフーテンの毒男になりそうでも、世間体がどうのだとか持ち出さずにほったらかしにしたのかなあ、と思ったのです。まあ、本当のところは、ただ単に子育てをどうしたらいいか分からない男だったのだと思ってますが(笑)。真相はどうであれ親不孝者が育ったという点のみが揺るぎない事実です。日本の男親はもっと子供の教育にコミットするべき(ry

No title

毒之助さん:

あまりアドバイスを与えてしまうと、自分で考えなくなっちゃうので難しいところですね。一世代おきに反動が出ているような印象もあります。戦争を生き抜いた世代は自分の頭で考え、その子どもの団塊世代は厳しい親に反発しつつ考える力が不足、団塊ジュニアは自由にさせてもらって考える力がつき、その子供世代は手取り足取り教えてもらって、また考える世代が不足するのかな、と思います。

伸びる中小企業には訳がある

管理人さん、こんにちは。

下記は、私の好きなブログで、時折、覗いて、「元気」を貰っています:

http://j-net21.smrj.go.jp/well/genki/archives.html

No title

詳しく説明すれば、例えば理系の技術職といっても99%は生産管理や生産技術で創造的でもなく、
本当に研究や開発をするのは大手メーカーでも数十人で、そこは学歴とかそういう次元ではないわけで
結果的に夢を壊しませんかね。

私の同期が富士通にいますが、あれだけニュースで話題になった京でも会社内で携わってるのって2,3人だそうですよ。

確かに海外なら面白いとは思うんですけど、日本ではちょっと……

No title

axeさん:

面白い仕事に就けるかどうかは、応用にどのくらい関心があるか、など個人の興味によるところが大きいように思います。と書いていて気づきましたが、若い時にあった純粋な興味が、年を重ねるに連れて、より複合的・応用的なものに変わっていく人が多いのではないでしょうか。そういうことも含めて、JK、もとい、高校生向けのキャリア教育に活かされると良いと思います。

面白い仕事に就くのが大変であることは間違いありません。そのことは良く理解しているつもりです。一方でその大半が一般企業にあることもまた、間違いないと思います。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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お勧めの本
1.ルベーグ積分30講
―― 統計学を学ぶために。
   小説のように読める本。
   学部向け。


2.Matematical Statistics and Data Analysis
―― WS大指定教科書。
   応用も充実。学部上級。

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