【本】日本人はどこまで減るか(古田隆彦) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

「団塊の世代」という言葉の生みの親として知られる堺屋太一氏も言っているように
経済の長期予測で一番参考になるのは人口動態だろうが、
日本の将来を人口動態の観点から眺めたのが本書である。

社会には株価や為替レートのように極めて予測の難しい変数と、
人口のように長期にわたって予測が可能な変数がある。

予測が難しい変数については、常に最新の情報に注意を払う事が大事だ。
先週の株価について語ることにはほとんど意味が無い。
そして多くの最新の情報はテレビでもインターネットでも簡単に入手できるので、
全ての人が同じように目にすることができる。

一方で、長期にわたって予測が可能な変数に関しては、
現時点で分かっている情報をじっくりと分析して
将来どんなことが起るのかを考える事が有益である。

65歳以上の方を高齢者と呼ぶとすると、
65年後の高齢者の数は既にほぼ確定しているし、
90年後の高齢者の数さえもいくつかの弱い仮定をおけば予測することができる。
しかし多くの人は、65年後、90年後の日本がどうなっているか、
利用可能な全ての情報を以て真剣に検討したことはあまりないだろう。

著者は、一人当たりの生息水準、自然環境、文明といった条件によって
生存可能な最大の人口である「人口容量」が決まっていると想定し、
次の大きな技術革新が起こるまでは、この人口容量を上限にして
人口は変動を続けると説く。
また、人口が一旦減少すれば一人当たりの資本が増加することで
労働生産性が上昇するので、世の中は豊かになると説く。
悲観的な予測の多い昨今の日本だが、
こうした自然なモデル化の帰結として得られる
50年後、100年後の日本の姿は必ずしも暗くないと言える。

参考として示される推計はいくつかの仮定をおいたラフなものであるが
主に右肩上がりの社会で得られた知見をモデル化してきた経済学とは
別のモデルを用いた超長期の予測はなかなか読ませるところがある。
この本を通して、自分の老後、子供の時代、孫の時代に日本が
どうなっているかに思いを巡らせるのも一興である。

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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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No title

本当予測するって難しいですよね。
無視しうるものを無視し続けた結果・・・ってのも怖いですね。
何て言うか、予測は本当に予測にしかすぎないんですね。(むしろ悪い予測なら変える努力をしなきゃ駄目なんだなとか思います。

No title

Dehmelさん:

ある程度予測できるものと、ほとんど予測不可能なものがあるという感覚は大事ですね。

日本の人口に関しては、今後70年くらいの間減り続けるのは止むを得ないです。
それを所与として何ができるか、ということでしょう。
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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程にてPhD取得。現在、米国の某州立大准教授。

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