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日本メーカーは白物家電の北米市場で成功できるか -- このエントリーを含むはてなブックマーク

日本の民生電機メーカーは地デジバブルの崩壊後、
新たな収益源を探しており、パナソニックなどは
米国の白物家電市場に参入ことを決めているらしい。

米国の安い白物家電といえば、
冷えムラのせいでヨーグルトが凍る冷蔵庫、
変な棒のせいで薄い衣類に穴が開く洗濯機、
と、ろくなことはない。
高品質が自慢の日本メーカーが
今までどうして参入していなかったのか、不思議なくらいだ。
一方で、ほんの10年前に米国の冷蔵庫市場に参入した韓国の
サムスンはいまではトップシェアを握った。

貿易摩擦などの大人の事情もあるのかも知れないが、
そういうものを抜きにして考えると、
日本メーカーがこの市場で「不戦敗」に甘んじているのは、
市場調査が不十分だったためではないか、という気もする。
白物家電はAV機器などに比べて、
その国の文化的な事情に合わせる必要性が高いからだ。

冷蔵庫一つとっても、日米では諸事情がかなり異なる。
大きな違いをいくつか挙げて見よう。

冷蔵庫は低付加価値商品?

これは私の仮説に過ぎないが、
日本メーカーが米国の白物家電に参入してこなかったのは、
「白物家電=低付加価値商品」
というイメージがあったからではないかと思っている。
しかし、少なくとも米国において冷蔵庫が
低付加価値商品であるとは思えない。

米国の家庭用冷蔵庫は、主に、
昔からある、冷凍庫が上にあって2枚扉の トップフリーザー・タイプ、
左が冷凍庫、右が冷蔵庫になっている2枚扉の サイドバイサイド・タイプ、
上が観音開きの冷蔵庫で、下が引き出し式冷凍庫の フレンチドア・タイプ、
の3種類だが、容量にせいぜい50%程度の違いしかないにも拘らず、
それぞれ、$500前後〜、$1000〜$1500ドル、$2000〜3000ドル、
と価格帯に大きな違いがある。
きちんとトレンドを読めば、付加価値の高いものが売れるように思う。

買った冷蔵庫は誰のもの?

日本では、冷蔵庫は買った人のものだ。
引っ越した時には、新しい冷蔵庫を買ってくるか、
旧住居から冷蔵庫を運んでこなければならない。

しかし、米国ではアパートでも持ち家でも、
冷蔵庫は住宅設備の一部で個人ではなく住宅に属する。
アパートには冷蔵庫がもれなくついているし、
持ち家を売る時は、通常の売却であれ、差し押さえであれ、
冷蔵庫は置いていかなければならない。
(もちろん、売買契約で特別に明記すれば別だろう。)

米国では、持ち家の所有期間の中央値は10年程度で
賃貸物件に至っては滞在期間が2年半程度だ。
冷蔵庫の耐用年数が15年前後であることを考えると、
冷蔵庫は複数の世帯が引き継いで使うのが一般的であると言える。

だから冷蔵庫は個人の嗜好に加えて、
住宅を売却する際の資産価値としての側面が考慮される。
「住宅を売却する時に見栄えを良くするために冷蔵庫を換えた」
などという話もあるくらいである。
米国の住宅価値の1割はキッチンで決まると言われており、
冷蔵庫はその要となるアイテムだ。

冷蔵庫は機能が大事?

上の話と関連するが、
日本では冷蔵庫は個人の持ち物なので機能がより重視されるが、
アメリカでは住居に属するため見栄えがより重視される。

冷蔵庫に便利でマニアックな機能がついていたとしても、
前の持ち主からそれを引き継いだオーナーは、
幸運にも見つけた日焼けした8年前の取り扱い説明書を熟読するだろうか?
答えはおそらくノーだろう。

端的に言って、日本の冷蔵庫をAV機器のようなものだとすれば、
米国の冷蔵庫は玄関の扉のようなものだと言ってよい。
ともかく見た目なのだ。
米国の近年のトレンドはオープンキッチンであり、
家を売る時はもちろん、家に人を招く時にも冷蔵庫はすぐに目に入る。
特に目に入るのは冷蔵庫の扉である。

米国量販店のホームページで冷蔵庫を検索すれば、
正面の扉の写真しか載っていないことに気付く。
オンラインで冷蔵庫を注文する人のほぼ全てが、
扉と寸法だけを見て冷蔵庫を買っていることになる。
近年のトレンドはステンレス・スティール製の銀色に輝く扉だが
あまり目立たない側面や上面は昔ながらの安い樹脂製で、
申し訳程度にグレーに染めてあるだけである。
全面がステンレス・スティールの冷蔵庫もあるにはあるが、
超ニッチ商品と言って良い。

次に流行る冷蔵庫が、
Wifi内蔵の「スマート冷蔵庫」であることは間違いないと思う。
LG電子はすでにこれを米国市場で売っているし、
アマゾンでは、既存の冷蔵庫にiPadを取り付けるための金具も売っている。
しかし求められているのはおそらく
「タブレットが付いた見栄えのする冷蔵庫」であって、
高機能なスマート冷蔵庫ではない。
その点、日本メーカーが日本で売っているスマート冷蔵庫を
そのまま売るには厳しいだろう。

自動製氷機は必要か?

近年の米国の冷蔵庫は、水道から水を引いて
自動的に濾過した冷水や氷を作り、冷蔵庫を開けずに
専用の注ぎ口からグラスに注げるように出来ている。
しかし「機能より見た目重視だったら、これはなくていいよね」
と考える向きがあるとすれば、それはおそらく間違いだ。

近年流行り始めたフレンチドアも、
初めはこの製氷機のないものが多かった最近では付いたものが多い。
この製氷機は扉の正面についていて目立つので、
付加機能というよりも「見た目の向上」としての面が大きい。
海外メーカーにとっては製氷機をつけるには
構造を変えないといけないので結構な手間になるだろうが、
おそらくそこは乗り越えなくてはならない壁だろう。

ちなみに、このタイプの冷蔵庫が普及した理由の一つには
米国の家の構造にあるように思う。
こんな仕組みでは冷蔵庫の背面に蛇口の無い家では
水を引くのが大変ではないかと最初は思ったのだが、
米国の一軒家は地下がある事が多いため
地下の水道管を分岐させ、
キッチンの床に穴を開けてそこから水を引けば、
工事の手間も少なく、視覚的にもすっきりする。
この工事は100ドル程度で済むので
このタイプが普及したのだろう。



参入を決めた日本メーカーは、
もちろんこうしたことを研究した上で商品を投入してくるだろう。
一方で、プライドをかけてオリジナリティにも拘るに違いない。
日本製品が量販店に並ぶのを楽しみにしていようと思う。
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テーマ : アメリカ生活
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パナソニックがスマート冷蔵庫を発売! 主な機能「スマホと連携して扉の開閉回数を確認できる」

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Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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1.ルベーグ積分30講
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2.Matematical Statistics and Data Analysis
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