推薦状について -- このエントリーを含むはてなブックマーク

米国では秋から冬にかけては、大学院や仕事への応募のシーズンであり、
大学で教員をしていると、学生から推薦状を書いてくれと言われることがよくある。
それは、大学院への応募のためだったり、仕事への応募のためだったりする。
私も米国の大学院にアプライする際や、米国で仕事を探す際には
いろいろな先生に推薦状を書いて頂いた。
今年の秋は、3人の学生から相次いで推薦状を頼まれた。
A4一枚程度で学生との具体的関係や学生の能力について書くというのが一般的な形式で、
それに加えていくつかの多岐選択式のアンケートがある場合もある。
こういう仕事はある意味勢いが大事なので、一晩でまとめて3通書いた。
そこで自分で書く側になって分かったことをいくつか書いてみようと思う。


一番大事な事は、推薦状は長所を評価するシステムだということだ。

私は推薦状にわざわざ悪い事を書いたりはしないし、
他の多くの執筆者も同様だろう。その一方で嘘は書けない。
必然的にその学生の長所を書く事になる。

その際に大事な事は、推薦者が学生を良く知っている、ということだと思う。
自分のクラスを取った学生にしても、過去にいくつも自分のクラスを取った学生なら
その学生がもっとも得意だったことについて書く事が出来るし、
一度しか教えた事のない学生でも、少人数のクラスであれば、
その学生の長所についてより詳しく書く事ができる。

最悪のパターンは、定型的な内容のコースを教えたことはあるものの
1対1ではほとんど話した事がないという学生の推薦状かも知れない。
その学生の成績が素晴らしいものであればもちろん問題は無いが、
ごく平均的であったり、出来が悪かったりした場合には書く事が無い。
50人中26番の学生を「クラスで一番優秀でした」と書くわけには
いかないからだ。

推薦者に、自分が将来やりたい事を詳しく伝えるということも大事だ。
推薦者は応募者のことを応募者自身ほど詳しくは知らないが、
選考する側の者が何を考えるであろうか、ということに関しては
応募者よりも詳しく分かることが多い。

例えば、ある学生が大学院に応募する際に推薦状を書いて欲しいと
言って来たので、応募先を詳しく聞いて、その学生が応募する専攻の
教員が興味を持つであろうことを集中的に書いたところ、
彼は前年には不合格となったいくつかの有名校から
入学許可をもらうことができた。
ちなみに、前年の私以外の推薦者は同じである。

その数年後、彼は別の専攻に転向するために大学院に再度応募したい、
と推薦状を頼んできたのだが、
今度は、ともかく色々な専攻に手当り次第に応募すると言ってきた。
応募する分野を絞るようにアドバイスしたが、
彼は聞かなかったので推薦状は一般的なものにならざるをえなかった。
結果は全敗。うまく行かないのではという心配はあったが、
これほどまでにはっきりと結果が出た事に驚いた。

応募者の「スペック」が高ければ
どんなところでも受かりやすくなるという面も確かにあるが、
これはやりたいことを絞って自分の長所を売り込むことも重要だという良い例だろう。

ところで、推薦状というとコネが大事だと思っている人も多い。
これはある程度正しいかも知れないが、このコネが必ずしもアンフェアというわけでもない。
例えば、大学院から同じ大学の別の専攻に移る学生もいるがそうした場合には
「そちらの学科の大学院生を何人か見てきたが、
応募者はその平均以上の成績を取る事ができると思う」
というようにより具体的に学生の能力の高さを示す事が出来るからだ。
これは選考する側にとっては、
全く知らない人が書いた推薦状よりは説得力があるように思う。

米国の大学院等に出願する際には、通常3通程度の推薦状が必要だ。
誰に何を書いてもらえば良いのか想像もつかないことも多いと思うが、
書く側の立場、選考する側の立場に立ってみると、
少しヒントが掴めるのではないだろうか。
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ジャンル : 海外情報

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プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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