アベノミクスの舞台裏(3) -- このエントリーを含むはてなブックマーク

金融政策は一番大きなアベノミクス劇場の目玉だが、
他にもいろいろな茶番が埋もれているような気がしてならない。

企業に賃上げを要請するという、旧社会主義国真っ青の政策もその一つだ。
企業の内部留保を活用したいというのは分からなくもないが、
常識的に考えれば無理に賃上げさせても企業収益を圧迫するので
投資の減退を招き、株価も下落して、結局賃金も元に戻ってしまうだろう。
ただ短期的には消費にプラスなる可能性が高いし、
ともかく増税まで景気を良くすればそれで目的は達成、
ということなのだ。

ローソンはいち早く社員を対象に3%の賃上げを発表した(*1)。
政府の要請で私企業が賃上げするとは異常な事態だが、
これは食品に軽減税率を適用してもらうための
ロビー活動の一環とみるべきだろう。

多くの国や地域で、食料品の軽減税率適用は極めて複雑だ。
食料品に軽減税率が適用される反面、
外食は課税されるという方式が多いからだ。
例えば、私の住んでいた米国ウィスコンシン州では、
その場で食べられるバー型のアイスクリームは箱詰めでも課税されるが、
大きめのカップに入ったアイスは家庭用食料品と見なされて課税されない。
同じハーゲンダッツを二箱かっても一方が課税、一方は非課税となる。
同様にして、コンビニで売っている牛丼は軽減税率だが、
牛丼屋の牛丼は課税されるという可能性も出てくる。
中食産業を支えるコンビには、そうした法律のさじ加減が
一番大きく影響してくる業態なのだ。

もちろん、そんな事情はマスコミでは決して報道されないだろう。
新聞も軽減税率の対象となる可能性が高いからだ。
実際、多くの諸外国でもそうなっている。
マスコミは業界を挙げて政府に協力し、
軽減税率を勝ち取るに違いない。

もちろん、実際に来年から軽減税率が導入されるかはまだ予断を許さない。
政府には、2015年9月の8%から10%への消費税引き上げという
「ボーナスステージ」が残っているからだ。
今年何もかもがうまく行けば、
この強力なカードはボーナスステージで使う事になるだろう。

賃上げも軽減税率も、あくまで消費税引き上げゲームの駆け引き材料に過ぎない。

(*1) 全国どこにでもあるコンビニなら影響が大きいように見えるが、
実際には正社員のうち3300人だけが対象で
所得が低い18万人のアルバイトは対象にならないようだ。
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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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ローソン3%の賃上げって

そもそも賃上げって全体であげる事に意味があるんでしょうか?
ローソンはたったの3%だし効果があるなんて思えません。
個別に能力および専門別に行った方が効果的なような気がします。
私は労組活動も意味なしと思っています。

No title

要するに賃金が上がることが、物価が安定的に上がる条件だということです。
そして、物価が上がらなければ実質金利を低く抑えることができないわけですから、
景気を刺激することも難しくなるということでしょう。

法人税は高すぎです。

日本の法人税は高すぎです。
世界の中心のアメリカは法人税高くても構いませんが、
日本はもう世界の中心ではありません。
日本の法人税があまり高いために、
グローバル企業のアジア支社は、
法人税が低いシンガポールと香港に行ってしまいました。
が、このように高い給与が期待できる職こそ、
国内に保持させるよう努力すべきです。

100売りあげて10利益が出ても、
日本では6しか手元に残らず、他のアジアでは8では、
長期で見て勝てっこありません。
法人税は、日本の競争力に直接的にリンクするのですから、
将来的に、日本の法人税も他のアジア諸国と同レベルにすべきだと思います。

また、国家財政を見ると、
支出が、収入の倍では、増税は避けれません。
これ以上増税できる余地があるところを考えると、
所得税はちょっと上げる余地があるかもしれませんが、どんなに上げてもどうせ足りません。
・・・なので、年金・公務員給与・医療の3大支出の削減と、
消費税の増税は避けられないと思います。

No title

kazさん:

法人税は確かに高いですね。
ただし香港、シンガポールと同水準の競争力を
維持するのは現在の日本の仕組みでは無理です。
都市国家と大国では歳出の構造が違いますから。
特区を作るとか、東京(あるいは南関東)だけ切り離して
別の国にするとかしないと無理です。

またデフレ下で消費税を上げるのはほぼうまく行きません。
個人所得税はまだ上げられます。
平均実効税率を見れば先進国で最低水準ですよ。
望ましくはないかもしれませんが、
少なくとも消費税増税よりは財・サービスの需給の悪化は抑えられます。

また支出が収入の倍だと増税が避けられない
というのは単なる錯覚です。
米国では50年も前から、
「現在の財政状態は維持可能でない」
と言われ続けています。
100年以上のスパンで考えると
正しい可能性がゼロとは言い切れないですけど。

TPPと道州制の危険性

従軍慰安婦問題、竹島・尖閣などの領土問題、日本海呼称問題、日本文化起源捏造問題などを英語や仏蘭西語などの多言語の動画という形で日本の主張を世界に発信し日本の名誉回復を目指すWJFプロジェクトをご支援ください。

日本国民の生活と日本国の伝統文化を破壊するTPPの危険性を解説する動画もございます。沖縄の分離独立を促進し、中国併合への道筋を整え、日本の国家解体につながる道州制に反対します。

WJFプロジェクト
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/

おっしゃるようにデフレ下で消費税を上げるのは自殺行為です。デフレ脱却など初めからやる気はないのです。「アベノミクス」は日本を肥え太らせて、TPPでアメリカ(国際金融資本)においしく食べさせるための目くらましにすぎません。Willy様のようなアメリカ在住の方にも当プロジェクトに対してご意見やご協力をいただけましたら有難く存じます。
プロフィール

Willy

Author:Willy
日本の某大数学科で修士課程修了。
金融機関勤務を経て、米国の統計学科博士課程に留学。
2009年、某州立大数学科専任講師。2010年、助教。2016年、准教授。

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